旅レポ
天空のホテルを拠点に東部ジャワのブロモ山に行ってみた。圧巻の造形美、絶景のなかで朝食を
2025年8月17日 12:00
ガルーダ・インドネシア航空で行くジャワ島旅。最終回は東部にある人気の観光地、ブロモ山を紹介しよう。
ブロモ山は一帯が「ブロモ・テンゲル・スメル国立公園」になっており、雄大な景色を求めて国内はもとより、海外からも多くの旅行客が訪れる場所だ。今回はジョグジャカルタからブロモまでの道のりも含めてお伝えする。
田園地帯を駆け抜ける鉄道でスラバヤまで
ジョグジャカルタからブロモまでは、まずは鉄道でインドネシア第2の都市スラバヤに向かい、クルマで麓の都市・マランを経由して向かうという道のりだ。現状ではジョグジャカルタからスラバヤまでのフライトはなく、クルマか鉄道を利用するしかない。距離はおよそ320kmで、鉄道だと5時間ほどの旅だ。
「世界の車窓から」も好きな筆者としては鉄道旅もウェルカム。出発するジョグジャカルタの駅も乗車するまでいろいろと眺めてきた。今らしいなと思ったのは、有人のチケットカウンターのほか、ネットで予約したチケットを発券する機械が置かれており、ほとんどの人はそちらを利用していた点だ。
駅の構内はそこそこ広く、待ち合いスペースにはイスやベンチも数多く並んでいた。が、ここはエアコンなし(ところどころに大型ファンはある)なので、座っていてもじっとりと汗ばんでくる。暑さに慣れていない観光客には辛いだろうということでラウンジが設置されていた。この「ANGGREK」ラウンジには、飲み物やお菓子、トイレ、礼拝所などが用意されており、室内はもちろんエアコンが効いているので涼しい。飛行機のように乗車チケットのグレードで利用資格の有無が分かれているみたいだが、看板を見るとない場合でも追加料金を払えば利用できる感じだ。
座席のグレードはいくつかあるが、今回利用したのは観光車両のパノラマ車。このほか、もっと豪華な個室仕様の座席もあるらしい。そのパノラマ車は2-2の座席配置になっており、シートピッチもかなり広めで足元はゆったりとしている。車内は横一面がガラス張りになっており、天井にも窓が付いている開放的な仕様で、「ぜひとも車窓を楽しんでね!」という感じだ。
列車が走り出して市街地を抜けると、目に飛び込んできたのは田園風景だった。地図で見ると、東西に細長いジャワ島のところどころには山々があり、その合間に広がる平野部をスラバヤまで突っ走るといった感じだ。稲が実る田園風景は日本のそれと変わらないのだが、所々に生えている木がバナナだったりパパイヤだったりするのがインドネシアらしい。
それなりに乗車時間が長いので、道中は食事やお菓子なども提供された。ただし、食事に付いてきたサンバルが本気の辛さだったので、ほとんど使わなかった。サンバルの辛さの度合いは提供場所によって大きく変わるので要注意。まずは、箸の先などでちょろっと味見してからがオススメ。
そのあとは、車窓を眺め、うたた寝し、時折マップで現在地の確認などをしていたらスラバヤに到着。第2の都市というだけあって、かなりの都会だ。ちなみに、インドネシアでも配車アプリによるタクシーが人気で、スラバヤ駅を出たところにもGrabやGojekの専用ブースが設置してあった。
このあとは本日の目的地であるリゾートホテル「プラタラン ブロモ(Plataran Bromo)」に向けてすぐに出発した。クルマで高速道路を利用して、スラバヤからはおよそ3時間ほどの道のりだ。今回の同行者の一人がスラバヤの大学に留学していたこともあり、いろいろと話しを聞かせてもらったが、市内には巨大なショッピングモールが3つもあり、活気のある港湾都市として栄えているそうだ。地元グルメもたくさんあるとのことで、ゆっくり訪れてみたい街だ。
ブロモの観光に便利なプラタラン ブロモ
ブロモ山観光に便利なリゾートホテルが「プラタラン ブロモ(Plataran Bromo)」だ。ブロモ山の麓に広がる高原地帯にあり、ホテルは小高い丘(山?)の上にある。周囲は山肌に美しく開墾された畑が広がり、眺望は抜群! そして、高原地帯だからインドネシアのなかでも涼しいのが大きな特徴だ。Webサイトに「Above The Clouds」と書かれているように、雲の上、まさに天空のホテルだ。
絶景がすぐそばにあるバラエティ豊かな施設
敷地内にはホテルのほか、眺めのよいレストラン、スパ施設、展望デッキ、植物園、遊戯施設を備えたプレイランドなど、多種多様な設備を備えている。そして、オプショナルアクティビティもジープでブロモ山を周遊するといったプログラムのほか、周辺でのピクニック&朝食、乗馬体験、キャンプファイヤー&夕食、農業体験、ジャム作りなど、これまた多くの現地体験を提供している。
リゾートホテルらしい落ち着きのある客室
宿泊したのはプレミアスイート。66.7m2の広さにキングサイズのベッドを備えており、テラスに出ると素晴らしい眺望が楽しめる部屋だ。バスルームにはシャワーのほか、バスタブも備えており、日本人にはありがたい。水は環境を考慮したボトルタイプが置かれていた。木材が多く使われている部屋は落ち着きがあり、心身ともに安らぎを与えてくれる。
美味しい料理もプラタランの自慢の一つ
プラタランと言えば「美味しい食事」というのがボロブドゥールで刷り込まれた筆者にとっては、こちらのブロモもぜひとも紹介したい。
