旅レポ

中部ジャワのジョグジャカルタとボロブドゥールに行ってみた。ガルーダ・インドネシアで行くジャワ島の旅

ガルーダ・インドネシア航空で常夏の島・ジャワ島へ出発

 ガルーダ・インドネシアで行くジャワ島旅。今回は中部にある古都・ジョグジャカルタを紹介する。

 雄大なムラピ山(2911m)の麓にあり、古来より栄えていたエリアだ。今はジョグジャカルタ特別州となっており、代々統治している王族が知事となって治めているとのこと。また、歴史的遺産が数多く残ることから京都府と姉妹提携を結んでいたり、学術都市として学校も多い地域なので若者も多く、いろいろな店舗も多いらしいなどなど、とにかく興味深い街であることを教えてもらった。非常に楽しみ!

ガルーダの国内線でジョグジャカルタに向かう

ターミナル3の国内線エリアを探訪

 そのジョグジャカルタまでは、ガルーダ・インドネシア航空の国内線がデイリーで数多く飛んでいる。今回は昼前に出発するGA208便(11時30分ジャカルタ発~12時50分ジョグジャカルタ着)を利用した。

 今回もスカルノハッタ空港で利用したのはターミナル3で、国際線で到着した左側ではなく、国内線は右側のエリアになる。ターミナルの正面から入って、左は国際線、右は国内線と、シンプルで分かりやすい。空港内に続くゲートは1~5番まであり、国際線に近いのは1番、国内線に近いゲートは5番になる。

ターミナル3は国際線エリアと国内線エリアに分かれている
5番ゲートから入ってチェックインカウンターに向かう
ガルーダの国内線はFカウンター

 無事に保安検査も通過して搭乗まで時間があったので、国内線エリアを散策してみた。まずは、国内線の入口からすぐ近くにあるガルーダ・インドネシア航空のラウンジを見学させてもらえたので紹介しよう。

 落ち着きのある室内には一人掛け用ソファや二人掛け用ソファが数多く設置されており、ゆっくりとくつろげる。ホットミールをビュッフェスタイルで潤沢に提供しており、インドネシア版チャーハンの「ナシ ゴレン」や、鶏を使ったお粥「ブブル アヤム」、スパイシーなフライドチキン「アヤム ゴレン」などが楽しめる。

ガルーダ・インドネシア航空のラウンジ
ラウンジのエントランス
利用条件が書かれた看板
インドネシア料理も提供している

 ジャカルタから広大なインドネシアの各都市に向かう場所柄であるため、時計はWIB(西部標準時)、WITA(中部標準時)、WIT(東部標準時)の時刻を示すものが設置されており、改めて大きな国だなぁと思った。ちなみにジャワ島やスマトラ島はWIB、バリ島やスラウェシ島などはWITA、日本と時差のないWITはパプアなどが含まれる。

インドネシアで使われている3つの標準時

 ラウンジを見学したあと、搭乗時間まで1時間ほどあったのでターミナル3の端っこまで行ってみることにした。メイン通路ははるか遠くまで伸びているが、まぁなんとかなるだろうと歩いてみたら、戻ってくるまで30分近くかかった。それもそのはずで、“コ”の字形に近い形のターミナル3の長辺は1.46kmで、半分だとしても730mもある。そして曲がり角から先端にある28番ゲートまでは300m。分速80mで計算しても約13分はかかる距離だ。興味と時間がある方は歩いてみてください。

国内線エリアだけでもかなりの広さ
延々と続くメイン通路
もっとも遠い場所にある28番ゲート
歩いている途中でマスクデザインの特別塗装機(ボーイング 777-300型機)に出会えた

ジャワ島の景色を眺めながらジョグジャカルタ空港へ

 GA208便でジョグジャカルタまでは約1時間20分のフライト。窓側の席を用意してもらえたので、大都会のジャカルタから緑豊かな山々、インド洋沿いの美しい海岸線などを眺めることができた。短いフライトだったが、機内で軽食(パン、ミックスナッツ、ミネラルウォーター)を提供してもらえたのはうれしい限り。

