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日本旅行業協会と国交省、インフラツーリズム実現に向けた「関東地方整備局モニターツアー」の中身
外環道 三郷南IC~高谷JCTや東京港トンネルなどの道路を作る現場が目の前に
2017年1月6日 14:14
- 2016年12月15日 実施
JATA(日本旅行業協会)の関東事務局は、国土交通省 関東地方整備局と協力して、道路工事見学を旅行ツアーとして組み込む、いわゆるインフラツーリズムを実現させるための準備として、旅行会社から代表参加者を募り「関東地方整備局モニターツアー」と称して視察ツアーを実施した。このツアーの様子は既報のとおりだが、今回はその工事の詳細についてお伝えする。
今回見学できたのは、外環道(東京外かく環状道路)の三郷南IC(インターチェンジ)~高谷JCT(ジャンクション)間(千葉県区間)、東京港トンネル工事(東行き)、外環道の関越自動車道~中央自動車道~東名高速道路シールドトンネル工事の東名JCT(仮称)の3カ所。
外環道千葉県区間(三郷南IC~高谷JCT)
外環道千葉県区間は、外環道の西側ですでに供用中の三郷南ICから、首都高湾岸線や東関東自動車道と接続することになる高谷JCTまでの工事。練馬や埼玉方面から千葉方向へ抜けるルートが格段に便利になり、成田空港へのアクセスもよくなる。
一般道の国道298号と併走する。これまで高速道路が高架、その下を一般道が走る形状が多かったのだが、この区間では高速道路が中央に開口部がある地下に、一般道が地上にあり、両脇を歩道や自転車道など環境施設帯を設置するという周辺環境を配慮した構造になっているのが特徴だ。また、高速道路よりも一般道を先行して開通させる予定で工事を進めている。
外環葛飾大橋~矢切富士見公園~松戸ICの工事現場付近
高速道路のほとんどが地下を走るが、矢切富士見公園のある矢切トンネル開口部から、国道6号とJR常磐線、江戸川を越え三郷南ICへとつながる部分は高架となる。この国道6号~JR常磐線~江戸川を越えるのは、外環葛飾大橋と呼ばれる。この国道6号とJR常磐線のちょうど上部分にて見学ができた。まだ未舗装であるが、高架はすでにつながっていた。
地下を走る高速道路部分は、松戸IC(仮称)付近を見学した。中央分離帯の上部に採光用のスリットが設けられていて、そこに光がさしこむ様子が幻想的。これはコンクリートの使用量を抑えることと、採光や通風がとれるというメリットがある。
とはいえ、スリットが均等なために起きるちらつきを抑えるために、部分的に上部カバーをして色を変えたり、車両の高さに合わせた壁を追加する(スリット部へのオフセット衝突時の被害軽減のため)など、計画時より費用がかかってしまっているとのことだった。
東京港トンネル工事(国道357号)
東京港トンネル工事現場は、首都高湾岸線の臨海副都心~大井間にある海底トンネルでの、首都高湾岸線の両脇を並行する一般道路の国道357号の東行き側(湾の内陸側)。すでに西行き側は2016年3月26日から供用されている。
東京湾の海底15mの部分に4車線分でボックス型の高速道路トンネルが走っていて、その両脇17m離れた場所で下に7m下がった地点に直径12mとなる筒状のシールド工法でトンネルが作られている。途中最大で4%の勾配がある。
湾岸地域と羽田空港との間となるので、この区間の渋滞緩和が期待される。2018年度の開通を予定している。
外環道(関越~中央~東名)シールドトンネル工事
外環道(関越~中央~東名)シールドトンネル工事は、東名JCT(仮称)でつながる東名高速道路から中央自動車道、外環道と関越自動車道のつながる大泉JCTまでほぼ全線の16.2kmを地下トンネルでつなげる工事。
外環道 大泉JCT以南は多くの部分で地下40m以上の深さの大深度地下トンネルを掘削するシールド工法のトンネル工事となっている。大深度地下の利用では用地取得が不要となり、予算を抑え、完成を早めるメリットがある。
東名ICと大泉JCTの両端の立坑からシールドマシンで掘削していき、中間地点の井の頭通り付近で地中で接合する。接合地点では立坑は掘らず、凍結工法で地下水の流入を防ぎながらシールドマシンを解体しトンネルを接合する。
トンネルは内径が14.5m、外径が15.8mとなり、全線片側3車線分ある。南行きと北行きの2本で6車線。東京湾アクアラインの外径13.9mや、中央環状新宿線の外径12.8mよりも太い。換気所が合計5カ所で、東名JCT、中央JCTに2カ所、青梅街道IC、大泉JCTに設置される。
開通時期は未定だが、現在一般道の環状8号を使っているルートが、そのまま地下高速道になり、これまで順調でも1時間かかっていたものが、約12分と大幅に時間短縮ができるようになるという。