まずは、ランチをいただいた「テラス ブロモ」。こちらは敷地内の眺望のよい場所に設置されたレストランで、景色と美味しい料理をいただける場所だ。用意されていたのはミーゴレンやサテなどを含めたインドネシア料理で、期待どおりの美味しさだった。特にお気に入りは、レモングラスの茎を串にして挽肉を巻き付けた「サテ・リリット」。レモングラスのすうーっとした爽快感と各種スパイスを混ぜ込んだ挽肉の組み合わせがとてもクセになる味わいで、しっかりと記憶に刻まれた。
朝食はビュッフェスタイルで、インドネシア料理からホテルの洋食といったメニューを豊富に用意している。そして、晴れていればテラス席に出て食べるのが最高。空気もうまいし、料理もうまい。朝から絶好調な気分になれる。
こちらの朝食では、また新しいインドネシア料理に出会うことができた。その名は「ミークア」。ミーは麺で、クアは汁を指し、汁麺全般を指すようだ。見た目はあんまりなのだが、シェフがその場で作ってくれているのを見て興味をもったところ、これが大当たり! 鶏と野菜のダシがバッチリきまっていて、塩ベースのシンプルな味付け。でも、卵とフライドオニオンが味の奥深さを出しているというか、とにかくツボにはまる美味しさだった。
もちろん、インドネシア料理だけでなく、洋食なども素晴らしい料理がいただける。旨味が凝縮されたマッシュルームスープや焼き加減も絶妙だったテンダーロインステーキなど、秀逸な料理ばかりだ。そして、食事中にサプライズで用意してくれたのが東ジャワの伝統的な踊り「バロンガンダンス(Barongan Dance)」だ。守護と強さを象徴する、深い文化的、精神的な意味を持っているそうで、この地域に住む人たちが独自にアレンジを加えたとのこと。バリ島のバロンダンスのように獅子が雄大に舞う姿は神々しい感じがした。
圧倒的な大自然の造形美がそこにあるブロモ山
いよいよ今回の目的地であるブロモ山観光を紹介しよう。体験した内容としては、ジープで高台まで行き、そこから夜明けのブロモ山を眺め、カルデラ内を疾走し、草原で朝食をいただくというもの。ほぼ同じ内容のアクティビティが「テンガー・カルデラ・ワンダーズ」だ。
まだ暗闇のなか、ジープに乗り込み山道を登っていく。最初の目的地は展望台のある高台だが、近づくとほかのジープで大渋滞になっていた。高度もそこそこあるので気温は10℃以下になることもあるそうで、ここではインドネシアらしくなく、ほとんどの人がモコモコ状態。確かにかなり冷えていた。
展望台もかなりの混み具合で、そうとう人気のある観光地であることがうかがえる。うっすらと日が差し、雲が消えた先には、確かにすごい景色が広がっていた。カルデラのなかにはカヌレみたいなバトク山、噴煙を上げるブロモ山があり、そして背景には3676mあるスメル山がドーンと鎮座している姿は自然の造形の美しさと壮大さを肌で感じることができる。
上からブロモ山を眺めたあとは、荒野に降りてジープで進んだ。道などがあるわけではないので、なるほどジープの出番といったところだ。今回は訪れなかったが、ヒンドゥー教の寺院がブロモ山の麓にある。ブロモ山という名称は、ヒンドゥー教の創造神・ブラフマーに由来すると言われているそうだ。
お待ちかねの朝食は、荒野を抜けた先にある草原でいただくというものだ。実際に訪れると、本当に草原のなかにシートが敷いてあり、テーブルもキレイにセッティングされていた。スタッフも屋外で提供するのは手慣れているので(得意だと言っていた)、とても贅沢な気分で朝食を楽しめた。
マランからガルーダの国内線でジャカルタへ
帰路はマランにあるアブドゥル・ラフマン・サーレ空港からガルーダのGA291便でジャカルタまで移動し、GA874便で羽田へという行程だ。ジャカルタ~マランの路線は今年の3月7日から再開された路線で、現在は週3便(火・水・木曜)で運航している。マランはブロモ観光に便利な都市なので、路線の復活は大いに歓迎したい。
ジャカルタに到着したあと、帰路のGA874便までまだ時間があるが、渋滞を考えるとあまり市内には近づきたくないというときに便利なのが、大型ショッピングモール「スマレコン モール セルポン(Summarecon Mall Serpong)」だ。
ここならクルマで30分ほどで到着する。そして、ここのショッピングモールにはプラタランのレストラン「テラス スマレコン セルポン(Teras Summarecon Serpong)」があるので、インドネシア料理の食べ納めもできるわけだ。とはいえ、実は新宿にもプラタランのレストランがあることを教えてもらったので、舌が欲しているときはぜひともそちらにも行ってみたい。
帰路はGA874便で羽田まで
羽田までのGA874便は往路と同じでエアバス A330-300型機が多く使われているのだが、なんとも巡りあわせのよさというか、特別塗装のボーイング 777-300型機に乗ることができた。シンプルなレトロ塗装で、しかもインドネシア政府の飛行機としても使われることがあるというのだからビックリ。行きも帰りも特別塗装機だったのも何かの縁かもしれない。
今回のガルーダ・インドネシア航空で行く旅は、人気の観光地であるボロブドゥール寺院やブロモ山を訪れたわけだが、実際に行ってみるとその壮大さには圧倒された。また、インドネシアの文化の違いは島ごとによるものが大きいわけだが、同じジャワ島内でも東と西、中部とでは違うのも興味深かった。インドネシアらしいダイナミックな自然、多種多様な文化に興味を持った方はぜひとも訪れてもらいたい。時間はかかるが、それだけの価値があるのは間違いない。




















































































