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開通前の新東名 厚木南IC~伊勢原JCTを現場レポート。東名 厚木IC付近の渋滞緩和に期待

3月17日15時開通

2019年3月5日 公開

2019年3月17日15時 開通

3月17日開通予定の新東名高速道路 厚木南IC~伊勢原JCT間(延長約4km)を報道公開した

 NEXCO中日本(中日本高速道路)は、3月17日15時開通予定の新東名高速道路(E1A)厚木南IC(インターチェンジ)~伊勢原JCT(ジャンクション)間(延長約4km)を、3月5日に報道公開した。

 新東名は神奈川県の海老名南JCTから愛知県の豊田JCTまでの約250kmを結ぶ高速道路で、現在は海老名南JCT~厚木南ICと、御殿場JCT~豊田東JCT間が開通している。

新東名の厚木南IC~伊勢原JCT間が3月17日15時に開通する

 3月17日に厚木南IC~伊勢原JCT間が開通すると、伊勢原JCT~海老名南JCTのルートで東名高速道路(E1)や圏央道(首都圏中央連絡自動車道:C4)とつながるので、現在ある海老名JCTでの接続と合わせて、このエリアがダブルネットワークでつながることになる。

 これによりもし東名の厚木付近が通行止めになったり、東名上りから圏央道へ向かうルートが渋滞になったりしても、新しい伊勢原JCT~海老名南JCTのルートを選択するドライバーが増えれば、東名 厚木IC付近の渋滞の緩和につながる可能性がある。

 なお、海老名JCTでの渋滞にはJCT内の構造を指摘する人もいるが、海老名南JCTは緩やかなループで合流するため、道路的には走りやすいものだ。それと伊勢原JCTから海老名南JCTの周辺は物流の拠点も多いので産業面でも開通の効果もあるだろう。

厚木工事事務所の事業路線図。圏央道へ東名と新東名の両方から接続できるようになる
東名、新東名のダブルネットワークに効果について

 さてここで注意点として挙げておきたいことがある。それが伊勢原JCTのランプの方向についてだ。圏央道から海老名南JCTを経て新東名に入り、伊勢原JCTを利用したときは東名の「御殿場や静岡方面の西行きのみ」につながる。つまり東京方面にはランプはつながっていない。

 そして伊勢原JCTより北、建設中の新東名の伊勢原大山IC(建設中名称は伊勢原北IC)方面から来て、伊勢原JCTを使い東名に入る場合は「東京方面のみ」だけ行ける。東名から入る場合も、上りからは新東名の上り(海老名南JCT方面)のみとつながり、下りは新東名の下りのみの接続となる。

 このことについてNEXCO中日本は「東名と新東名は“東西”を結ぶ道路であるので、上り線は上り線のみ、下り線は下り線のみとしかつながない」との説明で、将来的にも上下線をつなぐランプを作る予定はないとのことだ。

厚木南IC方面から新東名に入り伊勢原JCTへ向かうところ。標識のとおり西行きのみとつながる
伊勢原JCTから東京方面へは行けないという注意標識も立っている
本線は2車線だが伊勢原JCTへは1車線になる。ランプ内は制限速度も変わる

 さて、ここからは道路の特徴を紹介しよう。この区間は道路名として「新東名高速道路」と呼ぶが、NEXCO中日本の路線名では「第二東海自動車道横浜名古屋線」となる。

 開通する厚木南ICは神奈川県厚木市下津古久にあり、伊勢原JCTは神奈川県伊勢原市東富岡にある。開通延長は4.3kmで、そのうち厚木市側が0.7km、残り3.6kmは伊勢原市だ。

 道路は設計速度を120km/hとしていて(開通後の制限速度ではない)道路の区分は第1種第1級だが、現状は暫定施工ということで第1種第2級の区分となっている。

 車線数は上下とも2車線ずつの計4車線で、橋梁の有効幅は10m、車線の部分は2車線で7m。左側の路側帯は1.75mあり、右側は1.25mの幅が取られている。この区間は将来的に6車線化が計画されていて用地買収は6車線分で行なわれているということだ。

厚木南ICから伊勢原JCT方面を向く。上を通るのは厚木南ICからの入路
将来的には片側3車線になる。用地買収は完了しているとのこと
車線が増える予定などがあるので一部暫定の作り。ガードレールとコンクリート壁の接続法もあまり見ないタイプだった
舗装は排水性がよく、騒音低減の効果もある高機能舗装1型

 厚木南IC~伊勢原JCT間で交差するものとして「東名高速道路」「国道246号」「小田原厚木道路」「小田急電鉄の小田原線」という交通量の多い路線があるので、それらの交通に影響のないようすべて橋梁となっている。

 構造面の特色としては開通区間のうち2kmにコンクリート橋工事(Uコンポ橋)を採用していること。このUコンポ橋を使用すると桁製作の単純化や現場の効率化向上というメリットがある。また、従来の金属橋では現場での高所作業もあったがUコンポ橋ではそれが低減されるので安全性も高まる。

網のフェンスは橋梁の下に道路や鉄道などがある部分に使われている。落下防止の対策も取られている
こちらは遮音用のフェンス。住宅が近い部分に使われる
透明の遮音フェンス。これは橋梁の下の住宅などへの日照を確保するためのもの。通常の遮音フェンスでは影が大きくなってしまう
開通区間は高架下に交通量の多い道路や鉄道が通る。工事の際道路は通行止めを行なったが、鉄道は架線への起電が止まる深夜に行なった
非常電話は目的のボタンを押せば担当部署につながるようになっている
道路の両サイドには高輝度レーンマークがある。盛り上がっているので乗り上げると振動と音でドライバーに注意喚起する

 開通区間には標識の工夫もある。朝日や西日が標識に被ると逆光で文字が見えなくなるが、この区間で使用する反射標識では文字の部分に小さい穴がいくつも開けられていて、そこから日が漏れることで、逆光時に標識板全体は黒く見えても文字は識別できるようになっている。

 標識は高速道路のナンバリングも特徴となっている。東名のナンバリングは「E1」で、新東名は「E1A」となる。海老名JCTで接続する圏央道は「C4」だ。標識にナンバリングを入れる理由は一般の利用者だけではなく訪日外国人にも分かりやすい道案内をするためのものだ。

反射標識の文字部分に小さい穴が開けられている。ドライバーから見て標識の後ろに太陽があるときでも、この穴から光が漏れることで文字を識別できる
厚木市と伊勢原市の境にはそれぞれの市のシンボルマークの看板がある。こちらは厚木市。厚木南IC~海老名南ICの海老名南IC行きの方角にある
こちらは伊勢原市。海老名南JCT~厚木南IC行きの方角にある。
中央分離帯には対向車のライトが眩しくならないような設備が備えられている。リフレクターなどは付かずこの状態が標準
上下線の間には落下防止のネットが張られる。下は国道246号
将来的に新東名はさら延長・拡幅されるので、分離帯なども暫定。これは丸型のジョイント部を持つ分離帯。つなぐところが丸いので道に曲線があってもそれに沿って配置しやすいというもの

 伊勢原JCTより西については、伊勢原大山ICまでの工事が進んでいて、すでに橋梁は掛かっている。伊勢原大山ICの形も見えてきている。それに一般道から伊勢原大山ICにアクセスするための県道603号が神奈川県により建設されている。

建設中の新東名 伊勢原大山IC料金所の完成イメージ。ここには道路保守の部署もできるとのことで敷地は広くなっている