旅レポ

コモドドラゴンがあらわれた! どうする? インドネシア・ラブハンバジョーの映画みたいなリゾートで世界最大のトカゲと出会う旅

ついに出会えたコモドドラゴン!

 ガルーダ・インドネシア航空によるインドネシア・フローレス島周辺への視察ツアー。ラストとなる第3回は、いよいよコモドドラゴンに会いに行くのだ。

 ラブハンバジョー3日目の朝はちょっと早起き。というのも、朝日が昇るのを見ながら朝食をいただく「サンライズ ヒル ブレックファースト」なんてシャレオツなプログラム(2名から)が用意されていたため。

 ただ、今回宿泊しているプラタラン コモド リゾート&スパは西向き、つまり海に沈む夕日を望む立地にあるため朝日が昇る東側を望むことはできない。どうするのかと思えば、ホテル近くの「サンライズヒル」まで足を延ばすという。そのため、日の出より少し早く出発する必要がある、つまり早起きが必要ってワケだ。

 当日のラブハンバジョーの日の出はおおよそ5時30分ぐらいってことで、まだ薄暗い5時にレセプション前に集合。雨期とはいえなんとか天気もよさそうな感じ。今までそれほど雨に降られていないのはきっと誰かの行ないがよいに違いない。クルマに乗り込み一路目的地へ……と思ったら5分も経たずに道路わきに停車。まだ足元もおぼつかない暗闇のなかをホテルスタッフのあとに続いて藪をかき分けながら登っていく。5分と歩かずに少し開けた場所に到着、海を見下ろせる丘の上にテーブルがセッティングされておりメインのプレートのほかにもサンドイッチやパンケーキ、フルーツなどホテルの朝食らしい充実したメニューが並んでいた。

 モノトーンの世界が東の空から徐々に色づいてくるとまもなく日の出タイム。ゆっくりと日が昇っていくなかでいただく朝食はなんとも贅沢な感じ。1時間ほどかけてゆっくりと食事を楽しみ、お腹も心もいっぱいにしてホテルへと戻った

夜が明ける前にビューポイントに到着。日の出を待つ
東の空に太陽が姿を見せた
夜明けとともに朝露が草木を濡らし輝く
朝食は卵のメインプレートのほかサンドイッチやパンケーキ、フルーツなど。ホテルの食事に限らずフルーツはもちろんパンが美味しく感じられた

ついにコモドドラゴンとの対面へ

 続いては、いよいよこの旅のメインディッシュ、コモドオオトカゲ……、もといコモドドラゴンに会いに行く。

 コモドドラゴンが生息しているのはコモド国立公園内のごく一部の地域で、観光客が出会えるのはコモド島の「Loh Liang Komodo National Park」、リンチャ島の「Loh Buaya Komodo National Park」などの限られた施設内になる。もっとも、年間数人は襲われる被害があるらしいので、施設外では出会いたくない相手ではあるけれど。

 で、この2か所の施設は船でしか訪問することができないため、ホテルなどが用意しているオプショナルツアーを利用するのが基本。また、一日の入島者数にも制限があるため事前に予約しておくのがベターだ。

 プラタラン コモド リゾート&スパでは2隻の帆船とクルーザーを所有しており、ホテルの桟橋から船に乗り込んでそのまま現地までアクセスすることが可能。クルマに乗って港で乗り換えて帰路もまた同様なんて手間いらずなのはリゾートならでは。手ぶらでオッケーみたいなラクさ加減ではあるけれど、ビーチサンダルでは入島できないのでスニーカーも忘れずに。

 今回はリンチャ島のLoh Buaya Komodo National Parkが目的地。ホテルの桟橋を出港してフローレス島の西岸に沿って南下していく。見上げれば少し雲は多いものの雨期とは思えない青い空が覗いており、波と風も穏やか。切り立った断崖に緑濃い森が覗く南国らしい風景が見えたり、エメラルドグリーンの海岸と白い砂浜が見える小さな島々の横を抜けて行ったりと、40分ほどのクルーズは異国感満点のなんとも楽しいもの。後部デッキに座っていた自分は確認できなかったけれど、キャプテンシートからはイルカが泳ぐ姿も見えたらしい。

 戦うコモドドラゴンの大きな像が建つ桟橋に降りると、すぐに公園の入り口に到着。ここからはガイドが同行して案内や説明をしてくれる。なんでも、コモドドラゴンは国立公園内におよそ3400頭生息しており、大きな個体は体長が3m、体重は80kgあまりになるとか。そんな話を聞きつつきれいに整備された桟橋をインフォメーションセンターへと歩いていく。途中、川沿いの泥濘地でガイド氏が「スモールワン」と指をさした方向を見ると、50mほど先を体長1mぐらいのコモドドラゴンがのそのそと歩いている。おおっ!と感激するとともにあれぐらいならかわいい感じだなと思っていると、「走ると時速20kmぐらい」「小さいヤツは木に登る」なんて教えてくれた。……うん?

