旅レポ

タイ・チェンマイの絶景を巡る(その3)

タイの「グランド・キャニオン」は超巨大な○○○だった!

タイの「グランド・キャニオン」

 タイ・チェンマイには「グランド・キャニオン」が存在するのである。比喩でもなんでもなく、「グランド・キャニオン」と名付けられたスポットが、最近、特に欧米の観光客の間で人気だという。

 噂の真偽を確かめるべく、筆者はチェンマイ市街中心部から南西へ15km前後、クルマでおよそ30分のところにあるそのスポットへと向かった。

人の手によって生まれた渓谷と湖

Flying Squirrelsの場所

 チェンマイにあるこのグランド・キャニオン、自然にできたものではなく、1989年から採土場として使われていた場所で、つまり人の手によって掘られたもの。掘り下げていくうちに地下水が湧き出し、水がどんどん溜まってご覧のような渓谷に似た景観になったのだという。

きれいにえぐられたところに、大量の地下水が溜まってできあがった

 かつては外国人観光客がこっそり侵入して遊ぶようなスポットだったそうだが、水深が30m以上と深く、事故が発生しやすい状況だったため、現在は安全に配慮して設備を整え、さまざまなウォーターアクティビティが楽しめる超巨大「プール」施設に様変わりしている。

向こう側が使われていないエリア

 全体は3つのエリアに分かれており、エリアによって入場料やできるアクティビティが異なる。1つは現状使われていないが、ほかの2つのうち1つはクリフ・ジャンピングやスイミング、ボート、ジップラインを手軽に楽しめる「グランド・キャニオン ガムナンブーン」と呼ばれる。入場料は100バーツ(約350円、1バーツ=約3.5円換算)。

「グランド・キャニオン ガムナンブーン」の入口
ショップやレストラン、カフェが営業している
ボートに乗ったり、泳いだりして遊べる
崖の上を歩いたりも
おなじみジップライン。対岸まで行って戻ってこられる
クリフ・ジャンピングに挑む観光客
たまたま居合わせた日本人女性もチャレンジしていた

 もう1つは「グランド・キャニオン・ウォーターパーク」で、巨大フロートによる水上アトラクションが目玉の1つ。こちらもジップラインがあるほか、2017年12月に導入したばかりだというウェイクボードで水上を爽快に駆けることもできる。キッズプールも用意されているので、小さな子供連れの家族も遊べるのが特徴だ。入場料は450バーツ(約1580円)。ウェイクボードのみ別料金で10分200バーツ(約700円)から。

「グランド・キャニオン・ウォーターパーク」
大人も童心に帰って遊べる巨大フロート
ワイヤーで引っ張るタイプのウェイクボードは、同施設の最新アトラクション
こちらにもクリフ・ジャンピング
そしてジップライン
きれいな更衣室もあり、設備は整っている

自然の力が生み出した500万年前の地層が見える崖

メーワン国立公園の「パーチョー」

メーワン国立公園「パーチョー」の場所

 もう1つ、チェンマイには人の手ではなく自然が生み出した渓谷も存在している。グランド・キャニオンからさらに南西へクルマで1時間、メーワン国立公園内にある「パーチョー」がそれ。最も古い地層部分でおよそ500万年前のものが見えるという、最大30mの垂直にそびえ立つ荒々しい崖だ。

 かつて現地付近に住む人たちの間で話題になっていたのを観光スポットとするべく、近年になって舗装道路などがしっかり整備され、訪れやすくなった。一帯は丘陵になっており、駐車場のある入口からいったん下って、干上がった川の跡をたどりながら、何度か上り下りを繰り返すこと400m、だいたい20~30分ほど歩いて脚が重くなってきたところで崖が姿を現わす。

いったん階段を降り、干上がった川をしばらく歩く
途中、川の流れによって堆積したとみられる珍しいピンク色の土を見ることができる。タイ国内でもここでしか見られない土なのだとか
20~30分歩き、ようやく崖までたどりついた

 元々は川が流れる場所だったが、地殻変動により隆起して川の流れが変わり、雨水などによって浸食が進んだことで出現したとされる。折り重なったヒダのような複雑な模様になっているのは、地層の成分が岩石だけでなく、川によって流されてきた砂利や堆積物も含まれており、それぞれで雨水などによる浸食の度合いが異なるためのようだ。

最も高いところで30mあるという崖
崖に背を向けると柱のようなものが。その形から「ロマン(ロマネスク)の柱」と呼ばれているようだ
360度画像で見るパーチョー

 照明はないため日没とともに付近は完全に暗闇になる。市街地からは少し離れているが、できれば早めの時間帯に訪れたい。入口の展望台から一望できる丘陵地帯の風景も一見の価値あり。入場料は無料。

入口の展望台からの眺望はぜひ見ておきたい

日沼諭史

1977年北海道生まれ。Web媒体記者、モバイルサイト・アプリ運営、IT系広告代理店などを経て、執筆・編集業を営む。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、二輪・四輪分野などさまざまなジャンルで活動中。どちらかというと癒やしではなく体力を消耗する旅行(仕事)が好み。Footprint Technologies株式会社代表。著書に「できるGoPro スタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)などがある。