旅レポ

全部歩いて回れる奈良! 神鹿が迎える春日大社や高畑エリアの新旧見どころに行ってきました

JR東海「いざいざ奈良」

奈良の見どころを歩いてまわりました

「いざ、いざ、春日大社!」という俳優・鈴木亮平さんの台詞ではじまるJR東海の新テレビCMは、2022年から続く「いざいざ奈良」キャンペーンの第3弾「春日大社・高畑編」です。本稿では、その春日大社や高畑エリアのスポットを中心に巡ったプレスツアー後半編をレポートします。

⇒前半はこちら

今回訪れた全スポットはこちら

あいにくの雨でしたが、しっとりした奈良、それもまたよし

 観光特急「あをによし」で奈良入りし、奈良ホテルに泊まった1日目。ホテルをチェックアウト後、2日目はこの順番でまわりました。

  • 入江泰吉記念 奈良市写真美術館
  • ジェラテリア フィオレ
  • 空気ケーキ。
  • ふふ奈良「日本料理 滴翠」
  • 志賀直哉旧居
  • たかばたけ茶論
  • 春日大社 国宝殿
  • なら泉勇斎

 何がびっくりしたかって、これら全部徒歩で回れてしまうこと!(最後のなら泉勇斎まではバス利用)

 春日大社・高畑エリアがいかに見どころが充実しているか、お分かりいただけるかと思います。

奈良をじっくり旅したいという人はまずはここへ! 入江泰吉記念 奈良市写真美術館

建物の設計は建築家・黒川紀章氏

 入江泰吉は、故郷・奈良の原風景や仏像を半世紀以上にわたって撮り続けた写真家です。1992年に86歳で亡くなっている故人ですが、「名前を知らなくても教科書や駅のポスターなどで入江の作品を観たことがある人が多いはず」と大西洋館長。ここは入江さんが撮影した8万点以上の作品を所蔵する写真専門の美術館です。

展示室は地下にあります

 6月25日までは、入江泰吉写真展「息づく、大和」と、池本喜巳「記憶のとびら」という2つの展覧会を開催中。池本喜巳さんは鳥取市生まれの現在79歳。入江泰吉さんと同じく、故郷を記録することをライフワークとし、山陰の風景や個人商店を撮り続けている写真家です。

2つの展覧会を開催中。観覧料一般500円でどちらも観ることができます

 入江泰吉写真展「息づく、大和」では、神々しい三輪山や、もやに包まれた神殿、夕霧のなかに浮かんだような箸墓古墳など、空気感まで感じられるような作品に思わず見入ってしまいます。

奈良の貴重な文化財や風景をフィルムカメラで収めたカラーとモノクロ作品37点で展示構成。さまざまな愛機も展示してあります

 なかでも目に留まったのは「石舞台」という縦位置のモノクロ作品。石舞台古墳の天井石の上に子供10人くらいが座って絵を描いているところ(写生大会?)を撮った1枚です。今は国の特別史跡に上ったりしたらおそらく炎上必至ですが(笑)、昭和20年代の、なんとのどかだったことか!とほっこり。と同時に、真っ暗な横穴式石室の不気味さとの対比がひときわ印象的だったのでした。

池本喜巳写真展「記憶のとびら」は約100点の見ごたえある展示。消えゆきつつある個人商店を大判カメラで記録した作品群は必見
今までの「いざいざ奈良」キャンペーンポスターを展示しているコーナーもあります
その上には「奈良 大和路」という国鉄時代のポスターも。仏像を撮っているのはもちろん入江泰吉さん

 現在メタバース実証実験中の入江泰吉記念 奈良市写真美術館では展覧会をオンラインで観ることも。できれば現地で鑑賞してほしいところですが、遠くて行けないよ~という人はスマホからでも観ることができるのでぜひ!

