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星野リゾートが手掛けた初のエアポートホテルに行ってみた。関西空港の隣に空と飛行機を感じるスマートな700室が誕生!

「OMO関西空港 by 星野リゾート」

2023年3月20日 開業

「OMO関西空港 by 星野リゾート」のオープンを祝して関西エアポートグループ公式キャラクターそらやんも駆けつけた

 星野リゾートは3月20日、OMOブランドのエアポートホテル「OMO関西空港 by 星野リゾート」(大阪府泉佐野市りんくう往来北1-833)を開業した。大阪府内では2022年4月にオープンした「OMO7大阪 by 星野リゾート」に次ぐ2番目の施設となる。

 これまでのOMOブランドは、「OMO」の後ろに付く数字(OMO1/3/5/7)でサービス内容を定義していたが、OMO関西空港は既存のカテゴリーに属さない新しい位置付けになっている。また、星野リゾートがエアポートホテルを手掛けるのはこれが初めて。

国道481号線に面した1階入口部分
「OMO関西空港 by 星野リゾート」の2階OMOベース。随所に飛行機をテーマにしたオブジェを設置している
これまでの4つのサービスカテゴリーに新たに加わった飛行機のアイコン

 関空の対岸、りんくうタウンの中心部に位置し、関西空港駅から1駅(約5分)のJR/南海電鉄「りんくうタウン駅」に直結。関西圏の人気の観光地、京都からはJR利用で約1時間半。神戸三宮からも1時間40分程度。大阪難波からは南海電鉄の利用で約30分程度と、大阪・兵庫・京都の主要観光地へおおむね2時間以内でアクセスできる利便性が魅力となっている。

 建物は地上22階。客室は全8タイプ700室で、1泊1室1万6000円からの提供となる。施設には大浴場やサウナ、ビュッフェ型式のレストラン備える。ホテルのコンセプトは「空チカ、ファンタイム」。ホテルと関空をシャトルバスで結び、「空チカ」なアクセスを提供。エアポートホテルの利便性はもちろん、関空から旅に出かける人、関空へ旅を終えて帰ってきた人に「ファンタイム」を提案するとしている。

JR/南海電鉄りんくうタウン駅から直結の2階の入口部分
1階エントランスの関空行きシャトルバス乗り場。早朝に限り第2ターミナルへも直接乗り入れる

 開業にあたっては、星野リゾートが独自にエアポートホテルの利用動向を調査。結果、利用者の65%はエアポートホテルに不満はないと答え、おおむね「価格・アクセス・清潔さ」が利用者の選択基準になっていた。裏を返すとエアポートホテルは「寝るためだけの場所」であり、利用者はエアポートホテルに多くを期待していない実態が明らかになったという。

 昨年の発表会で登壇した星野佳治代表は、「エアポートホテルに泊まった夜がよかったと思ったことがない」と語っており、同ホテルはこの現状を変えるべくOMOブランドを掲げ、従来のエアポートホテルのあり方を星野リゾート流の解釈のもと、新たな宿泊体験を利用客に提供するという。

 20日のオープンに先立ち内覧会が行なわれ、その全容が公開された。建物は当初、ホテルWBFグランデ関西エアポートとして2020年に開業予定だったが、新型コロナウイルスによる観光需要の低迷のため延期・凍結。運営権を星野リゾートが取得し、「OMO関西空港 by 星野リゾート」の開業に至った。

1階エントランス。シャトルバスや自家用車で到着の場合は1階から出入りする
2階入口横にはコンビニエンスストアもオープンする

 エントランスは1階と2階で、1階には17台分の駐車場を完備。先着順で予約は不可となっている。2階エントランスはJR/南海電鉄りんくうタウン駅から直結しており、駅から徒歩1分で入館できる。

 また、「OMO」ブランドではおなじみのOMOベースは1階と2階にあり、1階のOMOベースはコワーキングスペースとしても利用可能。2階のOMOベースには「Go-KINJO」マップはもちろんのこと、旅客機のエンジンのブレードをモチーフにした照明や、旅客機のオブジェなど、随所に飛行機をテーマにした演出がなされている。

 チェックインは備え付けの専用タブレット端末で実施。スマートでスピーディなチェックインを実現している。また、同フロアには関空のフライトインフォメーションが表示されるディスプレイもあり、エアポートホテルならではの機能も充実している。

1階エントランス横に設置したOMOベース
設置されているイスは飛行機の座席をモチーフにしている
コワーキングスペースとしても利用可能。飛行機の窓をモチーフとしたオブジェ
2階OMOベース。広々とした空間に、まわりと取り囲むようにチェックイン端末を設置
天井には航空機エンジンのファンブレードをモチーフにした照明
OMOブランドのホテルではおなじみの「Go-KINJO」マップ。ホテル周辺のオススメスポットを網羅している
大きな飛行機のオブジェが「エアポートホテル」であることを主張している
専用のチェックイン端末。数多く設置されているので、スムーズなチェックインが可能
オリジナルグッズや旅に便利な雑貨などを販売する
館内で快適に過ごすためのウェアなどのレンタルコーナー。サイズも豊富に揃っている
外貨両替機も設置している

