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東急の渋谷まちづくりは新フェーズへ。ヒカリエ横に「渋谷アクシュ」、高低差のない歩ける街に

神宮前交差点は「ハラカド」と「オモカド」

2023年5月30日 発表

神宮前交差点で2024年春に開業を予定する商業施設が東急プラザ原宿「ハラカド」となることを発表

 東急と東急不動産は、「渋谷まちづくり戦略“Greater SHIBUYA”最新情報」として、2024年度までに竣工・開業する予定の5つのプロジェクトの最新情報について発表した。

 発表会では、神宮前交差点にあり2024年春に開業を予定する「神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業」の商業施設名称が「東急プラザ原宿『ハラカド』」となること、あわせてはす向かいに開業している東急プラザ表参道原宿が「東急プラザ表参道『オモカド』」と改称されることが明らかにされた。

 また、渋谷ヒカリエ脇で行なわれている「渋谷二丁目17地区第一種市街地再開発事業」のビル名称が「渋谷アクシュ(SHIBUYA AXSH)」となり、2024年度上期に開業する予定であることも発表した。

まちづくりは第2フェーズへ

 渋谷駅周辺では、現在100年に一度と呼ばれる再開発が進行中だ。渋谷駅近辺だけでも、2012年4月に開業した渋谷ヒカリエから始まり、渋谷キャスト、渋谷ストリーム、渋谷ブリッジ、渋谷ソラスタ、渋谷フクラス、渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)がこれまでに開業していて、Shibuya Sakura Stage(2023年11月竣工予定)、渋谷アクシュ(渋谷二丁目17地区第一種市街地再開発事業)(2024年度上期開業予定)、渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟、2027年度開業予定)と続く。

 また、渋谷駅から半径2.5Kmに広げたエリアを「Greater SHIBUYA」と名付け、ここには「ハラカド(神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業)」や「オモカド」、代官山町の「Forestgate Daikanyama(竣工2023年秋予定)」、「代々木公園Park-FPI計画(2025年2月供用開始予定)」などが含まれ、広域渋谷圏として面的に連携させて、にぎわいを創出させていくとしている。

渋谷駅周辺の開発全体図
広域渋谷圏で進む4つのプロジェクト

 発表会では、冒頭に東急 渋谷開発事業部 事業部長 坂井洋一郎氏が登壇し、東急グループが行なっている渋谷のまちづくりについて説明があった。

 渋谷ヒカリエの開業から10年を経て、2024年度に開業する予定のShibuya Sakura Stage、渋谷アクシュ(渋谷二丁目17地区)、2027年度竣工予定のShibuya Upper Westプロジェクトなどに向け、第2フェーズに入ったとして、さらにエンタテイメントシティ渋谷の魅力向上にとり組むと説明。渋谷ヒカリエ開業前より、渋谷駅の1日あたりの乗降客数は約10%増加、渋谷に不足していたオフィスフロアに関しては再開発により東京ドーム約7.4個分にもなったこと、またインバウンドの増加から渋谷スクランブルスクエアの展望台では、3月は過去最高の動員を記録したことの報告もあった。

「100年後も持続可能な街づくりを目指し、2021年7月にGreater SHIBUYA 2.0を策定しました。これまでのGreater SHIBUYAを強化していくことに加え、働く、遊ぶ、暮らす、の3要素と、基盤となるデジタルやサステナブルにとり組むことで相乗効果を生み出し、渋谷でしか体験できない渋谷型都市ライフの実現を目指していきます。

 2021年11月にはGreater SHIBUYA戦略委員会を発足いたしました。Greater SHIBUYAでは、各エリアそれぞれの特性を活かし、新たな企画やコミュニティの創出を渋谷中心地区と連携しながら行なっていきます。この街の楽しみ方の可能性をさらに拡大させていくつもりです」と説明があった。

東急株式会社 渋谷開発事業部 事業部長 坂井洋一郎氏
渋谷駅周辺の開発は第2のフェーズに入る
駅の動線を主体にした85万m2もの公共交通指向型開発(TOD)
2021年7月にGreater SHIBUYA 2.0を策定
広域渋谷圏で進むプロジェクト

ハラカドとオモカド

 続けて、東急不動産 都市事業ユニット渋谷開発本部 執行役員 本部長 黒川泰宏氏が、Greater SHIBUYA 2.0のもと進めている具体的な取り組みを紹介し、「神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業」の商業施設名称が「東急プラザ原宿『ハラカド』」となり、すでに開業済みの東急プラザ表参道原宿が「東急プラザ表参道『オモカド』」と改称されることを発表した。

