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ANA、2017年度第2四半期決算は売上高、利益ともに過去最高。国内線利用率も過去最高

2017年11月1日 実施

2017年度(2018年3月期)第2四半期の決算発表。中央は決算概要を発表したANAホールディングス株式会社 執行役員 グループ経理・財務室長 福澤一郎氏。左は同 財務企画・IR部リーダー 築館宏治氏、右は同 グループ広報部長 髙柳直明氏

 ANAHD(ANAホールディングス)は11月1日、2017年度(2018年3月期)第2四半期の連結業績を発表した。ピーチ(Peach Aviation)の連結化のほか、ANAの国際線、国内線収入の好調を受けて、売上高、営業利益、経常利益、四半期純利益いずれも同期過去最高の決算となった。

 第2四半期の累計連結売上高は前年同期比11.3%増の9850億円、営業利益は同28.5%増の1150億円、経常利益は同35.1%増の1127億円、四半期純利益は同106.1%増の1183億円と、いずれも過去最高の結果。第2四半期累計で経常利益が1000億円を超えたのも初めてという。利益増の背景にはピーチの連結子会社にしたことによる株式の洗い替え特別利益388億円なども含まれる。

ANAホールディングス株式会社 執行役員 グループ経理・財務室長 福澤一郎氏

 国内線については、6月からのセントレア(中部)~宮古線や、夏期の一部期間に羽田~那覇で運航しているギャラクシー・フライトの運航、各種割引運賃の柔軟な設定で需要を取り込んだことや、需要に応じて適切な機材を使用する「ピタッとフリート」モデルの推進で需給適合の進化に努めた結果、旅客収入は前年同期比2.2%増の3551億円、旅客数は同4.6%増の2249万9000人。利用率も3.5pt増(68.2%)と増収。とくに利用率についてANAHD 執行役員 グループ経理・財務室長 福澤一郎氏は「国内線で過去最高。かなり歴史を紐解いたが、この水準はなかった」という結果となった。

 国際線については、日本発のビジネス需要が好調に推移していることや、旺盛な訪日需要の取り込みのほか、8月からの羽田~ジャカルタ線増便によるビジネス需要の取り込み、成田~ホノルル線の全機材ボーイング 787-9型機化でのレジャー需要取り込みなどで好調を維持。国際線旅客収入は前年同月比14%増の2955億円、旅客数は同6.3%増の476万1000人、ASKは8.1%増、RPKは8.3%増、利用率は0.1pt増の75.8%と堅調な結果となった。

 グループのLCCであるバニラエアは売上高172億円、営業利益17億円で増収増益。ピーチは売上高270億円、営業利益31億円となった。

 このほか、国際線貨物で北米路線の自動車関連部品や電子部品などの需要に支えられた貨物部門、空港ハンドリングや機内食関連の受託業務が増加した航空関連事業、ANAセールスのハワイや北米への旅行取り扱い高が好調に推移した旅行事業なども好調な結果となった。商社事業では食品部門の取り扱い減があったものの、空港店舗におけるリテールが子前年同期比を上まわり増収減益となった。

 全便ボーイング 787-9型機での運航を始めたホノルル路線について、レジャー路線は第1四半期、第2四半期の利用率が8割弱、第3四半期は現状では80%台後半を見込んでおり、コンスタントに高い状況となっている。今後、ホノルル線で強い日本発の需要に合わせた営業活動を進めていくほか、福澤氏は2019年からの導入を予定している大型機(エアバス A380型機)についても触れ、「シートの使用など、さまざまなお客さま層のニーズに合うような工夫をしていく。ホノルルは行くときに心がウキウキするデスティネーションなので、そのような雰囲気を提供できれば」と話し、詳細はしかるべきタイミングで発表するとした。

 また、観光業界で話題となっている出国税についてのコメントを求められた際には、「財源を広く検討することには一定の理解をしている。ただし、税金なので受益と負担者について慎重な議論が必要。金額についても極力、旅客需要に影響のないようにしていただければ」と慎重な議論を求める考えを示した。

 なお、上期終了となる第2四半期決算を終え、通期の連結業績についても見直しを行ない、売上高を前回の予想よりも150億円の増収となる1兆9250億円へ上方修正。営業利益は同100億円増の1600億円、経常利益は同100億円増の1500億円、純利益は同70億円増の1320億円へと、それぞれ修正した。配当予想は変更しない。