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NEXCO西日本、2018年度事業説明会を開催。高知道 新宮IC~大豊ICは「完全復旧まで相当時間がかかる」

平成30年7月豪雨や新名神・神戸区間全通の影響など説明

2018年7月20日 実施

西日本高速道路株式会社 代表取締役社長の酒井和広氏

 NEXCO西日本(西日本高速道路)は7月20日、都内で事業説明会を開き、2018年度の事業計画などについて説明した。

 代表取締役社長の酒井和広氏はまずNEXCO西日本の事業について、「西日本エリアの24府県にまたがり、現在3513kmの高速道路を管理している。安全快適な道路サービスを提供するとともに、高速道路がまだつながっていない区間、新名神高速道路(E1A)などのミッシングリンクの建設を行なっている。渋滞の解消や大規模災害時においても速やかに道路サービスを回復できるように4車線化の事業も併せて実施する」などと紹介した。

 高速道路のリニューアルプロジェクトについては、「熊本での地震を教訓にして、新たな耐震補強にも取り組んでいる」と説明。そのほか、3月18日に新名神の高槻JCT(ジャンクション)から神戸JCTが開通したことにより、並行する名神高速道路(E1)や中国自動車道(E2A)の渋滞が約9割減少したと説明した。この区間に新設された宝塚北SA(サービスエリア)については「評判は良好で、現時点で西日本最大の売り上げを記録している」と述べた。

新名神開通後の状況。1日あたり約3万4800台の車両が新名神を利用している
新名神の整備効果として、周辺地域へ物流施設や工場が進出、地域産業が活性化したことを挙げた
新名神にオープンした宝塚北SA。一般道からの利用客も多いという

 平成30年7月豪雨の影響についても説明が行なわれた。この豪雨の影響により、NEXCO西日本が管理する高速道路の65%に相当する、2299kmが通行止めになり、被害が発生した箇所は49カ所。そのうち重大な被災箇所は10カ所であると報告した。

 現状、通行止めは残り20kmまで回復しているが(関連記事「平成30年7月豪雨で49カ所、2299kmが通行止めとなったNEXCO西日本、通行止め区間を残り20kmまで減少」)、東九州自動車道(E10)の椎田南IC~豊前ICの上下線、そして広島呉道路(E31)の坂北IC(インターチェンジ)から呉ICの上下線が現在も通行止めであるほか、高知自動車道(E32) 新宮ICから大豊IC(上り)は橋梁上部工の流出により対面通行になっており、「完全復旧まで相当時間がかかる」と酒井氏は話す。

 さらに「この被害により、日本の東西を結ぶ高速道路幹線の山陽自動車道(E2)と中国道が一時両方とも通行不可能となり、日本の物流に深刻な影響が及び始めていた」と述べ、緊急車両、さらに物流関係の車両については流れを確保するオペレーションを実施したという。中国道は通行止めから3日後、山陽道は被災後9日目に開通して東西交通を回復したが、酒井氏は「これらの一連のオペレーションについてはしっかり振り返り、反省して今後に役立てたい」と語った。

平成30年7月豪雨の被災状況。高知道 新宮ICから大豊IC(上り)は橋梁上部工が流出した

 NEXCO西日本が管理する、高速道路の点検についても説明が行なわれた。2018年は5年ごとの法定点検の5年目にあたる。点検が一巡するタイミングであり、従来の打音点検などに代えて、赤外線や高精細カメラを活用した点検、さらには問題のある箇所を選び出したうえで詳細に点検を行なうスクリーニング技術の活用を検討しているそうで、「今後はこれらの技術が正式な点検技術として認知されるための働きかけをしていきたい」と語った。

NEXCO西日本が進める、点検効率化に向けた技術開発。トンネル覆工点検については、JR西日本と共同開発を行なっている
6月18日に発生した、大阪北部で最大震度6弱を記録した地震については、延べ260kmが通行止めとなったが、走行に支障を来す大きな損傷はなかったとした

 最後に「弊社は引き続き高速道路の安心・安全を最優先に、お客さまの満足度を高め、地域の発展に寄与し、信頼され成長する企業グループを目指して事業を進めていく」と述べて、説明を終えた。

 その後、取締役 常務執行役員の芝村善治氏が2018年度の事業について説明した。高速道路事業では、新名神など17道路、81kmの新設、4車線化事業では舞鶴若狭自動車道(E27)の福知山から綾部間など132kmを改築する。また、宮崎自動車道(E10)の山之口SA(上り/下り)の建て替えなどがあるとのこと。

 そのほかSA・PA事業におけるインバウンド対応として、従来の免税店の設置や海外発行カードへの対応に加え、外貨両替機の導入、AlipayなどQRコード決済への対応などが紹介された。また地域活性化への貢献として、多様な周遊割引や広域的なキャンペーンなどを実施していくという。

2018年度の完成予定箇所。京都線および第二阪奈有料道路は阪神高速や大阪府道路公社、奈良県道路公社から事業を引き継ぐ
SA・PA事業では、インバウンド対応に向けた新たな取り組みが行なわれる
周遊割引や広域での観光キャンペーンなども引き続き展開すると説明した