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高知駅前観光、日本初の寝台バス公開。長距離旅も快適フルフラットシート「ソメイユプロフォン」を体験してきた!
高知~東京間のモニター運行を3月4日開始
2025年1月30日 22:45
- 2025年1月30日 公開
高知県内に本拠を置く高知駅前観光は、自社オリジナルのバス専用フルフラットシート「ソメイユプロフォン(Sommeil profond)」を開発し、高知市内本社で発表会を行なった。また、今後運行予定のバスの実車をメディアに公開した。
ソメイユプロフォンは、フランス語で「熟睡」を意味し、長距離の乗車でも夜はぐっすり熟睡できるようにとの想いを込めて名付けられた。座席は前後2席を合わせ1ユニットで構成されており、前後で並んて座るスタンダードな「SEATFORM」と、座席を上下に展開させフルフラットな「FLATFORM」へと手動で変形させることが可能。ただ、今のところ停車状態であっても運行中に変形させることはなく、車庫内で変形させることとするそうだ。運行開始時は基本的にフルフラットでの運行を考えているとのこと。
同社は現在4列シートで、高知〜東京(東京ディズニーリゾート)をスマイルライナーとして運行しているが、これと同じコースで追加する便のモニター運行を予定している。正式運行は2025年の秋ごろを予定しており、路線内容は検討中。
昨年発表された国土交通省のガイドラインに準拠しており、衝突時に頭や首を守る観点から座席は前向きに配置し、足元部分を転落防止プレートや衝撃吸収部材などで覆い、頭部と側面部分は保護部材を設置している。
車両が横転時に座席から放り出されないよう、腰を止める2点式のシートベルトも備えている。これは就寝時も装着するもの。フラットリクライニングによって完全に横向きになって就寝することができることと、安全性を確保していることが特徴だ。
車両保管基準に適合していて車検を取得済み、特許も取得済みとなっている。今回公開された車両には付いていないが、カーテンを使用することで隣との空間を遮断することも可能で、プライベートな空間を確保できるようになっている。
ユニットのサイズは、高さ172〜150cm、シート幅48cm。フルフラットにした状態では、長さが180cm、上段空間の高さが73〜51cm、下段は51cm。前方から後方に床がスラントしているため、前方の上段空間が広くなっている。大型バス1台に対して12ユニット(24席)が入るサイズとなっていて、ユニットを取り付けるバスの種類によってアレンジできる。要望があれば、他社への供給も行なう予定。
身長178cmの記者も実際に横になってみたが、入り込むのに少し苦労するが、寝転がってしまえば意外と快適だ。モニター乗車の時点では特に身長や体重の制限はかけていなかったが、高知駅前観光 代表取締役 社長 梅原章利氏によれば「モニター乗車を含め、今後の意見を受けて運用は見直していきます。これで完成とは考えておらず、みなさんとともに作りあげていきたい」という。
また、テスト走行では子供も問題なく、身長180cm以上でも足を折り曲げれば乗れたとのこと。「高速道路でのテスト走行では上下段ともに体験しましたが、乗る前に想像していたよりも振動もなく、スムーズな走行で驚きました。寝付いてしまえば快適な長距離移動ができるはずです」と、乗車した感想を教えてくれた。
発表会には社長の梅原氏が登壇し、ソメイユプロフォンの詳細について解説した。そのなかで、高知〜東京間のモニター運行を3月4日から開始すると発表。2月7日から予約を受け付け、モニター運行時の片道運賃を7300円に設定する。予約は「発車オーライネット」のネット予約からのみ。
「AIを活用したダイナミックプライシングを採用しているので、定額運賃にはならないのですが、正式運行時の運賃は、おおよそですが1万4000円程度になるのではないかと想定しています。現在おおよそ他社3列シートの運賃が1万円前後、これより数千円高めとイメージしています」とのことだ。
その後の座談会では、設計を担当したサーマル工房 代表取締役 谷村貴一氏と、製作を担当した垣内 代表取締役 社長 垣内大輔氏が加わり、開発と製作について経緯や苦労話を語った。
サーマル工房は地元でドローンなども製作する会社で、垣内は地元大手製造会社、関わる3社とも地元高知の企業が連携したプロジェクトであることから、「メイドインこうち」というワードを強調していた。