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「渋谷スクランブルスクエア」屋上に展望台、「渋谷フクラス」にバスターミナルなど。東急、渋谷駅周辺再開発プロジェクト発表会

2019年8月28日 開催

「渋谷ヒカリエ」11階に展示されている渋谷駅周辺模型。ハチ公前広場を中心に見ている。ひときわ高いビルが「渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)」

 現在渋谷では「100年に一度」とも言われる大規模な再開発が進行している。渋谷駅を利用する人なら分かるように、工事中箇所がとても多い。主要鉄道が“谷”に集中するところに、国道246号、首都高速3号渋谷線、渋谷川が通り、東西南北が分断されている渋谷駅周辺。この垂直と水平方向の動線をスムーズにし、国内外から多くの人が集まる世界的に魅力的な駅に変貌させようとしているところだ。

 渋谷駅周辺の開発を手がける東京急行電鉄(2019年9月2日に東京急行電鉄株式会社から東急株式会社へ変更)と東急不動産は、「エンタテイメントシティSHIBUYA 変わりゆく渋谷 Vol.10 未来@SHIBUYA 最新情報発表会」と題して、渋谷再開発プロジェクトの概要発表会を開催した。

すでにスクランブルスクエア東棟は、その姿を現わしている

 渋谷駅周辺再開発プロジェクトでは、2012年4月に開業した「渋谷ヒカリエ」がすでに多くの人が訪れる人気施設となっているが、2017年4月には「渋谷キャスト」が、2018年9月には「渋谷ストリーム」「渋谷ブリッジ」が開業、今年の3月には「渋谷ソラスタ」が竣工と、続々と完成してきている。

 そして今年後半は、「渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)」が11月1日に開業し、「渋谷フクラス」も10月に竣工し11月に開業を予定している。この渋谷スクランブルスクエア東棟の地上230mの屋上には、スクランブル交差点を直下に見下ろす展望施設「SHIBUYA SKY」がオープンする。渋谷の新たな人気ランドマークとなることは間違いない。

渋谷ヒカリエから見たスクランブルスクエア東棟と渋谷駅
地上を見下ろしたところ。右奥にSHIBUYA 109が見える
渋谷駅周辺模型。手前がハチ公前広場。もっとも高いビルがスクランブルスクエア東棟。手前に低層の第II期(中央棟、西棟)
渋谷駅周辺開発の全体図。渋谷フクラスはスクランブルスクエアの隣

渋谷のまちづくりの経緯。渋谷ヒカリエ開業から乗降者数が増加へ

東京急行電鉄株式会社 渋谷開発事業部 開発計画グループ 課長 宇留間範昭氏

 発表会では後半の第2部として「渋谷のまちづくりの経緯とまちの変化について」と題された説明会が行なわれたのだが、渋谷の現状を理解することができるので、先に簡単に解説しよう。東京急行電鉄 渋谷開発事業部 開発計画グループ 課長の宇留間範昭氏が登壇し、渋谷の開発経緯を解説した。

 渋谷は谷地形であり、狭い敷地に鉄道利用者の利便性向上実現のために複雑な形状の駅になっていて、自然災害の被害を受けやすいという前提がある。2000~2002年に東横線の地下化と副都心線への直通運転が決まることが、再開発の気運を高めることになった。そこで、2010年に周辺住民と事業者が一緒になってまとめたのが、「渋谷駅中心地区まちづくり指針2010」。この上位計画をもとに、東急グループとして開発方針をまとめ、開発計画を進めていった。

 その計画の戦略内には、官民で連携した渋谷川の再生、遊歩道の整備、縦軸の「アーバンコア」と地上部に広がる歩行者デッキを設置、銀座線や埼京線のホーム移設、乗り換え動線改良、駐車場の一体運用、帰宅困難者対策、開かれたにぎわいのある広場空間を整備などが挙げられている。そして、渋谷全体をステージに、エンタメ系コンテンツであふれる街にしていく。

 その結果、2012年の渋谷ヒカリエ開業以降、減少していた乗降者数が増加に転じ、増え続けている。オフィス床を拡充したことで、女性を含めてオフィスワーカーが増加。新たに開業した、サービスアパートメントやホテルでは外国人の比率がとても高くなっている。

渋谷が抱えていた問題点
2000~2002年に東横線の地下化と副都心線への直通運転が決まる
「渋谷駅中心地区まちづくり指針2010」の要旨
東急グループとして開発方針
上位計画に基づいた開発計画
官民で連携した渋谷川の再生、遊歩道の整備。遊歩道も整備され回遊性も高い
縦軸の「アーバンコア」と地上部に広がる歩行者デッキを設置
渋谷ヒカリエにあるアーバンコアの例。縦移動用のエスカレーターと囲むようにサイネージが配置されている
銀座線や埼京線のホーム移設、乗り換え動線改良、駐車場の一体運用
帰宅困難者対策
開かれたにぎわいのある広場空間を整備
エンタテインメントであふれる街
減少していた乗降者数が増加に転じて、増え続けている
オフィスワーカーが増加
サービスアパートメントやホテルでは外国人の比率がとても高い

「渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)」屋上に屋外展望施設

渋谷スクランブルスクエア株式会社 SHIBUYA SKY支配人 新屋潤氏

 11月1日に開業するスクランブルスクエア東棟には、地上47階約230mの屋上に、約2500m 2 の「SHIBUYA SKY」という展望施設が作られる。SHIBUYA SKYについては、渋谷スクランブルスクエア SHIBUYA SKY 支配人の新屋潤氏が解説した。