人気のカフェ&ケーキ店、ジェラテリア フィオレ

アンティークの器に美しく盛り付けられたジェラートは芸術作品のよう

 写真美術館からわずか300m、新薬師寺の門前に大人気のジェラート店「ジェラテリア フィオレ」があります。週末にはこのお店を目当てに県外からもお客さんが訪れるのだとか。ジェラートの種類は常時10種類ほど。ピスタチオやほうじ茶、チョコレートなどが定番フレーバーです。

テラス席もあります
ドライフラワーがたくさん飾られた店内
どれも美味しそう~

 素材にこだわっているジェラートは、深い味わいでありつつも後味さっぱりで、無限に食べられそうである意味キケン! 奈良県産の古都華を使った季節限定のイチゴも美味しかったです。

ちょっと溶けちゃいましたがいただきます。こちらはピスタチオ
超ゴージャスな生ジェラート「ジェラートクルド」もオススメ

ふわふわ軽いご褒美スイーツを「空気ケーキ。」

かわいらしい入り口

 お次はジェラート屋さんから歩いて約10分、閑静な住宅地にある人気のケーキ&カフェ店「空気ケーキ。」へ。ここでは店名にもなっている、軽い食感の“空気ケーキ”をいただきました。カステラ生地の間に空気を入れてふくらませた牛乳ムースとあんこがサンドされているかわいらしい見た目。ムースはふわふわでカステラ生地も軽いのでぺろっと2個いけちゃいました。

プレーンと抹茶をチョイス
断面はこんな感じ。あんことムースがベストマッチ
ショーケースには美味しそうなケーキがずらり

ふふ奈良「日本料理 滴翠」でからだに優しい絶品ランチ

「日本料理 滴翠」の入り口

 2020年に開業したふふブランドの1つ「ふふ奈良」は、奈良公園の一角、瑜伽山園地(ゆうがやまえんち)内にあります。ここは明治~大正時代にかけて大阪財界で活躍した山口財閥・山口吉郎兵衛氏の別荘があった場所。吉郎兵衛さんは銀行家であるとともに、雅号を「滴翠」とする茶道家でもあったそう。その雅号が店名となった、敷地内にある「日本料理 滴翠」で昼食をいただきました。

照明を少し落として落ち着く店内。どの席からも庭園を眺めることができます

 敷地内といっても宿泊棟とは別の建物で、泊まっているゲストは浴衣姿で竹林の階段を下り、池にかかる石橋を渡ったりして、ここに夕食や朝食を食べに来るのだとか。楽しそうですよね!

陶板焼きに柿の葉を使うのが、柿の産地である奈良らしいですね

 この日はちょっと贅沢な「牛フィレ肉と大和野菜の柿の葉陶板焼き(4000円)」を。ふふ奈良オリジナルの和漢ソースでいただくステーキは、フィレ肉らしいキメ細かな肉質でやわらかさは感動モノ。陶板焼きにはたっぷりの大和野菜、そして大和芋の吸いとろろと、味わい深い奈良の味覚を堪能できました。「日本料理 滴翠」は、宿泊者でなくてもランチ、カフェで利用可能です。

牛フィレ肉には和漢ソースのほかに柿ポン酢も
香草と和漢漂うサラダにかけてあるのはふふのオリジナル生ドレッシング
「飛鳥のなめらかプリン」はなんと蓋が柿の葉! 飲めるくらい緩くて、ちょっとめずらしいヨーグルト風味

志賀直哉旧居は雨がお似合い

鈴木亮平さんがCMで暗夜行路を読んでいたのはこの席

 旧志賀直哉邸は、文豪・志賀直哉が昭和4年に移り住み、46歳~55歳までの9年間を家族とともに暮らした場所です。現在は「志賀直哉旧居」として一般公開されており、長編小説「暗夜行路」を完成させた書斎や、約20畳の広さがある食堂、客間などが見学できます。武者小路実篤など文人や画家などが集い“高畑サロン”と呼ばれたサンルームは必見。ここの椅子に座って令和の文化人になりきってみては?

