旅レポ
個性的な車中泊専用施設に泊まろう! 千葉・君津市「RVパーク七里川」体験記
2023年5月1日 06:00
クルマのなかで寝泊まりできる「キャンピングカー」を保有する人は年々増えている。そしてキャンピングカーではなく、普通のクルマの車内にマットなどを持ち込んで就寝する「車中泊」ユーザーも同様に増えている。
こうした状況に対してキャンピングカーの業界団体であるJRVA(日本RV協会)が、快適に安心して車内に泊まることのできる場所として「RVパーク」という車中泊専用施設を展開しているのをご存じだろうか。
RVパークとは、駐車スペースに余裕があること、敷地内に24時間利用できるトイレがあること、駐車区画に100V電源があること、入浴施設が敷地内もしくは近隣にあること、ゴミ処理が可能なこと、入退場の制限が緩やかなこと、複数日の滞在が可能なことを施設要件としたもので、2023年4月時点で全国(47都道府県すべて)に300以上あるという。
RVパークには上記の要件があるのだけど、決まりがあるからといってどの施設も同じような作りというわけでない。RVパークにはそれぞれオーナーさんがいるので、要件を満たしつつも個性ある作りにしているところも多いのだ。
例を挙げると、オートキャンプ場のように車外にテーブルやチェアを置いたり、テントを張ったり、たき火まで許可しているところもあるし、温泉が施設内にあったり、はたまた鉄道の駅に隣接する駐車スペースをRVパークとしているなどなど。これはもう、単にクルマでの寝泊まりができる場所としてではなく「そこに行ってみたい」と思わせる観光地でもある。
また、極端なこと言えば、車中泊は普段乗っているクルマにシュラフや布団を持ち込んで、窓に目張りさえすばやれてしまうものだけに、趣味として始めるのにハードルが低いのも特徴だし、RVパークは利用料も手頃なので宿泊込みのお出かけながら経費を抑えた行動も可能だ。
そこで今回は、そんなRVパークを実際に利用してきたので、レポートさせていただこう。
テント設営にたき火もOK、そして静かで景色もいい「RVパーク 七里川」へ行ってきた
今回行ってきたRVパークは、千葉県君津市にある「RVパーク 七里川(しちりがわ)」(千葉県君津市黄和田畑920)だ。東京からは東京湾アクアライン~東京湾アクアライン連絡道~圏央道と来て、木更津東出口で降りる。そのあとは国道410号から国道465線を走ると現地のすぐそばに着く。あとは脇道を入っていけば到着。東京湾アクアラインの東京側の起点から約1時間30分くらいの距離感だ。
RVパーク七里川のオーナーは粕谷さんという方で、施設は2016年にオープンしたのだが、実はRVパークとなる前から、七里川温泉にくるキャンピングカーユーザーに現在の第一サイトの場所を、駐車スペースとして貸し出ししていたそうだ。そして駐車場を利用したキャンピングカーユーザーから「RVパークにすればいい」というアドバイスを受けたことがきっかけでRVパーク七里川をオープンしたという。
その後、利用者が増えたことから第2サイト、第3サイトと拡張して行き今後は第4サイトを作る予定だという。
料金はサイトごとに設定されていて第1サイト(5台分あり)は2000円~2500円。第2サイト(8台分あり)は3000円、そして第3サイト(10台分あり)は3000円だが、最も広いNo.3サイトのみ5000円となっている。ただ、時期ごとに料金が変わることもあるので、最新の料金は予約時に確認してほしい。
環境もいいし、駐車区画のデキもかなりいい!
筆者のクルマはホンダ N-VAN +STYLE FUN。このクルマは助手席を折りたむことで、運転席以外のフロアをフラットにすることができる。そのため助手席側には約2.6mの長さのフラットなフロアが現われるので、そこにマットを敷けば余裕で寝転がれるようになる。
また、車室内の横幅も約1.3mほどあるので荷物を置く場所も確保できるのだ。それに室内フロアから天井までも約1.3mあるから、それほどかがむことなく、車内を歩いて移動できるのも便利さを感じるなど、ソロの車中泊であれば使い勝手はいいと思う。
さて、そんなN-VANで訪れたRVパーク七里川。RVパークには個性的なところも多いが、こちらがまさにそういうタイプの施設である。
RVパーク七里川は君津市の南東に流れる七里川渓谷の側にあり、周囲は千葉によくある低山に囲まれた景色のいい場所。また、近隣に民家も少ないし駅や買い物のスポットもない、それにほかの観光地につながる道もないので夜はとても静かな環境。月齢によっては星空がきれいに見えるのも魅力の1つだ。
そして施設だが3つあるサイトとも、区画はキレイに整備されていて、駐車位置は安定して駐められるようコンクリートの補強材が埋められている。これは車重があるキャンピングカーに対応する意味もあるが、画像を見て分かるよう「駐車する位置」がはっきり分かるので、斜めに駐めたりすることが起こりにくいのだが、これはかなり重要なこと。
こうした隣り合った区画では、横の区画を利用するクルマの駐め方によっては自身が借りている区画が使いにくくなることもある。かといって区画をはみ出しているわけではないので動かしてほしいとも言えないので、このように「駐めるべきところがはっきりしている」作りは地味に大事なことだと思う。