ボーイング 737-800型機でジョグジャカルタに向かう
フライト時間が短いのでワンハンドで食べられるのはありがたい
あっという間に着陸態勢に移行

 到着したジョグジャカルタ空港は2019年に完成し、2020年より本格的に運営を始めただけあって建物などはかなり新しい。以前は市内にあったが、手狭になったので海沿いに移転したとのこと。建物はインドネシアらしいアートや造形が施されており、古都の玄関口としてふさわしい感じだ。

まだピカピカの新しいターミナル
インドネシアらしいアートで彩られている

ジョグジャカルタの中心街を散歩

 クルマに乗ること1時間30分ほどでジョグジャカルタの市内に到着。先にも紹介したとおり、市内には王宮があり、そこに続いているのがメイン通りの「マリオボロ通り」。お店なども集まっており、とてもにぎやかで人通りも多い。観光客向けの馬車も頻繁に行き交っており、カポカポと蹄を鳴らしながら目の前を通り過ぎていく。

メインストリートのマリオボロ通りはとてもにぎやか
いろいろなショップが軒を連ねている
いたるところで馬車に遭遇する

 ジョグジャ(ジョグジャカルタの通称)と言えば、バティック(ろうけつ染めの服飾製品)がとにかく有名だそうで、いたるところにバティックを扱ったショップがある。価格は500円以下の格安品から1万超えまでとさまざまで、リーズナブルな製品は図柄がプリントされたものが多いとのこと。本格的なものは裏地まで染まっているそうなので、袖口などをめくって確かめてみるといい。

こちらはリーズナブルなお店
こちらは高級店
本格的なバティックかどうかは裏地の染まり具合を確かめる

 翌日に郊外のバティックの工房を見学させてもらったが、専用の道具で溶かしたろうを生地に付着させていくという、とんでもなく緻密な作業には感心することしきりだった。

「TINGAL ART」というバティック工房
布地に下絵を描く
ろうを溶かして専用の道具でのせていく
ろうを乗せた布地

ボロブドゥール観光に便利なプラタランに泊まる

 ジョグジャカルタを見たあとは、目的地のボロブドゥール寺院に向けて出発。今回宿泊したのは「プラタラン ヘリテージ ボロブドゥール(Plataran Heritage Borobudur)」で、プラタラン インドネシア(Plataran Indonesia)が運営する高級ホテルだ。

 プラタランはインドネシア各地にリゾートホテルやレストランを展開しており、コモドやバリ島、次の目的地であるブロモ山近郊にもホテルがある。

立派な門構えのプラタラン ヘリテージ ボロブドゥール
木々を思わせるようなプラタランのロゴ
ストゥーパ(仏塔)がお出迎え

 プラタラン ヘリテージはボロブドゥール寺院から1kmほど離れた高台にあり、寺院観光のロケーションとしては最高だ。ちなみに同じ敷地内には「プラタラン ボロブドゥール リゾート&スパ(Plataran Borobudur Resort&Spa)」もある。ヘリテージはコンベンションセンターも備えた統合型ホテル、リゾート&スパの方はその名のとおりバカンス向けという違いがある。

ホテルの外観
敷地内には田畑もある
お馬さんもいた
何かの遺跡かと勘違いしそうなほど壮麗なコンベンションセンター
披露宴や会議もできる大型多目的ホール

リラックスできる落ち着きのある客室

 宿泊したの部屋はデラックス プレミアルームで、広い室内にはキングサイズのベッド(ツインタイプもあり)、寝転ぶことができるソファ、デスクが設置されていた。インテリアは草花をモチーフにしたデザインで落ち着きがあり、自然を大切にしているコンセプトが伝わってくる。コンセントはインドネシア標準のCタイプなので、変換プラグは忘れずに。

45㎡あるデラックス プレミアルーム
カーテンを開けると、青い空に緑の山々、そして南国らしいヤシの木に癒される

ディナーでインドネシアらしさを体験する

 ディナーはリゾート&スパにあるダイニング「パティオ コロニアル ホール(Patio Colonial Hall)」でいただいた。こちらのレストランでは、インドネシアの伝統的な料理から各国の料理まで幅広く提供している。今回サーブされたのはインドネシアの伝統料理で、ガドガドやテンペ、サテ・カンビン(ヤギの串焼き)など、バリ島でもヘビロテで食べていた懐かしく感じるメニュー。もちろん、ワイルドな屋台とは違い、洗練されたシェフが腕を振るっているので上品な味わいだ。