 SHIBUYA SKYは、入場口となる14階から45階まで「SKY GATE」という上昇空間でLEDのインタラクティブ体験や、エレベーターの天井映像、立体音響などで期待感を演出。46階の「SKY GALLARY」は屋内展望回廊となっていて、音楽が楽しめるカフェ・バーやショップも用意される。そして、オープンエアの屋上には、渋谷の象徴となっているスクランブル交差点を見下ろす「SKY EDGE」や、少し高い位置から周囲を見渡すことのできる「GEO COMPASS」、ハンモックのように寝転がって空を見渡せる「CLOUD HAMMOCK」、日没後に18台のサーチライトで夜空を照らす「CROSSING LIGHT」といった演出が楽しめる。眺望体験と空間演出を融合させた体験ができるのが特徴となっている。

 チケット販売の予約受付は、9月1日10時から、オフィシャルWebサイトで開始する。11月の入場分は、Webチケット限定となる。

 チケット料金は、ネットで購入する「Webチケット」が大人1800円、中高生1400円、小学生900円、幼児500円。「当日窓口チケット」が大人2000円、中高生1600円、小学生1000円、幼児600円。当日窓口チケットはデザインカードとなっている。

スクランブルスクエア東棟の建築概要
スクランブルスクエア東棟の外観イメージ
屋上に作られる展望施設「SHIBUYA SKY」のコンセプト
14階から屋上までで眺望体験と空間演出を融合させた体験ができる
14階の入口での体験
14階から45階までのエレベータでの演出
45階での誘導する光
屋上でスクランブル交差点を見下ろす
少し高い位置から周囲を見渡すことのできる
ハンモックのように寝転がって空を見渡せる
日没後に18台のサーチライトで夜空を照らす演出
46階のインタラクティブな演出
46階は屋内回廊展望となっている
渋谷のデータの展示もある
音楽が楽しめるカフェ・バー
お土産などを販売するショップ
SHIBUYA SKYのチケット詳細
当日窓口チケットはデザインカードとなる。オープン当初の11月は扱いがないので注意

「渋谷フクラス」1階にはバスターミナルと観光支援施設

 渋谷スクランブルスクエア隣に位置する「渋谷フクラス」の全容については、東急不動産 都市事業ユニット 渋谷プロジェクト推進本部 執行役員 本部長の鮫島泰洋氏が解説した。下層階が「東急プラザ渋谷」などの商業施設、上層階が事務所をメインとしたビルで、1階にはバスターミナルと観光支援施設「shibuya-san(シブヤサン)」が、17階には会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート」が入る。

 バスターミナルには、一般路線バスが発着する予定だが、空港リムジンバスが渋谷~羽田空港が1日31便、二子玉川/渋谷~成田空港が1日29便、12月上旬より乗り入れることが発表された。

東急不動産株式会社 都市事業ユニット 渋谷プロジェクト推進本部 執行役員 本部長 鮫島泰洋氏
渋谷フクラスの外観
東急プラザ渋谷などの商業施設が入る
渋谷フクラスの用途構成
17階には会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート」が入居
1階には店舗のほかバスターミナルと観光支援施設「shibuya-san」が入る
観光支援施設「shibuya-san」は、外国人目線の観光案内所
渋谷のアートを世界に発信する
夜23時まで営業し、夜間の観光を支援する

渋谷駅東口地下広場の供用開始と渋谷二丁目17地区の計画

 渋谷駅前エリアマネジメント 事務局次長/東京急行電鉄 渋谷開発事業部 開発計画グループ 課長補佐の秋元隆治氏が、公民連携しての街ぐるみでの取り組みについて説明。渋谷駅東口地下広場が、渋谷川を上部に見える空間として11月1日供用開始予定であることが発表された。観光案内機能を持つカフェや公衆トイレのほか、フリーWi-Fi「Shibuya Wi-Wi-Fi」も提供される。地下出入り口番号も分かりやすく変更、案内誘導サインも改善される(関連記事「渋谷駅の地下出入り口、新しい番号で11月1日から運用。乗り換えも分かりやすく」)。

 また、東京急行電鉄 渋谷開発事業部 開発計画グループ 課長の田邊秀治氏が、渋谷ヒカリエに隣接する渋谷二丁目17地区で地上23階建ての複合施設の整備を行ない、 周辺の回遊しやくすくし、新たな賑わいを生み出す事業が始まったことの報告があった。

一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメント 事務局次長/東京急行電鉄株式会社 渋谷開発事業部 開発計画グループ 課長補佐 秋元隆治氏
渋谷駅東口地下広場の整備
11月1日供用開始予定
観光案内機能を持つカフェやフリーWi-Fiも提供
案内誘導サイン改善
地下出入り口番号も分かりやすく変更される
東京急行電鉄株式会社 渋谷開発事業部 開発計画グループ 課長 田邊秀治氏
渋谷二丁目17地区の場所
貴重な1957年の渋谷二丁目。左のビルは東急文化会館
渋谷二丁目17地区の事業概要
広場を多く作り人が集まり、回遊性を高める作り
路面には店舗があり、にぎわいのある空間となる