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JAL、2018年度第2四半期決算は増収減益。通期の営業利益予想は1670億円で据え置き

海外のビジネスクラスとプレエコの販売数が1.5倍に

2018年10月31日 発表

日本航空株式会社 取締役専務執行役員 財務・経理本部長 斉藤典和氏(左)、日本航空株式会社 執行役員 総務本部長 植田英嗣氏(右)

 JAL(日本航空)は10月31日、2018年度(2019年3月期)第2四半期(2018年7月1日~9月30日)の決算を発表した。

 国際/国内旅客の供給を拡大、需要を取り込み、また2017年11月に刷新した旅客サービスシステム(PSS)の効果が現われたことで単価が上昇。台風や地震によるインパクトはありながらも、第2四半期累計の営業収益は前年同期比8.4%増(578億円増)の7501億円となった。営業費用は、燃油価格の上昇やPSSの償却などによって同10.1%増(601億円増)の6533億円。その結果、営業利益は同2.3%減(22億円減)の968億円、経常利益は同3.5%減(34億円減)の942億円。四半期純利益は同5.9%減(45億円減)の733億円となった。

2018年度第2四半期のJALグループ連結業績

 国際線旅客事業は海外発が好調で日本発も堅調。積極的な供給数の拡大を行なったことにより、有償旅客数が同9.4%増の460万5000人、ASK(有効座席キロ:総座席数と輸送距離の積)は同6.9%増となっており、RPK(有償旅客キロ:有償旅客数と輸送距離の積)は同8.7%増。有償座席利用率(RPK÷ASK)は同1.3pt増の82.4%で、第2四半期累計では「過去最高水準の利用率」という。単価は同7.3%増で5万8459円。国際旅客収入は燃油サーチャージ収入の増加と合わせて、同17.4%増(399億円増)の2692億円となった。

 一方、国内線旅客事業は、6月に大阪府北部地震、7月に西日本の集中豪雨、9月に関空をはじめとする台風被害、北海道胆振東部地震など災害が相次いだものの、個人需要の増加で順調に推移し、有償旅客は同1.4%増の1740万8000人。有償座席利用率は同0.1pt増の72.1%で、こちらも第2四半期累計では過去最高水準だった。これらの結果、国内旅客収入は同1.2%増(31億円増)の2681億円となっている。

 なお、以上の概況から、連結の業績予想を修正している。自然災害や燃油高騰などのマイナス要因はありながら国際旅客は好調であり、被災地などの路線も回復傾向にあるため、通期の営業利益予想は据え置きの1670億円。営業収益は前述した要因などから4月に公表した予想より330億円増の1兆4880億円、営業費用も同じく330億円増の1兆3210億円と修正した。後者の内訳は、下期のシンガポールケロシンの前提を1バレル95ドルとして高騰が続くと見ており、燃油費が220億円増、それ以外を110億円増(需要に連動する費用など)としている。

 質疑応答では地震や台風など自然災害の影響を問われ、「上期決算で50億円の影響が出ている」という。そのほとんどは欠航によるもので、内訳は、関空閉鎖期間の逸失収入などで国際旅客が8億円。また、北海道の地震と7月から9月までの台風の影響が特に大きかったことで、国内旅客は40億円程度。残る2億円は貨物などで、関空の施設の復旧費用などによるものだという。しかし、国際線はすでに回復しており、国内線も一部北海道路線以外は回復しているとのこと。

 また、会見でたびたび「PSS刷新による効果が現われた」という表現が使われたが、これは「上期の好調な旅客収入のかなりの部分がPSSによるもの」であり、国際/国内ともに有償座席利用率とイールド(旅客1人につき1kmあたりの収入。旅客収入÷RPK)が上昇、国際線のユニットレベニュー(1座席キロあたりの収入。旅客収入÷ASK)は4%、国内線のユニットレベニューは2%上がっているという。

 具体的には130億円程度の増収効果が出ており、PSS刷新により海外で提供しているWebサイトが使いやすくなったことで、ビジネスクラスとプレミアムエコノミークラスの販売が前年比で1.5倍になるという結果が出ている。また、国内線で「単価の高い利用者がいつ増えるか」という予測が精緻化したことで、ビジネス運賃(ビジネスきっぷ)の利用額が3%上昇している。母数が非常に大きいため、3%でも増収への影響も大きいという。