韓国・仁川国際空港と大韓航空は11月27日、日本の旅行業者と報道向けに第2ターミナルの内部を公開した。第2ターミナルは2018年1月18日の供用開始を予定しており、目下急ピッチで仕上げの工事が行なわれている。
仁川国際空港は1992年11月に開港。2002年から2008年に行なった拡張を経て現在は3本の滑走路を備え、2016年には国際旅客取り扱い数で世界第7位の5770万人を達成している。第2ターミナルは22億ドルを投じて建設を開始、地上5階地下2階、総面積は38万4000m2。第1ターミナルとはコンコースAと呼ばれる搭乗棟を挟んで向かい合っている。なお、第1ターミナルとコンコースAをつないでいる地下シャトル(IAT)は第2ターミナルまで延伸する。仁川国際空港はこの第2ターミナルの完成を「フェーズ3」としており、フェーズ4でさらなる拡張を施し、将来的に国際旅客1億人のキャパシティを目指すとしている。
空港内の案内と説明は、仁川国際空港 エアライン・マーケティング・チーム シニア・マネージャーの林勳氏が担当した。
3階出発ロビー
3階の出発ロビーへは高速道路が接続している。内部は非常に天井が高く造られ、波を打つ格子のようにデザインしてある。天井からは日光が格子を抜けて差し込み、側面は大きなガラス張りになっているので、やはり光が入る。こうした採光の工夫は各所に見られ、巨大な太陽光パネルなどの設置もあって、第1ターミナルに比べて40%の省エネルギーを実現しているという。
その3階には、同港をハブとする大韓航空をはじめ、デルタ航空やKLMオランダ航空、エールフランス航空などスカイチームのチェックインカウンターが並んでいる。チェックインカウンターの「島」は第1ターミナルの8つから6つへと減らした代わりに、その長さを1.5倍にした。こうすることで、利用者が歩く距離を短くしつつ、カウンターの処理能力を高めている。このあとも随所で「歩く距離の短縮」「時間短縮」という話を聞いたが、ハブ空港としての徹底した姿勢が伺える設計思想と言える。
入ってすぐの様子。波を打つ格子の天井が特徴。パネルで囲われているところはまだ作業中の区画だ 入ってすぐに下を見下ろしたところ。1階、2階の様子も分かる 大きなタッチパネル式案内ディスプレイ。日本語にも対応する ディスプレイ上の地図は3Dデータなので、タッチして好きなように向きを変えられる。説明しているのは仁川国際空港 エアライン・マーケティング・チーム シニア・マネージャー 林勳氏 日本語を表示したところ。まだ調整中。右下のバーコードリーダーを使うと、次に向かうべきところが分かる仕組み 自動チェックイン機。荷物を預けないなら座席指定や搭乗券の発行はセルフで済ませられる。こうした端末は第1ターミナルにも多数ある 第1ターミナルより1.5倍長くなったというチェックインカウンター 利用者自身が行なう荷物預け入れ機(セルフバッグドロップ) 3階の中央は吹き抜けになっており、下のフロアをのぞき込むことができる。階段状になっている部分は、催し物を行なうステージと座席 拡大しないと分からないが、遠くに見える「1」と「2」のサインが保安検査場の入り口 出国審査エリア。透明なゲートが用意されているのは第1ターミナルと同じ 成田や羽田、セントレア、関空などにもあるが、いわゆる自動化ゲート。ただし韓国旅券保有者向け 端末は10機ほど設置してあり、韓国旅券保有者はスムーズに出国手続きができ、対人のカウンターは外国旅券保有者に集中することができる 制限エリア(エアサイド)
保安検査と出国審査を経て制限エリア(エアサイド)へ。ブランド品の免税店などはまだ工事中だが、これは韓国の法律が変わり、テナントの選定に時間がかかったからとのこと。
制限エリアからは4階や5階へ進むことができ、フロアには有料のラウンジや有料の乗り継ぎホテル、休憩用ベッドゾーン、キッズエリア、デジタルジム、ライブラリなどを備える。
保安検査や出国審査を抜けた先。写真は250番ゲート前。グレーのパネルで囲んでいるのはブランドの免税店で、左上に見えるのは第1ターミナルにもあるMatinaラウンジ 待合スペースのシートには電源とUSB充電ポートが用意してある 先に進むと天井に大きな採光窓、複数の植樹があるスペースに出る。待ち合わせなどに最適 4階両翼には乗り継ぎ利用者のためにデジタルジム、ライブラリ、ラウンジなどを用意している 2階連絡通路
