ニュース

新東名 厚木南IC~伊勢原JCT間開通記念式典。「オリンピックに間に合ったことは非常にうれしい」と黒岩県知事

厚木JCT付近の渋滞緩和に期待

2019年3月17日15時 開通

NEXCO中日本は、新東名高速道路 厚木南IC~伊勢原JCT間(延長約4km)を3月17日15時に開通した

 NEXCO中日本(中日本高速道路)は、新東名高速道路(E1A)厚木南IC(インターチェンジ)~伊勢原JCT(ジャンクション)間(延長約4km)を3月17日15時に開通した。

 新東名高速は、海老名南JCT~豊田東JCT間、約253kmを結ぶ高速道路。2012年4月に御殿場JCT~浜松いなさJCT間が開通したのを皮切りに、順次建設が進んでいる。開通日には記念式典や鋏入れ、くす玉開披、通り初めなどが実施された。

新東名高速道路(E1A)厚木南IC~伊勢原JCTを3月17日15時に開通した。記念セレモニーなどが開通前に本線上で開催された

 今回の開通区間は4.3kmで全線が橋梁高架の構造。設計速度は120km/hとなっているが、暫定4車線での運用となることもあり規制速度は100km/hになっている。事業費は約1600億円で、1日の交通量は1万4000台ほどと予測されている。

 今回の開通により圏央道(首都圏中央連絡自動車道:C4)~伊勢原JCT間において、東名高速道路(E1)と新東名高速のダブルネットワークが形成される。特にこの付近の東名高速の上りは伊勢原バス停や海老名SA(サービスエリア)、大和トンネルと渋滞の名所が多い地点でもあり、ダブルネットワーク化による交通分散の実現で、渋滞緩和や物流の効率化が期待されている。ちなみに、東名高速から圏央道へ進む場合、そのまま海老名JCT経由でも、新東名&海老名南JCT経由のどちらでも通行料金は変わらない設定となっている。

開通した新東名 厚木南IC~伊勢原JCT
東名の上りは経路の選択肢が増加し、東名渋滞時には、新東名経由で圏央道を利用することや、厚木IC利用から厚木南IC利用に転換することで、渋滞を回避できるようになる

 なお、新東名高速の下りから東名高速の上り、東名高速の下りから新東名高速の上りのように、下り線から上り線への通行はできない構造。例えば東名高速の東京方面から伊勢原JCTを経由して厚木南ICで降りる、圏央道から海老名南JCT~伊勢原JCTを経て厚木ICで降りる、といったルートは走行できない。

伊勢原JCTでは、新東名の厚木南IC方面から東名の東京方面へ、東名の東京方面から新東名の厚木南IC方面への利用はできない

 現在未開通となっている47.5kmについては、伊勢原JCT~伊勢原大山IC間の約2kmが2019年度、残る区間は2020年度の開通を目指して建設が進んでいる。

新東名高速道路(E1A)の整備スケジュール

海老名南JCT~厚木南IC(延長約1.5km): 2018年1月28日開通
厚木南IC~伊勢原JCT(延長約4.3km): 2019年3月17日開通
伊勢原JCT~御殿場JCT(延長約47.5km): 建設中
御殿場JCT~浜松いなさJCT(延長約144.7km): 2012年4月14日開通
浜松いなさJCT~豊田東JCT(延長約55.2km): 2016年2月13日開通

新東名高速道路(E1A)の整備スケジュール

開通式典には神奈川県知事などが出席

開通式典には350名あまりの関係者が列席

 15時の開通を前に、伊勢原JCT付近で開通式典が開催され主催者、来賓など約350名が出席した。主催者を代表して登壇したNEXCO中日本 取締役会長の茶村俊一氏は、関係者に感謝を述べたあと、「今回の開通により圏央道から伊勢原JCTの間のダブルネットワークが形成され、特に東名の上り線では走行ルートの選択肢が増えることになります。

 東名渋滞時には新東名経由で圏央道を利用することなどにより、渋滞を回避することができるようになるとともに、新東名へ交通が転換することで東名の渋滞が緩和されるとともに、新たな物流拠点の建設が進められており、物流のさらなる効率化が期待できる」と説明した。

