旅レポ
ハワイ旅の新スタイル発見。“超エコなレタス農場”で学んで食べて地元にも貢献できるボランティアツアーがおもしろい!
2025年4月22日 06:00
ハワイ州観光局 日本支局(HTJ)は、ハワイ旅行の需要回復を目指す「ジャパンサミット2025」をオアフ島で開催し、そのプログラムのひとつとして最新の“再生型観光”を体験できるレタス農場の視察ツアーを行ないました。
再生型観光とは、訪れた地域の自然や文化、人々に“よい影響”を残す観光のこと。例えば地元の自然を守るボランティア活動に参加する、地元の人と交流して文化を学ぶ・伝える、地元の食材を使った料理を楽しむことで地域を応援するなど。ただ楽しむだけでなく、その土地がもっと元気になれるよう関わることがポイントです。今、この再生型観光が新しい旅のスタイルとして日本国内外で推進されています。
今回は、オアフ島クニア地区にある「Nalo Farms(ナロファーム、旧クニア・カントリー・ファーム)」(92-1770 Kunia Rd, Kunia Camp, HI)でのエコボランティアを体験。「ジャパンサミット2025」に集まった日本の主要な旅行会社22社のうち、主にパッケージツアーを造成したり、中学・高校生の修学旅行や企業の福利厚生向け旅行のプランニングをしたりと、ハワイ商品を企画する担当者たちとともに参加してきました。
ワイキキ市街地からクルマで約1時間、オアフ島の中西部に広がるのどかな農業地帯に到着。訪れたナロ・ファームのほかにも、有名なパイナップル農園「ドール・プランテーション」をはじめ、大小の農場・農家が点在していて、野菜やフルーツの多種多様な農作物が育てられています。遠くにはオアフ西側の大山脈、ワイアナエ・レンジがそびえ、まさにハワイの原風景がここに。
2010年に創業したナロ・ファームは、経営者の夫婦と娘、数名の地元ボランティアスタッフで運営しており、ハワイ州最大級のアクアポニックス農場のひとつとして、マノアレタスをはじめとした3~4品種のレタスを生産。1エーカーの敷地に20基の栽培用トラフがあり、週に5000玉を収穫しています。新鮮な朝どれレタスは、「ハワイ・フードバンク」に寄付されるほか、地元のファーマーズマーケットやワイキキのレストランなどに毎日直売され、学校給食にも使われているそう。
最大の特徴は、環境負荷ゼロを目指す“アクアポニックス”という農業システム。「魚の養殖(アクアカルチャー)」と「水耕栽培(ハイドロポニックス)」を組み合わせた、とてもエコでサステナブルな仕組みで、言わば魚と野菜が助け合いながら育つ“循環型農業”を学ぶことができます。
ここでのボランティア体験は、まずスタッフの案内でアクアポニックス農法についての説明からスタート。魚(暖かい地域で育つ淡水魚のティラピア)が排出する老廃物がバクテリアの力で植物の栄養に変わり、その養分で育ったレタスが水を浄化して再び魚を養殖する水槽へ……、という自然界の循環そのままを活かす農法に驚きました。
説明のあとは実際に、レタスの種を植える作業や養殖魚の稚魚をタンクに移す作業などを体験します。このガイドツアーとボランティア作業で2.5時間ほど。
農業と生態系、そして地域社会とのつながりを視覚的かつ実践的に学べる内容に、旅行会社の参加者たちも強く関心を寄せており、「中学・高校生たちが楽しんで取り組めそう」「土を触る感覚が久しぶりで、大人も童心に返る」といった声が聞かれました。
ただし、暑いしたまにシャワーも降るなか、汗だくになったり、土で汚れたり、元気に暴れる養殖魚の水しぶきを浴びたり、草むらで虫に遭遇したりと、それなりの根気と心構えは必要ですが、それもまたリアルな自然に触れる再生型観光ならではの醍醐味です。
農作業のあとは、ご褒美ランチ! この日は、農場で採れたレタスたっぷりのフレッシュサラダ(コールスロードレッシング付き)に、スパイシーな味付けのトライチップビーフロースト、トマトと熟成豆の甘いBBQソース風味の豚煮込み、ライスが添えられ、冷たいドリンクとデザートのココナッツケーキまで付いたボリューム満点のファームランチでした。
レタス1玉の種を植えるところから収穫できるまで、その手間暇を学んだばかりなので、美味しさもありがたみもひとしおです。
ツアーの最後は、レタス農園に隣接するラム酒蒸留所「Kō Hana Distillers(コ・ハナ・ディスティラーズ)」を見学。ここでは約1000年前にポリネシアンがハワイ諸島に持ち込んだ固有種のサトウキビ34種類を育てており、ハワイ語で「コ」はサトウキビ、「ハナ」は仕事を意味するとおり、古来のサトウキビを原料とした「コ・ハナ・ラム」を製造しています。
一般的なラムが糖蜜からつくられるのに対し、コ・ハナ・ラムはサトウキビの搾りたてジュースを発酵・蒸留するという、サトウキビ本来の風味を活かしたアグリコール製法が特徴。
ホワイトラム「KEA」やオーク樽熟成ラム「KOHO」、地元産カカオ&ハチミツ風味のラム「KOKOLEKA」など種類がいくつかあって、併設のショップでは試飲(ドライバーは要注意)や買い物、ほかにもマノアチョコレートやアパレルグッズなどメイドインハワイのお土産探しも楽しめます。
エコツアー専門会社の「VolunteerAlly(ボランティアアライ)」が主催しており、公式サイト(日本語あり)から少人数〜最大20名程度で申し込み可能。料金は、今回紹介したオールインワンのプランの場合1人160ドル(2.5時間ほどの農園ツアーとボランティア体験、ファームランチ、ラム蒸留所見学と買い物、ワイキキ主要ホテルからの往復送迎付き)。送迎なし&ランチなしだと1人65ドル。
主に午前中の開催が中心で、朝8時すぎにワイキキのホテルを出発し、14時すぎに帰って来るまで“半日のツアー”なので、4泊6日ほどのハワイ旅行スケジュールに組み込みやすいのもポイント。
ちなみに現地では、ボランティアの参加に必要な手袋や農具、給水所、お手洗いなど基本的なものは完備されており、安全面や衛生面への配慮も十分感じられました。
「観光だけじゃ物足りない」「地元に貢献できる体験がしたい」「どっぷり自然に浸りたい」そんな人にお勧めの、学び・癒やし・美味しいがぎゅっと詰まったハワイ旅でした。