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広々とした機内が快適な大韓航空のCS300(エアバス A220-300)型機に搭乗。セントレア~釜山線から日本路線に導入開始
2018年11月6日 12:52
- 2018年11月5日 日本路線就航
大韓航空は11月5日、セントレア(中部国際空港)~釜山・金海国際空港線でCS300(エアバス A220-300型機)の運航を開始した。セントレア発初便に搭乗し、その特徴などをお伝えする。
CS300型機はボンバルディアが開発した130席クラスの単通路機(ナローボディ機)で、現在は同事業を買収したエアバスにより、エアバス A220-300型機と名称が変更されている。ただ、大韓航空では、現時点ではWebサイトや空港の案内などでも導入時の「CS300」の名称を使っているので、本稿でもそれに合わせている。
大韓航空では2017年12月に初号機導入後、現在までに8機を保有し、2019年1月までにさらに2機を導入する予定。これに伴い、2019年1月までに日本~釜山を結ぶ4路線を本機による運航へ切り替えていく。
大韓航空のCS300型機導入開始日
セントレア~釜山線:2018年11月5日(KE754便/KE753便)
成田~釜山線:2018年12月5日(KE716/KE714便、KE715/KE713便)
福岡~釜山線:2019年1月5日(KE784/KE798便、KE783/KE797便)
新千歳(札幌)~釜山線:2019年1月5日(KE772便/KE771便)
大韓航空のCS300型機は、座席数が127席。これまでの同路線の主要機材であったボーイング 737-800型機にはビジネスクラスを装備していたが、CS300型機はビジネスクラスをなくして、シート仕様が同じでシートピッチのみが広い「エコノミープラス」を設定したのが大きな特徴となる。
シートピッチは、エコノミークラスが32インチ(約81.2cm)、エコノミープラスは36インチ(約91.4cm)となっている。座席数はエコノミークラスが102席、エコノミープラスが25席で、エコノミープラスが前方に配置される。
下記はセントレア~釜山線の運航ダイヤであるが、飛行時間はセントレア発便のKE754便が1時間40分、釜山発線のKE753便が1時間25分と、地理的に遠くない。シート仕様はエコノミークラスと同等ながら、ビジネスクラスより安価に提供できる上位クラスのシートというのは、短距離路線で運航される機体らしい仕様といえるかもしれない。
CS300運航のセントレア~釜山運航便
KE754便:セントレア(15時20分)発~釜山(17時00分)着、毎日運航
KE753便:釜山(12時55分)発~セントレア(14時20分)着、毎日運航
セントレア発便に搭乗。機内エンタメは自分のスマホで
さて、この大韓航空のCS300型機の日本路線就航初便となった11月5日のセントレア発便に搭乗したので、その機内の様子をお伝えしていきたい。
到着はほぼ定刻どおりで、22番スポットに入ったのは14時25分ごろ。セントレアの22番搭乗口は就航初便を大きくアピールすることもなく、普段と同じ様子となっていた。1点異なっているのは、機内エンタテイメントを楽しむための「beyond M」を告知するバナーが掲示されていたこと。これについては後述する。
機内に入ると、L1ドアのステップのところに「C Series」の文字があり、CS300型機に乗るということが一目で分かる。エアバス買収後、このサインがどうなるかは気になるところだ。
シートの配列は2-3の5アブレスト。先述のとおり前方にシートピッチの広いエコノミープラスがあり、壁があって後方にエコノミークラスが並ぶ。シート自体はエコノミープラスもエコノミークラスも同じなので、通路は一直線だ。
今回はエコノミープラスのシートは体験していないが、見た目でもシートピッチの違いは一目瞭然で、約10cmというのは相当大きい違いに感じられた。
シートそのものは同じエコノミークラスだが、こちらもかなり快適な部類といってよい。座面が19インチ(約48.3cm)と数字上も広めで、実際に座ってみても左右のゆとりがかなりある。シートの下もすっきりとしたデザインなので足も伸ばしやすく、エコノミークラスでもかなり快適だ。窓側も小型機でありながら垂直に近く、圧迫感が少ない。
