旅レポ

JR東海の「いざいざ奈良」キャンペーン第4弾は西ノ京と平城宮跡。奈良の広さと歴史情緒あふれる史跡を見てきた

平城宮跡にある第一次大極殿。天皇の即位式や外国使節との面会などに使われた平城宮を代表する重要な建物

 今から1300年前の歴史に触れられる街として人気のある奈良。この秋、JR東海は「いざいざ奈良」キャンペーン第4弾を始めており、9月22日からは首都圏・東海地方において俳優の鈴木亮平さんが出演するテレビCMも放映されている。今回のイチオシスポットは西ノ京・平城宮跡だ。レポートは2回に分けて、お寺や史跡の見どころ、近隣のホテルやグルメスポットなどを紹介する。

JR東海の「いざいざ奈良」キャンペーン第4弾は西ノ京・平城宮跡

 今回紹介するのは「平城宮跡」「薬師寺」「唐招提寺」の3か所。平城宮跡は平城京の中心であった平城宮の宮跡、薬師寺は薬師三尊像と三重塔、唐招提寺は鑑真和上のお寺として有名で、それぞれが「古都奈良の文化財」として世界文化遺産にも登録されている。平城宮跡は近鉄奈良線の大和西大寺駅、薬師寺と唐招提寺は近鉄橿原線の西ノ京駅が最寄りの駅になっている。

 なお、普段は撮影NGな場所も特別に許可をいただいているので、あらかじめお断りしておく。

CMにも登場する平城宮跡は復原されたばかりの大極門に注目!

 平城宮跡といえば史跡を横切る近鉄奈良線、そしてそこからの風景が思い浮かぶ。修学旅行などで京都から奈良に行ったことがある人は、近鉄奈良駅の到着前にだだっ広い草原に朱塗りの朱雀門がドーンと現われるのを思い出すことだろう。世界遺産にも認定されている史跡のなかを電車が通るという不思議な風景の成り立ちはここでは割愛するが、線路の移転計画が立ち上がっており、今後もこの風景がいつまでも残されるのかは分からない(移転計画については、今年から現職の山下真知事が見直しを表明している)。

夜はライトアップされる第一次大極殿。朱雀門も同様にライトで照らし出されるので美しい。近鉄奈良線の架線がうっすらと見える

 そんな平城宮のあった平城京が藤原京より遷都されたのが710年、今から1300年以上も前のこと。東西約4.3km、南北約4.8kmの長方形の東側に東西約1.6km、南北約2.1kmの外京を加えた総面積は約2500haと伝えられている。政治の中心だった平城宮は、東西南北約1kmと東側の東西250m、南北750mの張り出し部で構成されており、現在は平城宮跡歴史公園として残されている。公園への入場や施設の見学は無料だが、公開時間はそれぞれ設定されている。西大寺方面から訪れるのなら、平城宮跡資料館、復原事業情報館、大極門(第一次大極殿院 南門)、第一次大極殿が道なりで見て回れるのでオススメだ。

平城宮跡歴史公園のマップ。かなり広いのでレンタサイクルで周辺も含めて回るのもよい
復原事業情報館では当時のたたずまいを再現した模型を見ることができ、建築技法についても学べる

 そのなかでも大極門は、2022年3月に完成したばかりとまだまだ新しいので今が見ごろ。この大極門はこの建物だけでなく、左右に東楼と西楼が配置され、その2階では宴会も行なっていたそうだ。いわば、3つの建物がセットなので、現在は東楼の復原整備工事が行なわれている。

 おもしろいのは大極門の工事に使った素屋根(工事用の仮設建造物)を解体せずに、そのまま油圧ジャッキで東楼の位置までゆっくり移動させたことだ。こうすることで、解体してまた組み立てるといった手間やコストが省ける。こうした工程から大極門と朱雀門の違いや見どころといった案内板も立てられているので、歴史に興味がある人、建築物に興味がある人など、多くの人が楽しめることだろう。

 今回は時間の関係上、隅から隅まで見て回れなかったが、Webで公開されているテレビCMのメイキングビデオでは、鈴木亮平さんが平城宮跡の楽しみ方について「想像力があるかないか、知識があるかないか、そこだけなんですよ」と答えているように、次回はあれこれとイメージを膨らませながら歩き回りたい。そんな魅力を感じさせる場所だった。

復原されたばかりの大極門。現代においてもその荘厳なフォルムはロマンを感じさせる
少し角度を変えて見ると、現在復原工事中の東楼がチラリと見える
こちらは西楼の復原を予定している場所
工程を説明したパネルがズラリと並ぶ。読んでいるだけで楽しい
素屋根のスライドは30日以上かけて行なわれた
見た目は当時を再現していても、内部は耐震対策が施されている
一見すると同じに見えるが、実は細部が大きく異なる大極門と朱雀門

