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開通前の新東名 御殿場JCT~新御殿場ICと国道138号バイパスを走ってみた。富士・箱根・伊豆の観光ルート形成へ

2021年3月19日 公開

新東名高速道路(E1A)御殿場JCT~新御殿場IC間が4月10日にいよいよ開通。新御殿場ICを出ると目の前に雄大な富士山がお出迎え

 NEXCO中日本(中日本高速道路)と国土交通省 中部地方整備局 沼津河川国道事務所は3月19日、新東名高速道路(E1A)御殿場JCT(ジャンクション)~新御殿場IC(インターチェンジ)間、同時開通となる国道138号須走道路および御殿場バイパスの報道向け現場見学会を実施した。

 同区間は4月10日16時に開通する予定になっている。

新東名 御殿場JCT~新御殿場IC(報道公開)

新東名高速道路のあらまし

 新東名高速道路(第二東海自動車道横浜名古屋線)は、海老名南JCT~豊田東JCT間、約254kmを結ぶ自動車専用道路。

 2012年4月に御殿場JCT~三ヶ日JCT間が開通したのを皮切りに、全通を目指し着々と工事が進行している。2020年12月には、御殿場JCT~三ヶ日JCT間の6車線化および同区間で最高速度が120km/hへ引き上げられたのは記憶に新しいところ。

新東名高速道路の延伸状況

2012年4月: 御殿場JCT~三ヶ日JCT(約162km)
2016年2月: 浜松いなさJCT~豊田東JCT(約55km)
2018年1月: 海老名南JCT~厚木南IC(約2km)
2019年3月: 厚木南IC~伊勢原JCT(約4km)
2020年3月: 伊勢原JCT~伊勢原大山IC間(約2km)

 これまでに全線の8割程度が完成しており、残すは静岡県~神奈川県にまたがる50kmあまり。今回、御殿場JCT~新御殿場IC間(7.1km)が開通することで、全線開通へ向けてのカウントダウンが進むことになる。

今後の延伸予定

2021年度: 伊勢原大山IC~秦野IC(約13km)
2023年度: 秦野IC~新御殿場IC(約26km、※全線開通)

開通区間と今後の予定

 今回の開通区間は7.1kmで、橋梁高架部が5.7km、残る1.4kmは土工部となっている。用地買収6車線、速度は120km/hで設計されているが、4月10日時点では4車線、100km/hでの開通となる。

 高架部分のうち約2.7kmでは地形が平坦で交差物が少ないことから、橋脚に現場で製作したU桁を架設するUコンポ橋を採用。従来工法に比べ工期の短縮および省力化を実現。

 土工部では工事で発生した残土を利用するとともに、ICT技術を活用。ドローンを用いて3次元測量を実施したあと、GNSS(全球測位衛星システム)によりブルドーザーやローラーを効率的&高精度に運用することで、生産性を向上しているという。

新御殿場IC入口側は3レーン
新御殿場IC出口側は4レーン。天気がよければ背後に富士山が見える
入り口レーン
ETC以外は自動発券
左ハンドル車用も
レーン部分は負荷と滑り止めのためコンクリート舗装になる
ゲート横ではまだ工事が進められていた
本線と新御殿場ICをつなぐ連絡路。右のクルマが並んでいる車線が本線からの退出路で、左が本線への合流路になる
開通部は多くが高架橋。防護柵はメンテナンス性を考慮してガードレールではなくコンクリートブロックを使用している
土工部はICT技術を活用することで効率化を図っている
下り線の御殿場JCT

 また、設備面では勾配がキツい御殿場JCTランプ部にロードヒーティングを設置しているほか、霧の発生が多いことから照明を低位置化。加えて配光制御により路肩を強調した照明を可能とするなど、地域特性を加味した設備を備えることで、走行時の安全性を高めている。

 なお、東名および新東名ともに折り返しての利用はできない。つまり、東名高速 御殿場ICから御殿場JCTを経由して新御殿場ICへ向かうような走行はできないわけだ。逆も同様で東名高速 裾野ICから御殿場JCTを経由して新東名 長泉沼津ICに向かうことはできない構造になっている。

道路照明は低い位置に設置
霧発生時に路肩を強調する調光機能も備える
JCT部分などには通常の照明も用意
こちらもLED照明になる
中央分離帯には対向車のライトを遮るセパレーターを配置
路面には雨水を浸透する高機能舗装を採用
路肩には車線逸脱をドライバーに伝える仕組みを用意
写真では分かりづらいが中央部がへこんでいる
舗装後に専用機材で掘り込んでいる
上部をクリアの防音壁とすることで眺望を確保
富士山の眺めが素晴らしい
看板などの構造物は落下を防止するためのワイヤーが装備されている
御殿場JCT付近の防護柵。奥に見えているのは東名高速道路
途中には起点から50kmの表示
下り線の案内看板
新御殿場ICの出入口となる県道仁杉柴怒田(ひとすぎしばんた)線
県道仁杉柴怒田線と国道138号間も新たに整備され同日開通予定(写真左側)
新御殿場ICまでの通常通行料金
入口IC距離軽自動車等普通車中型車大型車特大車
裾野12.6km440円510円570円730円1100円
長泉沼津20.3km600円710円820円1070円1680円


国道138号須走道路および御殿場BP(バイパス)

御殿場バイパス~須走道路(報道公開)

 同路線は国道138号と平行するバイパス道路。須走道路が須走IC~水土野IC間3.8km、御殿場BPが水土野IC~御殿場市萩原間4.3kmで、ともに設計速度は80kmとなっている。

 国道138号は山梨県富士五湖地域と静岡県東部および神奈川県西部地域をつなぎ、生活や経済活動、富士箱根伊豆の広域観光を支える道路ながら、観光時期を中心に交差点での渋滞が慢性化している。

 そこで1979年(昭和54年)度から工事に着手しており、現在までに須走道路が須走IC~須走口南IC間1.1km、御殿場BPがぐみ沢IC~御殿場市萩原間約1.4kmが開通済み。

 今回、須走道路 須走口南IC~水土野IC間、御殿場BP 水土野IC~ぐみ沢IC間5.2kmが開通することにより、新東名 新御殿場ICはもとより、東名 御殿場ICからも同路線を経由することで、東富士五湖道路(E68)へとスムーズな移動が可能になる。

同日開通する国道138号須走道路および御殿場BP。写真中央あたりがぐみ沢ICになる
新御殿場ICからの連絡路と須走道路の結節点となる仁杉JCT
須走方面、御殿場方面のどちらにも向かうことができる
須走道路をまたぐ仁杉Eランプ橋
同橋から須走側の眺め
同橋から御殿場側の眺め
須走道路 水土野IC付近。設計は4車線だが現状は2車線。上り側(山梨方面行き)のみ登坂を考慮して片側2車線区間が設けられている
側壁やガードパイプは景観を重視したカラーを採用
ガードレールではなくガードパイプに。2段とすることで圧迫感も抑えている
擁壁は立ち上がりを斜めにカットすることでドライバーへの違和感を抑えるという
対面通行部分のガードもブラウンカラー
須走南IC。奥に向かうと東富士五湖道路につながる

開通効果

 新東名と国道138号線が開通することにより、静岡方面~山梨方面への移動が一般道を使わずに可能になる。

 これにより移動時間の短縮はもちろん、御殿場市街地の渋滞緩和も期待できる。また、災害などにより中央自動車道(E20)が通行止めになった際、信号が多い一般道を使わず迂回できることから、道路ネットワーク強化としての側面も期待されている。