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「ひらまつ」のホテル「THE HIRAMATSU 京都」内覧会。“京都をしつらえる”都市型ラグジュアリーホテル

ひらまつクオリティのイタリア料理と割烹を備える

2020年3月18日オープン

2020年3月16日内覧会実施

「THE HIRAMATSU 京都」が3月18日にオープンした

 レストラン、カフェ、ウエディング、ホテル事業を手掛けるひらまつは3月18日、都市型ラグジュアリーホテル「THE HIRAMATSU 京都(ざ・ひらまつきょうと)」を開業した。

 ひらまつは2016年にホテル事業をスタート。7月15日に三重県・賢島にリゾートホテル「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島」、10月27日に熱海に「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 熱海」、12月27日に箱根仙石原に「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」、2018年7月14日に沖縄県・宜野座に「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 宜野座」を開業しており、京都は5軒目の宿泊施設となる。

 京都の「はんなり(洗練されて上質で華やかな)」を表現するため、もともとここにあった建物を復元し同時に京町屋のディテールを活かしたというこのホテル。開業に先立つ3月16日の内覧会で、その“しつらえ”を取材した。

ホテルは5階建てのビルだが、格子でうまく隠されていて町屋の雰囲気を損なわない
ひらまつ「THE HIRAMATSU 京都(ざ・ひらまつきょうと)」概要

開業日: 2020年3月18日
所在地: 京都市中京区室町通三条上る役行者町361
アクセス: 京都駅からタクシーで約15分、京都市営地下鉄 烏丸御池駅から徒歩で約3分
建物: 5階建
設計・監修: 中村外二工務店(京都市北区)
客室数: 29室(54.8~104.4m 2 、全室ツイン・ジェットバス・シャワートイレ付き)
[スーペリア](54.8m 2 )3室
[デラックス](60.1m 2 )6室
[デラックスプレミア](72.1m 2 ~77.4m 2 )16室
[ジュニア スイート](87.0m 2 )3室
[ザ・ひらまつスイート](104.4m 2 )1室
料金:
[スーペリア]3万500円~7万500円
[デラックス]3万5500円~7万5500円
[デラックスプレミア]4万3000円~8万8000円
[ジュニア スイート]5万8000円~11万500円
[ザ・ひらまつスイート]7万9000円~15万5000円
※料金は1名あたり1泊室料、朝食付
付帯施設: 割烹 いずみ、イタリア料理 リストランテ ラ・ルーチェ(la Luce)、ラウンジ
Webサイト: THE HIRAMATSU 京都

THE HIRAMATSU 京都の地図
THE HIRAMATSU 京都の宿泊料金

「THE HIRAMATSU 京都」外観

 THE HIRAMATSU 京都は、京都市街地のほぼ中心、烏丸三条交差点付近の室町通ぞい(役行者町)に完成した。この土地はもともと呉服問屋を営む京町屋が建っており、その建物の裏手には庭や土蔵があったという。

 ホテルはもちろんRC造の近代的な建物だが、ここにあった町屋をいったん解体し、使用できる部材は再利用して構造を復元することで、そのディテールをうまく活かしている。京町屋の意匠を残しつつ現代のホテルの快適さを追求したこのしつらえは、名工「中村外二工務店」の監修による。実際にホテルの前を歩いていると、呉服屋らしい見事な「糸屋格子」で、うっかりしているとここがホテルであることに気づかないほど街並みに溶け込んでいた。かつては町娘たちがこの格子越しに色鮮やかな反物をのぞき込んでいたのだろうか。

外観は京町屋そのもの
ホテルであることを示す表示はこれのみ
通りに面した格子は「糸屋格子」と呼ばれるもの。かつてはこの内側(店内)に反物が並んでいたようだ
THE HIRAMATSU 京都の見取り図

「THE HIRAMATSU 京都」フロント・走り庭・土蔵

 エントランスを入るとフロント。ここは町屋の「表屋」と呼ばれる場所で、かつてはここに反物が並び、商いを行なっていた。天井の梁などはいったん解体し、使用に問題のない部材を再度組み合わせているが、ほぼ当時のものそのままだという。見上げると、柱に墨で所有者の名前や建築年月日が書かれた棟札がついていた。一度解体した際に発見し、見えやすいようにしたとのこと。壁は「聚楽塗」。床は、昔の土間を思わせる「三和土(たたき)」風に復元している。

フロント。宿泊者やレストラン利用者の受付を行なう場所で、宿泊者には奥のラウンジに案内し、そちらでゆっくりとチェックインを行なうという
フロントの天井には棟札が。この町屋は1872年(明治3年)5月17日に上棟したようだ

