旅レポ

ANA Pocketで巡る石垣島と隣島周遊の旅。八重山の食と自然、島時間に触れてマイルも貯まる

牛車に揺られて海を渡る

 三寒四温で春に向かうと思いきや、突然25℃を超えて夏日になったり、雨でじっとり寒くなったりしている今日この頃。それでも全国で桜の開花が進み、いよいよ本格的な行楽シーズンが始まろうとしている。

 ANAグループでマイル事業の企画運営、航空券の販売や旅行商品の造成、決済サービス「ANA Pay」の運営などを行なうANA Xは、移動でマイルが貯まるアプリ「ANA Pocket」で大幅な機能アップデートをはたしたほか、旅行商品ブランド「ANAトラベラーズ」で全額マイル支払い専用プランを新設したり、ANA Payにおけるキャッシュとマイルの残高を統合したりと、“新しいマイルの使いみち”でさまざまな取り組みをしている。

 そんなANA Xのマイル経済圏を体験すべく、石垣島2泊のモニターツアーに参加してきた。主に実施したのは、ANA Pocketを使って島内のスポットを巡り、その日指定された複数箇所のチェックインを完了するとアプリ内のポイントが貯まる、というもの。このポイントはもちろんANAマイルへ交換できる。

ANA Pocketで2日間のモニターツアーに参加した。指定された複数スポットへ期間内にチェックインすると、通常のチャレンジより多めにポイントがもらえる仕組み

初日:到着してすぐに石垣の食と自然を味わう

ANAの東京~石垣島間は、8時台発のNH89便を皮切りに、1日2往復の直行便を運航している
南ぬ島石垣空港(新石垣空港)

 朝8時台の羽田発NH89便に乗って、お昼前の石垣島へ。最初に向かったチェックインスポットは“八重山諸島を食べつくせ!”をテーマに掲げる島食材の居酒屋「あじまー商店」(沖縄県石垣市大川250-3)。

 2021年4月に開業したばかりの店舗は、島の繁華街・美崎町でユーグレナモールや730交差点にも近い好アクセスの立地。ランチタイムは石垣牛のハンバーグのほか、島産の刺身、豚ラフテー、ゴーヤチャンプル、八重山そばなど定食が充実しており、特にハンバーグは熱々の鉄板の上で半分に切って、目の前で焼きあげてくれる。到着してすぐに石垣島を五感で楽しめる食のスポットだ。

チェックインスポット「あじまー商店」
最初のスポットは「あじまー商店」。指定エリアまで近づくとチェックインボタンが押せるようになった
「あじまー商店」はユーグレナモールがすぐそば、という立地のよさも魅力
ランチにいただいた「石垣牛のハンバーグ」

 せっかくなので、あじまー商店から歩いて数分の「ユーグレナモール」(沖縄県石垣市大川203)へ。ここは土産物店などの集まる日本最南端のアーケードモールで、島産食材やスイーツ、自宅で島の料理を再現できるレトルト、その場で飲み比べもできる泡盛など、石垣土産がだいたい手に入る便利なスポットで、サーターアンダギーやソフトクリームなど食べ歩きメニューが充実しているのもポイントだ。

 続いて、初日の宿へ向かう前にクルマでぐるっと島の北西部に回り込んで、船底から石垣の海のなかを観察できる「川平湾グラスボート」(沖縄県石垣市川平912-1)にも行ってみた。ガラス張りの船底越しに魚たちの泳ぐ姿やサンゴを眺めるアクティビティで、運がよければウミガメにも出会える。じっとしてうつむいていると酔いそう、と思う人もいるかもしれないが、湾から出ないこともあってほとんど揺れは感じられない。船はオーナーがこだわった作りとのことで、酔いにくい構造になっているとのこと。

