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日本旅行業協会がツーリズムEXPOジャパン2018を総括。「東京開催の一つの完成形」

2019年の大阪開催に向けてさまざまな取り組みを開始

2018年10月4日 実施

JATAが9月21日~23日に開かれたツーリズムEXPOジャパン2018を総括

 JATA(日本旅行業協会)は10月4日、定例記者会見を実施し、9月21日~23日に東京ビッグサイトで実施した「ツーリズムEXPOジャパン2018」を総括した。

 ツーリズムEXPOジャパン2018の来場者数は20万7352人を記録し、前年から約1万5800人、108%増となった(関連記事「『ツーリズムEXPOジャパン2018』の来場者数は過去最高の20万7352人。2019年はインテックス大阪で10月開催」)。2017年に展示商談会スタイルを金曜日に取り入れたが、2018年はこれを木曜日と金曜日の2日間に拡充。木曜日にも展示商談会を行なうことで、1日目の来場者数が前年299%と約3倍に伸びた。

 一方で、一般展示の土曜日と日曜日はそれぞれ前年比99%、100%とほぼ同じ。2016年から2017年の推移でも土曜日は同106%、100%と3年連続でほぼ横ばいの傾向となっている。JATAの理事・事務局長の越智氏は「3日目、4日目の朝はすごく人が殺到したが、お土産などを目当ての人が多く、スタートダッシュはすごかったが落ち着くところに落ち着いた。一般日に関しては飽和点に達しているのではないか」との感想を述べた。

 事前登録者のうち旅行会社関係者が4741人(約38%)、オペレータや派遣、宿泊、交通団体、自治体などの観光関係者が2463人(約20%)。そのほかの42%は、情報・IT系が1181人(約9%)、マーケティングやコンサルティング関係が771人(約6.1%)、小売り・商社が725人(約5.7%)、製造業が477人(約3.8%)、不動産が253人(約2%)といった傾向で、越智氏は「近年取り組んできたことを反映している。相当な裾野の広がりができていることが事前登録で見えている」と評価した。

 また、特に2017年からの3年間はB to Bの強化・完成形を目指した取り組みや、「新しいツーリズムのカタチ」の見える化といった点に注力し、展示ブースで商談を行なう展示商談会スタイルの導入、観光大臣会合、総務省の「インバウンド・観光ビジネス総合展」や環境省の「国立公園満喫プロジェクト」をはじめ、文化庁、スポーツ庁、外務省など「省庁が新しいツーリズムのPRの場として認識していただいて、力を入れている」(越智氏)といった変化が見られている。

 こうした取り組みにより、(先述のような)来場者の変化も見られることから、2018年の企画展示では、「産業観光」「日本酒蔵」「DMO」「アドベンチャーツーリズム」「リゾートウェディング」など、テーマで切った企画展示も行なっている。

 越智氏は、JATA旅博の最終年の事業予算が約4億5000万円で、ツーリズムEXPO2018は約9億5000万円に達したことを紹介し、「ほぼ2倍の集客、営業効果のあるイベントに成長した。東京で開催する、JATA旅博、旅フェア、VJTM(VISIT JAPAN トラベル&MICEマート)の融合として一つの完成形になったと思う」と総括。「2021年には東京に戻ってくると思うが、これをベースに、後戻りしないように」と述べた。

 ツーリズムEXPOジャパン2018の個々の事例では、民間で開く会合として世界的にも最大規模となる12か国の参加があった第2回観光大臣会合や、国会議員や自治体首長による内覧の実施、「日韓共同緊急アピール」や「日本香港観光年発表セレモニー」などの発表の場にも使われたことなどに言及。

 災害対策の観点でも、被災した関空(関西国際空港)や新千歳空港の再開後の開催となったことで、「来場者は130か国以上。VJTMにも32か国から来ており、日本が大丈夫であると直接伝えられたのは非常に大きく、よいタイミングでメッセージを伝えられた。その面でもよい活用をしていただいた」と振り返った。

 一方で、オーストラリアやニュージーランド、シンガポール、ドイツといった観光地として人気のある国の観光局などから出展がないなどの課題にも触れた。もともとお祭り(B to C)ではなく、商談とネットワークをビジネスにつなげる(B to B)が本来の目的のイベントであり、特に海外ブースはその傾向が強かったことから、現在の展示商談会というスタイルに切り替えたという経緯がある。

