旅レポ

JR東海「いざいざ奈良」第4弾は西ノ京と平城宮跡。市内ではめずらしい天然温泉や日本初上陸のラグジュアリーホテル、女性に人気のカフェを見てきた

日本初上陸のラグジュアリーホテル「JWマリオット」のアフタヌーンティーが奈良市内で楽しめる

 俳優の鈴木亮平さんが出演するテレビCMが好評なJR東海の「いざいざ奈良」キャンペーン第4弾。今回は西ノ京・平城宮跡周辺のグルメスポットやホテルなど、旅には欠かせない情報を紹介する。

朱雀門正面には休憩所や食事処など、観光拠点の「朱雀門ひろば」があって便利

 平城宮跡歴史公園の南側にある朱雀門前の広場は、当時の人々にとって祝祭に使う大切な場所としてにぎわいを見せていた。現在においても新たなにぎわいの場とすべく再整備され、観光拠点の「朱雀門ひろば」としてオープンした。

 広場周辺には、展望デッキから平城宮跡を見渡せる「天平みはらし館」、団体客の集合スペースとして使われる「天平つどい館」、キッズスペースも備えた休憩所の「天平みつき館」、平城宮跡の見どころや出土した資料が並ぶ「平城宮いざない館」、そして今回紹介するお土産&食事処の「天平うまし館」が建てられている。

 そのなかのカフェ&レストラン「IRACA」は、奈良の地元食材を活かしたイタリアンレストランとして営業しているが、同じく地元食材を使った和食御膳も用意されている。その名も「大和御膳」で、地域の野菜やブランド食材を使った郷土料理がドドーンと提供される豪華なメニューだ。

 季節や仕入れによって料理の内容は変わるが、この日いただいたのは、伝統野菜である大和まなを使った和え物、同じく伝統野菜の大和丸ナスを使った揚げびたしと天ぷら、昔ながらの柑橘である大和橘を使った麺、白キュウリを使った酢の物、ヤマトポークを使ったカツ、古代米の手毬寿司と大和まなのめはり寿司、郷土料理である飛鳥汁など、奈良を感じさせる料理で埋め尽くされる。どれもが素材の食感や風味を感じられるもので、初めて食べた飛鳥汁は牛乳と味噌のテイストがマッチしていて美味しくいただけた。

奈良の食材や郷土料理が楽しめる「大和御膳」(3000円)。食後には、奈良吉野本葛餅と大和茶の和紅茶またはコーヒーが付く
朱雀門ひろばの一角にある天平うまし館。レストランやカフェのほか、お土産コーナーも併設されている
「IRACA」では豊富なパスタメニューに加え、定番のカレーやハンバーグ定食、とんかつ定食なども提供している
天平うまし館の真向かいには、休憩所の天平みつき館が建てられている
視線を横に移すと復原された遣唐使船の姿があり、その姿に思わず見入ってしまった

40年の歴史を持つカフェで素材重視のテイストを味わう

 次に紹介するのはカフェと雑貨屋を併設した「くるみの木 一条店」。平城宮跡の南東側にある新大宮駅から徒歩15分と離れてはいるが、実は知る人ぞ知る、女性に大人気のお店だ。オーナーの石村由起子氏が40年前にカフェを始めて、今では緑豊かな敷地内に雑貨を扱う「cage」、女性向け衣料を揃えた「NOiX La Soeur」、イベントスペース「pieni35」を構える。カフェに併設したケーキ工房ではバリエーション豊かなお菓子作りが行なわれ、その隣には全国から集めたこだわりの食品を扱うショップもある。

 大人気のカフェにはケーキを目当てに訪れる方も多く、ショーケースには定番5~6種、季節もの5~6種が並ぶ。そして、季節ごとの食材を丁寧に調理した野菜中心の「季節のランチ」も人気。内容は2週間ごとに変わるが、この日は「割干大根とあみ海老のご飯」「野菜の肉巻き 梅ソース添え」「オクラとなめこのみぞれ和え」「茄子と有機蒟蒻の田楽」「豆腐と若布のお味噌汁」「奈良菊井果樹園の梨」が提供されていた。

