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日本旅行業協会と国交省、インフラツーリズム実現に向けた「関東地方整備局モニターツアー」の中身

外環道 三郷南IC~高谷JCTや東京港トンネルなどの道路を作る現場が目の前に

2016年12月15日 実施

東京外かく環状道路(関越~中央~東名)シールドトンネル工事の東名JCT(仮称)の工事現場。中央に大きな立坑があり、資材や土砂の出し入れをする

 JATA(日本旅行業協会)の関東事務局は、国土交通省 関東地方整備局と協力して、道路工事見学を旅行ツアーとして組み込む、いわゆるインフラツーリズムを実現させるための準備として、旅行会社から代表参加者を募り「関東地方整備局モニターツアー」と称して視察ツアーを実施した。このツアーの様子は既報のとおりだが、今回はその工事の詳細についてお伝えする。

 今回見学できたのは、外環道(東京外かく環状道路)の三郷南IC(インターチェンジ)~高谷JCT(ジャンクション)間(千葉県区間)、東京港トンネル工事(東行き)、外環道の関越自動車道~中央自動車道~東名高速道路シールドトンネル工事の東名JCT(仮称)の3カ所。

外環道千葉県区間(三郷南IC~高谷JCT)

 外環道千葉県区間は、外環道の西側ですでに供用中の三郷南ICから、首都高湾岸線や東関東自動車道と接続することになる高谷JCTまでの工事。練馬や埼玉方面から千葉方向へ抜けるルートが格段に便利になり、成田空港へのアクセスもよくなる。

 一般道の国道298号と併走する。これまで高速道路が高架、その下を一般道が走る形状が多かったのだが、この区間では高速道路が中央に開口部がある地下に、一般道が地上にあり、両脇を歩道や自転車道など環境施設帯を設置するという周辺環境を配慮した構造になっているのが特徴だ。また、高速道路よりも一般道を先行して開通させる予定で工事を進めている。

外環葛飾大橋~矢切富士見公園~松戸ICの工事現場付近

外環道千葉県区間の模型。今回見学した国道6号(写真左下)を高架で越える外環葛飾大橋~松戸IC(仮称)付近。中央付近に見える道路上の緑が矢切富士見公園
首都高湾岸線や東関東自動車道、国道357号に接続する高谷JCT
地上部交差点の工事状況。この下を高速道路が走ることになる
地下の高速道路の採光や通気のため、中央部分が大きく開口している箇所もある
高速道路の上が広大な公園となる予定の矢切富士見公園を側道側から見たところ
矢切富士見公園を別方向から見たところ
矢切富士見公園でトンネルが終了し、その先は高架の外環葛飾大橋となる。遠くに国道6号とJR常磐線が見える
外環葛飾大橋を地上から見たところ
矢切富士見公園からは、歩道で下に降りる階段が用意されている

 高速道路のほとんどが地下を走るが、矢切富士見公園のある矢切トンネル開口部から、国道6号とJR常磐線、江戸川を越え三郷南ICへとつながる部分は高架となる。この国道6号~JR常磐線~江戸川を越えるのは、外環葛飾大橋と呼ばれる。この国道6号とJR常磐線のちょうど上部分にて見学ができた。まだ未舗装であるが、高架はすでにつながっていた。

外環葛飾大橋の道路上。未舗装の状態。三郷南IC方面を見ている
外環葛飾大橋の道路上。矢切富士見公園のある高谷JCT方面を見ている
トンネル開口部分のアップ。上が矢切富士見公園になる
この下に国道6号とJR常磐線が走るため防護柵がある
下には国道6号とJR常磐線が交差する
近くに住宅がある箇所には、防音壁が設けられていた

 地下を走る高速道路部分は、松戸IC(仮称)付近を見学した。中央分離帯の上部に採光用のスリットが設けられていて、そこに光がさしこむ様子が幻想的。これはコンクリートの使用量を抑えることと、採光や通風がとれるというメリットがある。

 とはいえ、スリットが均等なために起きるちらつきを抑えるために、部分的に上部カバーをして色を変えたり、車両の高さに合わせた壁を追加する(スリット部へのオフセット衝突時の被害軽減のため)など、計画時より費用がかかってしまっているとのことだった。

松戸IC(仮称)付近の地下部分。スリットがある側が中央分離帯。高谷JCT方面を見ている
松戸IC(仮称)付近の地下部分。三郷南IC方面を見ている
均等に並ぶスリットからの光が幻想的。運転時にはこのような見え方になるはずだ
現状のトンネル天井部分は、作った時期によって表面処理が異なっている
トンネル作成時に鉄骨の支柱を切り離した跡が天井に残っている
路面の様子。まだ舗装はされていない
スリットからの光は部分的に色が変えられている。これは高速で通り過ぎるとちらつくことを軽減するため
スリット部の上部を見上げてみる。ここはカバーがかかっている
スリット部をさらに近付いてみる。こちらは上が抜けて空が見える
スリット部の下側には、車高の高さ程度の壁になっている。これはオフセット衝突被害を軽減するため、あとから追加されている。
工事車両はトンネル部を通行しているので渋滞気味

東京港トンネル工事(国道357号)

 東京港トンネル工事現場は、首都高湾岸線の臨海副都心~大井間にある海底トンネルでの、首都高湾岸線の両脇を並行する一般道路の国道357号の東行き側(湾の内陸側)。すでに西行き側は2016年3月26日から供用されている。

