ニュース
日本旅行業協会、2021年以降の「ハッピーマンデー制度」継続を強く主張した「働き方改革など休暇制度を考える会議」
衆議院第一議員会館に340名が集結
2018年6月1日 13:13
- 2018年5月30日 開催
JATA(日本旅行業協会)、ANTA(全国旅行業協会)、日本ホテル協会、日本旅館協会、全日本シティホテル連盟、日本観光振興協会の6団体は5月29日、東京・永田町にある衆議院第一議員会館において、「働き方改革など休暇制度を考える会議」を開催した。
「海の日」などの祝日の一部を月曜日に移し、土・日曜と合わせて3連休化するハッピーマンデー制度の維持を要望することを目的としたもので、2017年4月にも実施し同制度の維持を決議している。
しかし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式における交通混雑緩和のため、「海の日」「山の日」「体育の日」を同年に限り開会式・閉会式に合わせて移動させるという検討が進んでおり、これに合わせて、「海の日」の意義を広く周知させるため2021年以降に7月20日を「海の日」として再固定化するという動きがあることを受け、それを阻止すべく観光業界関係者や国会議員など340名が集まり、同制度の維持を強くアピールした。
会議を共催する観光6団体を代表してマイクを持ったJATA会長の田川博己氏は、冒頭で「東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けてあらゆる努力を払う、という必要性については十分理解をしており、観光関係者としても開会式、閉会式のための祝日などについては大いに賛成するものである。しかしながら、翌年以降に海の日などを固定化する問題については別の問題と考えている」と主張。
続いて、「ハッピーマンデー制度は1988年に国民運動によって設立され、20年にわたって日本各地への旅行の機会として定着している」と話したうえで、ハッピーマンデー制度が国民の53.6%、特に若い世代の支持を得ていることや、「海の日」を含む3連休が経済や景気に大きな影響をもたらすことを説明。また地方創生や働き方改革の観点からもハッピーマンデー制度の重要性を説いた。
「ハッピーマンデー制度によってできた3連休は、それぞれ正月・ゴールデンウィーク・お盆以外の観光需要の分散化においてとても有意義」であるとし、「とりわけ『海の日』は長距離国内旅行の機会として大きな意味がある」と長距離旅行を象徴する飛行機や主要温泉地、テーマパーク、またインバウンド効果が及んでいない地方の観光地では、とても大きな需要効果が得られているという事実を説明した。
また日本人の休暇取得という点に目を向けると、政府は2020年までに有給取得率70%を目指すと掲げているものの、現在の日本の有給消化率は50%で、世界最低水準という現状がある。これについても田川氏は「(固定化によって)貴重な3連休を分断することは、休む機会をさらに奪うことになりかねない」と主張。それに加えて、「海の日」が固定化されることで起こる経済損失は、旅行消費額が1034億円、生産波及効果や経済影響は2086億円に達する試算があるとし「これは国内旅行に限定した数字。実質的には大きな数字になる」との考えを示した。
一方で、「海の日」の意義については「旅行業界でも忘れていない」と述べ、「海の日」にちなんだ旅行商品の開発や駅などへのポスターの掲出、イベントへの協力など「海の日」を周知するための取り組みを行ない、定着に努めていくとした。
最後に田川氏は、ハッピーマンデー制度維持への理解を嘆願しこの会議の主旨説明を終了した。
「観光関係の議員同士、携えてハッピーマンデーを守り抜く」
次に、国会議員を代表して衆議院議員 自民党幹事長代理、観光立国調査会会長の林幹雄氏があいさつし、観光業界の要望を聞いたうえで「観光関係の議員同士、携えてハッピーマンデーを守り抜く」との決意を新たにした。
観光は我が国の一大産業であり、これをきちんと位置付けて産業化しなければならないとしたうえで「国内産業、国内観光、国内旅行にもっと力を入れるべき」と主張。続けて「観光は誰でも携わることができる。あとは相違工夫、知恵を出してその地域の特色を大きく打ち出し、お客さまへPRすることが大切だと思っているが、休みがないとどこへも行けないので、ハッピーマンデーを存分に活用することが大事だろうと思っている」と考えを述べた。
また観光庁を代表して、観光庁 観光地域振興部 観光資源課長の蔵持京治氏も出席。蔵持氏は「旅行が促進されるということは、国民、観光産業界の皆さんにとってもウィンウィンの関係になるということで、政府としても素晴らしい取り組みと考えている」とコメント。観光産業界にとって重要な課題であると認識を示し、官民をあげて休み方改革に取り組んでいくとし、あいさつを終えた。
また「働き方改革など休暇制度を考える会議」では、観光産業界および地域を代表し関係者もあいさつを行なった。
初めに、全観トラベルネットワーク 代表取締役社長、ANTA 副会長の近藤幸二氏がマイクを持ち、「今や国民の生活に必要不可欠となっているハッピーマンデー制度が2020年東京オリンピック・パラリンピック以降も相続されますよう、ぜひとも国会議員の皆さまのご理解と、ご支援をたまわれますようお願い申し上げます」とあいさつ。
その後、会議に出席した日本ホテル協会会長 志村康洋氏、いわき湯本温泉 新つた 女将 若松佐代子氏、全日本シティホテル連盟 会長 清水 嗣能氏、JR東日本 常務取締役 日野正夫氏、ANA 執行役員マーケティング室副室長 高橋誠一氏、JAL 常務執行役員 二宮秀生氏と続いた。
最後には「働き方改革など休暇制度を考える会決議文(案)」が読み上げられ、会議は終了した。