ユーグレナモール
石垣市公設市場は食材もお土産も手に入る
波照間の黒糖やじゅーしぃ(炊き込みご飯)の素、サーターアンダギーミックスが並ぶ
石垣牛はグラム売り。地方発送もやっていた
八重山の泡盛の飲み比べもできる
島バナナはまるっとしたフォルムが特徴
石垣のシーサーはなんともカラフル(買いました)
揚げたてサーターアンダギーは食べ歩きにもグッド
島の北西・川平湾
川平湾グラスボート
グラスボートのなかでは横向きに着席して、中央に空いたガラス張りのスペースをのぞき込む
船は比較的浅瀬を進む。この透明度!
川平湾グラスボートで見る海の底

 初日の宿は、美崎町から海沿いに4kmほど西に進んだオーシャンフロントの「石垣島ビーチホテルサンシャイン」(沖縄県石垣市新川2484)。2016年に新館を開業、2019年に本館を全室リニューアルしたばかりで、ホテル内はとにかくキレイ。島の南西に位置するため、特にサンセットの美しさに定評のあるホテルで、実際、客室から水平線に沈む夕日がまぶし過ぎるほど近くに感じられることに驚いた。

 壁一面の採光からは海しか見えないので、もし数日宿泊するなら何もしないで部屋でぼーっとする日を設けてもよいくらいの眺めのよさだ。

チェックインスポット「石垣島ビーチホテルサンシャイン」
初日の第2スポットは「石垣島ビーチホテルサンシャイン」。プールもあるオーシャンフロントのホテル
「石垣島ビーチホテルサンシャイン」の新館に宿泊。客室の側面とほぼ同じ大きさの窓からの眺めが素晴らしい
ラタンの椅子は海を向いていて、ぼんやり過ごすのもよさそう
壁際にデスクスペースがあるのでPC作業もできる(やりました)
水回りのスペースがかなりゆったり作られている
大きな浴槽と広い洗い場のあるお風呂
雲の多い日だったので日没の瞬間を見ることはできなかったものの、差し込む光が神々しい

2日目:西表島のマングローブと由布島の植生を学ぶ

 翌朝、隣島の西表島と由布島を訪れるために「ユーグレナ石垣港離島ターミナル」(沖縄県石垣市美崎町1)へ。ターミナルは繁華街・美崎町の中心部にあり、複数の事業者が隣島ツアーを組んでいるため、最寄りの竹富島はもちろん、小浜島、黒島、西表島、波照間島へ船が高頻度で発着している。

 西表島へは高速船で50分ほど。速度に比して双胴船なので揺れは少なめで、着席スペースが十分あることもあってかなり快適。むしろ揺れのせいか眠くなってしまうほど。

チェックインスポット「ユーグレナ石垣港離島ターミナル」
2日目の最初のスポットは「ユーグレナ石垣港離島ターミナル」。ここから高速船で50分ほどかけて西表島へ向かう
港は美崎町の中心地にある
ターミナルはチケット売り場と各社のトラベルセンター、待合スペースを兼ねている
ANAトラベラーズのカウンターは入って右の奥に
石垣島のカンムリワシ、具志堅用高さんのモニュメント
港のすぐそばでANA Payのラッピングバスを発見!
今回乗ったのは安栄観光の高速船「いりかじ」
定員198名なのでかなり内部は広い
およそ50分で西表島へ

 西表島・大原港で下船後はすぐに小さな船に乗り換えて、仲間川を遡る「仲間川マングローブクルーズ」(沖縄県八重山郡竹富町南風見201)を体験した。

 ご存じの人も多いだろうが、「マングローブ」とは特定の品種ではなく、海水と淡水の交わる汽水域に育成する植物の総称で、八重山のマングローブ林では日本に存在する全7種すべてを見ることができる。特に多いのがヤエヤマヒルギとオヒルギで、この2種で全体の7割を占めているという。

西表島・大原港の仲間川マングローブクルーズ
汽水域を進むとすぐにマングローブ林に
この背の高い木はオヒルギ(たぶん)
仲間川マングローブクルーズで八重山の汽水域の植生を知る

 西表島から由布島へは牛車で。これがなんとも風情があってよい。乗り場から由布島までの距離は直線で350mほどなのに、水牛ののんびりした歩みと、遠浅で穏やかに揺れる波を見ているうちに、前に進んでいるのか横に進んでいるのか分からなくなってしまう。御者(というのだろうか)は由布島の成り立ちを話していたかと思えば、いつのまにか手にした三線で流れるように語りから島唄へ。10~15分程度の行程ながら、時間感覚が分からなくなる不思議な体験だった。