 フロントから建物の奥に続くのは「走り庭」。町屋建築の特徴の一つで、玄関から裏庭への通り道だ。ここはかつて台所としても使われており、かまどもあったという。間接照明によりモダンな空間に仕上がっているが、木材は当時の物で、床面には石を1つ、または2つ、または3つひとまとめに散りばめる「一二三石(ひふみいし)」をあしらっているなど、シンプルでだが京都らしい雅な世界を醸している。

フロントから奥に向かって「走り庭」が続く
かつて玄関から裏庭に続いていた道で、商店と住宅がひとつになった町屋建築の特徴の一つ

 走り庭の突き当りはドアになっていて、その奥はラウンジ「くら」。ここは1899年(明治32年)以前(正確な時期は不詳)に建てられた土蔵で、耐震補強などを施して内側の壁面には土壁風の漆喰仕上げをしているが、構造は当時のままだ。外装の扉、丁番、瓦など、一部は当時の物を使用しているそうだ。特に瓦は、今では製造していない「京大仏瓦」と呼ばれる貴重なものだという。

 このラウンジ「くら」の家具は清朝時代のもの。なぜ清朝時代なのかをスタッフにたずねると、この蔵が建てられた明治の初期から中期にかけて、市中で流行していたと思われるものを取り入れたとのこと。このあと気づいたが、清朝時代の家具はTHE HIRAMATSU 京都の廊下や宿泊室など、いたるところに置かれていた。京町屋の“はんなり”の一部として、見事に融合している。

 ラウンジ「くら」の前には竹林の庭を設けた。景石はもともとこの敷地にあったものを配していて、片隅にはアクセントとして白川石の井筒がある。「くら」の窓から見た竹林も、向かいのラウンジ、レストランから竹林越しの「くら」もそれぞれに違った風情を感じた。

「走り庭」の突き当りにラウンジ「くら」がある。表札は割烹の小泉料理長の手によるという
「くら」は土蔵そのもの。並んでいた2つの土蔵をつなぎ、広い空間とした
南側(写真左)と北側(写真右)の「くら」。清朝時代のものと、デンマークデザインの巨匠コーア・クリントの家具が日本の蔵と違和感なく共存している
「くら」の中は静かにジャズが流れる居心地のよい空間
早めにチェックインし、ゆったりとした時間を過ごすのも旅の楽しみ方の一つだ
京都に関する書籍もそろえられていた
「くら」と竹林の庭

「THE HIRAMATSU 京都」客室の特徴と部屋タイプ

 THE HIRAMATSU 京都 の宿泊フロアは2階から5階までで、全29室を用意。部屋は5タイプあり、全室ツイン、ジェットバス、シャワートイレ付き。広さは54.8m 2 ~104.4m 2 とゆったりとしたつくりだ。

 どの部屋も動線が工夫されている。まずどの部屋のドアを開いても、部屋の全貌は見えないようになっている。入って、曲がって、進んで、また次の部屋に入って、曲がって、進んでと、部屋の中の通路が長めで、角を曲がるたびにこの先がどうなっているのかワクワクするし、実際に見えてくる表情が異なっている。角を曲がって突然広い客室が見えたときの驚きも大きいように思う。総合監修を務めた中村外二工務店の中村義明氏はこれを「日本の平面構成」という。

 フロントや「くら」にもあった清朝時代の家具がどの部屋にも1つ以上置かれているが、これらは部屋ごとに色も形も大きさも異なり、純和風の町屋のような室内とのバランスも違和感ない。もう1つ各部屋にあるのが鉛の壁。文字通りのもので、時間の経過による“経年美化”に加え、スタッフによると気温や湿度の変化などで1日の中でも表情が変わるという。

 サロンスペースのある客室では、寝室との境に格子を使っている。プライベート感と解放感のバランスをとったものだそうで、日中は室内にもほどよく陽光を通し、また格子が作り出す影もどこか懐かしく美しい。

 また、ベッドの枕元の壁紙の貼り方、その紋様などもこだわりがある。さらに一部の部屋には陶芸家・辻村史朗氏私邸の庭を再現した箱庭が設置され、その造形も部屋により異なるそうだ。箱庭は吹き抜けの部分にあるので、天候によっても時間帯によっても様々に表情を変えるのだろう。

スーペリア

 THE HIRAMATSU 京都 の客室では最もコンパクトだが、それでも面積は54.8m 2 と余裕のあるつくり。くつろぎのスペースもあり、旅の疲れをしっかりと癒せる。

スーペリアのベッドルームの一例
スーペリアの一例。奥が洗面とバス、トイレ。手前にクローゼット
各部屋に置かれているアンティーク家具は、全て清朝時代の中国のもの。ホテルの場所にあった京町屋が建てられた明治時代に庶民の間で流行ったものだそう。もちろん各室異なる家具を置いている
全部屋に大型のテレビを設置。上下の板はスライドするようになっていて、テレビを隠してしまうこともできる
ベッドサイドの備品類
デスクも全室に設置。天板を持ち上げると小物入れになっている。奥の天板の下にはコンセント
洗面台、バス、トイレ。グレードの高い部屋では洗面台のシンクが2つ並んでいる
電気ポット、エスプレッソマシンも全室に設置。下段には冷蔵庫

