ニュース
韓国への渡航は「ビザの取得」と「出発48時間以内の陰性証明」が重要。最新の入国プロセスを解説
2022年7月16日 07:00
- 2022年7月12日 実施
大韓航空と仁川国際空港は7月12日、旅行業界関係者とメディアを対象とした合同セミナーを都内で開催した。新型コロナウイルスによる影響が以前よりは落ち着いてきたこともあり、さまざまな制限を課していた韓国においても昨今では平常を取り戻しつつある。今回のセミナーでは、現地の状況やソウルの仁川空港における検疫体制をはじめ、日本から入国する際の注意点や最新の運航状況について説明を行なった。
70人ほど集まった会場でははじめに大韓航空 東日本支店 支店長の妹島禎也氏が登壇し、コロナの感染拡大から2年半が経ち「現在においても完全に落ち着いたというわけではない」としつつも、韓国政府が行なってきた入国制限や水際対策の緩和を受け、仁川空港や大韓航空でも営業活動を再開させているという。
仁川空港では、防疫措置の一環として導入されていた夜間発着や1時間あたりの離着陸回数の制限を、当初予定していた時期よりも前倒して撤廃し、6月からは完全運用を開始した。大韓航空においても、6月29日から羽田~金浦(ソウル)線の運航を皮切りに、7月17日から新千歳(札幌)~仁川(ソウル)線を再開すると説明。8月には成田~釜山線の再開も予定している。ワールドワイドでは、アメリカとヨーロッパ路線を中心に増強し、9月をめどに「コロナ前の50%水準まで供給を回復していく予定」とした。
仁川空港の利用者数は順調に回復。年末までにはコロナ前の60%を見込む
仁川国際空港 航空マーケティングチーム長であるキム・ヨンイル氏によると、ここ最近の韓国は「6月に感染者数が過去最低を記録し、7月に入ってからもやや増加傾向ではあるが、安定的に管理されている状況」。ソウルでは漢江周辺に人が集まり、マスクなしでチゲやチキン、ビールなどを楽しみながら夏を過ごしている姿が見受けられるという。
仁川空港はコロナ禍において、一時は1日の利用客が平均4000人まで下がったこともあったが、6月末には平均5万人前後まで回復し、7月末には2019年度の37%程度まで回復すると見込んでいる。年末までには60%まで回復することを期待しているとし、「そのためにも日本路線がとても重要だと思います。日韓両国のビザ観光が再開されて、両国民が自由に行き来できることを心から願っています」と話した。
空港内に新型コロナの検査センターを設置。人気の乗り継ぎツアーは2023年度から再開予定
空港の利便性や乗り継ぎなどについては、仁川国際空港 航空マーケティングチーム 日本担当 課長のイム・スンユン氏が説明。ソウルの西に位置する仁川空港は、公共交通機関を利用して1時間ほどでアクセスできる国際空港だ。現在は4本の滑走路を運用しており、第1ターミナルはスターアライアンスやワンワールド、アシアナ航空が使用。コンコースは外国キャリアやLCCが、第2ターミナルは大韓航空やスカイチームのエアラインが使用している。
東アジアのハブ空港として成長を続ける同空港は、2019年度には7000万人が利用する世界5位の空港となった。コロナ禍では319万人まで旅客数が落ち込んだが、貨物輸送は332万トンと伸びを見せ、貨物取扱量は世界第2位を記録した。また、国際線の就航数は東アジアでもっとも多く、コロナ前の利用者は東南アジア、中国、日本からの旅客、現在は入国制限の影響によりアメリカ、東南アジア、ヨーロッパの順に多くの旅客が訪れている。日本からの旅客も回復傾向にあり、今後は伸長すると予想している。
また、空港に新しく設置した新型コロナの検査センターについて紹介。現在、第1ターミナルに2か所、第2ターミナルに1か所設置しており、こちらではPCR検査、抗体検査、抗原検査を受けることができる。検査料金は到着時のPCR検査は8万ウォン(約8410円)、出発時のPCR検査は12万4000~13万ウォン(1万3035~1万3666円)となっている。
検査は予約制で、同空港のWebサイトから申し込みできる。「PCR検査の結果が出るまでには4時間ほどの時間が必要」と記載されているが、早ければ1時間ほどで結果が出るとのこと。「日本からの出張者が増えていますが、こちらで検査を受けてからソウルに行く人も多い」という。このほか10月には、大人気のオンラインバトルゲーム「League of Legends」を開発したライアットゲームズとタイアップしたラウンジが、第1ターミナルの30番ゲートの近くにオープンを予定している。
乗り継ぎしやすく利便性も高い仁川空港。飛行機が到着すると2階の到着フロアに出るので、日本語も表記された緑色のサイネージに沿ってそのまま到着ゲートから到着ロビーに進み、保安検査場で検査を受け、3階の出発ロビーに進むというシンプルな構造になっている。
空港内にはシャワールーム(現在休止中)や休憩施設、トランジットホテル、カプセルホテルなども備わっており、種類豊富なショップと合わせ、待ち時間も快適に過ごせる。現在は一時休止となっているが、乗り継ぎの待ち時間を利用したツアーも2023年度には再開する予定。代わりに現在は韓国文化を体験できるコーナーが用意されており、チマチョゴリを身に着けての記念撮影、ハングルの読み書き、韓国の伝統遊びなどを体験することができるとのこと。
