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日本旅行業協会、「2018年6月期(第1回)旅行市場動向調査」や2月に開催した「JATAインターンシップ」の結果など報告

6月度の定例記者会見にて

2018年6月28日 開催

一般社団法人日本旅行業協会 広報室 アシスタントマネージャー 渋川裕之氏

 JATA(日本旅行業協会)は6月28日、東京・霞が関の本部で6月度の定例記者会見を開催。JATA会員各社や中連協会員各社など614社に対するモニター調査の回答をまとめた「2018年6月期(第1回)旅行市場動向調査」を発表したほか、2月9日~22日の期間に開催された「2017年度 JATAインターンシップ」の結果報告を行なった。

 日本旅行業協会 広報室 アシスタントマネージャーの渋川裕之氏から解説が行なわれた旅行市場動向調査では、景気動向指数のDI(Diffusion Index)が海外旅行は3カ月前から8ポイント上昇となる-8、国内旅行は同12ポイント上昇となる-3、訪日旅行は同-1ポイントの4となった。

 要因としては、海外旅行のDIは国際情勢の緊張緩和で中国、韓国が堅調に回復し、ヨーロッパ、アメリカ、カナダなども回復しており、3カ月後も緩やかな回復継続を見込んでいる。国内旅行のDIは個人旅行で苦戦する一方で団体旅行が好調に推移。夏休みの個人旅行と沖縄の回復によって3カ月後はプラス圏内までの上昇を見込んでいる。訪日旅行のDIは地方が上昇する半面、北海道や「ゴールデンルート」の低下が影響しており、3カ月後についてはFIT(Foreign Independent Tour)は好調を維持する予測だが、団体旅行、MICEの減少で緩やかに低下すると想定している。

 海外旅行の方面別では、3カ月前から最も上昇したのはヨーロッパの+12ポイントで、韓国が+11ポイント、アメリカ・カナダが+8ポイント、中国が+6ポイントと続く。逆に低下したのはオセアニアの-11ポイント、ハワイの-4ポイント、ミクロネシアの-1ポイントとなっている。3カ月後の見込みでは、ヨーロッパがゆるやかに上昇を続け、今期は低下となったオセアニアとミクロネシアも復調するとの想定。

 国内旅行の方面別では、3カ月前から北海道が+17ポイント、東京が+15ポイント、東北が+10ポイントと大きく上昇し、低下したのは近畿、愛知・岐阜・三重、沖縄の3地域。3カ月後の予想では、北海道が+11ポイント、沖縄が+10ポイント、甲信越が+7ポイント上昇の見込みとなっている。

 訪日旅行の方面別では、3カ月前から山陽・山陰・四国が+12ポイント、甲信越・北陸が+10ポイント、近畿と東海がそれぞれ+9ポイント、九州が+6ポイント上昇した。低下したのは関東と関西のゴールデンルートで-5ポイント、北海道の-2ポイントとなっている。3カ月後の予想は、東北が6ポイント、関東が+5ポイント、大阪・京都が-8ポイント、近畿が-6ポイントの下落予想になっている。

一般社団法人日本旅行業協会 広報室長 矢嶋敏朗氏

 2月に実施された「2017年度 JATAインターンシップ」については日本旅行業協会 広報室長の矢嶋敏朗氏が結果報告を実施。今回で5回目となったJATAインターンシップは、近年増えている「就職直結型」と呼ばれる企業の採用活動の延長線上に設けられたインターンシップとは異なり、学生に旅行業界の実態や最新事情などを体感してもらう完結型の学習プログラムとして開催。旅行会社、航空会社、鉄道会社など25社が受入企業となり、参加側は首都圏の大学を中心に、男子学生12人、女子学生32人の計44人が参加して行なわれた。

 参加者から受講後に提出されたアンケートでは、カリキュラムやインターンシップの実施状内容などについて回答が寄せられ、グラフと具体的なコメントで参加者の感想が紹介された。

 この報告のなかで矢嶋氏は、参加した学生たちの旅行業界におけるビジネスモデルなどについての感想で「現在はOTA(オンライン・トラベル・エージェント)が伸びてきていたり、LCC(ローコストキャリア)の直販などもあったりして、ビジネスモデルが古いんじゃないかと思い込んでいる学生も多くいるのですが、実際に(インターンシップで)行ってみた結果としては、だいたいどの項目のアンケートでも6割以上が『進んでいる』『まあまあ進んでいる』という回答で、SNSやスマートフォンを使いこなしてITリテラシーの高い彼らにも旅行業のビジネスモデルがマイナスだとは思っていないとの傾向が出ています」。

「具体的には『インターネットについての担当セクションを用意している』といったところですが、逆に『遅れている』との回答もあります。これは旅行業の仕事で出てくる氏名の確認や手配内容の確認といったところでは、いくらITを活用していても最終的には人による地道な確認が出てくるので、この作業が遅れているととられてしまうのか……。これは将来的にIoT化が進めば全自動化することもあるかもしれませんが、現状では大手でもそうした仕事があります。また、こういった点は仕事のやり方などについても同様の傾向があります」とコメントしている。

 このほかにアンケートの回答では、店舗販売で利用されるパンフレットが膨大で生産性を低下させており、これらが廃棄されることについても疑問視して紙媒体のパンフレットの見直しについて問題提起するコメントなども寄せられている。

 今後の展開について矢嶋氏は、これまで行なっていない「インターンシップを受けた後に旅行業界に就職した人の離職率」について今回の参加者から調査を行ない、インターンシップの参加が実際に社会人になった後の人生にどれだけ影響を与えるか調べたいとコメント。また、これからは旅行会社や大学などにインターンシップのコーディネートができる人材を育てていくことも、継続的に取り組みを進めていく面で重要になるだろうと語った。