ニュース

富士山の日にデビューした遊覧船「箱根遊船 SORAKAZE」で芦ノ湖絶景旅へ。ご利益ありそうなユニークな船内を見てきた

富士急行の芦ノ湖遊覧船「箱根遊船 SORAKAZE」を体験するプレスツアーに行ってきた

 2月23日“富士山の日”にデビューした富士急グループの遊覧船「箱根遊船 SORAKAZE」。芦ノ湖の新たな観光スポットとして誕生し、船上から四季折々の景色を楽しめるのはもちろん、船自体がまるで“湖上に浮かぶ緑の公園”のようにユニークな工夫が施されたデザイン性も特徴だ。

 今回はそんな箱根遊船 SORAKAZEを体験するプレスツアーに参加し、初夏の箱根をひと巡りしてきた。

江戸の歴史を今に残す観光施設「箱根関所」の港を出発。初夏の風が気持ちいい約40分の芦ノ湖周遊へ

 箱根遊船 SORAKAZEは、芦ノ湖畔にある「箱根関所跡港」が発着起点となる。運航ルートは箱根関所跡港~元箱根港~箱根園港~箱根関所跡港。芦ノ湖を3つの港で南北に結び(約11.4km)、所要時間は往復約40分。

 箱根の山々に囲まれた静かな湖面越しに、パワースポットである「箱根神社」や湖畔の町並み、天気がよければ富士山ビューも望む。

 往復乗船料は大人(中学生以上)1800円、子供(小学生)900円。そのほか片道きっぷや1日フリー乗船の大人2700円、子供1350円があり、途中港で自由に下船・乗船して、観光散策も楽しめる(湖尻港は営業休止中)。

発着起点となるのは箱根関所跡港
今回はあいにく曇天だったが、天気がよければ山の合間に富士山を望む(写真提供:富士急行)
船上から見渡す箱根関所跡
元箱根港を出発して4分後に箱根神社の“平和の鳥居”が見えてきた

 箱根関所跡港は江戸時代の関所を再現した観光施設「箱根関所」への最寄り、元箱根港は湖上の鳥居が撮影スポットとしても人気な「箱根神社」への最寄り、箱根園港は「箱根駒ケ岳ロープウェー」山麓駅への最寄りになるため、路線バスやレンタカーでの山道の移動が主流な箱根観光においては“水路のアクセス手段”として使えるのもポイントだ。

箱根関所跡港は江戸時代の関所を再現した観光施設「箱根関所」に併設。食事処やお土産ショップもある
箱根園港で下船すると「箱根駒ケ岳ロープウェー」に乗れる
遠くに見えたのは、小田急箱根が運航する遊覧船「箱根海賊船」
富士急グループ「箱根遊船 SORAKAZE」の運航ルート

青い湖に映える船体の“水引風デザイン”。天然芝のデッキやブランコなど、船内はまるで緑の公園

 富士山や自然豊かな箱根・芦ノ湖の旅を、空と風と一体になって楽しんでほしいという想いから名付けられた「箱根遊船 SORAKAZE」。

 デザインは、JR西日本グループの高速船「SEA SPICA」や特急列車「WEST EXPRESS 銀河」を手掛けた建築デザイナー・川西康之氏によるもので、“箱根・芦ノ湖に浮かぶ緑の公園”をコンセプトとしている。

 天然芝を敷き詰めた屋外デッキを設け、船尾に天然の蔦(ツタ)を這わせ、草花のプランターを並べるなど、従来の遊覧船にはなかった自然の緑をふんだんに取り入れることで、富士山麓の自然環境を尊重し、この地域の風景に調和させている。

こちらが正面
こちらが船尾
船上には富士山麓の自然を尊重して天然芝を敷いたデッキがある
船尾には天然のツタを這わせた緑のカーテンと草花が咲くプランターなど
天然ツタの合間から、箱根神社の“平和の鳥居”をのぞく

 また、真っ白な船体のトレードマークである赤と金の“水引風デザイン”は、船上から望む箱根関所や箱根神社の「平和の鳥居」などからインスパイアされた縁起のいい和の装い。

 船内は1階から4階まで全4層からなるが、最上階4階の甲板上には富士山をモチーフにした撮影スポットも設けている。景色に向かって漕ぐようなブランコや“ケンケンパ”風の飛び石などといった遊び心に加え、日本らしい風情を体験できるとあって、この日乗った便には外国人観光客も多くみられた。