 さて、由布島(沖縄県八重山郡竹富町古見687)は外周約2km、面積は15万m2というごく小さな島で、全体が植物園になっているほか、牛車の水牛の繁殖と飼育も行なっている。ここでは八重山のさまざまな亜熱帯植物を観察できたり、小浜島側の浜辺で水と戯れたり、水牛と一緒に写真が撮れたりと、短時間でも思い思いに楽しめる。

チェックインスポット「由布島植物園」
由布島は全体が植物園になっている
遠浅の海を渡る牛車
ちなみに牛車は4輪と2輪があって、もちろん4輪の方が揺れない
小さな島なので、豊かな植生をのんびり見て回っても1時間はかからない
島の中央には土産物店を兼ねたレストランがある
黒糖は箱買いできるくらい売っていた
リュウキュウアサギマダラという種類のよう
マンタの浜
突然ぽつんと現われた赤い扉
開くと……?
由布島の初代水牛は「大五郎」。アシンメトリの角が厳つい
その大五郎から始まる家系図が貼り出してあった
水牛は若い世代が育ちつつある

 石垣島へ戻ってもまだ明るい時間帯で、美崎町で買い物を楽しむもよし、カフェタイムでくつろぐもよし、多少アクティビティを詰め込んでも時間に余裕があるのはコンパクトな観光地のよいところだ。

 2日目の宿は、島の真南に位置する「ANAインターコンチネンタル石垣リゾート」(沖縄県石垣市真栄里354-1)。2020年7月に新棟を開業しており、レセプションを中心に東西へハの字形に展開する「ベイウィング」2棟と、さらにその西に位置する「クラブインターコンチネンタル」1棟が加わり、客室数は255室から458室へ大きく増えている。

 今回宿泊したのはベイウィングの1室で、プール越しに海を臨むロケーション。朝日も夕日も楽しめる眺めでリゾート気分を堪能できる。

チェックインスポット「ANAインターコンチネンタル石垣リゾート」
最後のチェックインは2日目の宿、「ANAインターコンチネンタル石垣リゾート」
2020年に開業した新棟ベイウィングに宿泊した
リゾート感満点の客室がうれしい
ガラス張りのお風呂は大きな浴槽に広い洗い場、レインシャワー付き
洗面がアイランド式になっているのはわりと最近のはやりで、開放感があって使いやすい
お風呂がガラス張りなので、洗面エリアとともに引き戸で視線を遮ることもできる
枕元の調光制御スイッチには、コンセント×1と充電用のUSB Type-A×1が
朝起きたら最高のオーシャンビューが待っていた。実は取材時はまだ石垣も肌寒い時期だったが、これから春~夏は本当のベストシーズンに
クラブラウンジでコーヒーとケーキをいただく。ANAトラベラーズの全額マイル支払いプランを使うと、館内利用券3000円分が付いてくるので、こんな使い方もアリ

 2泊3日で石垣島と隣島を巡るツアー、本稿で取り上げたのはモニターツアー向けに特別に用意されたもので、今のところ、ANA Pocketでこうした複数箇所のチェックインの周遊で大きなポイントを獲得できる、という仕組みは実装されていない。しかし、スタンプラリー的な楽しさとポイントが手に入るメリット、なにより地域内の観光周遊を促進するという点において、本格展開を期待したくなる取り組みだった。

 ANAグループは2021年から「マイルで生活できる世界」を掲げており、スマホアプリを媒介にマイル経済圏の拡大に注力している。ANAトラベラーズの旅行商品にこうした周遊ツアーを組み合わせれば、さらなる利用者の取り込みも期待できそうだ。

こうして貯まったポイントは受取期限があるので、忘れずに取得しておきたい
帰りしなに空港で「ソーキ入り八重山そば」と「塩漬け島らっきょう」を購入。お代はマイルをANA Payにチャージして支払った
編集部:松本俊哉