ハワイ現地発

【ハワイ現地発】春休みハワイで行くべき最旬レストラン vol.1

 ここ数日、日本からのハワイ到着人数がぐっと増えている。雨季から乾季へ移り変わっているハワイは、花々も咲き始めて、まさに季節は春。相変わらずレストランの新店舗オープン情報が次々と飛び込んでくるなか、今回はハワイでしか味わえないココだけの食体験を楽しめる最旬の2店舗を紹介したい。

底抜けに明るいエネルギーに満ちたアジアン・フュージョン・メキシカン「アロハ・アミーゴ・アイランド・メキシカン・カンティーナ」

クヒオ通り沿いのホテル、コートヤードワイキキビーチの1階にある

 ハワイには数多くメキシカンレストランがあるが、1月末にオープンしたこの店は個性がずば抜けている。経営するのは、ハワイで多くの人気レストランをマネージする日系企業。メキシカン本場の偵察などは念入りにしたというが、結果的に「このハワイで自分たちができる最高のメキシカンを!」と、アジアン・フュージョン・スタイルに行き着いたという。このアイデアが功を奏してすでに大盛況となっている。

バーカウンターで一杯飲みながらつまむのもよさそう
クヒオ通りから奥まったテラス席は静かで快適だった

 メキシコのビールも揃うが、注目は地元のアロハビールとコラボレーションしたオリジナルのアロハ・アミーゴ・ペールエール。メキシコ産ハイビスカスが入ってうっすらピンク色で、軽くてスムースで苦味が少なく非常に飲みやすかった。

 もう一つ、メキシカンといえばメスカル。テキーラもメスカルの1種となる。これを飲みやすくしたカクテルが、スモーキー・メスカル・オールドファッション(21ドル)。スカル形ボトルに煙と一緒にメスカルが入っていて、それをグラスにトクトク、モクモクと注いでくれた。ライムとワームソルトとともに飲むと、ほんのり甘みを感じる味わい深いカクテルだった。

ハイビスカスのビール(9ドル)とスモーキーメスカルオールドファッション(21ドル)

 トルティーヤチップスもフレッシュトマトのサルサソースも手作り。自慢のタコスはメキシコのストリートタコスをイメージしていて、生地は小さめで具がたっぷり。フィッシュタコスは、ハワイの肉厚の白身魚マヒマヒにビールの衣をまぶして揚げてあり、サクッと軽く、ヨーグルトソースと赤玉ねぎ、ディルと相まって抜群の味を楽しめた。6時間煮込んだカルニタス(ポーク)もホロホロと崩れる柔らかさだった。

チップス、ワカモレ、サルサソース、タコスの生地もソースもほぼすべてを手作りしている

 どっしりしたバフブリトー(24ドル)は1パウンドの重さ。2色のソースがかかっていて、赤いサルサソース側はポーク、グリーントマトソース側はチキンが包まれ、1つで2種類のメニューを堪能できるといううれしいアイデアメニュー。

米本土からの観光客は1本食べられるというが日本人はシェアを! バフブリトー(24ドル)

 タワーのようにチキンが積み重なったディアブロチキン(20ドル)はオリジナルホットソースを絡めていて、かなりホットでスパイシー。先ほどのハイビスカスビールをゴクゴクといってしまう味。

結構な辛さだが味に深みがあるディアブロチキン(20ドル)

 見た目のインパクトが大きかったのが、シグネチャーメニューのモルカヘテ(58ドル、2名分)。石臼を意味するらしいが、このなかにあふれんばかりのスープと具材が入ってグツグツさせながら登場した。なかにはとろ~りとろけたチーズ、ポブラノというシシトウのお化けサイズの野菜(辛かったら大当たり)をはじめとした野菜、鶏肉、大きなエビとホタテ、さらにステーキまで入っていた。

 一緒にソフトトルティーヤ、ライス、豆も運ばれてきて、「一体どうやって食べるのか?」と思ったら、「ご自由にどうぞ!」と。魚介と肉のダシを楽しむべくそのままスープとしてもよし、トルティーヤに具と豆を巻いてもよし、ご飯と一緒に食べてもよし。メキシコ風手巻き?と思いつつ、いろいろ試したところ、食べ方によって引き立つ味が変わるので、飽きずに楽しく美味しく食べ尽くした。

