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JAL、接客コンテストの全国大会に向けて「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト沖縄地区大会」初開催

11名が出場権をかけて接客スキルを披露

2017年12月6日 開催

那覇空港で初めてとなる接客コンテスト「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」の沖縄地区予選が開催された

 JAL(日本航空)グループが毎年開催している接客コンテスト「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」の全国大会に向け、12月6日に那覇空港で沖縄地区予選が開催された。

 各地区から選抜されたスタッフ約60名による全国大会「第6回 空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」は、2018年1月22日~23日に東京で開催される。

 これまで沖縄地区からは、那覇空港国内線旅客担当から2名、離島空港から1名の代表者を選出して本大会に出場していたが、2016年7月に会社統合により設立されたJALスカイエアポート沖縄が旅客業務を一手に担うことになったことを機に、今回初めて沖縄地区予選を開催することになった。

 予選に臨んだのは、那覇空港国内線および国際線、新石垣空港、宮古空港、久米島空港、南大東島空港からエントリーされた11名。このなかから本大会に出場する3名を選出する。

日本トランスオーシャン航空株式会社 代表取締役社長 丸川潔氏

 開会にあたり、JTA(日本トランスーシャン航空) 代表取締役社長の丸川潔氏が挨拶。「接客の業務は、うとぅいむち(おもてなし)の心が大事。沖縄の人は高いポテンシャルを持っているので自信を持ってよい。ただ、それを表現することが苦手なように感じる。身だしなみや立ち振る舞いなど基礎の部分のレベルを上げ、そのうえに沖縄の温かいホスピタリティが加われば最高水準のサービスができる。私は7年前に空港担当でこの場所にいた。バタバタのなかで始めたがここまで成熟してきた。ついに沖縄をナンバー1にするときが来たと思っている」と激励した。

挨拶に続いて候補者たちが入場
これから審査を受ける11名の候補者

 最初の審査はアナウンス。朝のカウンターオープンのアナウンスを日本語と英語で行なう。定型文でなく、「JALブランドを感じられるオリジナルアナウンス」というのが課題だ。季節感のある一言を入れる人、方言での挨拶を添える人など、それぞれに個性を出していた。メモを見ずに、客席全体に視線を配りながら挨拶する人もいた。

アナウンスの実演の様子。審査員や同僚たちを前に、緊張しつつも日ごろの成果を発揮させていた

 11名の実演が終わり、審査員からの講評があった。琉球大学 同窓会会長の幸喜徳子氏は「全般に温かみが伝わった。英語も流暢だった。お国言葉も、あぁいいなぁと思わせてくれた」とコメント。また、那覇空港ビルディング 取締役統括部長の古堅玲子氏は「アナウンスは生の言葉で伝えるので、心の動きや体調、感性などが表われる難しい仕事だが、日ごろから鍛錬している成果が出ていた」と講評を述べた。

 続いての審査はロールプレイ。チェックインカウンターでのお客さまへの対応が審査される。出場者は2組のお客さまを対応。1組目は外国人客、2組目は日本人客で、それぞれどのようなシチュエーションで接してくるかは知らされていない。

 外国人客に対しては英語での対応となり、荷物預かりや搭乗時刻の案内などがスムーズにできるかが審査されるが、必要業務以外のちょっとした気遣いや会話なども審査のポイントとなる。

 日本人客は2人組で、1人は見送り、搭乗客は足を怪我しているというシチュエーション。また、機内に預ける土産の泡盛が、持ち込み可能容量を超えていることに気付くか、またその解決案を示せるかなどが審査ポイントとなった。

2組目の日本人客のシチュエーションはかなり複雑

 外国人客への対応は、どの候補者もスムーズに対応しているようだった。英語が苦手でも一生懸命伝えようという姿勢が見られ、無難に業務をこなしている人や軽く会話を交えながらフレンドリーな雰囲気を作る人もいた。

外国人客への対応。チケットを見せながら丁寧に説明する

 日本人客への対応は、シチュエーションが少々難しく実演時間の7分に収まらない人もおり、それぞれの個性の差が現われた。容量を超えた泡盛については、宅配便で送ることを勧める人、見送りの人が持って帰ることを勧める人と、対応の仕方に違いが出た。しかし、いずれも相手に不快な気分を与えないよう丁寧に説明していた。

