旅レポ
三井オーシャンフジで行く初めてのクルーズ旅。6泊7日の台湾周遊、“ホテルが旅に付いてくる”?
2026年3月4日 12:00
身近な経験者から繰り返しクルーズのよさを力説されてきたが、実際に自分で乗ってみて理解したのは、「ホテルが旅行に付いてきてくれる」のがクルーズだということ。
ホテルは普通、目的地にあるものだが、クルーズはホテルに乗り込んで移動する。出かけた先で「もうこのままお風呂入って寝たい」と思うシーンはよくあるが、それを地で行くのがクルーズ。
「いや客船はそういうものだろ」と思うかもしれないが、自分で体験するまで本当のところが理解できていなかった。
全室海側オーシャンビュー、リビング+寝室のスイート仕様
今回乗船したのは、商船三井クルーズの客船「三井オーシャンフジ」で行く6泊7日の台湾周遊。
船の全容については以前詳しく紹介しているが、主要諸元は全長198.15m、全幅25.6m、喫水6.4m、総トン数は3万2477トン、速力は19ノット。客室数229、旅客定員は458名、船籍はバハマ。
記者のようなクルーズ船に不慣れな人間から見ると、これでもホテルが海に浮かんでいるようなインパクトがあるが、世界に目を向けると全長350m超、総トン数25万トン超、客室数3000弱、旅客定員7000名超という超高層ビルを横倒しにしたような巨大船も存在する。
もっとも、こうした巨大船はどうしても「窓のない客室」が存在するが、三井オーシャンフジは全室が海の見えるスイート客室で、ほぼすべてがベランダを備えているため開放感がある(229室中、オーシャンビュースイート26室のみベランダなし)。
今回滞在した「ベランダスイート」は計167室ある中心的な客室カテゴリーで、平均面積は26.4~30.2m2。リビングエリアと寝室エリア、ウォークインクローゼット、浴室があり、特に浴室はシャワーブース・バスタブ・ダブルシンクの洗面台・洗浄機能付きトイレを備える贅沢な作りだった。
パスポートは船に預ける? 乗船までの流れと客室「ベランダスイート」
横浜港のようにアクセスのよいところはともかく、それ以外では主要駅・空港からシャトルバスを運行している(要予約)。今回の那覇クルーズターミナルの場合は、那覇空港の到着フロアに集合場所が指定してあって、ある程度の人数ごとにバスへ分乗、荷物とともに港へ運んでくれる。バスを降りたところで荷物に客室番号のラベルを取り付けて預け入れ。身軽な状態で出国手続きへ向かう。
クルーズ港での出国は飛行機旅と若干雰囲気が異なるものの、おおまかな手順は同じ。決定的に違ったのは、乗船のタイミングで「パスポートを船に預ける」という点だ。これは、寄港地での入国審査を船が一括して行なうためで、パスポートが返ってくるのは最終日の下船時。寄港地ではパスポートのコピーを渡されるので、これが現地での身分証明になる。
乗船前にはルームキーを兼ねたカードの配布があり、ここにクレジットカードを紐付けておく。船内の飲食は基本料金に含まれているが、料金外のサービスを利用したり、土産物を購入したりといったシーンでこのカードが役立つ。なお、カードには万一避難しなければならなくなったときのためのグループ分けがしてあり、乗船時にその集合場所の確認も行なう。
80Lクラスのスーツケースを広げても余裕があるのはスイート船室ならではだが、着替えや入浴のたびに開け閉めするのはスマートじゃないので、部屋に入ったら真っ先に荷物を展開して、まずはウォークインクローゼットに1週間分の衣類を収納してしまう。滞在中に1晩だけフォーマル指定の日があったので、持ち込んだスーツにシワが付かないよう、早めにハンガーに掛けておきたい。
幸いハンガーはものすごい数(30~40本)を備えていた。こうして衣類をクローゼットに詰め込んでいくのは“客室の自宅化”第一歩で、中長期滞在ではいかに宿泊先の部屋を過ごしやすくするかが実は大事だったりする。
ひとしきり部屋を見て回って、電源コンセントの位置を確認したり、船内Wi-Fiを接続してみたり、安全ビデオを視聴してみたり(これは必須)。まずは部屋に何があるかを認識しておくのがお勧め。
アメニティは主なものが揃っているので、「これでなければ」というこだわりがないなら持ち込みナシ(か最小限)で大丈夫。ただ、部屋着・寝間着は用意がないので、快適な航海のために忘れずに持っていきたい。
なお、個包装で消費するタイプのアメニティは鏡台の引き出しに入っているのだが、記者は寝る直前までその存在に気付いていなかった。また、冷蔵庫の飲み物は料金に含まれているため、消費すると補充されるようだが、これも3~4日目あたりまで気付いていなかった。部屋の検分は大切だ。
