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成田空港、高精度地図や搭乗券スキャンで空港を案内する「infotouch(インフォタッチ)」運用開始
高精度地図はスマホナビなどへの展開も検討
2017年10月21日 00:00
- 2017年10月20日 第1ターミナル導入
NAA(成田国際空港)は10月20日、国内空港で初めて採用される機能を多数盛り込んだ次世代双方向型デジタルサイネージ「infotouch(インフォタッチ)」を第1ターミナル1階のビジター・サービスセンター内に導入した。運用開始に先立ち、報道関係者向けに機能説明などを行なった。
利用者それぞれのニーズに合わせてシームレスかつタイムリーな情報提供を実現することを目的に開発されたもの。フライト情報や館内施設、交通アクセスなどの情報に少ない操作で直感的にアクセスできることをコンセプトにしており、NTTデータが開発を担った成田空港のターミナル内を正確な縮尺で表わした「高精度屋内デジタルマップ」の導入、搭乗券をスキャンしての経路案内など、国内空港では初となる機能を盛り込んだ。
導入するのは、10月20日に運用をスタートしたビジター・サービスセンターに2台と、10月31日から運用開始する出国審査後の第5サテライト3階に2台の計4台。運用時間はいずれも4時~25時。
NAA 経営企画部門 IT推進部 情報企画グループ マネージャーの阿部英崇氏によると、将来的には第2ターミナルと第3ターミナルへの導入も検討しているが、現時点においては時期などは具体化しておらず、まずは4台を導入して利用者の反応や改善点などをまとめる方針だという。
この投資額は1億5000万円ほど。ただし、高精度屋内デジタルマップはinfotouchの開発に合わせて作成されたものだが、スマホによる館内ナビゲーションなどへの活用も考えられている。現在はinfotouchの設置場所である第1ターミナルの地図だけが使われており、ターミナル移動が必要な案内についてはターミナル間連絡バスの乗り場案内までで終了する。しかし、データとしては第2ターミナルと第3ターミナルの地図もシステムに持っているという。
infotouchは非常に多くの機能を持っており、これほどの機能を1つの端末に盛り込んだことも国内空港初であるという。主な機能としては、
・フライト、ショップ・レストラン・施設、交通アクセス情報の提供
・高精度屋内デジタルマップによる館内ナビゲーション
・搭乗券スキャン機能(搭乗口、カウンターまでのルート表示)
・テレビ電話(案内スタッフとの通話)
などが挙げられている。
日本語、英語、中国語(簡体字/繁体字)、韓国語、インドネシア語、タイ語、フランス語、スペイン語の9言語(一部機能は4言語)に対応するほか、車椅子でも使いやすいデザイン、利用者の身長を自動判定しての操作ボタンの配置変更など、ユニバーサルデザインに配慮した設計にしている。
身長判定には本体上部の超音波センサーと下部の熱センサーを用いており、これらのセンサーによって人が近づいたことを判定して画面の切り替えも行なう。
トップ画面の操作ボタンは、「フライト」「ショップ/レストラン」「サービス施設」「交通アクセス」の案内画面へのほか、利用者からのニーズが高い「Wi-Fi接続設定」「トイレ」「喫煙所」の情報に関しては専用のボタンを用意してワンタッチで表示できるようにしている。
フライト案内は、ボタン操作で便名などを指定する方法のほか、搭乗券のQRコードやバーコードを読み取らせることで、その便の状況やカウンター、搭乗口までのルートを表示。館内の案内は先述のとおり縮尺が正確な高精度デジタルマップによるもの。目的地までの経路を、現在地から階の移動方法も含めて矢印で示し、それを印刷することも可能だ。
加えて、経路案内時には、まずは最短経路を表示するが、車椅子などでエスカレータなどが使えない利用者のために、エレベータなどを使った段差の少ない“アクセシブルルート”を案内する機能も持っている。
交通案内は、NAAが2015年から導入している交通アクセス案内のデジタルサイネージと同様の機能を持っており、行き先の駅名、ランドマーク、ホテルなどを検索して、交通機関の乗り換え案内や料金、所要時間などを表示し、自身のスマホへ情報を転送することができる。さらにinfotouchはプリンタを内蔵していることから、結果をプリントアウトすることもできる特徴がある。
このほかinfotouchには、成田空港の案内カウンターに設置されているテレビ電話による案内サービスの機能も統合。従来同様に4カ国語で対応する。オペレータによる1対1の対応となり、カメラを通じて搭乗券などを確認したり、画面上に資料や地図を表示してマーキングをしながら説明したりといった対応を実現している。ここでもinfotouchのプリンタが活用され、オペレータが記入しながら説明した地図を印刷することも可能になっている。