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渋谷駅桜丘口地区で開発中の複合施設の現場を見てきた。名称は「Shibuya Sakura Stage」に決定

11月竣工

2023年2月9日 実施

渋谷駅桜丘口地区で開発中の複合施設「Shibuya Sakura Stage」。国道246号線を横断する歩道橋デッキ上から「SHIBUYAタワー」と「セントラルビル」を見る。左は「渋谷スクランブルスクエア(東棟)」

 現在渋谷では、100年に一度とも言われる渋谷駅周辺再開発プロジェクトが進行中だ。

「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」は、渋谷駅桜丘口地区市街地再開発組合が推進しているプロジェクト。渋谷駅とJR線に隣接し、国道246号線を挟みつつ「渋谷フクラス」や「渋谷スクランブルスクエア(東棟)」「渋谷ストリーム」にも近い、面積が約25万4830m2となる広大なエリア。2019年1月から解体工事が始まっていた。

 建物は、A街区(SHIBUYAサイド。地上39階、地下4階)、B街区(SAKURAサイド。地上29階、地下2階)、C街区(日本基督教団中渋谷教会。地上4階)の3エリアに別れている。すでに基本構造は完成していて、2022年9月23日に上棟している。このプロジェクトに東急不動産は参加組合員として参画している。

 東急不動産は、渋谷の新たなランドマークとなるここの複合施設の名称が「Shibuya Sakura Stage」と決定したことを発表した。2023年11月に竣工予定で、順次できた施設から部分的に開業していき、2024年夏までには全面開業する予定にしている。施設説明会の様子をレポートする。

説明会では名称のアンベールが行なわれた。アンベール前のライティング演出
アンベールの瞬間。決定した名称が現われた
発表したのは東急不動産株式会社 代表取締役社長 岡田正志氏
名称は「Shibuya Sakura Stage」と決定。ポップでかわいいなじみやすいロゴとなった

 開発エリアは鉄道や国道246号線、都市計画道路に隣接するが、周辺と立体的につながる歩行者動線「アーバン・コア」が整備される計画。渋谷駅や周辺の建物、桜丘地区に広がる丘陵地とをバリアフリーアクセスでつながる予定となってる。実際に周囲を歩くと分かるが、渋谷駅から代官山や恵比寿方面に向かうと、かなり急な丘を登っていくことになる。渋谷独特の地形の高低差や鉄道、幹線道路によって分断されずに回遊性を高めることが期待される。

「Shibuya Sakura Stage」の模型
別の角度から。代官山方向から見ている
夜景のイメージ

 説明会では、一番高さのある渋谷駅側の「SHIBUYAタワー」37階からの景色も見ることができた。これらを含め「Shibuya Sakura Stage」の工事中の様子を先にお見せしよう。

渋谷駅側から見たところ。左は渋谷スクランブルスクエア(東棟)。中央が「Shibuya Sakura Stage」の「SHIBUYAタワー」。左側を走るのが国道246号とその上の高架が首都高速3号渋谷線
渋谷駅前を「SHIBUYAタワー」37階から見たところ。左が渋谷フクラスで右が渋谷スクランブルスクエア(東棟)。このあと、駅上に中央棟と西棟が作られる
少し遠方を見たところ。渋谷スクランブルスクエアの左下に渋谷スクランブル交差点が、奥には代々木公園が見える
少し離れて丘を登り南平台町方面から見たところ
こうやって見ても高低差が急なことが分かる
線路沿いを恵比寿方面から見たところ。右の白いビルは渋谷ストリーム
「Shibuya Sakura Stage」の工事を「SHIBUYAタワー」37階から見たところ。主に住宅やサービスアパートメントとなる「SAKURAタワー」が見えている
渋谷駅側から少し入った位置。緑のカバーがかかっている建物は「SAKURAテラス」
ちょうど開発エリア中央にあたる「セントラルビル」と「SAKURAテラス」。この辺りは歩行者通路で通り抜けできる
通り抜け用の歩行者通路で敷地内を抜けられる
「セントラルビル」と「SAKURAタワー」の接続部分辺り。ここも通り抜けの通路
上を見上げたところ。右が渋谷ストリーム、中央が「セントラルビル」と「SHIBUYAタワー」、左が「SAKURAタワー」
「SAKURAタワー」を南側から見たところ。下には日本基督教団中渋谷教会がある
「SHIBUYAタワー」37階から浅草方面を見ている。中央は渋谷ストリーム
遠くに東京スカイツリーが見えている
渋谷ストリームと渋谷スクランブルスクエア(東棟)
東京タワーも見えている
南側を見たところ。右のビルはセルリアンタワー
渋谷スクランブルスクエア(東棟)の屋上がよく見える。「SHIBUYAタワー」は少し低い
見学した「SHIBUYAタワー」37階はオフィスフロア。もちろんまだ工事中
工事中の1階には大きな階段ができていた
「セントラルビル」と「SAKURAテラス」の補助線街路による接続部

