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タイ国政府観光庁 東アジア局 局長インタビュー。「上質なタイの旅を楽しんでほしい」

2018年5月18日 実施

タイ国政府観光庁が「アメージング・タイランド・ラグジュアリー・ロードショー in 東京 2018」を開催。来日した東アジア局 局長へのインタビューを行なった

 タイ国政府観光庁は5月18日、都内ホテルで旅行業関係者向けに「アメージング・タイランド・ラグジュアリー・ロードショー in 東京 2018」を開催した。これは、タイ本国から各地のホテルやレストラン、料理教室、クルーズ会社、ゴルフ場などが来日し、日本国内の旅行代理店などと次々に商談会を行なうというもの。商談会の前にはタイの観光を取り巻く状況などの解説があり、来日した東アジア局 局長へのインタビューも実施した。

 開会のあいさつに立ったタイ国政府観光庁 東アジア局 局長のランチュアン・トーンルット氏は、日本とタイは修好条約を結んで昨年(2017年)で130周年を迎えており、その2017年は年間で154万人の日本人がタイを訪れたと説明。経済効果は前年比+10%の2200億円規模で、中国と韓国に続いて3番目の市場となっているという。また、2年間閉鎖していた福岡事務所を再び開設し、東京・大阪・福岡の3拠点で活動を行なっていくことを報告した。

 トーンルット氏は「より上質な旅を目指すお客さまにタイに来てほしいと考えている。今回もタイトルに“ラグジュアリー”を冠したロードショーということで、プレミアムな23社を日本に招いており、新しいパートナーとの出会いの機会になれば」と期待を述べた。

タイ国政府観光庁 東アジア局 局長 ランチュアン・トーンルット氏

 続いて、タイ国政府観光庁 東京事務所 マーケティングマネージャーの藤村喜章氏は、タイを訪れる日本人のプロファイルを解説。現在、男女構成比は7.5:2.5で、女性客が3割近くまで伸びてきているという。タイはリピーターが多いことを知られているが、タイを初めて訪れる人(ファーストビジター)は全体の2割くらい、自分で航空券や宿泊先を手配するFIT(Foreign Independent Tour:海外個人旅行)が8割くらいになっている。

 2018年の日本人渡航者の目標は165万人を掲げており、女性、学生、ファミリー、ウェディング、スポーツを強化ターゲットとする。今回はラグジュアリーをテーマに掲げているが、前述したなかでは「女性層やウェディングが合致するのではないか」と考えを示した。また、ファーストビジターを考えるときに学生は大きなマーケットであり、特に学生の旅行は、安さを求める旅行と目的を持った旅行の2通りがあるとして、「しっかり料金を払える層でもある」と述べた。

 藤村氏は「ラグジュアリー」という言葉が象徴するタイの観光素材には「5つのXが隠されている」として、
・eXclusive(ほかにない)
・eXceptional(特別で)
・eXpertise(専門的な)
・eXcelent eXperience(素晴らしい体験)
ができると説明。

 例として、タイ料理を食べるだけでなく、現地で料理教室に参加して「自らタイ料理を作る」という経験をしてほしいと述べ、藤村氏自身もバンコクの「シーロム・タイ・クッキング・スクール」で調理を体験してきたという。実際にマーケットで食材を知り、クッキングスタジオで講師とともに調理、自ら食べるという体験は「タイ料理の4.0と言えるのでは」と説明した。また、観光大使を務める乃木坂46のメンバーが調理体験をする映像も用意されていた。

乃木坂46 「こんなタイ、知らなかった。」クッキング篇
タイ国政府観光庁 東京事務所 マーケティングマネージャー 藤村喜章氏
日タイ間の渡航者数
2018年のターゲット層
引き続き観光大使を務める乃木坂46
学生旅やウェディングなどにも力を入れていく
ゴルフ旅はツアーサンプルを示した
タイの観光素材には「5つのX」があると説明
ミシュランガイド バンコク版が発表された
タイ料理を自ら調理する体験
記念日に非日常を演出するのにもタイは向いている
バンコクの新スポットなど
ロードショー会場の様子

タイ国政府観光庁 東アジア局 局長 ランチュアン・トーンルット氏インタビュー

 商談会の説明のあと、東アジア局 局長のランチュアン・トーンルット氏がインタビューに応じた。

――2017年に日本人154万人を誘客できた要因は?

