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ピーチが就航5周年、次は北東アジアのリーディングLCCが目標

空飛ぶ電車で行く! 365の旅スタイルを発表

2017年3月1日 記者会見

Peach Aviation株式会社 代表取締役CEOの井上慎一氏とピーチのCA(客室乗務員)が手でピーチのマーク

 ピーチ(Peach Aviation)は3月1日、就航5周年を迎えた記者会見を行ない、「北東アジアのリーディングLCCを目指す」などの目標が語られたほか、“空飛ぶ電車”のコンセプトのもと、「ソウルで焼肉」など、安い運賃で気軽に行けることを象徴したような「日替わりSALE」の実施も発表された。

5年間のキセキ、関西の土壌が育んだ桃の花

 会見ではピーチ代表取締役CEOの井上慎一氏が、「5年間のキセキ、関西の土壌が育んだ桃の花」と題してこれまでの5年を振り返った。まず、最初にピーチは「関西の皆さまの土壌があって初めて花開いた、日本初の本格的LCC」とし「ほんま、おおきに!」と挨拶した。

Peach Aviation株式会社 代表取締役CEOの井上慎一氏

 2012年の初便運航の日のことは「当日の天気は晴れ」「札幌は雪がきつかったが、当日、ありがたいことに晴れ、無事就航した。はっきり覚えている」と話した、新規の航空会社が福岡と新千歳の2路線を同時に就航することに前例がなく、心配されたことについては「不可能を可能にしたいという熱意で同時就航できた」と社員を讃えた。

 これまでのピーチの実績では、関西国際空港において国内線、国際線ともに2016年9月末時点で、計画運航便数が最も多いことを紹介、既存の航空会社から顧客を奪うのではなく、潜在需要を開拓してきたことを強調した。また、ピーチがインバウンドを牽引するほか、ピーチが就航した街の活気が出ていることも指摘した。その身近な例として、関空の複合商業施設のエアロプラザを挙げ、「5年前はお昼ご飯をとるのに十分な空席があったが、今や関空で昼食をとるのは容易ではない、社員は5年前との比較で明確に認識している」と述べた。

史上最速の事業展開
潜在需要の開拓、既存エアラインと食い合いはなし
顧客も特徴的

 また、ピーチの搭乗客について「手頃な運賃で浮いたお金で贅沢をし、個人旅行が多いので、地元で直接消費する」と分析、これまでの例として、香港の富裕層の乗客が、F1日本グランプリを最上級の席で観戦したり、京都で筆や硯の有名店で一つ10万円ほどの硯を購入したりしたこと、また、11月にフォルクスワーゲン「ビートル」の特別仕様車を機内販売したが、5台が完売したことも紹介。「えっ、と思うほど高額な消費をしているのが、弊社のお客さまの特徴」とした。

 一方、ピーチの利用目的も「新しくて興味深い」と指摘、「思いつきで行かれるような方が多い」とし、安い運賃で買えたことが旅行のきっかけになったなどの例を紹介した。また、ヘビーユーザートップ5を紹介、なかでもトップの人は帰省目的で利用、「単身赴任のお父さんが週末に実家に帰れる。ピーチは家族愛を育むことに、多少なりとも貢献していることにうれしい限り」と述べた。そして、リピーターが多い点も特徴とした。

2020年に機材数を倍に、10年後は北東アジアのリーディングLCCに

 今後については、「2020年には機材数を倍にする」とし、「訪日外国人4000万人、関西のさらなる活性化、地方創生」に貢献したいとした。その一方で、「ピーチはこれからも関西の会社でありたい、関西魂は忘れない」と宣言。2011年5月の社名発表時に「peach」の文字の順番を入れ替えて最初に「cheap」と発表したことを振り返り「『チープとちゃうやろ。あらためて、ピーチです』と言ってみたところ、関西では大ウケ、関東ではどっちらけ。やっぱり、関西がいいなと思った最初の瞬間」とのエビソードを紹介した。

cheapとpeach
ピーチはピーチのまま
機内食にうなぎ味のナマズを提供するなど過去の取り組みを振り返る

 井上氏はまとめに「独自性を磨き、5周年はまだまだピーチの物語のはじまり。これまでの5年間、ベンチャーの章が終わり、これからはいよいよ、アドベンチャー、もっと行くぞという思いで、社員一同、独自性、個性に磨きをかける」と宣言した。