現在の入国時間について目安を聞かれると、イム・スンユン氏は自身が6月に東京出張から帰国した際に「飛行機が到着してからおおよそ30分程度で済んだ」と回答。検疫情報を事前に入力するアプリ「Q-code」の存在が大きく、こちらを提示すれば5分ほどで検疫を通過できたという。
大韓航空では今後も日韓路線の増便を予定
次に、大韓航空が今後の運航スケジュールなどについて説明した。先に紹介された7月17日からの新千歳~仁川線のほか、8月からは成田~仁川線がデイリー2便に増え、セントレア~仁川線が週4便となる。さらには福岡~仁川線も現行の木・日曜の週2便に火曜が追加され、週3便体制になる予定だ。
日韓路線以外では、現在のところ北米13都市、欧州6都市、豪州2都市、東南アジア15都市、北東アジア6都市に就航していることから仁川経由で多くの都市にアクセスできる。路線によっては同日に乗り継ぐことも可能であるいう。また、乗り継ぎ手続きについては、日本語や英語のほか、8言語のパンフレットが用意されており、今年からはPDF版のみだがインドネシア語とクメール語も追加された。仁川空港内のラウンジも一部再開されているとのこと。
韓国への入国はシンプルになったと具体的に説明
これまで韓国の入国に際しては必要な書類が多く、煩雑な手続きが渡航のネックであったが現在では改善され、パスポート/ビザ/陰性証明書(出発前48時間以内)/Q-codeに入力、この4つがあればOKであると話した。
ビザは、商用・就労/一般観光用の2種類があるが、観光用が6月1日から発給再開。申し込みが殺到しており、1日の申請件数が150件に制限されていることから、発給までは商用、観光ともに約2週間程度の時間を要するとのこと。申請は予約制となっており、申し込みをする際には航空券が必要となっている。
PCR検査の陰性証明書については、6歳以上は全員必須で、出発前の48時間以内に検査した結果が必要であり、証明書は英語か韓国語のみとなっている。検査を受ける指定期間は出発日の0時を基準としているので、7月12日の出発便であれば、7月10日の0時以降に受けた検査結果が必要になる。
Q-codeは、事前に各種情報を入力しておくことでQRコードが発行されるので、それを検疫手続きの際に提出することで手続きが簡略化される。QRコードは入力してから10分ほどで発行されるそうで、陰性証明や飛行機の座席位置なども入力する必要があるためチェックイン後に登録することになる。
飛行機に搭乗した際は、入国カード/税関申告書/健康状態質問書の3つの書類が配布されるが、Q-codeに入力することで健康状態質問書の提出は不要になる。入国後はワクチン接種の有無を問わず隔離義務は撤廃されているが、3日以内のPCR検査は必要となっている。
飛行機を降りてからの流れもコロナ前とさほど変わらない。検疫でQ-codeで発行したQRコードの提示が必要で「おおよその所要時間は40~50分ほどをみてもらいたい」としている。また入国後はPCR検査が必要となる。ソウルなどの指定医療機関で検査を受けてもよいが、仁川空港内の検査センターで受検するのが便利であるとのこと。受付時間によって結果を受け取れる時間が異なり、およそ4時間後までに判明するが、18時以降は翌日の8時以降になる。
検査結果はメールかSMSで通知される。日本へ帰国する際も出発前72時間以内の陰性証明が必要になることから、時間に余裕を持って再度検査を受けてもらい。また、各国の受け入れ状況は頻繁に変更されているので、最新の情報については大韓航空のWebサイトに設けられた「新型コロナウイルスアップデートセンター」をチェックしてほしい。
今後の計画では成田~仁川線にエアバス A380-800型機を導入
大韓航空では、コロナ禍においても貨物需要が好調に推移したことにより2020年度、2021年度ともに営業黒字を達成。今後も安定した需要を見込んでいるという。また、日韓路線においても成田~仁川線の運航を維持してきており、「今後も市場を見ながら安定した座席の供給に努めていく」と話した。
そしてサービスの拡充を図り、提携や統合を通じて企業規模の拡大を図っていくことも説明。具体的には、機内食の見直しを図り、新メニューの提供で利用客の満足度をアップさせる。機材面においては、羽田~金浦線に投入している機材をボーイング 737-900ER型機からエアバス A330-200型機に変更し、大型化することで座席数を大幅に拡充する。また、9月からは成田~仁川線にエアバス A380-800型機を導入し、旅客需要の増加に応えるとしている。デルタ航空とのJV事業にも力を入れ、羽田空港においては7月29日からラウンジ「デルタ スカイクラブ」の利用が可能になる。
2020年に買収を発表したアシアナ航空との統合については、現在は海外当局からの企業統合承認の申請中であり、トルコ、タイ、台湾、ベトナム、韓国ではすでに承認されており、アメリカ、EU、中国、日本においては承認待ちの状態であるとのこと。今後、各国で承認されたあとはアシアナ航空の株式を取得して子会社化し、2ブランドで運営を続ける。そして、2年後をめどに1ブランドに統一する予定であるとした。