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JAL 赤坂社長、成田~シアトル線開設でアジア~日本~北米の需要に対応

LCCのティー・ビー・エル 西田社長は、10月にパイロット募集要項を公開、CAは2019年春以降

2018年9月26日 実施

JALは成田~シアトル線とティー・ビー・エルの現況などについて会見した

 JAL(日本航空)は9月26日、本社で会見を開き、同日開設を発表した成田~シアトル線や、国際線中長距離LCCの準備会社「ティー・ビー・エル」の現状について説明した。

 その会見冒頭、JAL 代表取締役社長 赤坂祐二氏は、台風21号や平成30年北海道胆振東部地震などの影響で関西国際空港と新千歳空港が受けたダメージと回復状況について説明、関空は9月21日までにJAL全便が復旧、新千歳も9月8日に同全便が復旧済みであることを紹介した。

 両空港とも訪日外国人旅客への影響が大きいことから、9月21日には北海道と関西の復興割引運賃を設定しているが(関連記事「JAL、北海道と関西の観光復興で割引運賃を設定。『オールジャパン体制で支援したい』と赤坂社長」)、「インバウンド需要の回復にはオールジャパンでの連携や団結が不可欠だが、海外の関係先・提携先の協力も欠かせない」として、JALが加盟するワンワールドのアライアンス各社とさらに連携していく旨を述べた。

 また、5月24日に発生した熊本発羽田行きJL632便のエンジントラブルによる引き返しと部品脱落が重大インシデントに認定されたことに触れ、被害のあった家屋や自動車の修理対応が終わったことを報告、今後は補償について個別に対応していくという。

日本航空株式会社 代表取締役社長 赤坂祐二氏

成田~シアトル線就航とアラスカ航空とのコードシェア拡大で、アジア~日本~北米西海岸の需要に対応

 同日発表した成田~シアトル線は、かつて1983年から1992年まで運航しており、27年ぶりの再開となる路線。現状、JALで東京~シアトル間の航空券を手配する場合、バンクーバーやサンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴからの乗り継ぎを要するが、直行便の就航により搭乗時間の短縮など利便性が大きく向上する。

 シアトルは、JALの北米西海岸路線において、前述した4都市につぐ5都市目で、関空~ロサンゼルス線を含めると6路線目にあたる。JALはこの数年、ガルーダ・インドネシア航空や中国東方航空、ベトジェットエア、ビスタラなどアジア各国のエアラインと業務提携・コードシェア・共同事業化などを進めているが、JAL 取締役専務執行役員 路線統括本部長 菊山英樹氏は、「日本を経由して東南アジアと北米をつなぐ路線が強く発展する」と見解を述べ、東南アジア路線との接続性を考慮してシアトル線の成田発を18時00分に設定した理由を説明した。

 なお、使用機材は「JAL SKY SUITE」仕様のボーイング 787-8型機(時刻表表記はSS8)だが、ビジネスクラスとエコノミークラスの2クラスとしており、現行のSS8で設定しているプレミアムエコノミークラスは設けない。そのため、席数は現行SS8の161席よりも増えるという。

 成田~バンクーバー線、成田~サンディエゴ線の機材についても、順次「JAL SKY SUITE」仕様の投入を明らかにしており、2019年度中には「長距離国際線におけるビジネスクラスのフルフラット化が完了する」としている。

JALの成田国際空港~シアトル・タコマ国際空港線(2019年3月31日~)

JL068便:成田(18時00分)発~シアトル(11時00分)着、毎日運航
JL067便:シアトル(14時20分)発~成田(翌16時30分)着、毎日運航

 さらにJALは同日、北米北西部で最大規模のネットワークを持ち、JALが再開するシアトルをハブ空港とするアラスカ航空とのコードシェア拡大も発表している。両社はすでに2012年6月からコードシェアを実施しているが、2019年3月31日以降は36地点を追加して、計56地点を結ぶコードシェア便が実現する。このうち20地点はJALとして初めての就航地となる。

 菊山氏はアラスカ航空について、「数字や規模だけでなく、高い営業利益率を誇るきわめて優秀な会社」と評し、自社運航便では北米西海岸路線はまだ不十分だが、今回の成田~シアトル線の就航、シアトルをハブにするアラスカ航空とのコードシェア拡大によって、「北米北西部の乗り継ぎ需要を高めることができる」と説明した。

日本航空株式会社 取締役専務執行役員 路線統括本部長 菊山英樹氏
JALのアジア~北米西海岸ネットワーク
シアトルでのアラスカ航空のネットワーク

ティー・ビー・エルはパイロット30名の募集を近日開始、CAや地上職員は2019年春以降募集

株式会社ティー・ビー・エル 代表取締役社長 西田真吾氏

 中長距離LCCの準備会社であるティー・ビー・エルの代表取締役社長として会見に出席した西田真吾氏は、1990年にJALへ入社、財務部門や関連事業部門、マイレージ事業部などを歴任し、4月からティー・ビー・エルの所属となっている。

 現在の準備状況としては、「JALグループからタフでゆかいな仲間たちを集めている」段階であり、目下、「安全運航のためにオペレーションの組み立てを行なっている」という。

 拠点はすでに発表しているとおり成田で、就航地は「東南アジアまたは欧米で現在マーケットを調査中」と述べるに止めた。一方で、成田は国内線が1日70便就航しており、(ティー・ビー・エルの便で)海外から訪れた外国人旅客が乗り継げる便が豊富にあるため、「地域の振興、需要の創出にもつながるのでは」として、成田拠点の意義を強調した。

 今後のロードマップとしては、パイロット30名の募集要項を10月9日に公開すること、CA(客室乗務員)やグランドスタッフは2019年春以降に募集を開始すること、航空会社としての社名は2019年3月ごろ公開、制服やサービスは2019年4月ごろ公開と予定を明らかにした。事業会社への移行も2019年3月ごろを予定しているという。

 初年度(2020年度)は2機での運航を開始。座席の構成については現在検討中で、アッパークラスを用意するか、用意する場合どの程度の席数とするかなどもまだ検討を進めている段階であるとした。