ついでに言うと、客室のベッドはツインだがやや幅の狭い仕様(ナローベッド)なので、ルームサービスに依頼して2台のベッドをくっつけてしまうのがお勧めと聞いた。これで落下の不安もなくなる。
航海中、繰り返しお世話になるのは内線機。このベッドの件もそうだが、ルームサービスは24時間対応だ。レストランで食事を終えたあとでも、「コーヒーを飲みたい」「甘いものを少し」にもちろん対応してくれるし、「今日はレストランじゃなくて部屋で済ませたい」なんて気まぐれでも構わない。遠慮なくルームサービスを使いこなせるかどうかは、クルーズ旅の満足度に大きく関わってくると思う。
6泊7日の日程は中3日間が寄港日。船長主催のパーティはフォーマルな装いで
今回乗船したのは、那覇クルーズターミナルを発着する「エキゾチック台湾クルーズIV ~高雄・安平・台中~」の6泊7日で、旅程は以下のとおり。
エキゾチック台湾クルーズIV ~高雄・安平・台中~
1日目: 那覇クルーズターミナルから乗船
2日目: 終日航海日 ※ディナーはドレスコードあり
3日目: 台湾 高雄に寄港
4日目: 台湾 安平に寄港
5日目: 台湾 台中に寄港→悪天候で九份へ変更
6日目: 終日航海日
7日目: 那覇クルーズターミナルで下船
非常にざっくりいうと、中3日間が寄港日、それ以外を航海日に設定している。クルーズの花形・寄港地ツアーと船内での過ごし方については改めて別記事で紹介するが、初日の夕方に乗船、最終日の朝に下船なので、2日目と6日目は丸々24時間海の上にいる(本ツアーの場合)。
2日目の夜は、個人的にやや緊張感のあったドレスコードの日。事前の資料ではフォーマルと指定があったが、タキシードで参加せよという話ではなく、上下スーツにワイシャツ、ネクタイ、革靴(ストレートチップやプレーントゥ)なら大丈夫。
リピーターが多いせいか、記者以外の乗客は皆さん慣れた様子で、女性はドレスだったり和服だったりと大変華やかだった。ちなみにクルーズ船では「船長主催のウェルカムパーティ」というのがお決まりであるそうで、基本的にこの夜がフォーマルに指定されている。
寄港日は下船時刻から最終帰船時刻まで指定してあるので、その間は基本的に自由行動。クルーズターミナルでは、乗船時と同様の荷物検査などはあるものの、入国審査は船が一括して行なっているため、飛行機旅の入国よりも緩やかな印象を受けた。
事前に申し込み済み、あるいは空席があれば前日までに申し込むことで寄港地ツアーに参加できる(別料金)。その寄港地について詳しくない、言葉に不安がある、といった場合はツアーを利用することで定番のロケーションを巡ったり、現地でのアクティビティに参加できたりする。参加者をバスに乗せて現地まで移動、日本語の説明付きなど現地の魅力に端的に触れることができるので、不慣れな土地では積極的に選びたい選択肢だ。
ただし、寄港地ツアーは集合時刻が朝早い。ルームサービスを頼むにしても、7時~など最速の時間帯で朝食を済ませる必要がある。また、昼食も基本的に船内でとるので、遅くとも寄港地ツアーは昼過ぎには船に戻ってくる。現地の食をじっくり楽しみたい、という場合は自由行動を選んだ方がよさそうだ(本ツアーの場合)。記者も最初の寄港地・高雄では自由行動を選んだ。
クルーズ旅は本当に高いか
今回体験した「エキゾチック台湾クルーズIV ~高雄・安平・台中~」の6泊7日、客室ベランダスイートFの旅行代金は約45万円。これには6泊7日分の航海と宿泊、飲み放題・食べ放題の食事が含まれている。食事は1日3食と言わず、レストランをハシゴするのもルームサービスを頼むのも自由だ。
冒頭で「ホテルが旅行に付いてくる」と述べたが、一度乗船すれば寝ていようが食事中だろうが自動的に目的地まで運んでくれて、まわりの視線を気にせず過ごせる個室があって、ベッドと風呂も用意してある。
ある航空会社はファーストクラスにシャワールームを用意しているが、いくらファーストクラスでも空の上でバスタブはあり得ないし、寄港地(空港)ごとに降機/搭乗の必要がある。その点、クルーズでは荷物は客室に入れっぱなしで、最終下船まで片付けを意識しなくてもいい。
はたしてファーストクラスで台湾を往復して、ホテルに6泊して、1日3食以上の飲み食いをして45万円で収まるだろうか。クルーズ旅と飛行機旅のどちらが優れているという話ではないが、今回初めて体験してみて、「クルーズにリピーターが多い」ことに納得できる理由を多く見つけることができた。






























