到着便から降機したら韓国に入国するか、乗り継ぎで次の便に向かうかで動線が分かれる。第2ターミナルでは乗り継ぎ関連の案内はすべて緑色に統一されているため、緑の表示を見ながら歩けばよい。動線の整理や自動端末の配備によって、第2ターミナル内での乗り継ぎは最短で20分台、長くても40分以内には完了するという。
降機後の連絡通路。このあと入国するか、乗り継ぎを行なうかで動線が分かれる 第2ターミナル内での乗り継ぎはここへ向かう。写真は230~270番ゲート方面 乗り継ぎの案内板。ちなみに、1桁~2桁のゲートが第1ターミナル、100番台はコンコースA、200番台は第2ターミナル。ここでも迷ったら右下のバーコードリーダーを使えばよい 中に入ると有人カウンターと自動チェックイン機がある。乗り継ぎの搭乗券が未発行ならここで手続きする 1~132番ゲート(第1ターミナルとコンコースA)への乗り継ぎは別の動線。ターミナル間シャトルなどで移動する 入国~1階到着ロビー
入国する場合は一般的なCIQ(税関、出入国審査、検疫)の施設を経て、バゲージクレーム(手荷物受取所)、出口へ向かう。
青は韓国旅券、赤は外国旅券のためのカウンターだが、前述の自動化ゲートを左手に設置するため、有人カウンターはほとんど赤表示になるだろう、とのこと 入国審査が終わったらバゲージクレームで荷物を受け取る 降りてきたエスカレータを振り返ったところ。荷物の排出口はレーンの中央付近に設けてあり、エスカレータ付近が混み合わないよう配慮している モップを装備した電動カート。第1ターミナルでも見かける ロビーには案内所などが用意される。先ほどのモップ付きカートを早速見かけた 地下1階へ降りると開けたスペースがあり、ここには韓国各地から名店を集めたという「韓国美食館」がオープンする 空港鉄道の改札やバスターミナルを備えた「交通センター」 パラダイスホテル&リゾートの客室「デラックスルーム」
仁川国際空港が所有する敷地内には、東アジアで初のIR(統合型リゾート)として「パラダイスシティ」が4月に開業している。五つ星ホテル「パラダイスホテル&リゾート」と外国人向けカジノ「パラダイスカジノ」を擁し、客室は711室。仁川国際空港とは無料のシャトルバスが15分おきに走っている。
その内部については関連記事「韓国・仁川に開業した北東アジア初の統合型リゾート『パラダイスシティ』の内部を紹介」で詳しくお伝えしているが、本稿では最も室数の多い「デラックスルーム」に1泊したので、その装備を詳しくお伝えしたい。
カードキーを使って入室、2枚のうち1枚をスロットに差し込むと室内灯が付く。右手に洗面所、トイレ、浴室。左手はクローゼット 洗面所。ベッドが1つの部屋でも2つの洗面台を装備している。右端に拡大鏡があり、コンタクトレンズの装着などに便利。中央の引き出しには歯ブラシなどが入っている トイレは温水洗浄便座。流すのも壁面リモコンのボタンで シャワーはヘッドが大きく、水圧も非常に強い(もちろん調節できる) バスタブもある。身長178cmの記者が足を伸ばして浸かれるくらいの広さ。寝そべるとはみ出す程度。バスタブにもシャワーがある ベッドを3方向から。正面に55インチのテレビ、窓際にソファ、テーブルと椅子 ベッド脇の照明制御ボタン。向かって左の時計がある方にはUSB充電ポートが2基ある 向かって右側はコンセント。日本のAタイプは(220V対応機器なら)そのまま挿し込める クローゼットにはバスローブ2着と空きハンガーが8本 クローゼット下にはスパイ映画に出てきそうなデザインの金庫 テーブルと椅子の横には「MEDIA HUB」と書かれたフタがある 開けるとコンセント、USB充電ポート、HDMI入力、有線LANポートがある。有線LANケーブルは部屋にないが、フロントに頼めば借りることができる ミニバーには水やソフトドリンク、ビールのほか、引き出しにはカップ、ドリップコーヒー類、スナック、湯沸かし器などがある。カードにも書かれているが、これらはすべて無料で、1日1回補充される