 記者からの質疑応答では、ANA傘下に入ったなかで独自性を維持するために必要な点として、「LCCのマーケットシェアは北東アジアであと3割伸びる。ヨーロッパのリーディングLCCであるライアンエアーとか、イージージェット、北米のサウスウエスト航空はまだ進出していない。(北東アジアのリーディングLCCに)ピーチがなっていくことが、ANAホールディングスの企業価値を高めることなので、その路線を果敢に攻めていく。それにつきる」と答えた。

 10年後について聞かれると「北東アジアのリーディングLCCになっていたいと思う」と即答した。具体的な数値目標は示さなかったもののその方法として「北東アジアの伸びしろがあるので、ファーストムーバーとして獲得していくということにつきる」と説明した。

次はいよいよアドベンチャーの章

空飛ぶ電車で行く! 365の旅スタイルを発表

Peach Aviation株式会社 マーケティングコミュニケーション部 中田理世氏

「空飛ぶ電車で、Peachする?」のキャッチフレーズのもと、3月の日替わりセールの発表を行なったのはマーケティングコミュニケーション部の中田理世氏。2011年夏のピーチの立ち上げ時に入社したという中田氏は「海外も気軽に旅に行ける時代になり、毎月、沖縄や札幌に……という夢を社員同士で語っていた」と振り返り、それが現在では、毎月、沖縄に通いつめているピーチの利用者がいることを挙げ、「就航して5年。これまででは考えられない旅のスタイルがお客さま自身から生まれている。旅の仕方だけでなく、価値観やライフスタイルが変わってきたと実感する」と話した。

 そして、ピーチの魅力は「単に価格が安いだけが魅力ではない。まるで電車のように乗り降りできるのがピーチの価値だと思っている」とし、ピーチだからこそできる旅として、「365の旅スタイル」を発表した。そのなかから厳選したものを3月中、日替わりで販売する。スタートとなる3月1日は555席限定の555円チケットで、旅のテーマに沿ったものは3月2日から展開する。なお、3月2日は「来週の女子会はソウルで焼肉。」をテーマに、各地からソウルへの便を安く提供、例えば羽田~仁川間は片道4555円(ハッピーピーチ)で提供中だ。

ピーチの利用スタイルの例
空飛ぶ電車で、Peachする?

気軽に行ける旅の変化をインスタグラマーの森暖奈さんが紹介

 続いて、これからピーチの旅を紹介していくというモデルで旅好きのインスタグラマーの森暖奈さん、CA(客室乗務員)の坂口優子氏、マーケティングコミュニケーション部の中田理世氏の3人でトークセッションを行なった。

トークセッション中の3人、左から森暖奈さん、CAの坂口優子氏、マーケティングコミュニケーション部の中田理世氏

 森さんは「休日は旅行に行くことが多くて、昔は旅行に行くと意気込んでいたが、今ではサクッと気軽にいけちゃう」と旅行スタイルの変化を紹介、今後、365の旅スタイルの一つ「〆は福岡で博多ラーメン」を来月、実際に体験する。「福岡にラーメンを食べにいくだけなんて、お金持ちの人の遊びだと思ってたのに、まさか自分がそんなことすると思ってなかった」と感想を語り、期待している様子。

 CAの坂口優子氏は、「昔は旅行に行こうと決めてから、行くまでに、費用とか考えることがたくさんあったが、今は、まったく身構えてないことに気づきました。スノーボードが趣味で、今は月に2回、思い立ったときに北海道へ行ってます!」と自らピーチをフル活用している様子。CAとして接した乗客も紹介、サーフィンやゴルフをしに、月に宮崎に2回行く人や、フラダンスを習いに沖縄に月1回通う人がいたという。

365の旅スタイルのボードの前でフォットセッション。左からCAの坂口優子氏、森暖奈さん、代表取締役CEOの井上慎一氏、マーケティングコミュニケーション部の中田理世氏