この日は滞在しているなかで一番海が透き通っていた
桟橋からクルーザーに乗り一路リンチャ島へ
ルート沿いの風景が美しい
リンチャ島に到着
桟橋にはコモドドラゴンの像が!
桟橋から公園の入口に直接アクセスできる
国立公園だけに厳しいルールと規則がある

 インフォメーションセンターからはさらに2人のレンジャーが同行、グループの前後をカバーして守ってくれる。安全に観察するためのレクチャーをしてくれたあと、いよいよ1時間ほどのトレッキングへ。

 出発前には出会えるといいな~、なんて思っていたけれどセンターのすぐ前に数頭が佇んでいてちょっと拍子抜け。その脇に「あのトカゲはメッチャ危険だ!(意訳)」なんて書いてある看板があって身を固くしたけれど、本人(トカゲ)は時折もぞもぞと動くだけでのんびりとした様子。「お腹いっぱいのときはあまり動かないよ」って話なので、なにかを食べたあとなのだろう。

 それはさておき、じっくりと観察するには距離も近く絶好のシチュエーション。なめまわすように観察してみると、ゴツゴツとした皮膚(?)や大きな口、鋭い爪のある指先など、まさにミニドラゴンといった風貌。ホンモノというか空想のドラゴンはこれで空まで飛んじゃうんだから、そりゃ恐れられるよなぁと、変な感心をしてしまった。

 ひとしきり観察したあと、トレッキングをスタート。コモドドラゴンの営巣地やサルの群れを横目に森を抜けて歩いていくと、あたりの風景は草原に変わり少しずつ丘の上へと登っていく。ここまでくるとコモドドラゴンはもう姿を現わすことはなく、のんびりと風景を楽しみながらのハイキングに。丘を登りきると東屋のある絶景スポットでリンチャ島や遠くの島々、真っ青な空と海が一望できる。海の近くは湿度が高く蒸し暑く感じたけれどここは別世界。気温は高いものの風がそよぎ、気持ちのよい空間だった。

コモドドラゴンの生息地について
調査記録。2010年に100cmに満たなかった個体が2018年には237cmまで成長している
今回は見つけることができなかったが国立公園内には多くの野鳥も生息しているようだ
コモド国立公園の記録。2023年には約30万人が訪れているが日本からのツーリストはあまり多くないようだ
トレッキングルート。Aがインフォメーションセンターへのルートで片道10分程度。Bがレンジャーが同行する観察路で一周1時間程度のイメージ
港からインフォメーションセンターへはこんな感じの整備された桟橋を歩いていく
桟橋にはコモドドラゴンにまつわる案内のほかクイズも用意
泥濘地の上に架けられた桟橋を歩く部分も
遠くには水浴びをする水牛の姿。かなり大きいけれど餌になってしまうのかな?
スモールワンと呼ばれた1頭。このぐらいのサイズだとトカゲ感がある
きれいなインフォメーションセンター
コモドドラゴンの標本のほかさまざまな展示が用意されている
カフェとショップも併設されている
アパレルや木彫りのコモドドラゴンなどお土産も売っている
レンジャーと一緒に出発
手に持っているのは“さすまた”のような木。襲われそうになったときにコモドドラゴンの首根っこを抑えるために使うという
なかなかお目にかかれない種類の看板
インフォメーションセンター近くにいた2頭のコモドドラゴン。観光客を狙ってるわけじゃないよね……
レンジャーが周囲を警戒してくれる。危険はなさそうに見えるけれど襲われて職を辞した人も実際にいるそうだ
2mほどの個体。近くで見ることができるので迫力満点
ガイド氏が遠くを指さして「ビッグワン!」と教えてくれた1頭
営巣地を守るメスのコモドドラゴン。地面と同色なのでよく見ていないと気付きにくい
メスをアップで。オスと比べるとちょっとスマートな感じ?
コモドドラゴン
途中でサルの群れに遭遇。かわいい
森を抜け草原へ
丘の頂上にあるビューポイントからの眺め。海が美しい
右の丸い建物がインフォメーションセンター。左手が港になる