白い船体に赤と金(黄)のアクセントは、ご祝儀袋などの飾り紐である“水引”がモチーフ。ツルや水引の結び目が船頭にあしらわれる
最上階4階の屋外デッキには、富士山モチーフのフォトスポットや飛び石も。日本らしいあしらいで外国人観光客にも人気がある
「箱根遊船 SORAKAZE」のデザイン統括を務めたイチバンセン一級建築士事務所 代表取締役の川西康之氏

どこに座っても特等席! 定員550名の船内は、誰もがゆったり楽しめるユニークな工夫が

 全長27.5m、全幅11.6m、総トン数約265トン、速力11ノット(時速約20km)で進む箱根遊船 SORAKAZEは、船体2隻分の広さを持つ双胴船。とくに展望甲板は360度の視界も開ける開放感があり、また芦ノ湖のようなカルデラ湖でも揺れが少なく、優れた安定性を発揮するため湖の運航に適している。

 今回デビューした船は、建造から40年が経過した「はこね丸」を大幅に改装したもの。SDGsの取り組みのひとつとして既存船を再活用しつつ、まったく新しい観光船へと生まれ変わらせた。

上からみた「箱根遊船 SORAKAZE」。まだ天然芝が育っていない就航前のようす(写真提供:富士急行)
こちらはのりばに停泊していた建造40年の「はこね丸」と同じ船
双胴遊覧船は安定性と視界360度の展望甲板の広さも特徴
船内は1階から4階まで全4層からなる
定員550名に減らしたことで、船内は広々と開放感がある

 また、元々定員700名であったはこね丸を定員550名の席数に激減させることで、1階により広々したスペースを確保し、車椅子やベビーカー利用の乗客も座れるゆったりとしたソファ席や多目的トイレを設けるといったバリアフリー化にもこだわった。小さい子供が靴を脱いで遊んだり、大きな窓越しに操舵席の様子をのぞいたりできるスペースがあるのもめずらしい。

一般トイレ
多目的トイレ
1階は広いスペースを確保し、バリアフリー化
大きな窓越しに操舵席の様子が見られる。船長になりきれる制服のキャップも用意
子供たちが靴を脱いで遊べるスペース

 なかでもユニークだったのが、屋内外に用意された座席のイスだけで15種類もあるという点。例えば、畳を敷いた小上がりスペース、ゆりかごのようなハンギングチェア、赤富士をモチーフにしたラグジュアリーなセンターソファ席、ブランコ風ベンチなど。さまざまな乗客が自由に席を行き来して、お気に入りの“居場所”を見つけられる工夫だという。

 温もりある木材や伝統工芸の箱根寄木細工を活かしたインテリアもふんだんに散りばめられ、風を感じるデッキだけでなく室内まですべて特等席。家族でもグループでも、カップルでもおひとりさまでも楽しみやすい空間がまさに“公園”のようだった。

 ちなみに愛犬(中型犬30kg)も乗船可能。ワンちゃん運賃は、飼い主と同一利用区間で1匹300円となっている。

飼い主と一緒に“湖上浴”するワンちゃんも風が気持ちよさそう

ご利益あるかも。船内ショップでここでしか買えないお土産&グルメをゲット

 船内1階のショップでは、箱根遊船 SORAKAZEらしいお土産と限定メニューを購入することができる。

 お土産のラインアップは、クリアボトルに入った限定パッケージの「ミニフジヤマクッキー」(850円)、船と水引デザインがかわいい「縁起物キャンディー」(650円)、水引で富士山をかたどった「富士山水引根付」(880円)、「箱根遊船オリジナルクラフトビール」(1000円)など。

 一方限定メニューは、富士山型のチョコレートをトッピングした「ちょこっと富士山ジェラート」(豆腐、抹茶、プレミアムバニラ、チョコレート、いちごミルクの全5種類で各650円)や、芦ノ湖ブルーをイメージした「芦ノ湖リフレクションソーダ」(600円)、「富士山くずキャンディーソーダ」(800円)がお勧めという。

 芦ノ湖の絶景を眺めながら優雅に味わうもよし。富士山や箱根神社の鳥居をバックに撮影すれば、SNS映えも狙えそうだ。

船内1階のショップ。定番人気「フジヤマクッキー」は箱根遊船 SORAKAZE限定パッケージで販売
船と水引デザインがかわいい「縁起物キャンディー」も船内限定
「箱根遊船オリジナルクラフトビール」などは大人にお勧め(写真提供:富士急行)
景色を眺めながらゆっくり味わいたいメニューもいろいろ(写真提供:富士急行)