 また、5月に東名全線開通50周年を迎えることに触れ、「本日の新東名の開通により沿線各地の産業や経済、文化のますますの発展を期待いたします」と述べるとともに、「残りの区間についても鋭意整備を進めており、伊勢原JCTから伊勢原大山IC間については2019年度の開通を目指して橋梁の工事などを進めております」と、全線開通を目指して事業を進めていることを話した。

中日本高速道路株式会社 取締役会長 茶村俊一氏

 続いて登壇した神奈川県知事の黒岩祐治氏は、この開通が「来年のオリンピックに間に合ったことは非常にうれしい」と述べるとともに、「湘南に抜ける道路が交通渋滞がなくなるかなぁ、少しでも寄与してくれるかなぁと思うとわくわくする」とコメント。全面開通が徐々に迫っているが、「この開通を喜んで、さらに大きな経済の発展につなげていきたいと心から思っている」と述べた。

神奈川県知事 黒岩祐治氏

 そして、衆議院議員の義家弘介氏、衆議院議員の後藤祐一氏、参議院議員の真山勇一氏、参議院議員の島村大氏、参議院議員の佐々木さやか氏、参議院議員の井上義行氏、国土交通省 道路局 局長代理として高速道路課長の山本巧氏らが祝辞を述べたあと、NEXCO中日本 厚木工事事務所 所長の鈴木規生氏が工事経過を報告した。

衆議院議員 義家弘介氏
衆議院議員 後藤祐一氏
参議院議員 真山勇一氏
参議院議員 島村大氏
参議院議員 佐々木さやか氏
参議院議員 井上義行氏
国土交通省 道路局 局長代理の高速道路課長 山本巧氏
中日本高速道路株式会社 厚木工事事務所所長 鈴木規生氏

  鈴木規生氏はまず、今回の開通により、海老名南JCT~厚木南ICが片側1車線での運用から片側2車線へと変更され、海老名南JCT~伊勢原JCT間が上下2車線の4車線となることを説明。

 また、地震への対策として「免震支承」によるエネルギー吸収、集中豪雨への対策として道路からの排水を一時的に貯めておく調整池を設置するといった構造を紹介。災害時でも致命的な被害を防止し、緊急輸送路としての役割を最大限発揮できるように工夫していると述べた。

 整備効果としてはダブルネットワーク化を挙げ、厚木IC周辺の渋滞時には35%の交通量が新東名の経路選択が可能になると説明。「利便性を活かしたさらなる物流の効率化による生産性向上と地域開発の促進が期待される」とした。最後に同事業所では伊勢原JCTから西に向け伊勢原大山IC~秦野市境までの建設事業を進めているとし、「1日も早くより安全で安心快適な高速道路をお届けできるよう一意専心努力する所存」だと述べた。

整備中の区間
事業概要
事業経緯
着手時と現在
開通区間は全線が橋梁高架
橋梁施工
U桁コンポ橋の採用により現場施工の省力化と安全性を向上
自然の猛威に備える構造
地震に強い道路を目指す
道路排水を一時貯水する調整池を設置
整備効果
未開通区間の進捗状況
地域とのイベントを実施
神奈川県議会議長 桐生秀昭氏、厚木市長 小林常良氏、伊勢原市長 髙山松太郎氏の音頭による万歳三唱で開通式典を締めくくった

 開通式典のあと、開通を前にした本線上において鋏入れ、くす玉開披、通り初めを実施した。鋏入れには来賓のほか厚木市と伊勢原市の小学生が参加したほか、あつぎシティセールス大使「あゆコロちゃん」、伊勢原市のイメージキャラクター「クルリン」、NEXCO中日本の「みちまるくん」も登場し華を添えた。

本線上で鋏入れとくす玉開披を実施
みちまるくん
あゆコロちゃんとクルリン
白バイが先導して通り初めがスタート
緊急自動車にとっても渋滞緩和効果は大きい
地元神奈川の日産「リーフ」には祝の文字が入ったステッカー
物流関連のトラックが続く
NEXCOの道路パトロールカー
来賓の車列。日産車が多く見られた