旅レポ

夜行便でオーストラリア・ケアンズに到着。早朝から動き出している南国の港町の歩き方

トリニティ・インレット沿いの桟橋から見るマリーナ。海辺の街らしい光景

 ケアンズへの到着は早朝5時台。入国審査、手荷物受け取り、税関・検疫を抜けて空港の外に出ると、南国の朝の空気が心地よい。

 空港から市内中心部まではクルマで10分~15分程度。まだ夜が明けたばかりだが、ケアンズの朝は早い。港へ向かう人、エスプラネード(散歩道)を走る人、コーヒーを片手に歩く人。夜のフライトで到着した旅行者だけが早起きしているのではなく、街そのものがすでに起きていることに少し驚いた。

早朝のケアンズ・マリーナ。ナイトフライトで到着した直後でも、港町の朝はすでに動き出している

 ちなみに、ケアンズ空港は公営バスなどがターミナル前まで乗り入れているタイプの空港ではない。タクシー、ライドシェア、または事前予約制の空港シャトルの利用が一般的だ。郊外の離れたところに空港があるような大都市の空港とは違い、空港を出て少し走れば、もうケアンズシティだ。

 まず向かったのは宿泊予定のホテル。ほとんどのホテルがチェックインまでの間、荷物を預かってくれるので、先にホテルへ向かい、荷物を預けて身軽になろう。このとき、街歩き用の荷物をあらかじめ分けておくと楽だ。筆者はいつもリュックのなかに街歩きに必要なものをまとめて、スーツケースの一番取り出しやすい場所に入れておく。もちろん機内持ち込みバッグをそのまま街歩き用に使ってもOKだ。

マリーナ近くにあるWharf ONE Cafe。オープンエアの建物は朝の心地よい風が流れ込んでくる

 フライトの疲れを癒し、空腹を満たすため荷物を預けたあと、マリーナ近くの「Wharf ONE Cafe」で朝食をとった。トリニティ・インレットを臨む水辺のカフェで、朝7時から営業している。早朝にケアンズに到着し、荷物を預けて海沿いのカフェで朝食をとる。フライトの疲れを癒すには最高の幕開けだ。

朝の7時台でも、地元の人や観光客でにぎわう
「写真撮っていい?」と聞くとすぐにポーズを取ってくれる陽気なオージー

 Wharf ONE Cafeはマリーナの近くにあるオープンエアのカフェだ。メニューにはオーストラリアのカフェらしい料理が並ぶ。メニューを眺めるだけで食欲がわいてくる。筆者が選んだのは「Brekky Burger」。BrekkyはBreakfastのくだけた言い方で、現地のカフェメニューではよく見かける表記だ。見た目はハンバーガーだが、ベーコン、目玉焼き、ほうれん草、オランデーズソースを挟み、ハッシュブラウンとブラッティ・メアリーソースが添えられた一皿。

筆者がオーダーした「Brekky Burger」。カリカリのベーコン、目玉焼き、ほうれん草などをはさんだバーガー。朝の空腹を満たしてくれる満足度の高い一皿だった

 そのほかにもアボカドトーストの「The'Avo'」や「Chilli Scramble」などメニューは豊富だ。The'Avo'は、つぶした地元産アボカドをトーストしたチャバタに乗せて、ペルシャ風フェタ、トーストシード、バルサミコグレーズ、赤玉ねぎのピクルスを合わせた一皿。Chilli Scrambleは、スクランブルエッグにペルシャ風フェタ、チェリートマト、コリアンダー、チリジャムを合わせ、トーストしたチャバタを添える。

アボカドトーストの「The'Avo'」。地元産のアボカドにフェタやピクルスを合わせた一皿。ケアンズ近郊はアボカドの生産地でもある。アボカド好きにはたまらない
スクランブルエッグにフェタ、チリジャム、コリアンダーを添えた「Chili Scramble」。チリジャムの甘辛さが朝の目覚めにあう

 メニューを見ていると、グルテンフリーの表記にも気づく。ケアンズのカフェやレストランでは、グルテンフリーに対応したメニューを用意している店も多い。メニューの端に「GF」とあればグルテンフリー、「V」はベジタリアン、「VG」はヴィーガン、「DF」は乳製品不使用といった具合だ。

 店によっては「GFO」や「VGO」のように、最後にOが付く表記もある。これはGluten Free Option、Vegan Optionのように、注文時に伝えれば対応できるという意味で使われることが多い。アレルギーや食事制限がある人はもちろん、旅行中に食べるものを選ぶうえでも、こうした表記はありがたい。ただし、表記の使い方は店によっても少し違う。厳密なアレルギー対応が必要な場合は、メニューの記号だけで判断せず、注文時に確認する方が安心だ。

豊富なメニューに朝から迷う。GF/V/VGなど食事制限に対応した表記も見られる。右端の数字が金額だ

 コーヒーの名前にも、オーストラリアらしさがある。メニューにはフラットホワイト、ラテ、カプチーノ、ロングブラック、ピッコロ、エスプレッソ、モカなどが並ぶ。オーストラリアはコーヒー文化が根付いた国なので、カフェでは単に「コーヒー」と頼むのではなく、飲み方を選ぶ感覚の方が近い。