オーバーヘッドコンパートメントは2列側、3列側ともに同じサイズで、単通路の小型機ながら大型機に近いスペースを持っている。オーバーヘッドコンパートメントに荷物を置く場合も、足下に置く場合も、どちらもスペースに余裕があるのはうれしい。
一方で気になったのは、上部の読書灯とエアコンの吹き出し口の位置だ。手元に操作パネルはなく、読書灯のライトの脇にスイッチがあるのだが、3列席の通路側に座った場合にはかなり遠い。袖丈86cmの服を着ている記者であるが、それでも通路側から読書灯を操作するには、腕を目一杯伸ばす必要があった。気に留めておきたいポイントだ。
シート周辺以外で面白かったのは後方2か所のラバトリーに窓があったこと。ビジネスクラスのラバトリーに窓を備える例は増えつつあるが、エコノミークラスでは珍しいように思う。ちょっとしたことではあるが、通路側席の人も機外の風景を楽しみやすいし、決して広くないラバトリーに開放感をもたらしてくれることもあって印象に残る。
各シートにはUSB電源を装備している。詳細な仕様は不明だが、手持ちのAndroidスマホでは急速充電の表示となったので、1.5A以上は流れている様子。短距離路線の機材であることを考えると、短時間でもしっかり充電できるのはありがたい。
また、大韓航空のCS300型機は、シートモニターを装備せずに、機内エンタメを搭乗者所有のスマートフォンやタブレットで楽しむための機内Wi-Fiを装備していることもあり、この点からもしっかりした仕様のUSB電源は必須といってもよい。
それが先述の「beyond M」だ。アプリは地上でダウンロードしておく必要があるので注意したい。そのことをチェックインカウンターや搭乗口で掲示しているほか、機内でも前方の上部シートポケットという目立つ場所にリーフレットを置いて案内している。
使い方は簡単で、機内モードに設定したスマホでWi-Fiだけを有効化し、「KAL Wi-Fi」というアクセスポイントへ接続。「beyond M」を起動するだけ。映画、TV番組、音楽、キッズ向けの電子書籍、おなじみのフライトマップなど、コンテンツは充実している。
日本の映画も入っているほか、海外映画も音声を日本語対応にしているコンテンツがあるので日本人にも楽しめる。なお、自分のスマホを使っているからといっても、コンテンツを楽しめるのは機上だけ。映画は2時間ほどあるので、1時間強のフライトですべてを見るのはフライトタイムの制約から難しく、復路で続きを見る覚悟が必要なのは路線の特性として残る。
フライトの残り時間は、画面左からスライドすることで表示されるメニューにも出ているので、ここと照らし合わせてコンテンツを選ぶのがよい。
フライトは、定刻より30分ほど遅れてスポットを離れ、その後も地上走行中に“技術的なチェック”のために待たされた結果、離陸したのは16時15分ごろとなった。
離陸して10分も経たずにシートベルトサインが消えると、さっそく機内食の配布が始まる。短距離路線でコールドミールにはなるが機内食があるのはうれしい。
内容はおにぎりと、あられなどが入ったスナック菓子のセットという“和風なランチボックス”といったもの。定刻で15時台のフライトであることを考えると、ちょうど“おやつタイム”という時間帯。スナック菓子だけでは物足りなく、かといって多過ぎもせず、軽くお腹を満たせるというボリューム感がちょうどよかった。
そのあとはCA(客室乗務員)が機内免税品販売のカートを持って往復するなど、1時間強のフライトだが慌ただしさはない。先述のとおり、エコノミークラスでもシートの広さや機内エンタメを楽しむ環境もあって、かなり快適だ。
そんなのんびりした雰囲気だが、フライトはあっという間。釜山に着くころはちょうど日が沈むころで、美しい夕焼けに包まれた釜山の街並みを眺めながら着陸。この風景を見ると、フライトが遅れてかえってよかったかも……と思ってしまう。
釜山は着陸から入国、市街への移動で1時間半ほどを見積もるとちょうどよいので、定刻の17時着だと19時前には市街地で動ける状態になるだろう。ディナーに向かうのにちょうどよい時間だ。そのような運航ダイヤであることを踏まえて旅程を組むとよいだろう。