 味見をさせていただいたが、素材を活かした優しい味わいに「はて? どこかで食べたかな?」と頭に浮かんだので記憶をたどると、前回奈良に訪れた際に宿泊したホテル「MIROKU」の食事が、こちらのくるみの木監修であることを思い出した。ランチは平日は60食、土日は80食を用意しているとのことだが、人気メニューのため早々に終了することもしばしば。電話で取り置いてもらうことも可能なので、ランチ目当ての人はお店に連絡しておくのがオススメ。

野菜料理がメインの「季節のランチ」(1760円)。ほか、メニューにはオムライスや和風カレーなどもある
隣にあるケーキ工房で作られたケーキも人気
緑に囲まれたカフェの外観からして癒される
使い込まれた木製品が安心感を与えてくれる店内
オープン当時から使われている年季の入ったテーブル
教会で使われていたチェア
ショーケースにはケーキがズラリと並び、スコーンなどの焼き菓子も用意されている
人気店につき席の予約は開店時のみ
雑貨を扱う「cage」では作家が製作したアイテムも並んでいる
「NOiX La Soeur」では大人の女性に似合うブランドを取り扱っている

ラグジュアリーな「JWマリオット・ホテル奈良」で楽しむ優雅なアフタヌーンティー

「奈良はホテルが少ない」「外国人が宿泊できるナショナルブランドがない」という声が以前より聞かれていたが、そのようなニーズに応えるべく、2020年7月に「JWマリオット・ホテル奈良」が開業した。

 場所は奈良市役所の向かい側、奈良県コンベンションセンターの隣にあり、奈良市の東西を結ぶメインストリート・国道369号(大宮通り)に面しているので、交通のアクセスもよい。JWマリオットは、30以上のホテルブランドを持つマリオット・インターナショナルのなかでも最高クラスのラグジュアリーブランドの一つで、日本初上陸となったことでも注目された。

 景観に配慮した6階建ての外観もそうだが、館内は奈良からインスピレーションを得たデザインが散りばめられ、モダンと伝統が融合した上品でエレガントな空間にはため息が出る。客室も3タイプ見せてもらったが、広さが172m2もあるプレジデンシャルスイートは別世界のようだった。

スタンダード 2ダブルベッド
Nara ジュニアスイート 1キング コーナールーム
プレジデンシャルスイート エグゼクティブラウンジ 1キング
プレジデンシャルスイートのリビングルーム

 こちらのホテルではアフタヌーンティーを楽しめるが、12月17日まで「いざいざ奈良」キャンペーンとコラボした「いざいざ奈良コラボレーションアフタヌーンティーセット」を提供する。

 内容はアクセントに奈良漬けを使用したサンドイッチ、チーズの元祖ともいわれる蘇(そ)を使ったチーズケーキ、奈良県産の栗を使ったモンブランなど、地元の食材や食文化を取り入れたメニュー10品にスコーンが付く。そして、1日9組限定となるが、「シュリンプのサラダ キャビア添え クリスピーパイと奈良椎茸のデュクセル」「奈良県産月ヶ瀬の梅ムース」がプラスされる「いざいざ奈良コラボレーションスペシャルアフタヌーンティーセット」も用意している。奈良に訪れた際、優雅なひと時を味わいたい人は足を運んでもらいたい。

「いざいざ奈良コラボレーションアフタヌーンティーセット」(6800円)。写真は2人分のもの
「いざいざ奈良コラボレーションスペシャルアフタヌーンティーセット」(7900円)。写真は2人分のもの
スペシャルバージョンには「シュリンプのサラダ キャビア添え クリスピーパイと奈良椎茸のデュクセル」「奈良県産月ヶ瀬の梅ムース」がプラスされる

