旅レポ

北欧フィンランドの冬を満喫する至福の5日間(その3)

雪山を離れ首都ヘルシンキでフィンランド・デザインを楽しみながら過ごす至福のひととき

フィンランドの首都ヘルシンキで街の空気といたるところで感じるフィンランド・デザインを楽しんできました

 フィンエアーが主催するラップランドでの「サウナプレスツアー」の第3回。今回は番外編としてラップランドの雪山に向かう際に立ち寄ったフィンランド最大の都市、ヘルシンキでのひとときをお伝えします。

 日本からフィンランドへの直行便はすべて首都のヘルシンキ行きです。もちろんラップランドの街、クーサモが舞台である今回のツアーも例外ではありません。空港からヘルシンキの市街地まではバスで30分程度と近く、またコンパクトな空港なので、空港内を延々歩き続ける必要もないので、街へ向かうのはとても簡単です。今回のようにフィンランド国内に別の目的地があっても、ヘルシンキ観光はわりと気軽に楽しめます。それにしてもフィンランドの空の玄関口であるヘルシンキ・ヴァンター国際空港は乗り換えは簡単、降りてヘルシンキ観光も簡単といいこと尽くめの空港です。なお今回のツアーでは滞在時間が短かったので10月に訪れた際の写真も使用しています。

フィンランドの空の玄関口ヘルシンキ・ヴァンター国際空港
空港内はシンプルな造りで乗り継ぎはもちろんヘルシンキの街へ出るにも空港内を迷うことがありません。
空港では鉄道駅の建設が行なわれていました

デザインの街ヘルシンキ

 日本でもファンの多い北欧デザイン。シンプルでモダン、そしてどこか温かみのあるデザインは日常生活に安らぎを与えてくれるように感じます。そのデザインセンスが宿った家具やテーブルウェア、服やアクセサリのショップが街の中心部に200軒も集まった街がヘルシンキです。なお、フィンランドは130年以上前から国を挙げてフィンランド・デザインの促進活動を行なっていて、その活動とデザイン関連の起業家とのネットワークとしてデザイン・ディストリクトというものが設立されたたそうです。ヘルシンキの中心に位置し地元のメーカーから若手作家までが集まった小さな町のような存在がデザイン・ディストリクトということです。

デザイン・ディストリクトに参加しているショップが網羅されたパンフレット
ショップにはこのようなマークが貼ってあるのですぐ分かります

 まずはフィンランドを代表する建築家であるアアルトが設立した家具ブランド「アルテック(artek)」のフラッグシップストアにお邪魔しました。温かみのある明るい木材が柔らかな曲線を描く家具や、シンプルなデザインテーブルウェアなどがいっぱいに広がってる店内は、北欧の街を訪れていることをあらためて実感します。

温かみのある柔らかな曲線が持ち味の家具ブランド「アルテック(artek)」
明るい店内と見やすいレイアウトでリラックスして買い物(見学?)を楽しめます
積層合板特有の模様や色、柔らかくアールを描いた優しいデザインなどが目を楽しませてくれます
飽きのこない長く使えそうなシンプルなデザインが主流です
家具に限らずテーブルウェアや小物、デザイン書籍なども充実してます

「イヴァナ・ヘルシンキ(IvanaHelsinki)」は北欧を代表するフィンランドの女性向けブランドで、同じフィンランドから生まれた世界的キャラクター「ムーミン」とコラボレーションした商品も充実していました。

「ムーミン」とのコラボレーション商品も充実したフィンランドの女性向けブランド「イヴァナ・ヘルシンキ(IvanaHelsinki)」
イヴァナ・ヘルシンキは北欧を代表するフィンランドの女性向けブランドでショップは一見こじんまりとしたショップですが地下のフロアにもスペーシがあり商品は充実していました
フィンランドを拠点とするレザーバッグブランド「ルミ(LUMI)」
フィンランド語で雪を意味する「ルミ(LUMI)」
シンプルかつカラフルな中に北欧の空気を感じる店内
革の素材感や形、色のバリエーションも豊富で、気軽に毎日使えそうなものもも多いと感じました

 これらフィンランドが生み出した家具やファッション、革製品などの作品群はすでに世界に発信されているものも多く、なかには日本で購入できるものもあります。ただし前述したデザイン・ディストリクトの魅力はそれだけではありません。大手ブランドも若手の作家らの生み出した商品を扱うショップや工房も同じ街に軒を並べているため、エリア全体に伝統と新しさが同居しながらも、そこはかとなく感じるフィンランドデザインの統一感に魅力を感じます。実はそういうあり方こそがヘルシンキの街の魅力の源のようにすら感じます。

