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タイ国政府観光庁 副総裁 チャッタン・クンチョーン ナ アユタヤー氏が語る、タイ観光の今

タイ国政府観光庁 副総裁 チャッタン・クンチョーン ナ アユタヤー氏

 日本から人気の観光地となっているタイ。日本からのタイへの出国者数は約160万人で年々伸び続けており、全体(1895万人)の約8%ほどを占めている。そのタイからタイ国政府観光庁 副総裁 チャッタン・クンチョーン ナ アユタヤー氏が来日し、現在のタイの観光について聞くことができたので、ここにお届けする。

 アユタヤー氏がタイ国政府観光庁で担当するのは、アジア南太平洋地域。このアジア南太平洋地域は、オーストラリアや中国を含み、東は中東の手前までの国になるという。この中でも、日本は中国や韓国などとならび大切な国で、前述したように約160万人の人々が訪れているという。

 観光においては、国と国との関係などが大きな影響を及ぼすことがあるが、タイと日本との関係は極めて良好。平穏な関係となっており、日本からタイへ行く人も増えているが、タイから日本へ向かう人も増えているという好ましい状況になっている。

 日本マーケットについては、さらなる伸びを期待しており、2019年は約180万人、2020年は約200万人を視野に入れる。タイはすでに人気の観光地であるため、その伸びに欠かせないのが、新規の旅行客、若者、女性など。また、目的をもって旅行をしてもらうことも必要とのこと。

 例えば、若者向けには「MY NEW THAILAND」キャンペーンで、タイの旅行プランのプレゼンテーションを行なってもらい、タイの魅力を知ってもらうとともに、タイ旅行をプレゼント。乃木坂46によるキャンペーンもそうした一環とのこと。

 そして、目的をという部分では、ネイティブなイングリッシュスピーカーの人と学べるような場所を用意し、短期間で英語力の向上を図れるプランも用意。短期集中型の英語学習ができるような配慮も行なっている。

 また、タイはさまざまな美味しいタイ料理が魅力でもあるのだが、タイ料理を食べるだけでなく、クッキングできるアクティビティを用意。タイ料理を作る体験と、タイ料理を食べる楽しみを同時に味わえるようなものもあるとのこと。

 タイ国政府観光庁としては、バンコクに集中しがちな観光を全国に分散し、リピーターに対しても新たな魅力を知ってもらうため、「12 Hidden Gems(タイ12の秘宝)」も行なっている。タイ12の秘宝は、タイの12の地域をプロモーションするもので、タイ国政府観光庁としてはその地域のインフラがパンクするようなオーバーツーリズムに配慮し、地域と一緒に行なっているとのことだ。

 日本からのタイ観光における問題はなにかアユタヤー氏に聞いてみると、それはインフラの問題にあるようだ。日本からタイに行くには航空機を使う必要があるが、これが現在タイのバンコクにあるスワンナプーム国際空港に集中しており、そこがボトルネックになっているとのこと。中国や韓国からはほかの地域の国際空港にも路線が張られているため、そうした問題は少なく、タイ国政府観光庁として日本からの航空路線の充実を図るのも仕事だという。

 そうしたボトルネックを解消しつつ、これまでは日本の大都市を中心に行なってきたタイの観光誘致を日本全国へ広げていきたいという。例としては山梨県や山形県の名前などが挙げられ、ちょっとしたアクセスで空港に行けるような場所を見据えているように思われた。

日本地域に関する施策はタイ国政府観光庁 東京事務所 所長 パッタラアノン・ナチェンマイ氏(左)とともに返答。ナチェンマイ氏が持つのは、「12 Hidden Gems(タイ12の秘宝)」のパンフレット