つぎに取り上げる特筆のポイントは、車中泊施設でありながら車外へのテーブル、チェアの展開がOKで、さらにテント泊もできるという点。これはもうオートキャンプ場といってもいいレベルである。しかも指定されたやり方であればたき火もできるので「テントを持っていないけどキャンプ場で夜のたき火をしてみたかった」という夢が実現できるのである。
車中泊と言えば食事を楽しみにする人も多いだろう。そしてその際は食材や飲み物を用意することになるが、それらを食事の時間まで適温に保つためには車載向けのポータブル冷蔵庫が必要になる。
そしてこの手のギアはDC12VとAC100Vで動くようになっているので移動中はDC電源で駆動できるが、問題は現地に着いてからだ。
いくらRVパークといっても区画ではエンジン停止がルール。そのためクルマを駐めたあとも継続して冷蔵庫を動かすにはほかの電源が必要だが、RVパークであればすべての区画にAC電源を設けてあるのでこれを使わせてもらうのだ。ちなみにオートキャンプ場にも電源サイトはあるが、料金は総じて高めなのを考えるとRVパーク七里川がこの面でもありがたい料金設定であることを感じる。
第2サイトに泊まってみた
さて、主な設備の紹介のあとは区画を利用した印象だ、訪れたのは平日だったので利用者は筆者のほか、ソロで来ていた方のみという状況。そのためか、この日は第2サイトのみのオープンだったが、それでも8区画あっての2台のみの利用なので、伸び伸びした環境で利用することができた。
なお、借りたのは角地になる「No.E区画」。スペースの使い勝手もよく見晴らしもいいので、第2サイトでは人気の区画だそうだ。
まずは広さだが車体が大きいキャンピングカーが駐められて、タープやテントも張れるだけの面積があるだけにN-VANでは余裕。
あと、隣の区画との境に目隠し用の針葉樹が植えてあるが、これがいい感じでプライベート感を生んでいるので、よけいに居心地よく感じた。ちなみに針葉樹は冬でも落葉がないので通年でこの効果は変わらないのもいい。
区画内の植樹についてはもう1つ。区画の南側には広葉樹が植えてあるのだが、これは初夏から夏までの日差しから日陰を作るためのもの。そして広葉樹は冬は落葉するので寒い時期は日差しが確保できるという考えで配置されている。取材は4月中頃だったが気温が6月くらいの温度まで上がり、日差しも強かったのでこの日陰があることはホント助かった。
日が落ちた頃からたき火を開始。暑い日だったがまだ4月なので夜はそれなりに冷えてくるから、たき火の暖かさがまだ気持ちいい。なお、このエリアはそもそも東京より気温が多少低く、まわりに昼間の熱を蓄熱するような構造物がないので真夏でも夜はそこそこ過ごしやすいそうだ。
テント泊であればたき火と同時に夕食にするのだろうが、今回はあくまでも車中泊がお題なので、夕食は車内で食べることにしていた。
ただ、車内ではなるべく火は使いたくないので、車中泊での調理器具は「電気鍋」を使っている。寒い時期はこれでラーメンを作ったりするが、ラーメンも匂いが結構出るので、今回の夕飯はお湯で戻すタイプのピラフとレトルトハンバーグとした。
ちなみに筆者はそもそも食にあまり興味がないのでこういうメニューでもまるで問題ない。味気ないと思う方もいるだろうけど、夜、知らない土地で食べる車中飯というだけでそれなりに楽しんでいるのでまあ、お許しください(笑)。
さて、いよいよメインイベント?の就寝だが、前に書いたようにRVパーク七里川は静かなな環境であり、取材日はほかにソロのお客さんだけだったので、夜は本当に静かだった。それだけに寝ることになんら問題はない。
でも、それだと記事としてあまりにも味気ないので筆者の思うところを1つ書かせていただく。
それは車中泊の寝具について。車中泊はどんなクルマであってもいつもの寝床より寝心地はよくないだろうから、そんな点を少しでもカバーするために寝具はちょっとフンパツしたいところだ。特に寝転ぶマットと枕は寝心地にダイレクトに関係するのでこれらにはこだわった方がいいと感じている。
なお、シュラフについては季節にあったものを用意するのが基本。いまの時期は安価な薄手のシュラフでもいいが、問題は秋から冬。外の気温が下がれば車内といえども外と同じように冷えるので、これらの時期の車中泊では底冷え対策を含めてテント泊同等の装備は必要だ。
とはいえ真冬に対応するシュラフは価格も高いので、気軽に買えるものでもない。そんなときは自宅で使う布団を持ち込むのもアリだし、電源があるので電気毛布を使うのもいい。冬の車中泊は寝られるよう寒さ対策が一番大事なので、見栄えうんぬんより暖かさを優先だ。
もう1つ、シュラフは潜り込んで使用するので入ったあとに高い位置にある照明を消すのは大変。かといってシュラフに入る前に照明を消すのも不便だ。そこで便利なのがリモコンで点灯、消灯できるタイプのランタン。シュラフに潜ったあとリモコンでピッとやれば暗くなるし、トイレなどに起きるときの点灯も楽だ。これはお勧めしたい。
ということでRVパーク七里川を利用してみたレポートは終わりにしたい。まとめると、こちらの施設はRVパークならではのお手頃な料金で高規格オートキャンプ場並みの宿泊体験ができるというところだった。
そして東京からは約100km、2時間あればいけるという立地もいい。ただ、そんな施設だけに週末の予約は早い段階で埋まるそうなので、利用してみたい人は早めの予約を入れた方がいいだろう。そして今回のように「山のなかのひとりの夜」を体験したいなら平日に休みを取って行ってほしい。なお、筆者的には後者がお勧めだ。