機内に預けられるお酒は5Lまで。箱の中には1升瓶が3本入っている。1本は持ち込めないことを説明する
割れ物の免責についてサインをもらう
足を痛めている搭乗客に車椅子を勧める
お客さまに不快な思いを与えないよう、丁寧に説明
割れ物の梱包状態を確認
笑顔での対応は相手にも好印象
預ける荷物に危険物が入っていないかシートを見せて確認

 ロールプレイ審査後には2名の審査員から講評があった。ジ・アッタテラス クラブタワーズ副支配人の平良和志氏は「お客さまとの距離感は大事なポイント。つかず離れずの距離感が、皆さん上手に取れていた。ユーモアのある対応の方もいた。コミュニケーションは大事。皆さん基本ができていた」とコメント。

 続いてircインターナショナルリゾートカレッジ校長の稲垣純一氏からは、「同じシチュエーションでも対応が違うのが興味深かった。私も最近は目も耳も衰えてきたので相手の話が聞き取りづらいときがある。空港も場合により聞き取りにくいときがあるので、相手に聞き取りやすい話し方を心がけてもらえるとありがたい」とアドバイスした。

 別室での審査員の審査を経て、いよいよ発表。プレゼンターはJAL沖縄空港支店長でJAL スカイエアポート沖縄 代表取締役社長の中野直人氏が務めた。

日本航空株式会社 沖縄空港支店長・JALスカイエアポート沖縄株式会社 代表取締役社長 中野直人氏

 準優勝は、那覇空港国内線の平良あゆみ氏と石垣新空港の仲里真子氏。平良氏は3名の子供を持つママさんスタッフ。準優勝を受けて「自分が認められるとは思っていなかった。今朝も子供たちに、参加賞だけもらって帰ってくると話してきた。仲間たちの思いを背負い本大会もがんばります」と涙を見せて感動の挨拶。また仲里氏は、「仲間たちの接客を見て勉強して、自分に落とし込んで、本選に臨みたい」と気合を見せた。

那覇空港国内線 平良あゆみ氏
石垣新空港 仲里真子氏

 続いて優勝者発表の前に、急きょ決まったという特別賞の発表が行なわれた。ロールプレイで会場の笑いを誘ったユーモアのあるコミュニケーション力を見せた南大東空港の米盛秀治氏に贈られた。今回、唯一の男性候補者だ。「来年は順位を上げられるよう、帰ったら仲間達の技術を盗んでまた来年この場に帰ってきたい」と、再び笑いを誘った。

南大東空港 米盛秀治氏

 そして優勝は、那覇空港国際線の安里美紀氏に決定した。「国際便はJALの航空機が飛んでいないのでJALらしさを出すにはどうしたらよいか考えている。身長は小さいが心は大きく、本選に臨みたい」と笑顔で意気込みを語った。

 笑顔が印象的な安里さん。笑顔のコツを尋ねると「緊張すると顔がゆるんでくるので、緊張していたのが逆によかったのかも」とのことだった。

那覇空港国際線 安里美紀氏

 最後に、国土交通省 大阪航空局 那覇空港事務所 空港長の細田一成氏から総評が述べられた。「受賞した3名は本大会に向けてますますブラッシュアップして、沖縄に明るい話題をもたらしてほしい。旅客業務に携わる皆さんは、お客さんと最前線でがんばっている。沖縄県8空港をますます盛り上げていただきたい」と激励した。

 またJAL 沖縄支店長の渡部勝磨氏は「JALの顔として、お客さまに最初に顔を合わせるのが皆さん。アドバイスを参考に今後に活かしてほしい。引き続きよろしくお願いします」と言葉を贈った。 最後は会場にいる全員で声出しをして気合い入れ。そして記念撮影後、閉幕した。

日本航空株式会社 沖縄支店長 渡部勝磨氏
「目標は世界一!」と気合いの声出し
受賞者と中野社長を中心に関係者一同で記念撮影