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JR東日本のQRコード対応自動改札機を初体験、新宿駅・高輪ゲートウェイ駅で実証実験スタート
2020年9月9日 15:37
- 2020年9月9日~30日 新宿駅 南改札
- 2020年9月15日~29日(24日~27日除く)高輪ゲートウェイ駅 改札
JR東日本は、「タッチしやすい自動改札機」を利用したQRコードの実証実験を9月9日より開始し、報道公開した。
JR東日本では、シームレスな移動の実現に向けた取り組みの一つとして、2020年2月から新しい形状の自動改札機「タッチしやすい自動改札機」の実証実験を行なっている。タッチしやすい自動改札機は、入り口の手前にQRコードリーダー、入り口から少し入った部分に斜めにICカードリーダーを設置し、従来の自動改札機と比べての使い勝手が検証されている。今回行なわれるQR実証実験は、その一貫として実施されるものとなる。
QR実証実験は、新宿駅の新南口改札と高輪ゲートウェイ駅改札で実施される。実施期間は新宿駅が9月9日から30日、高輪ゲートウェイ駅が9月15日から29日を予定。実証実験の対象者は新宿駅がJR東日本社員、高輪ゲートウェイ駅が一般のモニターとなっており、新宿駅では繰り返し使用する観点で、高輪ゲートウェイ駅では初めて使用する観点で、QR券の使いやすさやQRコード読取り部のかざしやすさなどが評価される。実証実験対象者の人数は、新宿駅については非公開、高輪ゲートウェイ駅では400人となる。
使用するQR券は、紙の券が2種類とスマートフォンを利用した券の3種類を用意。紙のQR券は、新幹線などの乗車券として利用されている大きな券と、主に在来線で利用されている小さな券の2種類で、いずれも券面にQRコードが印刷されている。またスマートフォンを利用したQR券は、スマートフォンの画面内にQRコードを表示して利用することになる。QRコードが印刷されたQR券、またはスマートフォンのQR券を自動改札機のQRコードリーダーにかざすことで自動改札機が開き、通行が可能となる。
QR券の処理速度については、Suicaなどの交通系ICカードが設定している1分間あたり60人という処理速度と、磁気乗車券の処理速度の間になる程度を想定しているという。実際にQR券を利用して自動改札機を通過する様子を体験できたが、QR券の体感の読み取り速度は交通系ICカードと比べてごくわずかに遅いといった程度で、交通系ICカードとほぼ遜色なく利用できた。また、QRコードリーダーにQRコードの印刷面を近づけるだけでかなりスムーズに読み取られるため、戸惑うこともなさそう、という印象だった。
この実証実験で利用されるQR券には、利用者を特定する情報は盛り込まれているが、通常の乗車券のような料金や利用区間などに関する情報は含まれていない。また、QRコードの認証処理も自動改札機内で行なっているそうで、実証実験で利用されるQR券をQRコードリーダーで認識したら改札の扉を開ける、という処理のみが行なわれるという。
JR東日本の担当者によると、今回のQR実証実験の主な目的は、QRという新しい要素を自動改札機に導入した場合に、利用客の流れにどのような影響があるかを評価するためであり、QR券の仕様についてもそれに即したものになっていると説明。そして、実証実験をとおして、タッチしやすい自動改札機のQRコードリーダーやICカードリーダーの配置で利用者がスムーズに自動改札機を通過できるか、QR券やICカードをかざす時に戸惑わないか、といった点が主に検証・評価される。
また、この実証実験をとおして、QR券を導入する場合にはどういった形のQR券や自動改札機の形状、リーダーの配置がよいのかといった点を評価し、今後の開発に活かしたいという。そのうえで、今回の実証実験はJR東日本が取り組んでいるチケットレス推進における新しい取り組みの一つとして行なうもので、現時点でQRコードを利用した乗車券の導入について決まったものは何もないが、利用者に使っていただく選択肢を増やす、ということをメリットと考えて取り組んでいると説明した。
なお、実証実験で利用されているタッチしやすい自動改札機は、QR実証実験中もほかの自動改札機同様にIC専用改札機として利用可能で、実証実験終了後の2020年10月から12月にかけて順次撤去が予定されている。