旅レポ
タイ料理の奥深い魅力を求めて東北部イサーン地方へ。マンゴツリーのレシピブックに掲載された名店を巡る
2019年3月8日 00:10
タイ国政府観光庁主催のツアーで、タイの東北部に行ってきました。実は今回の旅、タイ料理レストラン「マンゴツリー」とコラボしたちょっとめずらしいツアーなのです。
2002年に東京・丸の内にオープンして以来、多くの食通から支持される「マンゴツリー東京」は、本格タイ料理を楽しめるレストランとして知られ、日本におけるタイ料理の草分け的な存在の名店。そんなマンゴツリージャパン代表の小島由夫氏が2018年4月に「mango tree kitchen イサーン地方の伝統料理と人気メニュー32のレシピ」という本を出版しました。
タイ料理の奥深い魅力を求めて東北部イサーン地方へ
今回はそのレシピブックに掲載されているイサーン地方のレストランを訪れたり、料理教室があったりという“タイ料理を堪能しちゃいましょう♪”という食いしん坊にはたまらないツアーだったのです。
ということで、目指すは個人的にも初となるタイの東北部イサーン地方。東京からバンコクへは羽田・成田の両方から飛んでいますが、今回は成田から。タイ国際航空のTG641便で成田空港を朝出発し、バンコク・スワンナプーム国際空港を経由して、空路でウドーンターニー国際空港への移動でした。
国内線で使ったタイスマイル航空は、タイ国際航空を親会社とする航空会社で、一見「LCCかな?」と思われがちですが、20kgまでの受託手荷物が無料だったり、事前座席指定ができたりとLCCとは一線を画しています。1時間ほどのフライトでも簡単な機内食とドリンクが無料で提供され、小腹が空いていた時間帯だっただけにとってもありがたかったです。
初日の夕食は政府お墨付きのローカルレストランでイサーン料理を初体験
ウドーンターニー国際空港からバスで20分ほどで到着したレストラン「クルア クン ニット(Krua Khun Nid)」は、レシピブックによると“イサーン料理のコンテストで優勝したこともある名店”だそう。政府要人や各国の大使館御用達のレストランとのことですが、気取らずカジュアルな店内はローカル感も味わえるよい雰囲気でした。
機内食のサンドイッチも食べたちゃったからそれほど食欲はないなぁ~と思っていたのですが、それがどっこい大誤算。ココナッツ入りのトムヤンクン、グリーンカレーや腸詰め、ソムタムに豚のサラダラープなど、出てくるものすべての「辛さ」「酸っぱさ」「塩気」「甘さ」が絶妙! しかも油っこくなくヘルシーで、たっぷり使ったハーブやスパイスが胃袋も気持ちも元気にしてくれるのです。
そしてなによりデザートで出てきた私の大好物、カオニャオ・マムアンが絶品中の絶品で、人生史上ナンバーワンのカオニャオ・マムアンとして胸に刻まれたのでした。
1日目と2日目の宿泊は、ウドーンターニーの中心部にあるホテル「センタラホテル&コンベンションセンター ウドーンターニー」。会議場や宴会場、スパやプール、テニスコートなどを有する大型ホテルです。エレベータを降りて客室に向かう際のダイナミックな吹き抜け空間は壮観。お部屋もシンプルで広々、快適でした。
紅い睡蓮の花で埋めつくされるノンハーン湖へ
食べるだけではなくしっかり観光も組み込まれていた今回の旅。2日目はウドーンターニー市内から南東に43kmほどのところにある、ノンハーン湖へ。この湖は毎年12月~2月ごろになると一面紅い睡蓮の花が咲き乱れることで有名です。ただし見られるのは早朝のみ。お昼頃になると花が閉じてしまうため朝早くに向かわないといけません。
ホテルから1時間ちょっとで到着したノンハーン湖。大きな駐車場の近くには土産物の屋台が立ち並ぶ観光地らしい風景が広がっていました。ここでは通常チケットを買ってボートに乗り込みます。私たちはツアーだったので料金のことは気にしないで乗ってしまいましたが、プライス看板によると、1ボートが500バーツ(約1750円、1バーツ=約3.5円換算)。ボートには5~6人乗れるので一人当たりはとってもリーズナブルですわよね。
この場所を訪れるまでは、湖の岸から一面の睡蓮の花が見えるものだと勝手に想像していたのですがそうではなく、ボートでしばらく行かないと睡蓮スポットは現われません。遠くの水面のピンク色がだんだんと近付いてくるのをワクワクしながら眺めていました。