オーストラリアのカフェでよく見かけるミルクコーヒー「フラットホワイト」

 ブラックで飲みたいなら、ロングブラックが分かりやすい。エスプレッソをお湯で割った、アメリカーノに近い。ショートブラックはいわゆるエスプレッソ。小さなカップで出てくる濃い一杯だ。

 オーストラリアらしい一杯を試すなら、フラットホワイトがお勧めだ。エスプレッソにスチームミルクを合わせ、表面にうすいフォームを乗せたもの。ラテよりも泡が控えめでコーヒーの味を感じやすい。ピッコロはエスプレッソに少量のミルクを合わせた小さめのミルクコーヒーだ。

冷たいブラックコーヒーが飲みたいなら「Iced Long Black」。日本のアイスコーヒーに近い感覚で頼みやすい

 注意したいのが、アイスコーヒー。日本でアイスコーヒーといえば、冷たいブラックコーヒーを思い浮かべる人が多い。だが、「Iced Coffee」はエスプレッソ、ミルク、アイスクリームの組み合わせを意味することが多い。冷たいブラックコーヒーが飲みたいなら、「Iced Long Black」とオーダーしよう。

ケアンズシティ中心部には、通り沿いやアーケードにローカルなカフェや飲食店が点在する
歩道沿いにテラス席を出す店も多い。朝からカフェやバーが営業しているので、地元のオージーは皆それぞれお気に入りのお店があるという
ケアンズ中心部のサイン。街は碁盤の目状で、徒歩でも位置関係がつかみやすい
通り名を覚えておくともう一度訪れたい店にも行きやすい。縦方向1ブロックが徒歩約2分、横方向が約3分と覚えておけば、目的地までの時間も掴みやすい

 朝食を終えたら、いよいよケアンズシティの街歩きへ。ケアンズ中心部は大きな街ではない。ホテル、海沿い、スーパー、土産物店、カフェ、レストランなどが歩ける範囲にコンパクトにまとまっている。中心部は碁盤の目に道路が巡らされており、縦方向の1ブロックが徒歩約2分、横方向が約3分。1ブロック、2ブロックと歩けば、だいたいの街の大きさが分かってくる。

海沿いに伸びるエスプラネード。遊歩道が整備され、地元オージーのみならず、観光客が散歩を楽しんでいる

 海沿いにはエスプラネードが延びている。マリーナ、ホテル、飲食店、ショッピングエリアも徒歩圏だ。初めてでも海沿いとマリーナを基準にすれば、自分がどこにいるのかも掴みやすい。

ケアンズの海沿いは白砂のビーチではなく、干潮時には干潟が現われる
干潮時のケアンズ沿岸。干潟には数多くの野鳥の姿が。運がよければペリカンの姿が見られるかも?
エスプラネード沿いからマリーナ方面を臨む。遠くにはトリニティ・フォレスト保護区の山並み
街中に整備されたエスプラネード・ラグーン。誰でも無料で遊べる公営プール
この日の気温は22℃。水が冷たいせいか、泳いでいる人は見かけなかったが、人工ビーチで日光浴を楽しむ人の姿があった
ラグーンの営業時間中はライフガードが必ず常駐しているので安心だ
エスプラネード沿いにはところどころに無料のバーベキュー施設がある。事前予約などは不要で早い者勝ち。ただしエスプラネード周辺では喫煙や飲酒に関するルールがあるので、現地の掲示に従いたい

 ケアンズシティの海沿いは、いわゆる白砂のビーチとは少し違う。南国の海辺と聞くと、すぐ泳げる砂浜を想像するが、中心部の海岸線は干潟のような表情を持つ。その代わり、街中にはエスプラネード・ラグーンがある。地元の人も旅行者も、ここで水辺の時間を過ごしている。

マリーナ周辺にも飲食店がたくさん並ぶ。海沿いを歩きながら店を覗いて回るのも楽しい

 マリーナ周辺も歩きやすい。海側にはツアーボートが並び、グレートバリアリーフなどへ向かう人の玄関口になっている。翌日以降リーフツアーへ出るなら、「Reef Fleet Terminal」の場所を確認しておくといい。リーフツアーの出発は朝が早い。前もって場所を把握しておく方が気楽だ。

グレートバリアリーフ方面の玄関口となるReef Fleet Terminal。リーフツアーは早朝に出発することが多い。朝に慌てないように街歩きの際に場所を確認しておきたい

 6月のケアンズは乾季にあたる。真夏のような蒸し暑さはなく、カラッとした気候だ。朝は比較的歩きやすい。日陰に入ると涼しささえ感じる。ただし、日が昇るにつれて日差しはしっかりと強くなる。気温はそこまで上がらないが、日差しはしっかりと南国だ。帽子、サングラス、日焼け止めは用意しておくことをオススメする。現地の人は少しの雨ではあまり傘を差さない印象だが、旅行者は街歩きの時間が長くなりやすい。強い日差しを避ける日傘代わりにも、急な雨にも対応できるので折りたたみの傘を1つ持っておくと安心だ。

