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ひらまつ、「2021年に食べるべきスペシャリテ」5選

ひらまつ「2021年に食べるべきスペシャリテ」5選

 トラベル Watchの年始企画として、レストラン「ひらまつ」に聞いた「2021年に食べるべきスペシャリテ」5選を紹介する。

ひらまつ「2021年に食べるべきスペシャリテ」

1. V.G.E.トリュフスープ
2. 特選牛フィレ肉とフォアグラ・トリュフのパイ包み
3. 真鯛レモンヴィネガーソース
4. 仔鳩のファルシー
5. キャビアのカッペリーニ

1975年にエリゼ宮にてV.G.E.に捧げたトリュフのスープ

1975年にエリゼ宮にてV.G.E.に捧げたトリュフのスープ

 フランスのリヨン本店以外では、日本の東京と金沢の2店でしか食べることができない「1975年にエリゼ宮にてV.G.E.に捧げたトリュフのスープ」。

 1970年代、それまで進化のなかった古典的なフランス料理に「ヌーヴェル・キュイジーヌ」という革命をもたらした料理人ポール・ボキューズ氏。現代フランス料理の礎を築き、その発展に全精力を注いだフランス料理界の巨匠がひらいた、リヨン郊外にある本店「オーベルジュ・デユ=ポン=ド=コロンジュ」(通称:レストラン「ポール・ボキューズ」)は、1965年にミシュランの三ツ星を獲得して以来、50年以上その輝きを守り続けた、名実ともに世界最高峰のレストランだ。

 そのポール・ボキューズ氏の数あるスペシャリテのなかでも、最も有名な料理が「黒トリュフのスープ」。1975年にフランスの料理人として初めてレジオンドヌール勲章を受勲したポール・ボキューズ氏が、その際にエリゼ宮での晩餐会で、時の仏大統領・ヴァレリー・ジスカール・デスタン(V.G.E.)氏に振る舞ったのがこの料理となる。

 香ばしいパイを開けると広がる、フォアグラ、牛ホホ肉、トリュフを使った贅沢なスープの香り。この料理の最大のこだわりは「温度」であり、パイとスープが同時に仕上がるよう、素材の切り方やパイの厚みまで緻密に計算されている。400名以上が参列した晩餐会でも熱々のスープがサーブされ、参列者が驚き絶賛したという伝説のスペシャリテとなっている。

特選牛フィレ肉とフォアグラ・トリュフのパイ包み

特選牛フィレ肉とフォアグラ・トリュフのパイ包み

「特選牛フィレ肉とフォアグラ・トリュフのパイ包み」を提供しているのは、全国に3店舗ある「オーベルジュ・ド・リル」ブランドのレストラン。

「オーベルジュ・ド・リル」は、フランス・アルザス地方の小さな村に看板を掲げ、130年以上の歴史とともに育まれてきた「アルザスの伝説」ともいえるレストラン。2007年に海外初出店となる「オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ」が誕生するまで門外不出だった歴史的メニューの数々を、日本で食することができる。

 1967年からミシュランの星を半世紀以上守り続け、今なお世界中の美食家が愛して止まないグランメゾン。その地位を維持しながら、世代交代を成功させた料理界における希有なレストランだ。

 表面だけ軽く焼き旨味を閉じこめた牛フィレ肉に、鴨のフォアグラを重ね、パイ包みに。パイの下には牛レバーのペーストを塗ったキャベツが挟まれており、ソース・ペリグーと抜群の相性を発揮している。

52度でゆっくり柔らかく蒸し焼きにした真鯛 アスパラガスと旬の有機野菜 レモンヴィネガーソース

52度でゆっくり柔らかく蒸し焼きにした真鯛 アスパラガスと旬の有機野菜 レモンヴィネガーソース

 1998年に当時最年少で三つ星を獲得し、世界中の食通に注目された南仏・モンペリエにある「ル・ジャルダン・デ・サンス」は、双子のシェフ、ジャック・プルセル氏とローラン・プルセル氏が手掛けたレストラン。その海外1号店としてオープンたのが、東京・丸ビルの35階にあるフランス料理店「サンス・エ・サヴール」だ。

「プルセル・キュイジーヌ」と呼ばれる2人の料理スタイルは、「100年後のトラディショナル」をコンセプトに、独自の感性でフランス料理を再構築しており、ラングドック地方や地中海の温暖な気候の影響を受けた軽やかな味づくりが特徴となっている。

 この料理もそんな「ル・ジャルダン・デ・サンス」から受け継がれたスペシャリテで、プルセル兄弟の得意な技法、フルーツの甘みや酸味を塩味などの対照的な調味料とあわせることで、素材本来の旨味を引き立たせている。

仔鳩のファルシー

仔鳩のファルシー

 シャンパーニュ地方の老舗シャトー「ドメーヌ レ・クレイエール」の二つ星レストランの総料理長を務め、38歳で国家最優秀職人賞(M.O.F.)を受賞し、グランド・キュイジーヌの次世代を担う期待の星として、フランス国内外で注目されているグランシェフ・フィリップ・ミル氏の名を冠した、世界で唯一のレストラン。それが東京・六本木の東京ミッドタウン ガーデンテラスにある「フィリップ・ミル 東京」だ。

「仔鳩のファルシー」は、その「フィリップ・ミル 東京」で提供する、仔鳩胸肉のしっとりとした舌触りが感動的なスペシャリテ。円錐形の胸肉にゼブラ模様を描く白いラインは、根セロリのソース。胸肉の中には、ムースヴォライユ(鶏のムース)、フォワグラ、シャンピニオンが詰まっている。それらを詰めたあとに火をとおし、旨味をぎゅっと封印。仔鳩のフォンと煮詰めた赤ワイン、仕上げにさらにシャンパーニュを加えた赤ワインソースは、濃厚かつ甘みと酸味を感じ、シャンパーニュ地方のシェフならではの味わいとなっている。

キャビアのカッペリーニ

キャビアのカッペリーニ

 1997年6月、東京・代官山の旧山手通りに誕生した「リストランテASO」は、昭和初期に建てられたクラシックな洋館を舞台にした、ひらまつによるイタリア料理店。初代料理長である阿曽達治氏の系譜を継いだ一番弟子・高階琢氏が料理長として“ASO cucina”を開花させ、「リストランテASO」の信念である“やさしさ”を心に料理を提供している。

 通年で提供している「キャビアのカッペリーニ」は、「リストランテASO」の代表的な料理。極細麺で冷製だが、しっかりとアルデンテに仕上げ、パスタの約半量のキャヴィアを贅沢にのせ、味付けはシンプルに塩とオリーブオイルのみという、究極にキャビアの味わいを感じることができる一品だ。