 越智氏は「海外ブースはステージをうまく使って、作り物を(商談向けに)簡単にして、土日はステージでいろいろなプログラムをやっていただいたので寂しい感じがなかった。慣れていると思った」としたほか、「国内ではワンダフル セトウチ/DISCOVER WEST 連携協議会のブースが木金は完全に商談。土日はすべて体験コーナーに切り替え、食べたり、飲んだりするよう切り替えた。人手はかかるが、国内の一つのプロトタイプ」として、ほかの自治体の参考になるものと評価した。

 こうした展示商談会スタイルへの切り替えについて越智氏は「B to Bがしっかりしていなければ出展を見合わせるという国もあったなか、商談展示会への切り替えは背水の陣だった。それでも出展者数を維持できたのは評価いただいたと思っている」と分析。満足度の評価や、改善点の洗い出しを今後進めたいとした。

 一方、商談ではなく、一般来場者の声を聞きたいというB to C型を望む声もあるとのことで、「B to B、B to Cの二兎を追う形をこのまま継続したい。東京ビッグサイトのイベントでも両方をやっているところはなく、どちらかに収斂していっている。我々を二兎を追う成功例を作れるよう頑張っていく」との方向性を示した。

2019年の大阪開催はG20サミットとの相乗効果も

一般社団法人日本旅行業協会 理事・事務局長 越智良典氏

 2019年については、既報のとおり10月24日~27日にインテックス大阪で開催することが決まっている(関連記事「2019年の『ツーリズムEXPOジャパン』はインテックス大阪で開催」)。

 大阪での開催に向けては、地元の関係機関で構成する開催地連絡協議会、大阪観光局と連携を取っており、ツーリズムEXPOジャパン2018にも開催地連絡協議会のほとんどの委員が視察。10月に行なわれる委員会では、その視察を踏まえ「当事者としてアイディアを出していただけるのでは」と期待がかけられている。

 また、G20サミットの首脳会合が2019年6月に大阪で開かれることは周知されているとおりだが、これに関連して観光大臣会合が10月25日~26日に北海道倶知安町で開かれることが決定している。そこで、ツーリズムEXPOジャパン2019に参加後に、北海道へ向かってもらうプランで外務省とも連携を図っているという。G20への参加をきっかけにツーリズムEXPOジャパンにも参加、ツーリズムEXPOジャパンをきっかけにG20参加国からの観光大臣の来日といった相乗効果を期待しているという。

 出展者側からの大きな懸念材料として、旅行会社のキーパーソンが東京にいるために、有効な商談ができないのではないかとの課題が挙げられている。これについてはJATA側で旅行費用の一部を負担して東京から100名程度を大阪へ招待。東京開催時も関西や九州、北海道から同様の取り組みをしており、大阪開催時は「全体で200名ぐらい」の旅行会社の来阪を支援する計画。「会議室の提供などもしており、社内会議などと組み合わせた出張プランを各社に検討してもらえれば」とし、出展者側の不安の払拭に努める姿勢を示した。

 一方、「(2018年開催の事前登録者で)旅行会社は38%ぐらいなので、そこに頼っていてはダメで、幅広い業界の人に観光の接点を作ったプログラムを作る必要がある」と指摘。「大阪で初めてやるのはハラハラするが、大阪でしかできないことでワクワクさせる」という考えのもと、今後さまざまな取り組みを検討していく。

空港での車いす対応などを通じてユニバーサルツーリズムへの理解を深めるセミナー

一般社団法人日本旅行業協会 総務部 齋藤祐子氏

 JATAは、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、ユニバーサルサービスやバリアーフリーの機運が高まるなか、旅行業界における障害者差別解消法の理解と実践に向けた「ユニバーサルツーリズム推進セミナー」を10月から全国6か所で開催する。

 初回は10月30日に東京・羽田空港で開催。ANA(全日本空輸)が協力し、空港や機内で使用される車いすなどを紹介をしながら、航空機利用に際しての留意点や旅行会社に求められる対応ポイントについて理解を深めるプログラムになっている。

 その後は2018年内に札幌と福岡、2019年1月~2月に大阪、松山、那覇で順次開催する。

 説明にあたったJATA 総務部の齋藤祐子氏は「2016年4月に障害者差別解消法が施行され、JATAでは会員向けの相談窓口を設けている。基本的な考え方は理解しているが、個々の事例で対応に戸惑っている人が多い。多くの事例を紹介しながら理解を深めるプログラム」と紹介。高齢者や障害者の対応に活かしてもらえるような内容とする。