 コモドドラゴンとの出会いに満足してリンチャ島をあとに帰路へ。本来はそのままホテルへと戻る予定だったが、ツアー一行による「キレイな海に入りたい!」という強い要望にキャプテンが応えてくれた。立ち寄ったのはフローレス島の沖合、1kmほどに浮かぶ小さな無人島「pulau kelor(ケラー島)」。

 小さいながら白い砂浜とエメラルドグリーンの浅瀬が広がるビーチは人の姿もまばらで秘境感たっぷり。シュノーケリングや島の頂上へのハイキングなども楽しめるようだったけれど時間切れにより断念。わずか40分ほどの滞在で島をあとにしたのだった。

絶海の孤島的な雰囲気が漂うケラー島
入り口。奥にはお土産などを売る売店がある
映画のワンシーンみたいな風景に出会える
絶海の孤島なんて書いたけれど実はフローレス島のすぐ隣
サメの子供がたくさん泳いでいた
もう少しゆっくりしたかったけれど40分ほどの滞在で島を離れた
ホテルに戻ると天気がよかったこともあり美しい夕焼けを見ることができた
この日のディナーはアトランティス オン ザ ロックで。インドネシア風味を加えた中華料理といった感じでご飯がすすむメニューだった

最終日はマングローブの植樹やスパ体験

 最終日の朝食は、クルマで5分ほどの距離にある「ロストパラダイス」と名付けられたプラタラン コモド リゾート&スパが所有するプライベートビーチで。

 ホテルの目の前にもビーチがあるのに離れた場所が用意されているのはちょっと不思議な感じがするけれど、イベントやグループでの貸し切りなどに活用されているらしいので、静かに過ごしたい宿泊客への配慮なのかも。そういえば、ホテル内にある宿泊客以外も利用できるレストラン、アトランティス オン ザ ロックもヴィラとは離れていたし、リゾートらしい気配りと言えそうだ。

 このビーチは沖のほうまで浅瀬が広がるシチュエーションで、船に乗ってダイレクトにアクセスすることもできるとか。この日は干潮時ということもありクルマ&徒歩での移動だったものの、船で無人島(のようなイメージ)に上陸して砂浜でご飯なんて、冒険っぽい感じできっと楽しいに違いない。

ホテルから少し離れたロストパラダイスへ
入り口
階段を下っていく
コンクリートの通路には葉っぱの模様がつけられていておしゃれ
途中に休憩スポット
ロストアイランドのマップ
展望台代わりに置かれているクルーザー
I Love You Lost Paradaiseと描かれた植え込み
インドネシアの伝統的な家屋が移築され見学できるようになっている
砂浜を見るとシオマネキの一種らしきカニがたくさん
こちらは巣らしい。運び出された砂の玉がアートのよう
ビーチでの朝食
サンドイッチやフルーツなどが並ぶ
フレッシュなジュースも美味しかった
メインのプレートはその場でシェフが調理してくれる
ボリュームたっぷりで美味

 朝食のあとは海岸でマングローブの植樹をお手伝い。この熱帯を代表する常緑樹は定着率がわずか1割にも満たないらしく、この場所でも増やす試みが続けられているもののなかなか難しいという。温暖化や海岸線の浸食防止、水質浄化などさまざまな役割を果たしてくれる樹木だけに、この4本の苗木が“失われた楽園”を取り戻す一役を担ってくれることを願いたい。

マングローブの苗木
奥に見える森のように育ってほしい

 旅の最後に用意されていたのがスパ体験。ヴィラが並ぶビーチ沿いにある「PADMA SPA」では、インドネシアの伝統的な雰囲気のなかでアジアと西洋の技法を融合した技法によるマッサージやトリートメントなどにより長旅で疲れた体や心を癒してくれる。30分から150分までの各種メニューが用意されているほか、ビーチや船の上で体験なんてコースも。

 自分はといえば時間が限られていたこともありパスする方向だったけれど、見かねた(?)スタッフが首や肩回りなどをマッサージしてくれた。ホンの短時間ではあったけれど肩回りがぐっとラクな感じに。さすがプロのワザだと感心するとともに、ちゃんと受ければよかったなんてちょっと後悔しつつホテルをチェックアウト。空港へと向かった。