 客室は1人利用でも広々としたクイーンルームや、スタンダードなツインルーム、4名まで利用可能な畳スペースを備える和洋室など、全8タイプ700室を有しており、さまざまなニーズにあった客室を提供する。各部屋は独立洗面台を備え、クイーンルームではシャワーブース、ツインルーム、和洋室ではゆったりとした独立した浴室を設置している。

客室フロアのエレベーターホール。各階共通の意匠で明るく清潔感がある
家族利用にオススメの和洋室。最大4人まで利用可能
通常は2名利用の和洋室は、畳エリアに布団を敷くことで最大定員4名に
和洋室の畳エリア。通常はちゃぶ台とクッションが置かれ、ゆっくり足を伸ばしてくつろげる
スタンダードなツインルーム。最大定員は2名。夫婦やカップルにオススメ
ツインルームの浴室。バス・トイレは別になっており、浴槽はお湯をためてゆっくりと入浴可能
客室の端末からチェックアウト処理が可能。カードキーはこのKEY DROPに入れてスムーズにチェックアウトができる

 3階には宿泊客のみが利用できる大浴場があり、半露天風呂と十分な広さをもった内湯を完備。内湯には電気風呂や炭酸風呂、ドライサウナ、水深1mの水風呂、外気浴スペースを備えている。

 大浴場への入室には客室のカードキーが必要で、入口横の読み取り機を使って入室する。こうすることで、大浴場の利用人数が明確になり、客室にいながら大浴場の混雑具合を知ることができる。できるだけ混雑を避けて利用したい人にはありがたいサービスだ。

かなりの大きさを誇る大浴場。内湯には電気風呂や炭酸風呂も
十分な数を備えた洗い場
一度に10名程度が利用可能なサウナ
サウナと言えば水風呂は欠かせない。水深1mの深さはヘビーサウナーでも満足
外気が心地よく吹き込む半露天風呂
明るく広々とした脱衣所
一つ一つの脱衣棚は大きめに設定されている
大浴場と同じフロアに設けられたランドリー。洗濯洗剤を使わない新しい洗濯機。洗剤を使用せずともしっかりと汚れが落とせる

 食事は窓からの景色が素晴らしい、21階のOMOダイニング「エクスプレス・フル・ビュッフェ」でいただく。朝食ビュッフェの時間は7時~10時(ラストオーダー9時30分)。ミニサイズのパンや、サラダ、和食などさまざまなメニューを用意している。特にオススメはふわふわのパンケーキで、ベーコンエッグ、オニオンサーモン、エッグベネディクト、チョコバナナの4種類を提供する。

各地のOMOでも人気のミニサイズの各種パン
朝食ビュッフェで提供される料理の一例
特にオススメはふわふわパンケーキ。上にはベーコンエッグ、オニオンサーモン、エッグベネディクト、チョコバナナの4種類が乗る

 夕食ビュッフェは17時~21時まで(ラストオーダー20時30分)。大阪らしいナポリタンをはじめ、ライブキッチンで提供されるお好み焼きには、大阪名物の串カツやどて焼きなどを乗せて提供。お好み焼きのソースは金紋ソースと共同開発したオリジナルで、隠し味にミックスジュースを加えて大阪らしさを存分に楽しめる工夫がされている。

 ビュッフェで提供する料理はテイクアウトも可能で、用意されているテクアウトキットに自身で料理を入れて持ち帰ることができる。

ライブキッチンではお好み焼きや串カツなどのできたてを提供する
夕食ビュッフェで提供する料理の一例
大阪のソウルフードお好み焼きに、どて焼きや、串カツなどさらに大阪名物を乗せて。ソースはオリジナルの金紋ソース
ビュッフェで食べる時間のない人にはテイクアウトも可能
テイクアウトキットを用意しており、自分で好みの料理を入れて持ち出せる

 そのほか、ビュッフェ利用客の導線も工夫しており、OMOダイニングの入口と出口を分けて、先に料理を選び席に流れるスムーズな導線を確保。時間がなく、短い時間でも食事が楽しめるようになっている。

広々と開放的で混雑時でも導線が塞がれないような工夫がされている
21階からの眺望を楽しみながら食事ができる。夜は夜景も美しい

 2022年9月に行なった星野リゾート関西プレス発表会では、「OMO関西空港 by 星野リゾート」の開業は2023年冬とするだけで、明確な開業期日を設けず、現状の関西空港の国際線就航率などを鑑みて決めるとしていた。

 今回の内覧会でOMO関西空港 by 星野リゾート 総支配人の中里剛氏は、実際のオープンを3月20日に決めた理由について「国内・海外の旅行需要の回復状況をギリギリまで見きわめて判断した」とし、昨年秋の水際対策緩和や、政府の国内旅行支援策など、観光需要回復傾向が明確になった点をオープンに踏み切った理由として挙げた。

「今後さらに需要の回復に備え、2025年の大阪万博に向けて海外だけでなく、国内のお客さまが多くいらっしゃることも想定できる。関西空港を利用する国内外のお客さまによい関西旅のご提案ができるように努力していきたい」と締めくくった。

先行内覧会で登壇する「OMO関西空港 by 星野リゾート」総支配人 中里剛氏