ニュース

フィンエアー、ヘルシンキ~福岡線を週3往復で就航

ハブ空港間の直行便として期待。初便に歓迎の放水アーチ、就航式典を5月8日開催

2016年5月8日 開催

 フィンエアーは、新路線としてヘルシンキ・ヴァンター~福岡線を就航した。5月7日にヘルシンキ・ヴァンター国際空港を飛び立ち、5月8日早朝に福岡空港に到着した初便の様子と、空港内で行なわれた就航式典の様子をお届けする。当路線は10月までの夏季スケジュールにて週3回往復で運航する。

放水アーチで出迎えられた初便、機材はエアバス A330-300型機

初便であるAY075便は7時46分に福岡空港に着陸
50番スポットに向かってタキシング
消防車による放水アーチで歓迎
コクピットより両国の国旗を振るパイロット
式典に参列する来賓も駐機場で出迎えた
福岡路線で使用されるエアバス A330-300型機の前で記念撮影

 就航式典の前に、前日にヘルシンキ・ヴァンター国際空港を飛び立ったAY075便が到着するということで、報道陣と関係者は50番スポットにて到着を待つ。7時51分の着陸予定であったが、実際に着陸した時刻は7時46分と定刻よりも早く福岡空港に降りたった。50番スポットに入ってくるAY075便は、消防車からの放水アーチに出迎えられ、コクピットからは両国の国旗が振られていた。

 地上では、式典に参加する関係者も手を振り到着を祝福。記念撮影では、フィンランド生まれのキャラクターで、日本でもお馴染みのムーミンも参加した。所要時間およそ9時間30分と、ヨーロッパを結ぶ直行便としては短めとはいえ長距離フライトを終えた乗客は、地上からの歓迎に表情を和らげていた。なお、この福岡路線はJAL(日本航空)とのコードシェア便として運航される。スケジュールは以下のとおり。

AY075(JL6806):ヘルシンキ・ヴァンター(16時30分)発~福岡(08時00分)着 火・木・土曜運航
AY076(JL6807):福岡(09時30分)発)~ヘルシンキ・ヴァンター(13時55分)着 水・金・日曜運航

送迎バスには「Welcome to Japan」の文字が
乗務員も到着を笑顔でアピール。フィンエアーの日本路線では、日本人乗務員が1名乗務にあたるとのこと
出迎えたムーミンと乗務員が記念撮影
機体後部にはフィンランドを代表するデザインブランド「marimekko(マリメッコ)」のシンボルの花柄があしらわれている

「ハブ」という同じ特徴を持つ2都市間の連携を強調

就航式典会場となった福岡空港国際線ターミナルの2階広場
フィンエアー CCOのユハ・ヤルビネン氏

 福岡空港国際線ターミナルの2階に設けられた特設ステージにて、就航式典が行なわれた。フィンエアーからは、初便に搭乗し来日したユハ・ヤルビネンCCOの挨拶からスタートした。

「まず、先の熊本大分地震により犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表します。被害に合われた方の辛さは如何ばかりかと、お見舞い申し上げるとともにフィンエアーを代表して、一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。

 私は先ほどのフィンエアーAY075便に搭乗し、福岡に降り立ちました。この路線が永続することを心より祈っております。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私どもは1983年に日本とヨーロッパを直行便で結んだ日本初のエアラインでございます。そして名古屋、大阪と拡大し、このたび4都市目の福岡路線を就航いたしました。

 ヘルシンキ・ヴァンター空港は、周辺の約70もの空港に接続しておりまして、観光・ビジネス両方においてスムーズな乗り継ぎができるよう設計されています。また、空港内には日本語での表記もあるので、福岡から搭乗される方々にとっても利便性の高い空港です。

 欧州路線ではJAL、ブリティッシュ・エアウェイズと共同事業を実施し、お客さまに豊富な選択肢をご提供させていただいております。もちろん、ヘルシンキにも滞在していただき、旅を楽しんでいただければと願っています。

 福岡は、私どものネットワークにおきまして素晴らしい新規路線です。この土地には、素晴らしい風景・ショッピング施設・特色のある自然といった、旅行者が求めるさまざまな魅力がすべてあります。欧州からの旅行者にとっても、大変魅力的な休暇の目的地になると感じています。

 福岡県、福岡市、経済界、国際観光振興協会、九州のすべての県と市の皆さま、そして我々のビジネスパートナーの皆さまに御礼申し上げます。皆さまのご尽力なしに、この路線の成功を迎えることはできませんでした。この福岡路線が永続して成功することを確信しています。本日はありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。

駐日フィンランド大使 マヌ・ヴィルタモ氏

 続いて、駐日フィンランド大使であるマヌ・ヴィルタモ氏より祝辞があった。「福岡県知事さま、福岡市長さま、ご臨席の皆さま、ご来賓の皆さま、本日はお招きいただきありがとうございます。

 大使として着任して2年半になりますが、福岡は最初に訪問した都市の1つでございます。この重要な場に出席するため、福岡に戻ってくることができ、また本日就航した路線、福岡が4都市目となり、九州からヨーロッパへ就航する唯一の直行便であるということも、たいへんうれしく思っております。