デラックス

 広さ60.1m 2 の部屋で、小さな箱庭と、窓の上部にある波頭紋が美しい。波頭紋は特に日が暮れてからきれいに見えるとのことで、昼と夜で部屋の雰囲気をガラリと変えるアイテムともなっているようだ。

デラックスのベッドルームの一例
窓の上部には躍動感のある波頭紋。これは着物でよくみられる模様で、ここが呉服店だった時代をしのばせるものだ
バスルームの奥には箱庭。陶芸家・辻村史朗氏私邸の庭を再現したもので、その造形は部屋により異なる
アンティーク家具と鉛の壁。鉛は“経年美化”により、今後ホテルとともに風合いを増していく

デラックスプレミア

 面積は72.1m 2 ~77.4m 2 で、旅館の広縁のようなスペースがあり、ベッドルームとは格子で仕切られている。講師は純粋な木製ではなく一部に金属が使われており、それによって純和風ではなくアジアンなテイストに仕上がっている。

デラックスプレミアの室内。広縁のようなサロンスペースと格子で区切られている
デラックスプレミアのベッドルーム
格子は縦軸に木、横軸に金属を用いることで、純和風にならないモダンな雰囲気を醸成している
サロンスペースは部屋の床面より1段下がっている。これも京町屋の伝統で、中村義明氏の監修
時間や気候により変化する箱庭も楽しめる

ジュニアスイート

 ジュニアスイートは87.0m 2 と広く、廊下から客室内に入り奥に進むと、リビング、ダイニング、寝室、さらにバスルームと連続して部屋が現れる構造になっている。動線が長い分、部屋全体が広く感じるし、またそれぞれのエリアが仕切られていることから、別のエリアでそれぞれが自分だけの時間を過ごすこともできる。

ザ・ひらまつ スイートの玄関から中に入ると、まず鍋島段通が敷かれたサロンが目に飛び込んでくる
手前からサロン、ダイニング、ベッドルーム。バスルームはさらにその奥だ
ダイニングもベッドルームやサロンから独立しており、宿泊者それぞれが自分だけの時間を楽しめる
ジュニアスイートのベッドルーム
ダイニングの急須や湯飲み茶椀にもこだわり。部屋の雰囲気にもマッチしている
バスルーム全体もシックな色合いでまとめてある。洗面台にはシンクが2つある

ザ・ひらまつ スイート

 104.4m 2 を誇るスイートルームは1室のみ。広い空間に大型のベッドが2台あり、ソファの置かれたくつろぎの場所も余裕の広さ。この部屋にもアンティーク家具が置かれているほか、床には約300年の歴史がある上質の木綿糸で織られた、「鍋島段通」が敷かれ、花器も飾られており、まるで美術館のような佇まいだ。

ザ・ひらまつ スイートの玄関
アンティーク家具と鉛の板も、この部屋では美術品のようなしつらえだ
ベッドルーム。104.4m2のうち、ベッドルームと奥のサロンスペースで6割程度の面積を占める
サロンスペース
格子戸を閉めた様子。プライベート感と解放感のバランスをとって障子やふすまではなく格子になったそうだ

「THE HIRAMATSU 京都」レストラン

イタリア料理 リストランテ ラ・ルーチェ

イタリア料理 リストランテ ラ・ルーチェ
イタリア料理 リストランテ ラ・ルーチェ(la Luce)

ジャンル: イタリア料理
営業時間: 17時30分~ラストオーダー20時
席数: 28席
メニュー: 1万2000円コース、1万5000円コース(税・サービス料別)
※食事のみの外来利用可

 リストランテ ラ・ルーチェ(la Luce)に入って目につくのは、2階まで吹き抜けになった開放感のある天井の、見事で複雑な梁だ。これも当時のものを使用している。ダイニングの窓からは土蔵と竹林の庭が広がっているのが見える。テーブルは熱帯アフリカ原産のブビンカという木でできているそうだが、湿度に敏感で反りやすい性質があるとのことで、営業時間以外は空調に気を遣っていく必要があるという。なお、リストランテ ラ・ルーチェと後述の割烹 いずみは、宿泊者だけでなく外来の利用も可能(ディナータイム、コース料理のみ)とのこと。

天井が広く開放感があるリストランテ ラ・ルーチェ。ダイナミックに組まれた天井の梁にも注目したい
竹林の庭と「くら」の柔らかい光がと落ち着いた景色も楽しめる
テーブル中央にあるのは八寸
折敷の丸い部分は裏返すと雲流模様になる。料理にあわせて事前にセットするようだ