PADMA SPA
使用されているオイルなど
1人向けの施術室
施術中
カップルなど2人向けの施術室

 再び訪れたコモド国際空港。制限エリア内にもある程度ショップが並んでいるものの、空港の目の前に前回紹介したKado Bajo Souvenir Storeがあるので、まとまった量のお土産を買うならそちらがオススメだ。日本への復路もジャカルタ・スカルノハッタ空港を経由する。まずはガルーダ・インドネシア航空のGA453便でジャカルタへ。使用機材は往路と同じくボーイング 737-800型機で、短時間のフライトながら軽食もしっかり提供された。

 ジャカルタには17時前に到着。羽田行きのGA874便が出発するのは23時45分と余裕があるので、ガルーダ・インドネシア航空のラウンジを見学。ここはビジネスクラス以上のチケット、ガルーダマイルズ「プラチナ」またはスカイチームの「エリート プラス」のステータスを持つ乗客が入室できるラウンジになる。ゆったりとした客席に加えて、多彩なミール類を提供するほか、シャワーも用意しておりフライト前の時間を有効に利用できる。

 この日の日本へのフライトは基本のエアバス A330-300型機ではなく、ボーイング 777-300ER型機のスカイチーム塗装機(登録記号:PK-GII)。ファースト8席、ビジネス38席、エコノミー268席の3クラス仕様で、エコノミークラスの座席配置は3-3-3。

 ほぼ満席だったので写真で紹介できないが、シートピッチはエアバス A330-300型機の86cmに対して81cmと若干狭くなっているものの、シート形状が違うらしく広さを含めて座り心地は上々。離陸してすぐに眠りに落ちた。目を覚ますとちょうど夜明けを迎えるところで、パーソナルモニターのマップを確認すると沖縄を過ぎたあたりだった。8時過ぎに朝食が配られ食べ終わるころに羽田に到着。インドネシアへのツアーは終了となった。

コモド国際空港
インドネシア「シャリア銀行(バンク・シャリア・インドネシア)」によるモニュメント
館内にはコモドドラゴンのアート
航空会社のカウンターが並ぶ
搭乗口
軽食はビーフとチキンから後者をチョイス。甘くない照り焼きチキンどんぶり的な感じで美味
ジャカルタに到着。こちらは雨期らしく雨模様
ラウンジへの通路では歴代のロゴや制服を紹介
ラウンジの受付
ミールが充実。パスタのライブクッキングコーナーも用意されていた
沖縄付近で夜明けを迎えた
到着前にオムレツメインの朝食が提供された
夜間のフライトを担当してくれたパイロット
キャビンアテンダントも笑顔でお見送りしてくれた

 念願のコモドドラゴンにも出会えた今回のツアー。雨季ということもあってなかなか天候が安定しなかったけれど、土砂降りということはなくおおむね恵まれたといえる状況だった。ただ、赤道付近ということもあって気温はもとより湿度がそうとうに高く、汗をぬぐうタオルが手放せない状況だった。出かけるときは体調管理に十分気を付けていただきたい。

 それはさておき、今回の宿泊先となったプラタラン コモド リゾート&スパは部屋はもちろんスタッフのホスピタリティや食事なども素晴らしかった。ここを起点にラブハンバジョーの街を楽しむもよし、コモドドラゴンに会いにいくもよし、ビーチでのんびりするもよしと、好みに応じてアレンジ可能なのがうれしい。

 加えて海外リゾートといえば騒がしい観光客に辟易しがちだけれども、ホテルを含めてそういった姿を見かけることはなく静かに過ごせるのも高ポイント。自然や文化と触れ合いながら静かに過ごしたい人にとっては間違いなくオススメだ。

 なお、2月6日にPlataran Indonesiaとホテルオークラが戦略的提携契約を締結したことを発表している。この連携ではマーケティングやセールス部門での協業に加え、人材育成やホテル開発など幅広い分野を予定しているとのこと。同時にオークラ ニッコー ホテルズの「One Harmony」会員限定のスペシャルオファーを実施。プラタラン コモド リゾート&スパを含む4ホテルを会員特別料金で利用することができるほか朝食やスパ体験などの特典が付与される。対象となる予約期間は2025年4月30日まで、宿泊期間は9月30日まで。予約は同社のWebサイトから行なえる。

安田 剛