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JALの新LCC「ZIPAIR Tokyo」発表会。「太平洋を渡りたい」と西田社長
初年度は2機の787-8で成田~ソウル/バンコク線から
2019年3月8日 19:17
- 2019年3月8日 発表
JAL(日本航空)の100%子会社である中長距離LCC「ZIPAIR Tokyo」は3月8日、都内で会見を開き、正式な社名とブランド名、事業の進捗などについて説明した。登壇したのは代表取締役社長の西田真吾氏。同日、国土交通省へ航空運送事業の許可申請を行なっている。
同社は、「To Be Launched」を意味する「株式会社ティー・ビー・エル」を準備会社として2018年7月31日に設立。正式な社名は「株式会社ZIPAIR Tokyo(ジップエア トーキョー)」となり、ブランド名は「ZIPAIR」。
矢が飛ぶ様子を表わす擬態語「ZIP」を先頭に据え、フライトの体感時間が短く感じるようなイメージを持たせたという。また、Zip Code(郵便番号)から想起される「さまざまな場所に行ける」、ファイルフォーマットのZipから「日本人らしい創意工夫を詰めて、計算しつくされた移動体験を目指す」という想いを込めた。後ろに続く「Tokyo」については、成田国際空港を拠点とすることや、外国人が見ても一目で日本の航空会社で分かることなどを理由としている。
ブランドロゴは「ZIPAIR」および「Z_」。特に後者については、ZIPの頭文字であり、究極を意味する「Z」と、AIRを表現する空白「_」を組み合わせた。この空白を同社は「無限の空白:イニフィニット・ブランク」と表現しており、「究極の先を目指すエアラインであり続ける」という姿勢を表わすものだという。
コーポレートカラーはグレーとグリーンの2色。コストと満足度の調和を表現する「ハーモニーグレー」をメインカラー、安全運航・定時運航など高品質なオペレーションを表現する「トラストグリーン」をサブカラーに据えている。
仕様機材は既報のとおりボーイング 787-8型機で、初年度(2020年度)はJALから譲り受けた2機で夏期スケジュールから運航を開始する。路線は成田~ソウル・仁川国際空港線と成田~バンコク・スワンナプーム国際空港線の2つ。ソウルとバンコクを最初の就航地に選んだ理由は、「ETOPS運航の基準を満たしていないため」と説明した。
ETOPS(イートップス)とは、双発の航空機において、飛行中に一方のエンジンが停止しても、もう一方のエンジンのみで飛行を続けられる時間の基準のことで、長距離の洋上飛行を行なうにはETOPS審査の認定を受ける必要がある。そのため、初年度はソウル/バンコク線からスタートするが、西田氏は「基準を満たしたら太平洋を渡りたい」「LCCで太平洋を渡るパイオニアになりたい」と述べ、北米西海岸就航への意欲を示した。
また、ソウル/バンコクは近年LCCの就航が増えており、「需要の太さが魅力」とも説明する。同社が使用するターミナルについては、「心づもりはあるがまだ明言できない」とのこと。
座席の仕様などサービスについては後日改めて説明するとして詳細の説明は避けたものの、「座席はしっかりとしたよいものを選べた。先行する4社には敬意を払っているが、それらよりゆとりのある席になっている」という。また、「LCCの利用者の注目するポイントは価格」であるとして、以前JALの赤坂祐二社長が言及した「運賃の目安はフルサービスキャリアのエコノミークラスの半分くらい」という路線が維持されていることを示唆した(関連記事「JAL、新LCC設立会見。中長距離路線でジェットスターと差別化、マイレージ利用は検討」)。