朝から降っていた雨がだんだん強くなってきました
表門をくぐったところにいざいざ奈良のポスター発見!
志賀直哉自ら設計したというこだわり建築。人生で一番安定した時期に住んでいたおうちです

 なぜ“記念館”ではなく“旧居”というのかというと、「銅像や記念碑などは一切建てるべからず」という本人の遺言があるからだとか。ちなみに、交流のあった写真家 入江泰吉は「志賀直哉邸は雨の日が一番美しい」と言ったそう。確かに雨に濡れる玄関までの石畳のアプローチが美しかったです。

かなりのイケメンですわね
この6畳の書斎で長編小説「暗夜行路」を完成させました
1階には主に夏使っていたという北向きの書斎
鉛筆が転がり落ちないためのもので筆返しと言うそうです
大きな窓からは庭が見渡せ、天窓から光が差し込むサンルーム。ここに文人や画家が集ってサロンと呼ばれたのも納得
約20畳の食堂。民藝調の天井照明は柳宗悦の影響
当時としてはハイカラなシャワー付きだった浴室。お風呂は五右衛門風呂
2階の客間からは若草山や御蓋山が見えます

隠れ家のようなガーデンカフェ「たかばたけ茶論」

左が志賀直哉旧居、右の塀のなかがカフェ
アーチのエントランスをくぐります

 志賀直哉旧居と小道を隔てたすぐ隣にあるのが「たかばたけ茶論」です。もちろん店名は、先ほどご紹介した志賀直哉旧居の“高畑サロン”から。ここは洋画家の中村一雄・紀矩子夫妻が1981年に自宅の庭を開放しオープンしたガーデンカフェ。41年目の現在は“ママ”の紀矩子さんと娘さんがお店を切り盛りしています。

訪れたのは桜がちょうど散ったタイミングでした。満開のときは大忙しだったそう

 このたかばたけ茶論、とにかくお店の佇まいが素敵すぎます。春日の社が近く、志賀直哉旧居のお隣という歴史的・文化的にも興味深いロケーション。(こんなところに住みながらお庭でカフェができるってうらやましい~!)と、カウンターの向こうで静かにコーヒーを淹れる紀矩子ママの姿に見とれてしまいました。

コーヒー(600円)とチーズケーキ(650円)。ドリンクとセットで100円引きになります
さりげなく置かれた草花に愛を感じます
鈴木亮平さんもCMのなかでガーデン席に座っていましたね

 メニューはシンプルにコーヒーや紅茶、ジュースなどの飲み物とチーズケーキのみ。なのですが! そのなかに「ビール」の文字があるのを私は見逃しませんでした。お天気のよい日にガーデンの木漏れ日の下でビールを飲んだらさぞかし美味しいことでしょう。天気のよい日にリベンジしたいです。

笑顔で出迎えてくださった紀矩子ママと娘さん。ありがとうございました!

時代劇のロケ地にもなっている禰宜道を歩いて世界遺産 春日大社へ

樹齢1000年ともいわれる本社大杉。幹のまわりは約8mあるそう

 たかばたけ茶論前の小道を下ると、うっそうとした森が開けます。これこそが春日大社の神域として昔から伐採や狩猟が禁じられ、人の力で大切に守られてきた春日山原始林。「古都奈良の文化財」の一要素として世界遺文化遺産に登録されています。その入り口で出迎えてくださったのが春日大社広報の秋田真吾さん。「今回は“下の禰宜道(しものねぎみち)”を歩いて本殿へ向かいます。雨でぬかるんでいますので足元に気をつけてくださいね」。

下の禰宜道。市川雷蔵主演の新・平家物語(1955年)をはじめさまざまな時代劇作品のロケ地として使われているそう

 かつて高畑には神官が多く住んでいて、この道を歩いて春日大社に通っていたことから「禰宜道」というのだそう。「下(しも)」というくらいなので「上(かみ)」や「中(なか)」もあるようです。

