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レストラン「ひらまつ」がホテル事業説明会、「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島」開設1カ月後を説明
年内に熱海、箱根、2018年に沖縄と積極展開
2016年8月29日 00:00
- 2016年8月25日 開催
全国各地でレストラン、カフェ、ウェディング事業を手掛けるひらまつは8月25日、ホテル事業に関する説明会を東京・銀座にある同社のレストラン「ICONIC」で開催した。
高級レストランで知られるひらまつは、7月15日に三重県・賢島に高級リゾートホテル「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島」をオープンしているが、さらに10月27日には熱海に「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 熱海」を、12月27日には箱根仙石原に「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」を、そして2018年夏には沖縄県・宜野座にリゾートホテルをオープンする予定だ。
THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島
開業日:2016年7月15日
客室数:8室
所在地:三重県志摩市阿児町鵜方3618-52
TEL:0599-65-7001
Webサイト:THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島
説明会では代表取締役社長である陣内孝也氏が登壇し、今後のホテル事業に関する戦略について説明した。同社は1982年に東京・西麻布にフランス料理の「ひらまつ亭」を開店し、その後は“最高の料理”と“最高のサービス”をモットーとして現在では33店舗のレストランを経営。レストラン事業のほか、カフェやワインの輸入販売、ブライダルにケータリングと事業の幅を広げてきた。
「なぜ、ひらまつがホテル事業なのか?」、陣内氏は次のように説明する。「フランスの言葉で、郊外にある宿泊設備を備えたレストランのことを指す『オーベルジュ(Auberge)』というものがあります。私どもが得意とするフランス料理、イタリア料理を提供しつつ滞在していただければ、お客さまに最高のおもてなしをサービスできると考えました」。
ただし陣内氏によると、オーベルジュという言葉には「民宿」に近いニュアンスがあるという。ひらまつならではの付加価値をプラスした宿泊施設として、「オーベルジュ」ではなく「ラグジュアリーホテル」として展開、「心のこもったおもてなしで、滞在するレストランというのがコンセプトです」と語った。
ホテル事業については、現在は会長である創業者の平松博利氏が20年前より構想を練っていたもので、手始めとして奈良県が運営する「なら食と農の魅力創造国際大学校」(2016年4月開校・奈良県桜井市)に併設されている、「オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井」を県の指定管理者として2015年9月にスタート。そこで得たものやレストラン経営で培ったノウハウをもとに、人材の育成をはじめとした事業基盤の強化に注力していくとのことだ。その一環として、2017年には人材育成のための組織「ひらまつ総合研究所(仮)」を創設したいとしている。
事業目標については今後10年間で300億円規模の売り上げを目指し、ホテル事業300億円、レストラン事業200億円のバランスにするという。そして、「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島」をはじめとした20室程度のスモールラグジュアリーホテルを15~20軒展開してブランドを確立したあと、50室程度のリゾートホテルを展開、そして都市型ホテルの運営も目指したいとしている。
次にひらまつの取締役であり、2017年に開催されるフランス料理の世界大会「ボキューズ・ドール」の日本代表シェフでもある長谷川幸太郎氏が登壇、7月にオープンしている「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島」について次のように報告した。
オープンしてから1カ月が経過したが幸先のよいスタートを切れたようで、「第1号店であることと、世の中の反応はどうなのかというなかで、大変プレッシャーを感じていましたが、7月、8月に関してはほぼ満席状態です」とコメント。今後も週末や年末のオンシーズンも予約が埋まってきていることもあり、確かな手応えを感じているとのことだ。
ラグジュアリーホテルの先駆者である「星野リゾートとはどう違うのか?」といった問いかけがよくあるそうだが、メインターゲットとする富裕層の長期滞在者が一番に訴えてくる“飽き”といったものに対して「ひらまつ=お食事が美味しい」という最高級の食事サービスの提供により、差別化がきちんと図れると説明。地産地消はもちろん基本コンセプトとしてあり、賢島なら伊勢海老やアワビがメインではあるが、旬でない場合や禁漁時期には地のものにこだわり過ぎず、全国にレストランを展開する同社のネットワークを最大限に活かして伊勢海老なら徳島から仕入れるなど、絶対的なクオリティを保つよう心掛けているそうだ。
ターゲット層にはシニア世代も含まれているので、少量でも美味しいものをたくさん食べたいといったニーズに応えたり、2017年から同社は和食事業にも進出することから、フランス、イタリア料理に加え、和食を提供するといったサービスもあるそうだ。和食にも妥協はなく、米は京都などの有名料亭と同じ土鍋を使って炊き、ノドグロなどの高級魚の一夜干しを備長炭で焼き上げて提供できるので、よりお客さまのニーズに応えられるのではないかと話した。
説明会の終わりには、THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島で実際に提供されている「伊勢海老の炭火焼き 香味野菜のソース・ブールブラン」と「フォアグラのソテー 厚切りトマト 玉蜀黍(とうもろこし)のピューレ」が調理、展示された。説明会後のインタビューでは、陣内氏からは「家族や友人といった人たちとの大切な時間を、レストランだけの限られた時間だけでなく、丸一日ゆっくり過ごしていただけるよう、それに対して料理やサービスを最高級のものを提供していけるホテルにしていきたいと思っております」、長谷川氏からは「地産地消だけにこだわらず、日本全国から美味しいものを集めて、素材の味を活かしたお料理を堪能できるよう心掛けていきますので、ぜひとも楽しみにいらしてください」とのメッセージがあった。賢島で提供されるメニューの研究・開発には料理長の今村将人氏に加え、長谷川幸太郎氏、そして創業社長の平松博利氏も関わっているという。