世界遺産の横で天然温泉に入れる「亀の井ホテル 奈良」

 次に紹介するのは「亀の井ホテル 奈良」だ。もともとは「かんぽの宿 奈良」であったが、2022年に亀の井ホテルにリブランドして、マイステイズ・ホテル・マネジメントが運営している。

 日本各地にある亀の井ホテルと言えば、温泉と食事とおもてなし、この3点が思い浮かぶが、奈良市に温泉なんてあった?と思ったら、しっかりと存在していた。地中深く掘削するので、奈良市で天然温泉を持つホテルは数少ないが、その一つというわけだ。

 その天然温泉は自家源泉で、内湯と露天タイプを備えた大浴場で楽しむことができる。全42室のうち5部屋だけは「展望」風呂付きの特別室が用意されているので、好きなだけ入ることができる。このほか、部屋は和室、洋室、畳の上にベッドを用意した「和室ツイン」タイプがある。大浴場にて温泉を楽しませてもらったが、サラリとしたお湯はクセもなく、多くの人に好まれそうだ。11時~15時(火・木曜は13時~15時)は日帰り入浴も可能だ。

平城宮跡の西側にある「亀の井ホテル 奈良」
ホテルで5部屋しかない「展望」風呂付きの和洋室は大人気なので休日はすぐに予約で埋まってしまう。狙い目は平日とのことだ
世界遺産を眺めながら好きなだけ「展望」風呂に入れる贅沢さ。泉質はナトリウム-塩化物泉(低張性・弱アルカリ性)で、神経痛や冷え性、疲労回復に効果があるとしている

 夕食はデラックス、スタンダード、ベーシックの3つのグレードに分かれており、デラックスコースは大和牛といった奈良ブランドの食材や、奈良漬を使った天ぷら、三輪そうめんのプリンなど、現地の食材や名産品を使った料理が提供される。また、朝食は和食や洋食のメニューを数多く用意したビュッフェスタイルになっており、一部のメニューには大和まなやヤマトポークが使われるなど、こちらでも奈良の食材を味わうことができる。このほか、夜食として亀の井ホテル名物の「地獄めぐり 夜鳴き担々麺」サービスも用意しており、食も満足度の高いものになっている。

デラックスコースの料理の一例。「松茸と旬魚の土瓶蒸し」「銀鱈味噌漬けと柿グラタン 秋の吹き寄せ盛り」「柚子香る 大和牛の旬菜鍋」「松茸釜飯・香の物」
朝食はビュッフェスタイル。地元食材を使用した料理も提供されており、この日は「大和まなと茄子のさっぱり煮」「ヤマトポークとさつま芋の胡麻餡」「大和まなと夏野菜のトマトグラタン」が並んでいた

 そして、このホテルならではの特徴が、平城宮跡のすぐ真横に位置するということだ。ホテルの展望台からは平城宮跡と奈良の山々を見ることができ、存分に旅気分に浸ることができる。この贅沢さはほかにはないだろう。

 帰り際はお土産コーナーもチェックしてもらいたい。奈良の名産品を数多く揃えているが、そのなかでも人気の高さから入手困難なため“幻のラムネ”とまで呼ばれた「レインボーラムネ」(イコマ製菓本舗)がここでは入手できるので覚えておこう。

展望台からは朱雀門や春日山、近鉄奈良線もバッチリ見える
取り扱う店舗が限られるため希少価値の高い「レインボーラムネ」

 JR東海の「いざいざ奈良」キャンペーンの第4弾として登場する西ノ京・平城宮跡の観光スポットを2回に分けて紹介してきた。鈴木亮平さんがメイキングビデオで「今回は奈良の広さを感じました」と話していたように、平城宮跡の大きさや広さ、薬師寺や唐招提寺のダイナミックな造形など、想像力をかきたてられる奈良時代の空気をそこかしこで感じることができた。秋が深まるにつれ、色づく古都の旅はきっとよいものに違いない。行けば分かる、奈良のよさを体験してほしい。

野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。