ニュース

タイ国政府観光庁、2019年のタイ観光は「5G」にフォーカス。現地観光施設と日本の旅行業者など36社を集めた商談会

2019年5月17日 開催

タイ国政府観光庁が“ラグジュアリー”をテーマにした商談会を開催

 タイ国政府観光庁は5月17日、「アメージング・タイランド・ラグジュアリー・ロードショー in 東京 2019」を開催した。

 日本の旅行業者18社と、タイ現地のリゾート、ホテル、レストランなど18の事業者の代表を招いて行なわれた商談会で、「ラグジュアリー」がテーマ。2019年はタイを訪れる日本人観光客数180万人を目標に、日本の高所得者層をターゲットにした旅行商品の造成に向け、タイ国政府観光庁が情報を提供した。

日本の旅行業者とタイの事業者による商談。両国合わせて36社が集まった

タイ観光も2019年は「5G」へと移行!?

 商談会の冒頭では、来日したタイ国政府観光庁 マーケティング・コミュニケーション担当副総裁のタネース・ぺッスワン氏があいさつに立った。

 日本からタイへの観光客数が、2018年は史上最高となる約165万人を記録したことを受け、「タイの観光地としてのブランド化をより一層推し進め、ラグジュアリーと呼ばれるような高品質な観光商品を強化したい」とコメント。ガストロノミーの分野はもちろんのこと、文化、歴史、生活様式、健康などの観光素材についても“タイらしさ(タイネス)”をこれまで以上に提案できるようにしたいとした。

タイ国政府観光庁 マーケティング・コミュニケーション担当副総裁 タネース・ぺッスワン氏

 次に、タイ国政府観光庁 東京事務所 マーケティングマネージャーの藤村喜章氏が、“ラグジュアリー”なタイ旅行につながる課題提案や観光素材を紹介した。同氏によると、2019年は特に「First Visitor」(初めてタイを訪れる人)を重視し、前年の観光客数約165万人から180万人へと15万人増を目指す。それにあたり、2019年以降、次世代通信技術の5Gが世界各地で商用展開するのに掛けて、「Go High」「Go New Customers」「Go Local」「Go Low Season」「Go Digital」という「5つのG」をキーコンセプトに掲げた。

タイ国政府観光庁 東京事務所 マーケティングマネージャー 藤村喜章氏

「Go High」は高所得者層向けのラグジュアリーな旅のこと。「Go New Customers」にはFirst Visitorを増やすという意味があり、「Go Local」にはバンコク一極集中になっている現状から、タイ全土の77県を観光素材にしたいという狙いがある。「Go Low Season」は5月中旬からのローシーズンの盛り上げについて、「Go Digital」はSNSやWebサイトを積極活用したプロモーションについて、それぞれ有効な施策を検討していくものだとしている。

2019年のメインターゲット
タイ観光において2019年は「5G」をキーコンセプトに掲げる

 また、「eXclusive」「eXceptional」「eXpertise」「eXcellent」「eXperience」の「5X」も掲げ、これらの要素を組み合わせることで、今回のテーマである“ラグジュアリー”につなげるべきだとし、値段の高低にこだわるのではなく、「(ラグジュアリーを感じさせる)要素が大事」だと話した。

“ラグジュアリー”というテーマにおいては「5X」が重要だとした

 その要素として藤村氏が提示したのが、旅行の醍醐味である「非日常」を演出する素材。地域によってさまざまな個性がある宿泊施設がまず1つ。タイ料理だけでなく、さまざまな国のフードやそれらを組み合わせたフュージョン料理など、今や「世界の台所」となっている食で演出するのも有効だとした。

 さらに、ワイナリーの見学、写真を趣味にしている人に向けたアクティビティ、MotoGPやSUPER GTといったモータースポーツの観戦、バリエーション豊かなタイの花をテーマにしたツアーなども「非日常」の素材になりうるとした。

「非日常」を演出する宿泊施設や食文化
ゾウ、フォトスポット、モータースポーツ、クッキング体験も「非日常」につながる要素
フラワーマーケットが毎朝賑わっているタイの生花の文化を学ぶのも貴重な体験になる

 タイ南部は美しいビーチでの海水浴も魅力だが、ラグジュアリーという意味では、船を利用した島巡り、ビーチで1日中のんびりするような贅沢な時間の使い方、洋上ボートでの宿泊といったアクティビティも考えられるとし、あくまでも値段の高さではなく、「身の丈に合ったラグジュアリー感」を演出する内容にこだわってほしいと提案した。

マリンリゾートでは島巡りや洋上での宿泊も魅力
バンコクの新しいショッピングスポット「アイコンサイアム」や、絶景スポット「マハナコーン・スカイウォーク」も外せない
商談会に参加したタイのホテル、リゾート、レストランなどの一部

 商談会が行なわれるなかで、タイ国政府観光庁 東京事務所所長のパッタラアノン・ナチェンマイ氏がインタビューに応じた。同氏によると、日本市場については、例えば人の身なりを見ても高所得者かどうかがほかの国より分かりにくいという。そのため、ラグジュアリーな旅行を希望する高所得者層が「どこにいるのか」が、これまでははっきりしなかったものの、最近になってその存在がつかめるようになってきた、とのこと。

タイ国政府観光庁 東京事務所所長 パッタラアノン・ナチェンマイ氏

 今回のテーマであるラグジュアリーのターゲットについては、日本人観光客においては年収およそ700万円前後以上の男女。一度の旅行で20万円、あるいは30万円以上を支出する層と想定している。「宿泊施設1つとってみても、四つ星や五つ星のホテルはタイにも、ほかの国にもある」が、「タイネスな(タイらしさのある)ホテルや商品はタイにしかない」と述べ、ラグジュアリーで魅力的な素材がタイに豊富にあることを強調した。