 大規模複合再開発施設の「Shibuya Sakura Stage」は、オフィス、店舗、住宅、サービスアパートメント、教会、駐車場で構成され、企業支援施設や国際医療施設、子育て支援施設も入る予定となっている。「SAKURAタワー」には中長期滞在者向けサービスアパートメント「ハイアット・ハウス 東京 渋谷」が126室が入り、ロビーエリアには、ラウンジ&バーも併設される予定。その上層に住宅として「ブランズ渋谷桜丘」として155邸が誕生する。

 約1万5200m2の面積となる商業施設は全域の低層階に配置され、「小さな店が数多く並ぶ雑多とした雰囲気が、渋谷の魅力の1つ。よくあるショッピングモールとは違った、もとの店舗などをいかした特徴あるお店がたくさん並んだ雰囲気にしたい(岡田社長)」という発言もあり、渋谷の雰囲気がいかされた作りになりそうだ。

 この周辺は、楽器店や音楽スタジオなどが並ぶ一角でもあり、若いバンドマンが集う店も多かった。多様な趣味を楽しむ人々、クリエイターの集う場所を生み出すイベントスペースとデジタルサイネージのある交流スペース「にぎわいSTAGE」と、安らぎの感じられる「はぐくみSTAGE」も設置される予定になっている。ほかにはない、楽しめる施設になることを期待したい。

「Shibuya Sakura Stage」の全体像。主に上層階がオフィス、下層階が店舗
渋谷駅周辺で行なわれている開発プロジェクト
「Shibuya Sakura Stage」エリアの航空写真
桜丘口地区では高低差が13mもある
鉄道や道路で分断されていた状態を解消し回遊性を高める
「SHIBUYAサイド」でアーバンコアを整備し、地下から3階までスムーズに移動
オフィスは先進的なデザインが取り入れられる
住宅部分には地権者以外は「ブランズ渋谷桜丘」として販売予定
「ハイアット・ハウス」が手がけるサービスアパートメントが入る
災害時に一時滞在などの防災機能を備える
環境負荷の低いSDGsに貢献するエネルギー活用

 説明会では、東急不動産 代表取締役社長の岡田正志氏が、「Shibuya Sakura Stage」の名称になることを発表したほか、再開発の経緯を、1998年10月に旧準備組合設立、さらに2008年の準備組合設立され、ほぼ毎週地権者120名との会合が開催されていき640回にもおよんだことに言及しつつ、「次世代にまでにぎわいを継続するには、どのような街づくりをするべきか話し合いを続けてきました。地元の皆さまの悲願でもある街の分断を解消する新改札の整備への協力、谷地形を克服する大規模基盤整備など、ほかに類をみない膨大な時間とリソースを注いで取り組んできました」と説明。

「開発前の計画地は、小規模敷地が多く土地の有効活用が課題でした。非耐火建築物が密集し老朽化も進んでいたため、都市として防災性を向上させ、安全安心な街作りが必要でした。渋谷駅南西部に広がる広大な敷地を一体的に整備し、桜丘口地区を新たな玄関口としてとして整備することで、渋谷の街全体の魅力向上をはかっていきます」とその役割などにも触れた。

 そして、「働く、遊ぶ、住む、憩うというライフスタイルのすべてが渋谷には揃い、シームレスにつながっています。この施設には、今まで渋谷駅周辺にはなかった、緑豊かなにぎわう憩いの広場を備えています。渋谷で培われた多様なカルチャーを承継、発展させ、より多様な人々を集め、多様な文化をうみだすことを目指しています。東急グループは、地域の発展とにぎわいの創出、世界の人々を常に惹きつける魅力ある街、エンターテインメントシティ渋谷を目指します」などと「Shibuya Sakura Stage」と渋谷の街の未来像を説明した。

 施設の紹介には、東急不動産 取締役 常務執行役員 都市事業ユニット長の榎戸明子氏と、東急不動産 執行役員 都市事業ユニット 渋谷開発本部長の黒川泰宏氏が登壇し、プレゼンテーションを行なった。

東急不動産株式会社 代表取締役社長 岡田正志氏
東急不動産株式会社 取締役 常務執行役員 都市事業ユニット長 榎戸明子氏
東急不動産株式会社 執行役員 都市事業ユニット 渋谷開発本部長 黒川泰宏氏

 最後に、プレゼンテーション中に放映された「Shibuya Sakura Stage」のイメージCGムービーのショットを、抜粋して紹介する。新しい渋谷のランドマークの開業を期待して待とう。