 リストランテ ラ・ルーチェ 料理長の筒井崇海氏は、もともとは町屋だったこの建物には、前庭や中庭があるなど、京都ならではの歴史や伝統が息づいているため、これを無視した料理は作れないと考えたという。「このレストランのしつらえに合わせて、ある程度『和』を感じていただけるものを提供していきたい」とのことから、会席料理の前菜を提供する「八寸」を取り入れ、イタリアンのアンティパストを提供している。このような創意工夫を積み重ねるためにも、「自身ももっと和の精神を学んでいく必要がある」と語る。

 また、「イタリアンなどの洋食は、料理ありきで食材をそろえていきますが、和食の場合は食材ありきで、それを活かした料理を作っていくところが違いますね」と述べており、素材に合わせて料理をアレンジしていくことが今後の課題のようだ。最後に筒井料理長は、「お客さまには、料理とともに、リストランテや食器などといったしつらえを楽しんでいただきたいと思います」と話した。

イタリア料理 リストランテ ラ・ルーチェ(la Luce)料理長 筒井崇海氏

割烹 いずみ

割烹 いずみ
割烹 いずみ

ジャンル: 割烹
営業時間: 17時30分~ラストオーダー20時
席数: 12席(カウンター8席、テーブル4席)
メニュー: 「料理長お任せコース」1万5000円~(税・サービス料別)
※食事のみの外来利用可

 カウンターに欅の一枚板を用いたのをはじめ、木、土、紙の上質な無垢の素材でしつらえた割烹 いずみ。カウンター席とテーブル席があり、いずれも目の前には坪庭が広がる。シンプルで飽きのこない庭を眺めながら、小泉壮登料理長渾身の料理が味わえる。

割烹「いずみ」エントランス。店内はカウンターとテーブル1つずつのみで、座席数12とコンパクト。「いずみ」の文字は小泉料理長によるもの
カウンターは、松林の坪庭の落ち着いた風情とともに食事がいただける
最大6名掛けのテーブル席は、仕切りにより個室感がある。庭からはほどよい光が差し込む

「旬の食材、その日入ったものを、温かい料理は温かく冷たい料理は冷たく、一番いい状態でリズムよく提供していきたいですね」、こう話す小泉料理長。カウンター8席、テーブル4名という店なので、「お客さまには目の前に広がる景色を見ながらリラックスして食事を楽しんでほしい」という。

 美しい庭の雰囲気を損なわないよう、カウンターテーブルには余計なものを置かず、なるべくシンプルに清潔に保つことを心がけたいという小泉料理長。「食材に合わせた美味しい調理を、その都度工夫してやっていきたいと思います。お客さまには、料理の一番いい状態を景色とともに味わっていただきたいですし、そんな料理のなかから、いつか当店の名物と言えるものが生まれればいいなと思っています」と述べた。

割烹 いずみ 料理長 小泉壮登氏

京都ならではの“凛としたくつろぎ”が感じられるホテル

 THE HIRAMATSU 京都 総支配人の岡本圭司氏に話を聞いた。ひらまつは2017年に京都にレストランと料亭をオープンしており、次はぜひ京都に都市型のホテルをと考えてきたという。

「“京都のなかの京都”である室町通りに建設が決まり、全体的な監修を中村さん(中村外二工務店)にお願いしました。やはり、数寄屋造りのプロですので、この土地に合った建物を造っていただきました。また、ここはもともと商売をされていたお宅だということで、それを継承する意味で(中略)、保存して、修景(周囲の町並みに調和させること)していきたいと考えました」と岡本氏。

 THE HIRAMATSU 京都 は、館内のいたるところに昔からの建物の構造を活かしたり、木や土を使用するなどパーツにこだわったり、アンティークの調度品を置いたりするとともに、道路に面した部分の全体を町屋の雰囲気で統一したりと、微に入り細に入り京都のしつらえとその精神にこだわっている。

 宿泊室についても、たとえば全29室のうち16室と主力となる「デラックスプレミア」には、陶芸家・辻村史朗氏私邸の庭を再現した箱庭を設置しているが、その造形が部屋ごとに異なるという。岡本氏は、「(箱庭はそれぞれに)、壺があったり苔があったり植栽があったりしますが、心を落ちつけて見ていただいて、京都ならではの緊張感もはらんだ凛としたくつろぎを感じていただきたいと思います。また、ホテルの前の室町通は古い道路ですので、歴史上の偉人たちもここを通ったことがあるかもしれません。こうした歴史のロマンも感じて、お楽しみいただければと思います」と話した。

THE HIRAMATSU 京都 総支配人 岡本圭司氏