 フィンランドと日本を、幅広く結ぶ直行便のネットワークは、福岡路線の週3便の就航によって、合計で週31便が2国間を互いに近づけるだけでなく、日本のさまざまなビジネス関係も強化されることと思います。

 この新規就航と時を同じくして、地震という悲劇が九州を襲いました。美しい熊本と、そこに住まわれている人々に起こったことは、実に悲しい出来事です。大事なご家族を失われた方々のご心痛はいかばかりかと深くお察し申し上げます。

 しかしながら、我々は先を見据え、被災者の皆さまがよりよい生活を取り戻すために最善を尽くさねばと思います。

 今回の就航により、福岡とフィンランドが新たに繋がることを通じて、九州全体との関係が新たな段階に入っていくことでしょう。熊本とのつながりを一層強くいただけたことにより、復興へのご支援の機会をいただけたと思っております。

 先ほどの初便に、フィンランド企業一行が、九州の企業との協力やパートナーシップを求めて到着しております。これはとてもよい兆しです。フィンランドと福岡・九州とが、ビジネスや観光でさらなる連携を強くしていくことを確信しております」と、先の熊本地震に触れつつ挨拶をした。

小川洋福岡県知事

 福岡県知事の小川洋氏は、「フィンエアーのユハ・ヤルビネンさまはじめ、関係各位の皆さま、ようこそ福岡県においでくださいました。今回の熊本地震では、被災された方々への温かいお言葉、また物資の搬送もいただいております。本当にありがとうございます。いま九州・日本が一丸となって、被災地の復旧に全力であたっております。

 今日は、記念すべきヘルシンキ~福岡路線をお迎えすることができました。この就航は福岡県だけではなく、九州全体にとっても大きな意味を持つものでございます。ご尽力いただきましたフィンランド政府、フィンエアーをはじめとする関係者皆さまに感謝を申し上げる次第でございます。

 福岡空港から、ヨーロッパ有数のハブ空港であるヘルシンキ・ヴァンター空港。この空港へは最短で9時間半でいけます。そこから、各都市へ短時間で移動が可能できますので、福岡県だけでなく、九州や西日本にお住まいの皆さまにとっても、フィンランドが身近なものになると思います。関係機関としっかり連携して、観光・ビジネス両面をスムーズに展開できるようにしていきます。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催なども控えており、ヨーロッパから訪日されるお客さまを、最高の状態でおもてなししたいと考えております。観光とビジネスの交流がよりいっそう深まっていくことをお祈り申し上げます」と挨拶した。

高島宗一郎福岡市長

 最後に福岡市長の高島宗一郎氏が、「アジアのゲートウェイ“福岡市”、そしてヨーロッパのゲートウェイ“ヘルシンキ”。この2つがダイレクトにつながる。そのフィンエアーの就航は、九州にとっても非常に大きな意義があると感じています。

 4月に発生した熊本地震の際には、フィンエアーの協力によって、災害時に強い長期保存が可能な乳児用液体ミルクを届けていただきました。これは日本では精製することができないものです。非常に力になりました。九州の仲間として非常にうれしく思います。ありがとうございました。

 福岡市とフィンランドは、非常に似たところがあります。それはスタートアップです。福岡市も国家戦略特区となって、非常にスタートアップが盛んになっています。それをテーマにした世界最大級の起業イベント『SLUSH』が生まれたのはフィンランドなのです。海外の方も、ここ福岡で創業・起業と希望する声があり、対応させていただいております。5月からフィンランドにてスタートアップ関連のイベントを控えており、福岡市としても参加を表明し、さまざまな動きに期待しているところです。

 そうした連携からも、便の拡充に協力していければと感じています。福岡からグローバルなビジネスが生まれることによって、この直行便が末永く続いて、さらにデイリー便に拡大していくことを期待しています」とコメント。

 この式典に参列した関係者は、共通して熊本地震へ哀悼の意や、復旧活動支援に向けた言葉を述べ、九州全土を元気づける活動や、直行便による観光やビジネスの連携を強化していくことをアピールした。そして初便のキャプテンへの花束贈呈とテープカット、最後にムーミンが登場した記念撮影で、式典は無事終了した。

AY075便のキャプテンに花束を贈呈
式典参列者によるテープカット
最後に乗務員とムーミンも加わっての記念撮影

折り返しのAY076便は10時にヘルシンキへ向けて離陸

10時に福岡空港を離陸したAY076便

 AY075便として使用された機材は、すぐにヘルシンキ・ヴァンター行きへ折り返すAY076便として、9時30分の離陸を予定していたが、遅れが生じ10時に離陸した。

 この直行便就航によって、福岡県近隣だけでなく九州全土、さらには山陽・山陰エリア在住者にもヨーロッパ旅行が便利になる。ヘルシンキ・ヴァンター空港をハブとして約70もの都市へ乗り継ぎを可能としていることからも、ヨーロッパ周辺各国へのアクセスが容易となる。日本側としては、アジアだけでなくヨーロッパからの旅行者の増加を見込むことにより、さらなるインバウンド特需も期待したいところだろう。

(赤坂太一)