「この『ハラカド』と『オモカド』」の名称には、角と角が合い人と人の出会う交差点となり、新しい文化を生んでいく、そんな思いを込めました。神宮前交差点を挟む2つの拠点を連携させることで、ここから新しい文化を創造発信していきます。東急プラザ原宿『ハラカド』は原宿セントラルアパートのようにクリエイターが集い、新しい文化を創造、発信する商業施設を目指していきます」と解説した。

「ハラカド」では、入居者コミュニティ「ハラカド町内会」を立ち上げ、ファンコミュニティを形成していく。メンバーは、各分野を代表するトップクリエイターが名を連ねる。アートディレクターで映画監督の千原徹也氏、一つ星レストラン「sio」オーナーシェフの鳥羽周作氏、近年の銭湯ブーム立役者であり高円寺の銭湯「小杉湯」の平松佑介氏などで、施設をともに作るクリエイターを募集する。ティザーサイトでメンバーが企画したイベントやコンテンツを紹介するほか、仲間の募集などの情報を発信していく。

 5~6階は約20店が集まる飲食フロアとフードコートには、「sio」オーナーシェフの鳥羽氏がプロデュースする新時代ファミリーレストラン「FAMiRES」が出店予定。地下1階には「小杉湯」が手掛ける銭湯「小杉湯原宿(仮称)」も開業予定となっている。

東急不動産株式会社 都市事業ユニット渋谷開発本部 執行役員 本部長 黒川泰宏氏
「神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業」の商業施設名称は「東急プラザ原宿『ハラカド』」
開業済みの東急プラザ表参道原宿が「東急プラザ表参道『オモカド』」と改称
2つの施設は神宮前交差点を挟み、連携して展開していく
各分野のクリエイターがプロデュース

 代官山エリアでは「Forestgate Daikanyama」が、2023年10月下旬に開業を予定している。賃貸住宅、シェアオフィス、商業施設で構成されるMAIN棟と、カフェとイベントスペースを備えサステナブルな生活体験を提供するTENOHA棟の2棟からなる。賃貸住宅は1LDK~3LDK、メゾネットとライフスタイルに合わせて提供される。

 渋谷駅に隣接する桜ヶ丘エリアで2024年夏開業予定の「Shibuya Sakura Stage」では、TSUTAYAなどを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とまちづくり協定を締結したことが発表された。第1弾として、次世代アーティストを応援することを目的とした「SHIBUYA ART BASE」を始動する。

「CCCは、広域渋谷圏に複数拠点を持つ、ゲーム、アート、音楽などのカルチャーに強みを持つ会社。イベントの開催や次世代アーティストの支援を通じてカルチャーをはぐくみにぎわいのある町を目指してもらう。町のにぎわいを創出するさまざまな仕掛けを、継続的に展開する予定(黒川本部長)」とのこと。Shibuya Sakura Stageの施設概要などは、2月の発表会の記事を参照していただきたい。

 代々木公園エリアでは「代々木公園Park-PFI計画」が2025年2月供用開始を予定している。渋谷と原宿をつなぐファイアー通りの中間地点に位置し、スケートボードなどができるアーバンスポーツ・パークやランニングステーションを用意。公園の緑のなかで多様な食が楽しめるホールも設置する。

「キーワードはスポーツとウェルビーイング。エリア内の回遊性を高め、エリア内の施設や地域との連携を深め、広域渋谷圏全体にウェルビーイングを広げていきたい。また、Greater SHIBUYA 2.0での面的連携という新たなステージに移り、にぎわい創出やグローバル化を、さまざまな企業や人とともにさらに加速していきたい」(黒川本部長)と説明があった。

広域渋谷圏に誕生するプロジェクト
代官山エリアの複合施設「Forestgate Daikanyama」
渋谷駅隣接の桜ヶ丘エリアで2024年夏開業予定の「Shibuya Sakura Stage」
Shibuya Sakura Stageでカルチュア・コンビニエンス・クラブとまちづくり協定を締結
次世代アーティストを応援する「SHIBUYA ART BASE」が始動
代々木公園エリアの「代々木公園Park-PFI計画」
広域渋谷圏での企業や人との連携例1
広域渋谷圏での企業や人との連携例2

渋谷アクシュ

 最後に「渋谷二丁目17地区第一種市街地再開発事業」のビル名称が「渋谷アクシュ(SHIBUYA AXSH)」となり、2024年度上期に開業する予定であることの発表が、東急 渋谷開発事業部 プロジェクト推進第二グループ 課長 田辺秀治氏からあった。