トーンルット氏:長年タイが人気の渡航先として認知されている理由の1つに「タイらしさ」があり、それが非常に色濃く、独自性を持って伝えることができていると我々は考えています。日本のお客さまは歴史や文化など他国の背景に興味を持ちますが、タイはそれに応えられていると思います。具体的に言えば、タイ料理、タイのトロピカルフルーツ、工芸品、世界遺産、仏教遺産などの人気があります。

 もちろん優れた素材があっても、そこに住む人々と接して感激がなければ二度と訪れないと思います。その点、タイ人のもてなしの心がうまく伝わっているのでは。

 日本とタイの間で定期直行便で増便が続いているように、観光を取り巻く状況もよいと言えます。

――今回は「“ラグジュアリー”ロードショー」と題していますが、ラグジュアリーが目指すものは?

トーンルット氏:この「ラグジュアリー」は、単に贅沢をするとか、お金で買えるものを手に入れる、という意味ではありません。先ほどの説明に「5つのX」がありましたが、例えば「eXclusive(ほかにない)」ならテーラーメイド的な「私だけのツアーコース」を提案できますし、「eXpertise(専門的な)」という点では、タイで何かを学びたいというときに、元世界チャンピオンからムエタイを学んだり、有名なプロからゴルフのレッスンを受けたり、といったことが比較的容易にアレンジできます。

 つまり、ラグジュアリーとはお金持ちだけのものではなく、いままでとは違う非日常を体験できるということを示しているのです。「タイの5X」という素材は今までも存在していたものですが、今回はそのニーズに応えられるサプライヤーを選んで招いています。上質なタイの旅を楽しんでいただければと考えています。

質問に答えるトーンルット氏

――タイから見た日本市場は?

トーンルット氏:私は入所してから15年経ちますが、残念ながらどんどん下がっています。日本市場は成長していますが、それ以上にほかの国が伸びているからです。現在、人数ベースだと日本市場は第5位、収入ベースでは7位。2017年は中国から980万人がタイを訪れており、2018年は1000万人を超えるのではないかと考えられています。

 日本のお客さまの特徴ですが、タイの歴史、芸術、文化などに細やかな関心を持っています。また、安全さや清潔さを重視していることを我々は知っています。旅の前にしっかりと予習をして情報収集をする人が多いので、交通手段をはじめとした気の利いた情報を発信していく必要があると感じています。また、あまり語学が得意でない人が多いため、日本語での対応を充実させるべく準備しています。

 ところで、日本人は「旅先で日本人だらけ」という場所を好まないようので、本日、新しい場所をいくつか紹介したいと思います。まず北部は、チェンマイがメインデスティネーションとして有名でしたが、これからお勧めしたい街が3つあります。

 1つは最北の「チェンライ県」で、ミャンマーやラオスと国境を接しており、中国・雲南省から山岳民族が降りてきているところでもあります。お茶畑やコーヒー農園が広がっています。そして「ナーン県」は歴史のある古都で、コンパクトなので徒歩や自転車などで散策でき、治安も非常に安定しています。「プレー県」は藍染めが有名で、奄美や琉球の琉球藍と同じで、現地にステイして体験することができます。いずれもバンコクから直行便が飛んでいます。

 中部の「ロッブリー県」は、スコータイとアユタヤに挟まれてた、王都に対する副都として成長した場所で、アユタヤよりも(戦争で)破壊されていない同時代の遺跡が残っている街です。郊外には地平線いっぱいのヒマワリ畑があり、10月から2月の間楽しむことができます。

 ホアヒンのビーチは日本人に向いているのではないかと考えています。歴代王室のリゾートであり、中産階級や上流階級の別荘があるところです。それでいて通りではストリートフードを食べることができ、国際水準を満たしたゴルフ場もあります。

 最後に南部ですが、プーケットよりさらに南のクラビは環境によくないマリンスポーツが禁止されているなど、ナチュラルリゾートとして打ち出しているエリアです。5ツ星のリゾートが立ち並び、アンダマン海の美しい島をホッピングしてもらうこともできます。