 東京湾の海底15mの部分に4車線分でボックス型の高速道路トンネルが走っていて、その両脇17m離れた場所で下に7m下がった地点に直径12mとなる筒状のシールド工法でトンネルが作られている。途中最大で4%の勾配がある。

 湾岸地域と羽田空港との間となるので、この区間の渋滞緩和が期待される。2018年度の開通を予定している。

東京港トンネル工事現場付近

工事現場は東京港トンネル排気塔がすぐ近くに見える場所
東京港トンネル工事、国道357号東行き側の開口部。緩やかに下がっている
トンネルの開口部に近付く
トンネルが見えてきた
トンネル入口。奥の黒いラインからシールドマシンによるトンネル掘削が始まっている
これが掘削の開始点
トンネル内部。掘削している方向を見ている
トンネル内部。入口方向を見ている。日の光が幻想的に見える
少し入っていくと、塗装などを行なう台車が見えてくる
台車の正面
この先でシールドマシンが掘削をしている。土砂を運び出すトラックが見える
トンネルを構成する「セグメント」と呼ばれるパーツ
セグメントをシールドマシンまで運ぶ特殊車両。先頭の運転席はとても狭い
特殊車両でセグメントを運び入れる様子
掘り出した土砂の処理をする場所
シールドマシンの映像
シールドマシンで掘り進み、セグメントを筒状に組み上げていく。組み上がったセグメントからジャッキを使いシールドマシンを押して前進する。この繰り返し
シールドマシンのある先頭部分の工事状況。この手前までを見学
セグメントのジョイント。これは進行方向の接続部。押し込むと接続される
セグメントのジョイント。輪になる部分の接続部。スライドして接続する

外環道(関越~中央~東名)シールドトンネル工事

 外環道(関越~中央~東名)シールドトンネル工事は、東名JCT(仮称)でつながる東名高速道路から中央自動車道、外環道と関越自動車道のつながる大泉JCTまでほぼ全線の16.2kmを地下トンネルでつなげる工事。

 外環道 大泉JCT以南は多くの部分で地下40m以上の深さの大深度地下トンネルを掘削するシールド工法のトンネル工事となっている。大深度地下の利用では用地取得が不要となり、予算を抑え、完成を早めるメリットがある。

 東名ICと大泉JCTの両端の立坑からシールドマシンで掘削していき、中間地点の井の頭通り付近で地中で接合する。接合地点では立坑は掘らず、凍結工法で地下水の流入を防ぎながらシールドマシンを解体しトンネルを接合する。

 トンネルは内径が14.5m、外径が15.8mとなり、全線片側3車線分ある。南行きと北行きの2本で6車線。東京湾アクアラインの外径13.9mや、中央環状新宿線の外径12.8mよりも太い。換気所が合計5カ所で、東名JCT、中央JCTに2カ所、青梅街道IC、大泉JCTに設置される。

 開通時期は未定だが、現在一般道の環状8号を使っているルートが、そのまま地下高速道になり、これまで順調でも1時間かかっていたものが、約12分と大幅に時間短縮ができるようになるという。

外環道(関越~中央~東名)シールドトンネル工事の東名JCT付近

外環道(関越~中央~東名)シールドトンネル工事の概要図。全線大深度地下トンネルとなる
東名JCT付近の模型
JCT部分の拡大
模型は地下部分も再現されていた
トンネルの断面
東名JCT工事現場見取り図
シールド工法の解説。シールドマシンがトンネルを構成するセグメントを利用しながら効率よく掘り進む
トンネルを構成するセグメントの解説パネル
東名JCT工事現場
中心に大きな立坑がある
立坑内で人を運ぶエレベータ
少し離れたところに掘り出した土砂を一時貯めるピットヤードがある。まだ未設置だがベルトコンベアで運ぶ
東名高速道路に隣接している
東名高速を挟んでセグメントをストックするヤードを建設中
立坑を間近に見たところ。最終的に全体が防音ハウスに囲まれる予定
立坑の下向きに覗く。最下部にシールドマシンがあり、その部分までで約50mある。最深部まで70mほど
人が乗る工事用エレベータ。最大積載量は900kgで定員は10名

 見学時は、ちょうど立坑最深部にシールドマシンが組み上げられていた状態で横方向のトンネルはまだなかった。このあと、立坑のコンクリート壁を破りトンネル掘削が始まる。

 立坑の脇には大型のクレーンが置かれていて、これがシールドマシンの部品を下に降ろしていたはずだ。ただこのクレーンは、トンネル掘削時にはなくなる。立坑全体を防音のハウスで覆い、セグメント運搬と土砂はリフトとコンベヤを使って運ばれるためだ。トンネル内も同様で水平方向のセグメント運搬には自走式の台車が使われる。

立坑の下ではちょうどシールドマシンを組み上げたばかり。シールドマシンの背面
シールドマシンの横部分
シールドマシンが掘削する歯が付いたカッターフェイス。この部分は掘削が始まると見ることはできない
カッターフェイスを別方向から
ビットと呼ばれる歯は、15cmほどの大きさ
掘削面から土砂を後方に運ぶスクリュウコンベヤ。回転して運ぶ
日立住友重機械建機クレーンの大型クレーン「6000SLX」。最大吊り上げ荷重は500t。大型クレーンとしてはコンパクトで可搬性にも富む。プラント建設で活躍する