睡蓮の密集地では、ボートはエンジンを止めて停泊します。ここではボートの先端に座ってステキなポーズで記念写真するのが定番(たぶん)。手に届きそうなところに咲いている睡蓮の美しさは何枚シャッターを切っても足りないほどでした。ちなみに船頭さんに湖の深さを聞くと1m50cmほどとのこと。この時期だけの絶景を十分に堪能できました。
料理教室で激辛イサーン料理の真髄に触れる
湖をあとにして向かったのは、ウドーンターニー郊外にあるレストラン「チャババーン イサーン ビンテージ キッチン(Chabaa Barn E-san Vintage Kitchen)」。手入れされたお庭が美しいレストランで、この旅最初の料理教室です。
作るのはイサーン地方の代表的なサラダ「ソムタム」と、スパイシースープ「トムセップ」の2品。まずは熟していない青いパパイヤで作るソムタムから。食材と一緒に用意されていたのは大きな石臼と棒。多くのタイの家庭ではこのような素焼きの石臼が調理器具としてあるそうで、サークと呼ばれる棒で食材を叩いたり割ったりすりつぶしたりして料理するのだとか。ということで唐辛子やにんにくから投入してつぶしていきます。
今回やってみてソムタムのすべての食材やスパイスが石臼に入れられ、石の棒1つで調理されることにびっくり! つぶし方や叩き方で味が変わるらしく、先生は私たちが作ったものを試食して「塩をもう少し」とか「ライムが足りないわね」とか「もうちょっと砂糖を」とアドバイス。いろいろ味見してみたところ、やっぱり先生のが一番美味しいという結論に。う~ん、奥深いぞイサーン料理!
2品目は「トムセップ」と呼ばれるイサーン地方のピリ辛スープです。こちらもハーブやスパイスをふんだんに使ったイサーン地方の代表的な料理で、豚肉や軟骨などがたっぷりと入った“酸っぱ辛い”スープはやみつきになる美味しさです。
このトムセップもまた、調味料のちょっとした加減でそれぞれ微妙に異なる味と仕上がりに。同じように作っているはずなのに、なぜか先生の作ったものは辛さと酸っぱさとしょっぱさが絶妙なのです。ちなみにイサーン料理の特徴は砂糖をあまり使わないこと。発酵食材の文化も根付いていたり、昔からバッタや蟻の卵など昆虫をタンパク源としてとっていたりすることなども特徴なのだそうです。タイ国内の食文化の違いっておもしろいですわね~。
昆虫食が根付いているというお話を聞いたところで、早速そのあとのランチで1品出てきましたわ、それがアリの卵のサラダ! 「こ、この白いつぶつぶがアリさんの……」とちょっとだけ躊躇しましたが、思い切ってパクリ。辛い味付けがされているので口の中でつぶれたときのマイルドさとちょうどいい感じで中和した感じ。意外とフツーに食べられましたわ~。
国境の町をサイクリングしながら散策
料理教室のあとは、北へ60kmほど移動してメコン川をのぞむ国境の町に到着しました。ここで用意されていたのが自転車。途中で市場に立ち寄ったりしながらサイクリングで6kmほどの市内観光を楽しみました。
途中で立ち寄ったマーケットには、みずみずしい色とりどりの野菜やハーブ、いろいろな種類の麺、そしてニワトリのさまざまなパーツや食材としてのカエルなども売られていてとっても楽しい♪ この町に長期滞在して、活気ある楽しい市場に毎日お買い物に来たいな~なんて夢が広がります。
サイクリングの終点はメコン川沿いのおしゃれなカフェ&レストラン「Hat kham」。ここで対岸のラオスに沈む夕日を眺めながら優雅な夕食となりました。いただいたコース料理「Life On The Mekong River」では、カリッと揚げた魚のフライや香ばしく焼かれて特製ソースに絡めた鶏肉の手羽が美味しかったです。国境と接する町で、お隣の国に沈む夕日を眺めるという貴重な体験は忘れられない思い出です。
以上、初日の成田出発から2日目までをお伝えしました。イサーン料理のストレートな辛さに最初はびっくりしていた胃袋でしたが、2日目が終わるころにはやみつきに。すっかり“酸っぱ辛い”食事に慣れてしまったゆきぴゅーでした。次回はオーガニック農園でのBBQ体験や、村でのお菓子作り、ピマーイ遺跡観光などをお伝えします。お楽しみに!