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日本旅行業協会、「2018年度事業方針」と「ツーリズムEXPOジャパン2018 商談会」を説明
4月の定例会見
2018年4月12日 17:33
- 2018年4月12日 実施
JATA(日本旅行業協会)は4月12日、東京・霞が関の本部において定例会見を開いた。
理事・事務局長の越智良典氏は3月16日の理事会で決定した「2018年度事業方針」について、ツーリズムEXPOジャパン推進室の永由昌一氏は「ツーリズムEXPOジャパン2018」の業界日に行なわれる商談会について説明した。
JATAの「2018年度事業方針」
JATAは旅行業者1社ではできない「政策や制度への提言」「観光需要の喚起」「弁済制度などの消費者保護」「研修・資格制度など業界のプラットフォームづくり」を担うものであり、これらを柱にして事業方針を決めているという。
観光政策・制度への提言
インバウンドが増えるなか、海外OTA(Online Travel Agent)の進出も激しく、2020年度に向けたアウトバウンド2000万人、インバウンド4000万人、双方向交流計6000万人という目標に対し、バランスのとれた先進国型の観光立国実現に向けた提言を行なっていく。2019年1月7日から始まる国際観光旅客税の収入についても、ただ販促費に使われることがないよう、状況の変化をチャンスととらえ、取り組んでいきたいとした。
旅行業界での働き方改革・休み方改革については、有給休暇取得率の政府目標70%に向けて10ポイント改善することを目標とし、会長表彰制度を設けて推進。オリンピックイヤーの2020年に海の日と体育の日をそれぞれ開会式と閉会式に合わせることに異論はないが、これを契機にして日曜~月曜と連休にするハッピーマンデー制度を変える、休日を固定化するような動きには、業界として断固として反対していく姿勢を示した。
AIなどのテクノロジの導入については、チャットボットなど多くの予算を必要としないものもあり、テクノロジの導入で人手がかかるところに人を充て、生産性の向上を図り、競争力を高め、利益を高め、社員の働く環境・待遇を向上させていくという。
海外旅行者2000万人に向けた需要喚起
日本人の海外旅行を推進する「アウトバウンド促進協議会」は設立から2年目となり(関連記事「日本旅行業協会、『アウトバウンド促進協議会』を設立」)、企画プランナーのためのセミナー、方面別部会ごとに「ヨーロッパの美しい村20選」「ヨーロッパの美しい道・街道20選」といった共通テーマを設けた活動を行なうほか、地方でのイベントと連動した教養講座を開催し、地方での需要喚起を強化していく。協議会には政府観光局系の経験者が新たに入り、新しい目線での企画・提案ができるのではとのことだった。
また、旅行会社を通じた安心・安全の旅の価値を高めるために、「旅の安全の日」など旅行安全マネージメントの普及啓蒙に加え、有事の際の安否確認といった旅行安全情報などについて情報プラットフォームの構築に着手していくという。
国内旅行市場の活性化に向けた制度改革など
2016年に起きた軽井沢スキーバス転落事故のようなことを二度と起こさないための安心・安全への取り組みを継続しつつ、「貸切バスツアー適正取引推進委員会活動」という通報制度などを活用し、旅行会社とバス事業者間の適正取引を推進。「もう1泊もう1度」キャンペーンにより会員会社の宿泊旅行の取り扱いを増やし、国内旅行の需要喚起を図っていく。また、「JATAの道プロジェクト」などの東北復興支援を継続する。
訪日外国人旅行者の質量の拡大に向けて
「観光ビジョン実現プログラム2019」に向けて課題となっている「訪日外国人旅行消費額」や「地方部での外国人延べ宿泊者数」などの目標達成と、2021年以降の持続的な成長のために、観光庁に対して具体的な提案を行なっていく。
旅行サービス手配業の登録制度の創設、通訳案内士法の改正などが、JATAらの働きかけで実現してきたが(関連記事「日本旅行業協会、『通訳案内士法』『旅行業法』の一部改正について説明。制限の緩和/厳密化で地方の観光業を活性化」)、制度定着のための取り組みを行なう。