デザイン・ディストリクトの大きな特徴は若手作家の工房や世界的有名ブランドが同じエリアに軒を並べていることです。決して有名ブランドが並んだ買い物街ではなくファンションやインテリア、そして食になど多岐に渡ったジャンルのフィンランドデザインを街全体から感じる場所、それがデザイン・ディストリクトなのでしょう
「Raw North」というアクセサリーショップ。店内に工房があり、そこで日々新しいデザインが生み出されています
シンプルな造形のなかにフィンランドデザインの伝統と新しさが同居しているような感じもします
こちらのアクセサリーはトナカイの革製だそうです
気さくな女性2人が我々ツアー一行を迎えてくれました
フィンランド生まれの世界的キャラクター ムーミンはこの街のあちこちで見かけます

マリメッコ(marimekko)&イッタラ(iittala)

 フィンランドデザインと聞いてまず思い浮かぶのはファッションやインテリア、生活雑貨を手がけるテキスタイルブランド「マリメッコ(marimekko)」や、ガラス製品などのリビングウェアを手がけるブランド「イッタラ(iittala)」ではないでしょうか。どちらも日本でも入手できる有名ブランドですが、フィンランドに立ち寄ったらホームタウンのショップには足を運んでみたいものです。

ファッションやインテリア、生活雑貨を手がけるテキスタイルブランド「マリメッコ(marimekko)」のショップ
ガラス製品などリビングウェアを手がけるブランド「イッタラ(iittala)」のショップ

 実はこのフィンランドを代表する2大ブランドは、ヘルシンキに向けて出発するフィンエアーの機内でまず出会います。特にマリメッコは機内でサービスされる食事の器からアメニティグッズまで揃っていますので、機内デザインに統一感を感じます。今回利用したビジネスクラスはもとより、エコノミークラスのヘッドレストカバーや紙コップに至るまでマリメッコ尽くしで、行きはこれから始まるフィンランドでの時間を少しだけ先取りし、帰りはそのデザインで余韻に浸れるのです。

 マリメッコの食器はフィンランドのホテルで使われていることもあるので(今回のヘルシンキでの宿泊ホテルもマリメッコの食器を使っていた)、帰りの機内では食事に選んだフィンランド料理の味も相まって筆者もかなり余韻に浸りました。

機内でまず初めに目にするマリメッコのデザイン
マリメッコのシンボルとも言える「ウニッコ」柄のアメニティケース
アメニティはご覧のとおり。ケースの柄は3種類あるようです
搭乗中はテーブルウェアから足元までマリメッコづくしです
ガラス製品はイッタラ、飲んでいるのはエアバス A350型機が就航したことを記念して特別に用意された「BLUE SKY」と名付けられたブルーベリーのお酒。グラスは1969年のフィンエアーのニューヨーク便初就航の際にイッタラのデザイナー タピオ・ヴィルカラによって作られたものだそうで、グラス1つとってもフィンエアーが祖国の誇りをもってフライトしている事を感じます
エコノミークラスのカップやヘッドレストカバーももちろんマリメッコのデザインが採用されています
機内での食事はサーモンやトナカイの料理を選べますので、機内でも北欧気分を味わえます。またCA(客室乗務員)には日本人もいます。実は筆者にとってこれは案外大きなことで、機内では特に難しい会話の必要がないとはいえ日本語で過ごせる時間はやはりリラックスできます。食事には異国情緒を求めるくせに言葉についてはそれをあまり歓迎しないのはワガママが過ぎるのかもしれませんが、筆者にはそれが理想的ではあります

 デザインの話を中心にお伝えしてみましたが、もちろんヘルシンキの魅力はそれだけではありません。歴史的建造物、博物館など野外マーケットなどもあり、その多くが徒歩圏内にあるのも魅力の1つです。街の空気を感じながら、ショーウインドウを眺めながら、ブラブラするのもなかなよいものです。

 また市内にはトラムやバスなどの交通網も充実しているので、少し遠くまで足を延ばしてみるのも難しいことはありません。ヘルシンキには今年2回行きましたが、いずれも短期滞在だったため、まだまだ見たいところが沢山残ってます。いつかまたヘルシンキの街を歩いてみたいものです。今度はゆっくりと。

ヘルシンキ大聖堂。礼拝の時間などを除けば無料で入場できます
カンピ礼拝堂。2012年に完成したフィンランド木造建築による新しい礼拝堂です
街か空港が近いので青空に映える白い機体がとても綺麗です
港で行なわれる野外マーケットを散策するのも楽しいものです
街中をトラムが行き交っていますので少し足を延ばしたくなっても心配無用です
アチコチまわりたい人はヘルシンキカードがお勧め。これ1枚で地下鉄やトラム、バスなどが乗り放題です
道路に並んだ路上駐車の列のなかに車1台分の駐輪スペースを確保しています。こういうちょっとしたところのデザインが楽しいので筆者はついつい街を歩きたくなってしまうのです

高橋 学

1966年 北海道生まれ。仕事柄、国内外へ出かける機会が多く、滞在先では空いた時間に街を散歩するのが楽しみ。国内の温泉地から東南アジアの山岳地帯やジャングルまで様々なフィールドで目にした感動をお届けしたいと思っています。