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成田空港、飛行機と空港の安全を守る手荷物チェック検査員のスキルコンテスト実施

2回目となる「All Narita Screeners Contest」実施

2017年6月12日 実施

成田国際空港が保安検査員のスキルコンテスト「All Narita Screeners Contest 2017」実施

 NAA(成田国際空港)は6月12日、成田空港の手荷物検査などを行なう保安検査員のスキルコンテスト「All Narita Screeners Contest 2017」を実施した。保安検査員のモチベーションや技術向上を目的に2016年に開始し、2017年は2回目の実施となる。

 このコンテストは成田空港の各ターミナルで保安検査を行なっている各社の保安検査技術を競うもの。コンテストを通じて検査員の活躍を多くの人に知ってもらうことや、お互いの検査技術を学び合う合同研修としての意味もある。

 参加したのは、空港保安事業センター、ジェイ・エス・エス、セノンの3社で、それぞれ、第1ターミナル、第2ターミナル、第3ターミナルの保安検査を担っている。各社から選抜された5名が、以下の役割に分担。20名の模擬旅客を15分以内に検査し、技術、効率、CS(顧客満足度)の観点で競う。

案内担当

 旅客に対し検査への協力を要請し、ベルトコンベアに手荷物などを載せるよう誘導、金属探知機への通過を案内する。

モニター担当

 X線検査装置のモニターを監視し、手荷物などの中の持ち込み制限品の有無を判断する。

仕分け担当

 開披検査の対象となる手荷物、開披検査にならない手荷物の区別を行ない、それぞれ開披担当または旅客に引き渡す。

接触担当

 金属探知機に反応があった旅客に対して接触検査を行ない、所持品などを検査する。

開披担当

 手荷物などを開けて、内容品を検査する。

 審査員はAOC(Airline Operators' Committee:航空会社運営協議会)の下部組織で航空保安を担当しているSSC(Security Sub Committee:保安小委員会)の役員を中心に担当。SSC議長を務めるデルタ航空の武田宏治氏ほかSSC役員やNAA保安警備部の責任者など7名と、CS(顧客満足度)に特化して評価する2名の計9名が審査を担った。審査員は、適切な検査ができているか、効率的な検査ができているか、お客さま対応は適切にできているかを中心に総合的に審査し、順位を決める。

審査員はオレンジのベストを着用。SSC役員やNAAの保安警備部などが審査にあたった

 ちなみに成田国際空港では、3月29日から保安検査の一部レーンにボディスキャナを導入していることは既報のとおりだが、今回は従来どおりのX線検査機、金属探知機による保安検査を競う。コンテストは、ジェイ・エス・エス(第2ターミナル)、空港保安事業センター(第1ターミナル)、セノン(第3ターミナル)の順に実施。各社とも盛大な応援団を背にコンテストに挑んだ。

 コンテストでは、液体物を持っている人、規定サイズを超えるライターを持っている人などの開披検査が必要な手荷物のほか、車椅子の旅客、出発が迫って列に割り込んでくる旅客など、普段の対応でもありがちなシチュエーションが登場。いかに丁寧に説明を行ない、旅客に理解を得られているか、などがチェックされる。

 加えて、途中にX線検査の装置に故障が発生する、危険物が発見されるといった“トラップ”も仕込まれており、その場合にはゲートをストップして人を通さない、検査エリアから人を遠ざけるといった臨機応変な対応が求められた。

 開披検査や接触検査が多めなシチュエーションということもあってか、20名の模擬旅客が待たされることも多かったが、その待ち時間にも案内担当やモニター担当は、上着を脱いでもらうことや持ち込み制限品の声かけをするなど、その場その場でできることを実践していた。

第2ターミナルの保安検査を担う株式会社ジェイ・エス・エス
株式会社ジェイ・エス・エス
第1ターミナルの保安検査を担う一般財団法人空港保安事業センター
一般財団法人空港保安事業センター
第3ターミナルの保安検査を担う株式会社セノン
株式会社セノン
SSC議長を務めるデルタ航空 武田宏治氏

 コンテスト終了後に講評を述べたSSC議長を務めるデルタ航空の武田宏治氏は、「一番大事なのは現場、本番。お客さまが実際にいらっしゃるところに、いかに則したやり方でコンテストが活かされるのか。また、3社が会してお互いに見て、感じることができる機会を活かして、現場に戻していただければ」とコメント。そして、「昨今、航空保安についてはメディアを賑わしているところでもあるので、“もっとも安全で安心な空港は成田空港である”と認知される原動力は検査会社の皆さんなので、この機会を今後に活用していただきたい」とエールを送った。

 また、同じくコンテスト終了後には各社の参加者から代表者が取材に応じた。

 ジェイ・エス・エスの秋葉さんは、飛行機の安全を守ることが人命を守ることであるという責任感に言及したうえで、「非常によい経験をさせていただいた。意気込みや姿勢には限界がないと思う。今後ステップアップして頑張りたい」とコメント。

 空港保安事業センターの前田さんは、特に液体物や大型ライターなどをその場で破棄してもらうことの苦労を語り、コンテスト参加について「引き締まるというか、より丁寧にやろうと自分を見直すよい機会になった。一人一人に時間をかけすぎるとお待たせすることにもなるので、よりスピーディに、お客さまも受けて気持ちよい検査を目指したい」と話した。

 セノンの黒木さんは、外国人旅客の意思疎通、日本のルールを理解してもらうことへの苦労を述べ、「接遇、スキルは維持して、今後いらっしゃるお客さまに満足と、安全をご提供できたら」と語り、3者それぞれがコンテストを終えての、新たな意気込みを示した。

ジェイ・エス・エスの秋葉さん
空港保安事業センターの前田さん
セノンの黒木さん

 なお、コンテストは6月12日の午前中に行なわれたが、表彰式は同日夜に実施。審査の結果、チーム賞となる「Best Screening Company Award(NAA 賞)」は、ジェイ・エス・エスが獲得。

 個人賞となる「AOC賞」は、空港保安事業センターで案内を担当した金子さん、ジェイ・エス・エスでモニターを担当した髙見さん、セノンで接触検査を担当した小林さんがそれぞれ受賞した。

コンテストに参加した3社15名