「パティオ コロニアル ホール」
ガドガドとテンペ。ピーナッツソースがクセになる味わい
サテ・カンビン。少し繊維っぽい独特な肉質でなかなか旨い

 夢中で食べていたら、そのうちガムランの音楽とともに舞踊が始まった。この辺りがインドネシア的な魅力であり、隣のオーストラリア人らしい家族も興味深く鑑賞していた。そして数分後、今度はテラスでファイヤーダンスが始まった。実はこのとき、外は結構な雨が降っていたのだが、そこはプロフェッショナル。にこやかに妙技を披露していた。

女性がインドネシア舞踊を披露
降りしきる雨のなか、テラスではファイヤーダンスを披露

世界最大級のうたい文句はダテではないボロブドゥール

 そして待ちに待ったボロブドゥール寺院へ向かう。ボロブドゥールは世界文化遺産として登録されていることもあり、1日の入場人員は1200人まで、さらに遺跡内は1時間150人までと制限がある点は要注意。近づくとその大きさに誰もが圧倒されることだろう。思っていた以上に「デカイ!」というのが偽らざる感想だ。

とにかく大きいボロブドゥール寺院。世界最大級とうたっているのにも納得
時間当たりの人数制限もあるので開門前はかなり混雑する

 精密なレリーフや彫刻、仏像などなど、見どころはそこかしこにあり、仏教の三界(欲界・色界・無色界)を表現した建物は下から上へと登っていくたびに視界も変わってくる。ストゥーパが立ち並ぶ無色界は悟りの境地を表わしており、そこから見える景色に感動を覚えることだろう。

手すりがあるとはいえ、階段はかなり急なので足元に気を付けて登る
ストゥーパが並ぶ無色界へ
ストゥーパも中心に近くなると紋様が不安定な菱形からより安定した四角に変わる
このときだけ心が洗われた気がします

ホテルが経営する高台のレジャー施設で絶景とともに朝食をいただく

 翌朝はホテルのオプションアクティビティにも掲示されていた「マジェスティック サンライズ ブレックファースト」に参加した。この特別な朝食は、ホテルがある場所よりもさらに高台にある複合施設「プラタラン シャイエンドラ(Plataran Shailendra)」内のレストラン「エナム ランギット(Enam Langit)」でいただくものだ。

急坂を上った先にあるテラスやレストラン、プールなどを備えた「プラタラン シャイエンドラ」
天空という言葉が合いそうなテラス席

 名前からしてすごい朝焼けが見れる感じだが、当日はあいにくの空模様で雲のなか。そう、標高400m以上にあるので、本当に雲のなかのようだった。それでも参加メンバーの日頃の行ないのおかげか、うっすらと陽光も射して壮大なムラピ山の姿が現われたときは、誰もが無心にシャッターを切っていた。自分ではない誰か、ありがとう!

うっすらと姿を現わしたムラピ山
現在も元気に活動を続ける活火山なので、頂上付近に噴煙が見える
望遠レンズやテレスコープがあればボロブドゥール寺院も見ることができる

 明るくなってきたところで朝食タイム。テラスの特等席とも言える場所にスペシャルなシートが用意されていた。まさに絶景を楽しみながらいただく朝食だ。食事タイプはコンチネンタル、アメリカン、インドネシアンから選べたので、迷わずインドネシア料理を選択。ナシゴレン、ミーゴレン、ブブルアヤムなど、朝からインドネシアの味を楽しめた。

まさにマジェスティックな景色が堪能できる朝食会場
朝から目一杯インドネシア料理を楽しむ
ホテルのロビーに掲示してあったアクティビティの数々。価格も表示しているので分かりやすい

 次の記事では、巨大なカルデラが圧倒的な景色を生み出す大人気のブロモ山と、これまた便利な場所にあるプラタランのホテルを紹介する予定だ。ジョグジャカルタからスラバヤまでは鉄道にも乗車したので、その模様もお伝えする。

野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。