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JR東日本、開業直前の高輪ゲートウェイ駅を公開
構内で無人店舗や新型改札機など次世代を見据えた試み
2020年3月10日 11:55
- 2020年3月14日 開業
JR東日本(東日本旅客鉄道)は3月9日、田町~品川駅間に3月14日に開業する「高輪ゲートウェイ駅」を報道関係者向けに公開した。高輪ゲートウェイ駅は、山手線、京浜東北線が停車する駅で、「グローバルゲートウェイ品川」をコンセプトに進めている品川開発プロジェクト(第I期)において、新しい街の玄関口としてスタートする。
高輪ゲートウェイ駅は、田町駅から1.3km、品川駅から0.9km付近に位置し、地上3階、地下1階の鉄骨作り。ホームは島式の2面4線(山手線、京浜東北線)で、総床面積は約7600m 2 になる。駅の周囲は国内各地や羽田空港へのアクセス性が高いことから、品川開発プロジェクトとして4つの街区に分けて高層ビルを建設する予定。2024年頃のオープンに向けて、2020年度に着工する運びになっている。
その玄関口ともいえる高輪ゲートウェイ駅は、斬新なデザインと環境に配慮した駅舎がひと際目を引く。デザインは東京大学教授で世界的建築家である隈研吾氏が手掛けており、「折り紙」をモチーフにした大屋根は造形が美しく、「和」をイメージした柔らかな外観が印象的だ。そのほかでは、省エネルギー、再生可能エネルギーなど、さまざまな環境保全技術を駅に採り入れた「エコステ」にも取り組んでいる点が注目すべきポイントになっている。
大屋根には熱反射率が高い膜屋根を採用し、温度を上昇させずに外光を採り入れられるようになっており、照明電力量の削減を実現。また、構内には東北地方の木材を使用し、環境に配慮した作りになっている。そのほかでは、太陽光パネルや小型風力発電機による再生可能エネルギーの積極的な利用、LED照明による省エネ化、緑化空間や壁面緑化パネルを設置することで自然との調和も考えられている。
高輪ゲートウェイ駅のもう一つの特徴は、最新テクノロジーを用いた数多くの新しい取り組みを行なっていることだ。AIを活用した無人決済店舗の出店、自律移動型ロボットによるサービスの提供、最新映像機器による鉄道の紹介、タッチしやすい自動改札機などが用意されている。
その中でも目玉的な存在が無人店舗の「TOUCH TO GO」だ。店内には50台のカメラやセンサーが取り付けられており、人の認識や動作、商品の移動などを絶えず管理することで、購入するまで店員が携わらないような仕組みになっている。店内は一般的な駅のコンビニと同程度の広さであり、パンや弁当、飲料水など、約600アイテムが陳列されている。
仕組み的には、店内のゲートをくぐると顔などを認証して利用客Aといったように記録を開始し、動作を追い続ける。棚から商品を取るとそれぞれの個数や単価を利用客に紐付けし、レジ前に立つと精算画面が表示される。精算が済むと、ゲートが開いて店外に出るというのが一連の流れだ。人手不足が叫ばれる中で今後期待されるシステムではあるものの、現状では誤認識もあるので、品出しとサポートを兼ねたスタッフは常駐するとのことだ。
そして人手不足の担い手として期待されるのが、自律移動型のロボットだ。駅構内には案内と移動サポートのロボットが3台、清掃ロボットが2台、警備用ロボットが1台用意され、テストを重ねながら今後の本格的な導入を検討していくとのこと。こちらのロボットは3月中旬より順次稼働する予定なので、訪れた際にタイミングがよければ遭遇できるかもしれない。
タッチしやすい新型の自動改札機は2台用意されている。従来の改札機と異なり、タッチ部分がゲート脇に斜めに設置されており、車いすを使用している人でも容易に通過できるのが特徴だ。
また、こちらの改札機にはQRコード読み取り機能も取り付けられており、5月11日~6月30日までテストが行なわれる予定。前記期間中はQRコード読み取りセンサーのカバーが外されるので見ることはできるが、QRコードによるサービスが始まるわけではないので、何かかざしても反応はしないそうだ。
この日は公開されなかったが、このほかにも駅の3階部分にはスターバックスコーヒーやブース型シェアオフィスの「STATION BOOTH」が用意され、3月23日より営業が開始される予定だ。
昨今の新型コロナウイルス感染症による影響で、駅前の特設会場で3月19日より行なわれる予定だった「Takanawa Gateway Fest」は感染拡大防止の観点から当面の間は延期するというアナウンスは残念ではあるが、山手線、京浜東北線の次世代の駅として、新しい街の玄関口として注目を集める場所になるのは間違いない。