 渋谷駅東側の玄関口として、青山(A)と渋谷(SH)の街をつなぎ(X=交差する)、多種多様な人々が行き交う場所で交流を誘発する施設。あいさつや友好のしるしである握手の意から、異なる人々や文化がこの場所でつながり混じり合い、そこから新たな価値が生まれていくさまを表現した名称とロゴデザインとなっている。

「渋谷二丁目17地区第一種市街地再開発事業」のビル名称「渋谷アクシュ(SHIBUYA AXSH)」の発表

 渋谷アクシュは、渋谷ヒカリエの坂上に位置し、青山方面に延びる宮益坂を歩行者優先のウォーカブルな街を実現するべく、高低差を解消する縦動線や隣接街区と接続するデッキを整備し、新たにオープンスペースと商業施設を歩行者動線上に沿って配置する。ヒカリエ側広場では、季節ごとのイベントや大型ビジョンを用いた環境演出を行なう予定。青山側の広場では、文化発進の取り組みとして、常設ではない時期によって異なるパブリックアートを展示する。

 1~4階が商業施設で2階までは飲食店が中心に入る予定、5~23階はオフィスフロアとなっている。オフィス部分において建築物省エネルギー性能評価制度(BELS)のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)Ready認証(一次エネルギー年間消費量を50%以上削減)を取得済みで、CASBEEウェルネスオフィス認証のSランクも取得予定としていて、省エネルギーでオフィスサポートの充実したビルになる。

 今後、渋谷二丁目西地区では大規模な再開発が予定されている。オフィスや宿泊施設に加え、バスターミナルの整備が予定されており、高低差を解消するアトリウムや周辺外部と接続するデッキを整備することで、利便性の高い歩行者ネットワークを実現するとしている。「開発前は広場や店舗が少なく、人々が通り過ぎるだけのエリアでしたが、今後は渋谷アクシュが渋谷駅東側エリアの新たなにぎわい拠点となることを目指します。名称決定に伴い工事中もCADAN(日本現代美術商協会)と渋谷アクシュをテーマとしたアート作品を制作し、渋谷二丁目アートプロジェクトとして仮囲いに掲出します(田辺課長)」と解説した。

渋谷アクシュは、渋谷ヒカリエのとなり
渋谷ヒカリエと渋谷アクシュがつながり回遊性が増す
広場に時期によって「NANZUKA」が手掛ける異なるパブリックアートを展示予定
1~2階のアトリウムのイメージ
オフィスエントランスのイメージ
ウェルネスに着目した充実したオフィスサポートを提供
東急株式会社 渋谷開発事業部 プロジェクト推進第二グループ 課長 田辺秀治氏

渋谷アクシュとハラカドの工事現地を見てみた

 発表会後、渋谷アクシュと東急プラザ原宿ハラカドの工事現場を見学するツアーが開催された。

 2つの施設は少し離れているため、その間に移動には東急トランセが2023年3月16日から運行を開始した、2階建てオープントップバスによる渋谷周遊・定期観光バス「SHIBUYA STREET RIDE」が使われた。

工事中の渋谷アクシュ(写真右)周辺。奥に渋谷ヒカリエや渋谷スクランブルスクエア、左に渋谷ストリームが見えている
渋谷アクシュの外観。まだ外壁も張られていない
渋谷アクシュ外観を別方向から
渋谷アクシュ低層階を渋谷ヒカリエから見る。右側は空中通路でつながる予定
渋谷アクシュの仮囲いの渋谷二丁目アートプロジェクト
渋谷周遊・定期観光バス「SHIBUYA STREET RIDE」でハラカドへ向かう
2階建てのオープントップバス
とても開放的で渋谷観光に最適
宮益坂交差点が見えてきた
渋谷スクランブルスクエアを見上げる
明治通りを北上するとほどなく神宮前交差点にあるハラカドが見えてくる
壁面のガラスの造形がキレイ
乗車したSHIBUYA STREET RIDE
神宮前交差点から東急プラザ原宿「ハラカド」全体を見る
ハラカドの7階屋上
植栽が多く植えられている
屋上部分を外から見たところ
6階から神宮前交差点を見た景色。正面に「オモカド」、左にラフォーレ原宿が見える
「オモカド」も緑があふれる作り
ハラカドは内部はもちろん工事中
地下1階の銭湯「小杉湯原宿(仮称)」予定エリア。かなり広い
「小杉湯原宿(仮称)」のイメージ図
正面には「2024春、ハラカドで、会いましょう」と表示された
東京メトロ明治神宮前駅に近い