どっしりとした石臼に入ったモルカヘテ(58ドル、2名分)
とろ~りのび~るチーズが一つの肝でまろやかな味わになった

 最後に特筆すべきは、19時と21時のテキーラタイム。時間になると、音楽とともにスタッフがショットにテキーラを入れて店内を回って歩く。客たちは2ドルを握りしめて待つ。自分の席に近づいたきたら2ドルを渡してワンショットをもらい、グイッと飲み干す。これが盛り上がること。気づけば隣のテーブルのお客さんと目が合ってニコッとしたりして、店全体が一体感に包まれていた。

一気に飲めるか?と思ったけれど、その場の雰囲気でいってしまった

 明るくてにぎやかで、どこかハワイらしい温もりもあり、料理はとことん丁寧に繊細に作られていて、店にいる間ずっと笑っていたように思う。「あぁ楽しかった!」と言って店を出た。ハワイで楽しい夜を過ごしたいならぜひ。

多種多様な具材をとことん楽しむ「ダンプリング・ファクトリー」

場所はカパフル通りのウォング・レオング・ビル内

 メキシコの次は中国へ。ワイキキの東端から山側につながるカパフル通りに、3月にダンプリング専門店がオープンした。小麦粉を練って具材を包む料理をダンプリングといい、いわゆる餃子の店。この店の餃子は、日本ともハワイで食べるそれとも少し違い、中国出身のオーナーが、中国の伝統の餃子にモダンなアレンジを加えた餃子が多彩に揃っていた。

ガラス越しに清潔な厨房で調理しているの見える

 店内はシックで落ち着く雰囲気で、厨房で手作りの皮に具材を詰めている様子を見ることができる。

 メニューを見て驚いたのが、餃子のバリエーションの数。エビ、豚肉&セロリ、鶏肉&椎茸、牛肉&ピーマンのほか、えび&豚肉&鶏肉&ニラという全種類の肉入りや、野菜のみのズッキーニ&ピーマン&たまご餃子などが並んでいた。

豚肉&セロリの焼き餃子。セロリはクセが少なくあっさりした具だった

 餃子は「焼き」か「茹で」を選べ、最初は迷わず焼き餃子をオーダーした。自家製の皮がほどよい厚みでもっちりして、具がたっぷり詰まっていた。聞くと、本場では茹で餃子を食べるというので、「茹で」も頼んでみたところ、すっかりはまってしまった。

透き通った皮のなかにえび&豚肉&鶏肉&ニラが詰まっていた

 プリッとモチっと茹でた餃子は、手作りならではの皮の弾力と具材の風味を存分に味わえた。個人的にはえび&たまご&ニラの具が好きだった。1つが比較的大きく、1皿12個入り(約12~16ドル)なので、シェアするといいだろう。

ラー油や醤油、黒酢など好みのタレを作ってどうぞ
本場にならって茹で餃子一択!と思った

 餃子以外にも、自家製豚の角煮丼、ブラウンソース煮込み牛肉、つまみとなるチリオイルの千切りポテト、自家製きゅうりのサラダ、キクラゲのサラダなどもメニューに並ぶ。ハワイの人が好きなBYOBスタイル(飲み物の持ち込みOK)なので、ビールでもなんでも好きなものを持っていけば、コストも抑えられる。

手前は味が染み入った自家製豚の角煮丼(13.99ドル)
餃子入りのスパイシーサワースープのヌードル(11.99ドル)

 昼から夜まで営業しているので、夕方にダンプリングとビールを軽く一杯。そのあとワイキキに戻って街歩き……なんていう過ごし方はいかが?

オーナーのティナ・ウォングさん。オアフ島とマウイ島に5軒の「田中ラーメン&居酒屋」と2軒の「マンゴーマンゴー・デザート」を展開してきた。ダンプリングは彼女の新たな挑戦となる
大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。