南国らしい抜けるような青空。朝や夕方は、散歩や休憩を楽しむ人の姿も多い

 街は清潔だ。あらゆる所にダストボックスが設置されている。また、クイーンズランド州では使い捨てプラスチック製品の規制が進んでいる。プラスチックバッグ、いわゆるレジ袋や、使い捨てプラスチック製品の規制が進んだ州だ。飲料容器には「Containers for Change」という返金制度もある。対象となるペットボトルや缶などを返却すると、1本あたり10セントが戻る仕組みだ。街中でダストボックスやリサイクルの表示をよく見るのも、こうした背景があるのだろう。

街中には至るところにダストボックスが設置されている。街中がきれいなのもこうした取り組みのおかげ
街中にある給水スポット。ミネラルウォーターを買うと高いので、マイボトルを持ち歩く人も多い。ケアンズの水道水は安心して飲める

 筆者は海外に出かけると、その町のスーパーマーケットを覗くようにしている。その国や街の物価感、食文化、地元の人が普段どんな物を買っているのか、スーパーマーケットから得られる情報は意外と多い。

街歩きの途中で立ち寄ったスーパーマーケット「Woolworths」。物価感や食文化を知るにはスーパーが分かりやすい

 ケアンズシティでも、街歩きの途中でスーパーに立ち寄った。水やジュースは1本ずつ買うより、まとめ買いの方がかなり安く買える。ケアンズは日差しが強く、街歩きでも水分補給の回数が増える。滞在中の街歩きや部屋で飲むものは、ホテルに戻る前にまとめて買っておくとリーズナブルだ。

スーパーに並ぶジュース類。日本では見かけない商品ばかりで、眺めているだけでも楽しい
まとめ売りのミネラルウォーター。日本のような自動販売機はほとんどないので、滞在中の飲み物はスーパーでまとめて調達しておくと割安だ
1本4ドル30セント。1オーストラリアドルは110円前後と考えると470円くらい

 信号も最初は少しとまどう。街中の横断歩道には、歩行者用の押しボタンがある交差点が多い。青になったら渡る。赤点滅や赤字の「DON'T WALK」では、新たに渡り始めない。すでに渡り始めたあとに赤点滅になった場合は、そのまますみやかに渡りきってしまおう。クルマは日本と同じ左側通行。日本車はここでも大人気なようだ。

歩行者用信号の押しボタン。赤点滅や「DON'T WALK」では新たに渡り始めない

 通信手段は日本出発前に整えておくといい。到着直後からスマートフォンは必須だ。ライドシェアを呼んだり、店の場所を調べたりなにかと必要な場面が多い。筆者は携帯キャリアの海外ローミングサービスを利用した。前もって利用予約を入れておくと割引されるサービスもある。5日で5000円だった。

 支払はカード中心。日本よりキャッシュレスが進んでいる。今回の滞在中で現金の支払いは一切なかった。カフェ、レストラン、アクティビティ、ショップなど、ほぼカードやスマートフォンのタッチ決済が使えた。通常のクレジットカードとWiseカードを使い分けた。

 Wiseカードはあらかじめ日本円でチャージしておき、必要に応じてアプリ上でオーストラリアドルへ両替して使える。旅先で使う金額をある程度区切っておきたい人には扱いやすい。クレジットカードはVisaかMastercardを1枚もっておくと安心。JCBは使えない店もあるので注意が必要だ。

夕方のエスプラネード。日差しが落ち着くと、海沿いを歩く人の姿も増えてくる
エスプラネード沿いに設けられた野外エクササイズステーション。地元の人たちが思い思いに身体を動かしていた
犬を連れて散歩する地元の人たち。観光地でありながら、日常の時間も同じ場所にある
夕方ケアンズ沿岸にかかった虹。強い日差しが落ち着くころ、海沿いの空気もすこし変わる
夕方のエスプラネード。ジョギングや散歩を楽しむ人が行き交い、朝とは違う表情を見せる

 夕方になると、ケアンズシティの空気は少し変わる。日中の強い日差しが落ち着き、海沿いには心地よい風が吹く。エスプラネードでは、ジョギングする人、散歩する人、ベンチで海を眺める人が、それぞれの時間を過ごしている。朝の静けさとも、日中の観光地らしさとも違う、ケアンズの夕方の表情だ。

 早朝着の初日はムリをし過ぎない方がいい。機内で眠れたとしても、身体はナイトフライトのあとだ。チェックインまでの時間を埋めようとムリして予定を詰め込むより、まずはケアンズシティを歩く。港の近くで朝食をとり、コーヒーを飲み、海沿いや街中をのんびり歩く。まずは街の時間に自分を合わせよう。

竹信大悟