ついに完成した釈迦八相像が東塔と西塔で見学できる薬師寺

 近鉄橿原線・西ノ京駅から徒歩1分のところにある薬師寺。健康と幸福を与えてくれるとされる薬師如来のもとには多くの人が足を運ぶ。現在は12年かけて修理を行なった東塔を祝して「国宝 東塔落慶記念 東塔・西塔特別公開」が2024年1月15日まで行なわれている。期間中は東塔と西塔の初層内に入ることができ、彫刻家・中村晋也氏作の「釈迦八相像(東塔因相・西塔果相)」を見学できる。

 前回筆者が訪れたのは2021年10月で、そのときは東塔は普段は目にすることができない貴重な心柱を見ることができた。今回はその心柱の周囲に釈迦八相像が飾られており、お釈迦様の誕生からお亡くなりになって祀られるまでのストーリーを知ることができる。東塔の内部に飾られている「入胎(にったい)」から始まり、西塔の「分舎利」まで8つのシーンを目にできる。西塔は完成していたが、このたび東塔の4場面も完成し、期間限定の特別公開となった。日本を代表する彫刻家・中村氏が構想と製作で10年以上費やした大作をこの目に焼き付けておきたい。

 薬師寺に来たからには薬師如来を拝んでおきたい。社会も以前よりは落ち着きを取り戻してきたことから、コロナ禍では常に手元に置いてあった薬壺(やっこ)が外されていた。今回も正面からと三尊像が美しく見える横からの姿を拝んできた。

これぞ奈良という感じが味わえる薬師寺の東塔と金堂
建立から1300年の時を重ねた東塔
当時の雰囲気を味わえる西塔
取材陣に分かりやすく説明してくれた生駒基達 副住職
東塔内では「入胎」「受生」「受楽」「苦行」の4シーンを拝観できる。お釈迦様に乳糜をお布施するスジャーターから、かの有名なコーヒーフレッシュは名付けられたとのこと
薬師如来、日光菩薩、月光菩薩の三尊像。どの角度からでも心が洗われる

鑑真和上の来日1270年を記念して御影堂を特別公開中の唐招提寺

 薬師寺から徒歩圏内にある唐招提寺も素晴らしい建物が残っているお寺だ。雄大さに息をのむ金堂は奈良時代に建てられたもので、1300年の時を経て今なお重厚なたたずまいを残している。もちろん、国宝に指定されている大変貴重な建物だ。

 そして内部には奈良時代と平安時代に作成された、盧舎那仏坐像、薬師如来立像、千手観音菩薩立像、四天王立像(持国天、増長天、広目天、多聞天)、梵天・帝釈天立像と、これまた国宝に指定されている文化財が圧倒的な存在感で祀られている。

 補修が行なわれているとはいえ、当時の雰囲気を今でも鑑賞できる空間は本当に貴重と言える。また、この大きな木造の金堂を古くから支えている技法もじっくり鑑賞すると実におもしろい。大きな軒先を支えるために、三手先(みてさき)と呼ばれる三角形を利用した技法を用いるなど見どころは多数ある。

 そして敷地内には、これまた鈴木亮平さんが「感動したし、教えたくない場所でもあるし」と話していたのが鑑真和上の墓所へ至るまでの道の左右にある苔庭だ。非常に美しく神聖な雰囲気が漂う場所なので、こちらもぜひとも足を運んでもらいたい。

 さらに注目なのは、鑑真和上の来日1270年を記念して御影堂を特別公開していることだ。こちらは鑑真和上坐像(国宝)を奉安しており、例年は6月だけの公開だが、今年は特別に10月と11月にも公開日を設定している。貴重な鑑真和上座像と東山魁夷氏が手掛けた襖絵を目にできるまたとない機会だ。興味ある方は唐招提寺のWebをチェックしよう。

奈良時代の姿を残す唐招提寺の金堂。そのなかは国宝に指定されている仏像が立ち並ぶ
南大門から眺める金堂もまた格別
重い軒先を支える奈良時代の知恵
四隅で隅木を懸命に支える隅鬼。このような隠れた見どころもたくさんある
望遠カメラがない人は石像になっているこちらを見てください
平城宮の東朝集殿(ひがしちょうしゅうでん)を移築して改造した講堂。ここで鑑真和上の教えを聞くために講堂内はもちろん、周囲にも漏れ聞こえる声を求めて大勢の人たちが集まったそうだ
一面が鮮やかなグリーンで覆われた苔庭。静寂のなかで生命と悠久の時を感じさせてくれる
自然が多く残されている境内は時間をかけてゆっくりと回りたい

新登場の「EX旅先予約」で特別ツアーを用意

 今回のキャンペーンでは新しく登場するJR東海の「EX旅先予約」において、いざいざ奈良のスペシャルツアーも用意されている。

 唐招提寺の「鑑真和上座像の特別参拝とオリジナル切り絵御朱印」「僧侶の解説付き金堂内部特別拝観ツアーと立体切り絵御朱印授与」、平城宮跡の「【いざいざ奈良CM舞台】はじめての平城宮跡 TV出演多数の研究員による解説付き散策ツアー」、薬師寺の「東塔・西塔特別拝観とドクターイエローコラボお守り」といったもので、どれも魅力的なツアーだ。こちらのWebも要チェック!

野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。