CMで鈴木亮平さんも見上げた巨木。春日山原始林は最も街に近い、世界でもまれな世界文化遺産です
毒があるので鹿が食べないという馬酔木(あせび)があちこちに
ずらっと並んだ石灯籠から顔を出す鹿たち
雨に濡れてちょっとかわいそう

 全国におよそ3000社ある春日神社の総本社、春日大社は、奈良時代に平城京のご守護と国民の繁栄を祈願するために創建されました。境内あちこちで見かける鹿は神鹿(しんろく)として大切に保護されています。

斜めに分かれる剣先道へ。本堂へ続く藤原氏ゆかりの近道です
天気がよければ正面に御蓋山(みかさやま)が見える場所
春日大社は藤の名所。これは「砂ずりの藤」。花房が伸びて砂にすれるということからこの名が
かわいい「白鹿みくじ」。鹿はお土産として持って帰ることができます
藤の花の季節限定「藤まもり」。近年は鬼滅の刃効果で大人気とか
境内にはたくさんの燈籠が。古いものでは戦国時代の武将 直江兼続が奉納したというものも

 所蔵している文化財の多くが平安時代製作の宝物であることから「平安の正倉院」ともいわれている春日大社。現在国宝殿では春季特別展「江戸のはなやぎ 屏風と宝物」を開催中です。なかでも「金鶴及銀樹枝」という純金の鶴の工芸品は平安時代のもので国宝。撮影不可だったので写真はありませんが、ぜひ現地でその優美さを感じてみて。

国宝殿の1階ホール。舞楽を屋外で演奏する際に使われるという大きな太鼓は陰陽一対でカッコいい

奈良の地酒のお土産選び

近鉄奈良駅から商店街を歩くこと7~8分の「なら泉勇斎」

 春日大社からバスに乗って近鉄奈良駅に移動し、最後のスポット「なら泉勇斎」へ。日本酒発祥の地・奈良の28蔵120種類を販売する地酒専門店です。ここでは奈良酒を知り尽くした店主 山中さんと会話を楽しみながら、置いてあるすべてのお酒を試飲(有料)できます。お土産に奈良のお酒と考えている人はぜひ足を運んでみては?「すっきりした辛口を」と相談すると、いくつか候補を出してくださった山中さん。この旅では「篠峯」という純米酒を買って帰り、柿の葉寿司を肴に嗜みました。

同行の記者さんたちと一斉に試飲タイム
とくとくとくっと、いい音で注がれる奈良の日本酒

今回のルートをまわるなら「春日大社国宝殿&選べるイチオシの名所クーポン!」がオススメ

春日大社国宝殿の拝観券と、6施設のなかから選べるもぎり券が2枚付いています

 JR東海が推進する、旅する時間や場所、行動をずらす“ずらし旅”では、「いざいざ奈良 春日大社・高畑編×ずらし旅」コラボプランが登場しています。旅行商品ずらし旅についてくる選べる体験では、春日大社国宝殿の拝観と、高畑エリアを中心とした以下の6施設のうち2施設を選べる名所クーポンを用意しています(カッコ内は体験内容)。

1. 新薬師寺(拝観)
2. 志賀直哉旧居(入館)
3. 入江泰吉記念 奈良市写真美術館(観覧)
4. 空気ケーキ。(オリジナル焼き菓子詰め合わせ)
5. ジェラテリア フィオレ(550円までのジェラートシングル)
6. なら泉勇斎(スタッフお勧めの試飲セット)

 利用期間は6月30日まで。詳しくはこちらに

例えば「空気ケーキ。」では焼き菓子をもらって、なら泉勇斎では地酒を試飲。こんな感じで2枚のもぎり券を使います

奈良市観光協会主催のウォーキングツアーも

 奈良市観光協会主催では「いざいざ奈良」連動企画としてのウォーキングツアーを現地のガイド付きで開催。春日大社・高畑エリアで歴史・文化・自然の魅力を満喫することができますよ(春日大社・新薬師寺案内ツアー春日山原始林ツアー 若草山コース)。

ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。