また民泊元年ということで、住宅宿泊事業法などシェアリングエコノミーへも対応し、JATAが事務局を務めるツアーオペレータ品質認証制度と合わせてインバウンドビジネスの質を充実させていく。
経営基盤強化・健全化、経営環境の整備
てるみくらぶ事件のような大型倒産の再発を防ぐため、これまでは旅行会社の経営の実態に踏み込めない形ではあったが、「海外ツアー取引適正化推進委員会」という通報制度をこの4月に設置している。ちなみにこの定例会見時点で通報はないという。また、業界独自の保証金制度であるボンド保証制度を業界内外に普及啓蒙し、「この制度に加入している旅行会社であれば安心」といった消費者にも見える形で旅行業界の信頼回復に努めていく。
また、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて世界の注目が日本に集まるなか、サイバーテロなどの脅威に備えるため観光庁が作成した「旅行業情報セキュリティガイドライン」をセミナーなどを通じて業界に普及していく。「うちの会社は小さいから狙われない」といった誤った認識を改め、「アリの一穴からの崩壊」がないよう取り組んでいくという。
優秀な人材獲得、育成
若い人材の採用については今は「採用氷河期」「売り手市場」になっており、人材確保や、就職してから「辞めないため」の研修制度といったサポートが重要としており、義務化された取扱管理者定期研修を業務に支障がないように円滑に実施し、エリアスペシャリストや新人研修などを通じて基礎知識の充実を図ってく。また、時代に応じたグローバル人材の育成に向けて国に対し予算の要望をしていくという。優秀な人材確保のために合同インターンシップや合同採用活動を継続・強化するとともに、新たに早稲田大学商学部では提携講座を開設し、優秀な人材の獲得に取り組んでいく。
また、若者が海外旅行・留学に行かない状況については、2015年の観光庁への提言からも訴えている。「海外に行って異文化に触れることで、初めて日本の文化に気付くことは日本の人材育成にとって重要なこと」であり、キャンペーンなどももちろん大切だが、観光庁や、さらに省庁を越えたレベルでの議論や取り組みの広がり、制度的なアプローチも必要だと述べた。
商いの場としてのツーリズムEXPOジャパンへ
「ツーリズムEXPOジャパン」を情報収集、ネットワーク、商談の場としての展示商談会として完成させ、旅行会社が「参加してよかった」と思えるビジネスにつながるものになるよう、そして日観振(日本観光振興協会)、JNTO(日本政府観光局)との共催により、海外、国内、訪日の相乗効果を最大化するイベントにしていきたいとのこと。また、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「スポーツツーリズム」を誰もがイメージできるような訴求を行なっていくとした。
「ツーリズムEXPOジャパン2018 商談会」を日本最大級の商談会に
9月20日から23日まで東京ビッグサイトで開催する旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2018」では、9月20日と21日を業界日としており、そこで「商談会」を実施する。「130の国と地域、国内47都道府県から観光・旅行関係者が一同に会する日本最大級の商談会」となり、2017年は678の企業・団体が商談会出展者として参加、6886件の商談が実施されたという。
2018年はこれまでカテゴリー分けしていた商談会を一本化し、「インバウンド・観光ビジネス総合展」の出展者も商談対象とし、さらに出展者同士の商談も可能としたため、幅広いビジネス分野の商談が可能になった。
また、登録システムを刷新し、商談会参加者の詳細なプロフィールや希望商談相手の属性登録が可能になり、事前のアポイント・マッチングの精度が高まり、効率的な商談が可能になったという。
「ツーリズムEXPOジャパン2018 商談会」概要
開催日時:2018年9月20日13時10分~18時10分、21日10時05分~18時
商談会バイヤー登録期間:2018年4月18日~8月中旬
出展者受付期間:2018年4月27日まで
アポイント申込期間:2018年7月下旬~8月下旬
会場:東京ビッグサイト 東展示場1~6ホール
Webサイト:「ツーリズムEXPOジャパン2018」出展のご案内